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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第44章 魔女との戦い ~狙われた彩桜編~
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魔女の新たな策略



 高嶺は思い出し 思い出し少しずつ瑠璃に話しているが、ロシアに行くなと言われた彩桜は、以降ずっと青生に くっついていた。

【彩桜、もう離れてよ】【ヤダ】おんぶ♪

【集中したいんだけど】【一緒に聞く~♪】


【彩桜、とうとう赤ちゃん返りかぁ?】

白久が ほっぺツンツン。


【にゃに言われてもいいんだもん。

 一緒にロシア行くんだもん】


【彩桜、晩メシは? 要らねぇのか?】

ちょっと() 姿が見えなかった黒瑯が両手に大皿で戻った。

途端に廊下は良い匂いで満たされる。


【食~べる~♪】あ~ん♪


【青生から離れろよな。自分で食え】


【だったら掌握するもん。

 離れたら兄貴達ロシア行くんでしょ】

両肩から数本ずつ掌握を出して皿を持ち、箸も器用に操って食べ始めた。


【彩桜なら楽勝でロシアに行けるだろーがよ】


【紅火兄、俺拒絶結界するでしょ】もぐもぐ。


【当然だ】


【一瞬でも遅れたらアウトなるもん】もぐもぐ。


【彩桜は家か社に居ろ】【ヤだもん】ぱくもぐ。


【では青生は彩桜を護るように】

【だな。

 皆がロシアに行った隙に単独な彩桜がカロリーナ姫様に拐われるかもだからな】

【その可能性もアリか~】


【そうだね。偵察と聞き取りをお願い。

 魂核が離位置(りいち)していたんだから、真核もするだろうからね】


【現に3階の窓から消えている】


【だから彩桜、俺も行かないから今は離れてね。

 お社に行って原始楽器で遊ぼうよ。

 エィム様とも約束していたよね?】


【うん……青生兄、一緒ホントね?】


【うん。一緒に居るからね】


【ん♪】機嫌が直って並んで座った。


【ったく末っ子だよなぁ】


【本当に末っ子ですから♪】【うんうん♪】

今度は味方してくれた藤慈にピトッ♪


【【ったく彩桜だよなぁ】】


【兄貴達だ~い好き♪】



―◦―



 キツネの社に行ったのは夜更け。かなり遅くになってからだった。

彩桜の護衛としては青生だけでなく瑠璃も残り、代わりにとオニキスとリグーリが呼ばれ、ソラも一緒にロシアに行った。


【狐松先生は行かなくていいの?

 藤慈兄の相棒は?】


【藤慈様はソラと組むでしょう。

 彩桜様がいらっしゃるという事は、魔女が主様のお社を襲う可能性が高いという事です。

 離れる訳には参りませんよ】

つまり今は狐儀として居る。


【俺、帰った方がいい?】


【何処でも同じです。私も参りますので】


【ふぅん。瑠璃姉も?】


【同じだ。

 魔女は彩桜の闇神力を欲している。

 しかも最大脅威である闇障を一石二鳥で潰そうと目論んでいるのだからな。

 カロリーナ女帝の夫としてロシアに生涯監禁されたければ好きにしろ】


【ふぇ~い。おとなしくしま~す】


 とかとか話しながら、彩桜は青生と共に古代ユーレイ達と原始楽器を奏でているのだった。

それはそれで楽しいのだが、どうにも魔女の動きが気になる彩桜だった。



―・―*―・―



 ロシアに行ったマーズは聞き取り班と追跡捜索班に分かれて行動していた。

 金 銀は皇帝と帝妃達から、藤 空は帝子達から話を聞いた後、情報を交換し合って医師と側近達の方に向かった。



 黒 灰、赤 紫が組んで飛んでいる追跡捜索班も情報交換の為に集まったところだった。

【へぇ~♪ 蛇も飛ぶんだな♪】

黒龍(オニキス)に乗っている黒マーズ。


【あのなぁ。人世の蛇と一緒にするな。

 俺は蛇神なんだからな】


【今ナンで狐じゃなくて蛇してるんだ?

 紅火が乗りにくいだろ】


【蛇眼走査するんなら当然 蛇だろ!】


【姿に左右されるのか?】


【あーーったく!

 ただの見た目じゃないんだよ!

 それよか情報交換だろ!

 オニキスも無言でニヤニヤするなっ!】


【いや~面白くてな♪】【早く情報!】


【ナイ。リグーリあるのか?】


【無い! だから焦ってるんじゃないか!】


【焦っても何も解決しねぇだろーがよ。

 けどヤバいよな。

 相手は人神――つーコトは青生と彩桜ならアフェアン様と社の人神様達が感知するんじゃねぇか?】

【ならコッチも魂材様に目覚めてもらったらいいのか?】


【ソレだ黒瑯! 修行だ!

 オレは呼び掛ける。

 リグーリ達は探すのを続けてくれ。

 修行と捜索、交替でやろーぜ】


【だな。無闇矢鱈と飛び回っても徒労に終わるだけだろうからな。

 紅火、もう一度ロシアから邦和に向かうぞ】

(了解)

リグーリはロシア大帝城へと術移した。



【ん? てか呼び掛けるって、魂材様の名は?】


【あ~~~~! 青生と彩桜に聞こう!】瞬移!



――キツネの社、瑠璃の部屋。

【青生 彩桜♪ オレの魂材様の名は?】


【唐突だね】【うんうん。青生兄、拾知する?】

【してみようか。行き詰まっているみたいだし】

【頑張る~んるん♪】

古代楽器での交流を終えて瞑想していた二人は、全閉じ状態からの全開全神力(ぜんりょく)拾知を始めた。



【とりま黒瑯は瞑想してろよな】【おう♪】

【オレは彩桜の夜食作りに帰るからな】

リーロンは黒瑯を残して瞬移した。



―◦―



 見つけた。でも厳重ね。

 それなら器は隠しておきましょう。

 あの地下は……誰も居ないようね。

 無防備ね。通れそうだわ。



―◦―



【うん。拾えたよ】

【黒瑯兄て寄せ集め?】【ナンだよソレ!】


【んとね。メインなってるのスヴァット様】

【アフェアン様と同時代の男神様だよ。

 アフェアン様のアントレア国と同盟を結んでいたカストリニ国王様の料理長。

 カストリニ国を滅ぼした新カリュー国王に仕えろと言われて拒絶したから処刑されたんだ】


【ふ~ん♪ 潔くてカッケーじゃねぇかよ♪】


【次に大きいのが白久兄さんと共通しているフレブラン様。

 カストリニ国王様の専属医だったんだ】

【フレブラン様も新カリュー国王に仕えるの拒否したの~。

 白久兄の残りものなの~】


【あのなぁ。残りものはねぇだろ。

 共通って青生と彩桜みたく連動するのか?】


【しにゃいと思う~】

【うん。不均等だし混ざっているからね】


【そっか。まぁいい。で?】


【その次はカーリの母様なステラシィリーヌ様の専属執事さんでピッパルト様】

【オーガンディオーネの計略で罪神にされたみたいだね】

【濡れ衣なのぉ】


【マジ悪は居ないんだな? そんならいい。

 そんで誰を起こしゃいいんだよ?

 てか、まだ他にも居るのか?】


【他にも居るけど少しずつだよ。

 最大のスヴァット様を起こしてみたら?

 王様の料理長なんだし】


【ん♪ ありがとなっ♪

 なぁ、人神様達は?

 護ってもらわねぇのか?】


【随分とお疲れのご様子だったから眠ってもらっているよ】

【治癒眠したの~♪】


【アフェアン様も?】


【【うん】】


【ったく器用なヤツらだな。

 随分と飛び回ったが獣神様の神力じゃ見えねぇんだよ。

 だから誰か起こせよな。

 危険極まりないんだから頼っていいと思うぞ】


【それで急に魂材様にお目覚め頂きたくなったんだね?】


【だよ。どーにもムリだからな。

 オレと交替したら紅火も来ると思うぞ】


【そう。紅火は……ご夫婦かな?】

【うんうん。紅火兄と若菜姉ちゃんみたいな感じする~♪】


【もう見たのかよ。

 とにかく、たまにはオレの忠告も聞けよ?

 そんじゃあ――うわっ!?】


向かい合っていた青生 彩桜と黒瑯の間に『不穏』が現れた。

現れたと言っても何も見えないのだが。

〈全反転無効化、蒼月固着、吸引鎖呪縛!!〉

物凄い早口で叫び、彩桜を闇呪禍で覆って『不穏』は消えた。


【彩桜!? 供与するから頑張れ!】

【昇華光明煌輝、滅禍浄破邪!

 闇障暗黒闇化、強闇呼吸着! っ!?】

【青生!? どーした!?】


膝を突いた青生が そのまま前に倒れた。

【動け……ない。たぶん……彩桜に……】

吸着途中の闇呼玉も消え、解き放たれた闇呪禍は青生を包んだ。


【また連動か!?

 瑠璃さん! 狐儀! 居るんだろ!!

 領域供与MAX!!】


【昇華闇障暗黒、強大闇呼吸着!!】

【狐術浄破邪雷、滅禍破呪輝炎!!

 主様っ!! 大神の皆様お願い致します!!】



 次々と大神達が現れている中、瑠璃の闇呼玉に闇呪禍が吸い込まれていき、(うつぶ)せで倒れている青生と彩桜の姿が見えるようになった。


【青生! 彩桜!】


【彩桜の神力、吸い取られて……】


【故に動けぬのか。二人に神力を!】

【え? ヤられたのか!?】

両手に大皿なリーロンが戻った。


〖彩桜~♪ 夜食だよ~ん♪〗ぽよ~ん♪


【今……ムリ……】力が抜けて微動だにしない。


〖じゃあ食べさせてあげる~♪〗


【噛めにゃいよぉ……それに……眠ぃ……】


〖またまたぁ~♪〗

ゆさゆさして覗き込む。

〖ん?〗神眼で確かめ――〖えええええっ!?〗


〖ガネーシャ、何を驚いているのだ?〗


〖だって青生も彩桜もボクそっくり!!〗

顔が見えるように仰向けにした。


皆が息を呑む。


【青生が……瑠璃さんだ……】【瑠璃様っ!?】


瑠璃も胸を押さえて膝を突いていた。

しかし倒れずに闇呼吸着を続けている。

【絆が……結婚の絆が……】


【って青生が女になったからか!? なぁ、お稲荷様っ!!】


【否。無関係の筈。

 性別は結ぶ時のみ。ケイロン様!!】


直ぐにケイロンとオーディンが来た。

〖これは……呪です!

 絆が最強のものが故に、取り憑き蝕んでいるのです!

 絆は私が保ちます!〗

〖支えるのは任せよ。シヴァ手伝え!〗


〖はい! ガネーシャも!〗〖うん!〗

大勢の大神達が青生と瑠璃、彩桜の魂を支え、ケイロンの神力を支えた。



 当然ながらオフォクスも その中に居たのだが、黒瑯に引っ張り出された。

【お稲荷様は人神様達を起こしてくれ!

 青生と彩桜が治癒眠してるんだよ!

 また魔女が来たら今度こそ彩桜が拐われちまう!】


【ふむ。然うであったか。

 あの二人の治癒眠を解くのは難儀だが……儂の全力を賭して解いてみせようぞ】


【そんな強いのかよぉ】


深刻も露に頷いた。

【他の兄弟を集め、青生と彩桜を支えよ。

 ……頼む】


【おう。……呼んだからな。ソッチ頼んだ】


オフォクスは頷いて人神達の部屋に向かった。







イキナリ大ピンチです。

女化にどんな意味があるのかは不明ですが、とにかく大ピンチです。



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