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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団外伝  作者: みや凜
第三部 第43章 魔女との戦い ~魔女憑き魔女編~
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まだ残っている?



 ラピスリがアミュラの結界を抜けていると、ロゼリィシャインが連れて行ってくれと上昇して来た。


〈このままカーリと居ていいよ?〉


〈いいえ。お連れください。

 あの子の為にも私は戦わなければなりません。

 修行し、本来の神力を取り戻し、カーリが生きられるようにもしなければならないのです〉


〈じゃあカーリ集めも一緒にね♪〉


〈はい!〉



 そしてカリーナ火山。

いつものように詠唱しながら闇呼玉を投じる。


〈なんて(おぞ)ましい声……多くを滅しておきながら己は滅されたくないなどと……〉

ロゼリィシャインが呟いた。


〈それもまたオーガンディオーネの呪なんです。

 ザブダクルにも、その呪は受け継がれていると思います〉

〈だからビクビクなの~〉


〈それを更にオーロザウラが呪っている。

 憐れではあるが、あの爆弾を本当に護る気なのか?〉

今度はサマルータが青生と彩桜に問う。


〈だってホントは いいヒトなんだもん〉


〈だが私達の頃には最悪王と呼ばれていたオーロザウラの子なのだぞ?

 神の親子は同一と言ってよいのだぞ?〉


〈怠け者オーロに子が成せる?

 修行なんてしてないんだよ?

 だから俺、命の欠片はオーロだとしても、成した神力はカーリのだと思ってるの。

 だからザブさん優しい王様なった思うの。

 そぉじゃなかったらルサンティーナ様が好きになるなんてナイ思うの〉

〈そうだよね。

 オーロザウラはカーリザウラ様の魂核を盗み持っていたんだから、その方法が使えるよね〉

〈だと思うの~〉


〈そうか。先程の少年神の子でもあるのか。

 ならば護り助ける事に協力し続けると約束しよう〉


〈サマルータ師匠ありがとなの~♪〉


〈だが暴走したならば容赦はせぬぞ?〉


〈ソレは仕方ない思うの~〉


結界に近付いた。


〈ロゼリィシャイン様、カーリとお話ししてね♪

 俺達、アミュラ様とお話ししなきゃなの~♪〉


〈あら……ですが、その優しさに甘えさせていただくわね〉

嬉しさを隠さずにラピスリから出たロゼリィシャインはアミュラと二言三言話して丁寧に礼をし、カーリザウラの居場所に下りて行った。



〈私にも幸せ、来てくれるかなぁ……〉


〈その若さで何を諦めたような事を言っている?

 求め、努めれば幸せの方から来てくれるさ〉

優しい微笑みが眩しい。


〈ああ……サマルータ様、素敵すぎますぅ~〉


〈ん?〉〈あ~♪ 自覚ナシなんだ~♪〉


〈私、カッコイイ女神になりたくて軍に入ったんです!

 サマルータ様と今ピュアリラ様を目標にさせていただきますねっ♪〉


〈は?〉〈何故 私もなのだ!?〉


〈瑠璃姉、アミュラ様とのお話は?〉

青生と一緒に獣神秘話法で相談していたのが彩桜には聞こえていた。


〈聞き捨てならぬだろ!〉


〈瑠璃姉ガンバ♪〉〈彩桜っ!〉


〈フローリア様ガンバ♪〉〈はい♪〉グッ♪



 騒いでいるとロゼリィシャインが戻った。

〈また来ますと約束してしまいました。

 ですのでお願いいたしますね〉


〈うん♪ また来よ~ね♪〉

何度も言うが飛ぶのはラピスリだ。

〈俺もカーリと話す~♪〉サッサと行く。



〈素晴らしい(よう)の神なのだな〉フ。

〈ところで音神達よ。

 神笛(しんてき)にて音色を届ければカーリザウラ王子の回復に良いのではないか?

 アミュラ様の御神力(おちから)にもなれよう〉


〈確かに〉〈瑠璃、神笛って?〉


〈龍笛に近い横笛だ〉〈俺が教えるよ〉

ドラグーナから青生と彩桜へ。


カーリザウラと手を振り合った彩桜が嬉しそうに戻った。

〈吹く~♪〉るん♪


ドラグーナが成した神笛での三重奏が心地よく拡がり、激しい風雪の地も少しだけ穏やかさを取り戻したように思えた。




〖ありがとよ。

 神笛の()は遥か彼方の神にも届く。

 ルサンティーナもステラシィリーヌも聴いていただろうよ。

 それじゃあ長居は無用だ。さっさと行きな〗


【はい。では――】

結界を抜けたラピスリは可能な限り ゆっくりと飛んだ。


〈ねぇねぇオーラタム様♪

 この保護珠ナカ、子孫なオーザンクロスティ様♪

 コドモしてあげられにゃい?〉


という彩桜の声が聞こえたので、夫婦で相談する時間が必要だろうと考えた為だ。

もちろんロゼリィシャインとカーリザウラが手を振り合っているからでもある。



―・―*―・―



 金錦が高嶺に付き添っている部屋に白久達が戻った。

【疲れただろう。

 此処は私に任せて、帰って休めばいい】


【俺は疲れてねぇからな♪】

パイプ椅子を持って来て腰掛けた。

【疲れてる奴、用事がある奴は帰っていいぞ♪】

弟達にニヤリ。


【オレはリーロンがレストランしてくれてるからな♪

 青生と彩桜は? まだ魔女と鬼ごっこか?】

黒瑯は背凭れを前にしたパイプ椅子に跨がって座った。


疲れからか眠っていたマネージャーにもベッドを用意して横たえた紅火と藤慈は、2台のベッドを挟んで反対側へ。


【魔女は やはり戻って来た。

 青生達も追って来、オーガンディオーネを封じてオーザンクロスティを保護し、神世に行った。

 時間的に、間も無く戻るだろう】

【たっだいま~♪】戻った。


【お疲れ】【魔女達は?】同時に口々。


【魔女、オーガンディオーネだけだったの~。

 オーザンクロスティ様、オーラタム様とマナライティア様の子供なるって決まったの~♪

 やっと幸せなったの~♪


 ロゼリィシャイン様、カーリの母様♪

 カーリと会ってお話ししたの♪

 コッチも幸せなの~♪


 フローリア様、サマルータ師匠と瑠璃姉の弟子なるの~♪

 カッコイイ女神様なるんだって♪

 み~んな幸せ♪】


【そんじゃあ魔女は終わったのかぁ?】


【ソレねぇ……】

【うん。俺が先に話すよ】【ん】


【俺達が封じたのは確かにオーガンディオーネの魂核だった。

 でも何か違和感があったんだ。

 だからアミュラ様に相談しに行ったんだ。

 どうしても確かめられないから推測でしかないんだけど、オーザンクロスティ様に憑いていた魔女の魂核には真核が入っていなかったと感じたんだよ】

【うん。ソレ帰りながらオーラタム様にも確かめたんだ。

 オーラタム様、オーロザウラの真核に憑かれてたから。

 そしたらオーラタム様も そぉ感じるって。

 オーロザウラが魂核と真核、別行動してたのって、魔女からの遺伝じゃないかって】


【遺伝?】一斉。


【命の欠片には親の記憶も入っちゃうんだって。

 人で言えば遺伝みたいな感じなんだって。

 フツー無理な別行動する術、魔女が知ってて遺伝したんだと思うって】

【つまり、まだ真核との戦いが残っているのは確定なんだよ。

 寝起きな魂核にも苦戦したのにね】

【どっかで寝ててくれたらいいんだけどねぇ】

【そうだね】


【そっか。ま、ヤルっきゃねーだろ。

 で、ソイツは後日だとして、コイツは?

 付きっきりかぁ?】


【反転治癒眠してみるよ】光を当てた。



 高嶺が身動(みじろ)ぎしたので兄弟は廊下へ。

サッと白衣を纏った瑠璃だけが残った。


「あら、私……」


「ステージで倒れた。過労だ。気分は?」


「よく眠ってスッキリ目覚めた、という感じよ。

 過労ね。納得だわ」


「収録は続けたいか?

 それともホテルに戻るか?」


「収録……少しだけ、ぼんやりと思い出したわ。

 台本にないのを撮っていたのでしょう?

 他は? 終わったのかしら?」


「ふむ。全て終わっていると言ってよい。

 終了だと廊下で待っているキリュウ兄弟からスタッフに伝えてもらう」

立ち上がる。


「あら、待ってくださっていたのね」


「タクシーの手配も頼んでおく」スタスタ。


「あ、それは少し待っていただけるかしら?」


「ふむ」

ドアを開け、収録の終わりだけを話して戻った。

「まだ動けぬか?」


「そうではなくて……少し聞いていただきたくて。

 私の頭が おかしいのかもしれないけれど……」


「ふむ。何でも聞こう」


「悪い夢だったのかもしれない。

 でも、ずっと……女優になる前からずっと、頭の中で声が聞こえていたのよ。

『女王になれ』『この世の全てを我が手中に』そんな声がね。

 いつも一方的で、強引で……私が、邦和は王国じゃないと言っても聞こえていないみたいで。


 初めて答えてくれたのは私が女優になると両親に宣言した時だったわ。

『よかろう。目立ち、見初められて王妃となり、いずれは玉座を奪えばよい』だって。

 馬鹿馬鹿しいと思ったわ。

 ありえないわよ、そんなの。

 でも それだけで静かになってくれたから何も言い返さずに仕事に専念したわ。


 10年くらいは静かだった。

 でも『まだか』と聞こえるようになって。

 30歳を越えたくらいから時々記憶が途切れるようになって……気がついたら、『わがままトップ女優』なんてレッテルを貼られていたわ。

 私の知らないところで私が他の人の役を奪っているらしくて……怖かった。

 あの声が私を動かしているとしか思えなくてゾッとしたどころではなかったわ。

 先生、こんな話、信じていただけます?」


「信じる。今日も記憶は無いのだな?」


「このホールに入って、打ち合わせをして……本番に入ってすぐから朦朧として、フツッと……次はバイオリンを弾いていたわね。

 そこで倒れたのかしら?

 ぼんやりな記憶なのだけれど。

 あれは本番に入ってすぐなのかしら?」


「いや。本番に入って2時間以上経った後だ。

 他にも演奏していた。受け答えも確かだった」


「やっぱり勝手に動いていたのね……」


「声を聞いているから明かすとしよう。

 普通は信じてもらえぬ話なのでな。

 高嶺殿は魔女に取り憑かれていた。

 魔女は半覚醒状態であったが為に、乗っ取り、休みを繰り返していたようだ。

 倒れた後、魔女は祓った。

 二度と声は聞こえぬだろう」


「そう……魔女って存在するのね。

 納得よ。ありがとうございます」


「魔女と表現したが、悪霊等とも呼ばれているものだ。

 安心して今夜は眠るとよい。では――」


「あのっ!

 もしかして先日のロシアの騒ぎも何か関係していないかしら?

 魔女が話していたのよ。

『皇帝の姫に道をなしたものは滅された』とか。

『入り込むのに成功した』とか。

『今度こそコガミのジンリョクを奪う』とか。

 よく分からない単語も含まれていたから、間違っているかもしれないのだけれど。

 皇帝なんてロシアにしかいないわよね?」


「思い出せる限りを話してもらえるか?」


「ええ。あとは、そうね……」



―◦―



 廊下で待っていた兄弟も高嶺の話を聞きつつ、金錦のスマホに頭を寄せていた。


 エレーニャからのメールに添付されていた写真を開くと眠るカロリーナで、その髪は また黒く変わっていた。

『暴れ騒ぐので鎮静剤で眠らせていましたが、医師達を突き飛ばして、3階だというのに窓から出て消えてしまったそうです。

 また魔女が憑いているはず。

 どうかお気をつけくださいませ』


【彩桜は動くな。狙われている】

【そうだね。今回だけは留守番だよ】

紅火と青生の言葉に兄達は大きく頷いた。


【えええ~~】ヤダも~ん。







またまたロシアに行かなければならないようです。

そしてまたカロリーナ姫です。

彩桜は行きたがっていますけど大丈夫なんでしょうか?


というところで、この章は終わりです。



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