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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第43章 魔女との戦い ~魔女憑き魔女編~
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魔女の魂核



 月曜日恒例の増馬(ふえるま)教授の数学を受講した後、彩桜達が金錦の研究室に向かっていると、遠くにダラジャ達が見えた。

「ダラジャさ~ん♪ マルハラさ~ん♪」走る♪


「「おおサクラ♪」」


「お昼ご飯は?」


「いつもキンの所」「美味しい、届くよ」

滞在中は毎日 来るように言われたらしい。


「じゃあ一緒に行こ~♪」団体さ~ん♪



 そしてトレービとジョージまで一緒に昼食。

「彩桜、俺達も行くからな♪」「忍者移動な♪」


ダラジャ達が不思議そうにしているので、トレービ ジョージに頷いてから訳した。


「「行きたい♪」」


「俺、学校に行っちゃうよ?」


「「学校、行きたい♪」」


「ほええっ!?」


今度はトレービ ジョージが首を傾げたので青生が英訳している。

トルシュ ピニョンにはジョーヌが せっせと。


「「俺達も学校に行くぞ♪」」「どしてっ!?」


「許可は得ておこう。

 他にも話さなければならないのでな」


「金錦兄、他って?」「あ~アレだな?」


「はい。兄弟揃って参りますので」


「そ~か♪

 急に入った仕事に巻き込んで悪かったな♪」


「ジョージおじさん仕事って?」


「うろうろしてたら見つかっちまってなぁ。

 テレビ出演だ♪ 明日なっ♪」


「ジョージおじさんだけ?」


「「チェロだけなんだよな~♪」」


「じゃあチェロ8重奏?」「「だよ♪」」


「収録は15時から。

 なので明日の午後も東京に来るように」


「兄貴達と一緒ならいい~♪

 俺、休んでばっかりだけど~♪

 トレービおじさん、その間は?」


「スタジオで見学だ♪

 ソッチの団体も来るか?」


今度は藤慈がアラビア語訳していたので、団体さんは大喜びだ。



 赤マーズが来て堅固結界で一纏めにして中渡音へ忍者移動した。

ジョーヌ達も生物学棟に行ったので静かになった。


【響? 大丈夫?】


【あ……うん、大丈夫。ビックリしただけ】


【そろそろボク達も行こうよ】


【そうね♪

 それにしても何もかもが凄いよね♪】


【そうだね♪】

「輝竜教授、いつもありがとうございます。

 ご馳走さまでした」


「明日は? 来るのなら午後を休みに」


「はい♪ 聴きたいので休みます♪」「え?」

「チェロ8重奏♪

 御榊教授にはバレないように行こうね♪」


「行っていいの!? ホントに!?」


「来ればいい」「「ありがとうございます♪」」



―・―*―・―



「おじさん達、おとなしくしてよ?」

彩桜はパイプ椅子を重ねて頭に乗せ、廊下を急いでいる。


「「おう♪」」「邦和の学校……♪」

「建物、古い?」「綺麗。清らか」ざわざわ。


「んもぉ~」でも教室へ。「おそよ~」


まだ昼休み中だが、もうチャイムが近いので皆、席に着いていた。

「お♪ 彩桜――うわあ!?」皆だいたい同じ。


「見学者なの~。体育は?」

後ろにパイプ椅子を並べて異国の団体さんを残し、自分の席へ。


「2と5(時間目)入れ換えで次は数学なんだよ」


「体育ぅ~」でも数学の教科書は出す。


チャイムが鳴った。算木も来た。

「あ~、本当に居た~」


「先生、知ってたんですかぁ?」半笑いの堅太。


「さっき聞いたんだよ。圧巻な参観日だね~。

 じゃあ始めるよ~」


「英語でやるんですか~?」


「鷹前ぃ、無茶言うな~」笑い湧く。

「けど和語じゃ分からんよなぁ。

 輝竜、後ろに行って訳してくれ~」


「ほえ?」


「輝竜なら、この授業は受けなくても午前中ずっと数学だったんだろ~?」


「そぉですけどぉ。

 んもぉ仕方にゃいにゃ~ん」

教科書と椅子を持って後ろへ。

ダラジャとマルハラの間に座った。


「「サクラ?」」


「訳しに来たの~」


「「ありがとう♪」」


【彩桜様、次の社会科もお願いしますね】ふふ♪


【狐松先生が英語で授業してよぉ】


【出来ますが、それでは生徒の皆さんが困りますのでお願いしますね】


【ほえ~い】〈あれ?〉今度は鮒丸だ。


いつものように無視して聞くだけ。


〈輝竜 彩桜、どうして後ろ?

 それに、この人達……何?〉

いつもよりずっと声が穏やかだ。

〈うわ何語? まさか訳してる?

 僕……ええっと数学だよね。

 聞かないといけないよね〉

静かになった。


 もしかしてパトラマイト君じゃなくて

 広夢君に戻ったのかな?

 解呪の効果ってソッチ?

 で、まだ金魚?


首を傾げても今は解決しないので訳すのに専念した。



―◦―



 放課後、楽し気な団体と歴史研究部員は狐松の引率、紅火の運転で、見つかったばかりの遺跡調査現場に行った。


「縄文後期から弥生初期と推定された水田跡と住居か倉庫の柱跡です。

 (あぜ)もあり、建物跡からは耕作道具も発見されております。

 稲作伝来には絡みそうにありませんが、当時を知る貴重な遺跡です」


「先生、その道具って?」


「向こうのテントに集められています。

 行ってみましょう」


 この間も訳し続けていた彩桜が後ろのトレービとジョージに

「音楽と関係ないよ?」

帰らないのかと首を傾げた。


「彩桜を観察中だ♪」「保護者代理だからな♪」


「どしてなのぉ?」


「彩桜が中学生を楽しんでると燻銀(いぶし)に話してやらないとな♪」

「彩桜の居場所を見て、最高だと確かめないと大学で話したのが嘘になっちまうからな♪」


「ふぅん」 「お~い彩桜♪」「早く来て♪」


「ん♪」走った。おじさん達も追う。



「先生が複製して復元したんだ♪」

「楽器だよね♪ 鳴らしてよ♪」


半月形の弓にも見えるが弓幹(ゆがら)が太くて(つる)が2本あった。


「あれれ? 緩い? あ♪」

ネックは無いが、それっぽく指で弦を弓幹に押しつけ、弦の長さを変えて(はじ)くと、ビーン ビーンと よく響いた。

「それじゃあ~♪」

見事に音階をとってニッコリ。

『天翔る』を()き始めた。


「ね、先生。この弦、動物さんの小腸?」


「そうです。弦を掛ける(はず)の形状から、弓ではなく竪琴なのではと思い、復元してみたのです。

 2弦同時に鳴らして共鳴させ、弓幹の溝と空洞に反響させて音色を生むものだと思います」


「うんうん♪ 共鳴するの~♪ 響くの~♪

 工夫して弦間を決めたと思うの♪」


何時(いつ)の世にも音楽好きが居るようですね」


「うんっ♪」


この日の発掘調査が終わったらしく、どんどん人が集まってきていた。


そしてどんどん大騒ぎに。


「彩桜、俺達の楽器くれ♪」「合奏しようぜ♪」


「ん♪」はい♪ 俺もバイオリンの弓~♪


「そんじゃあ『夏の夕べ』な♪」「いいな♪」


「ん♪」


弾いているとライトが当たった。「ほえ?」


「ローカルニュース用でしょうか?」

世界芸術賞受賞者3人なので狐松が動いた。

真っ直ぐ責任者に向かって行き、二人で少し離れて話し始めた。



「おじさん達、ニュース出ていいの?」


「俺達は構わねぇよ♪」「小遣い貰うかぁ?」

「次の飲み代だなっ♪」「そうすっか♪」


「おじさん達てばぁ」



「なぁ祐斗。あの人、女優じゃねぇか?」


「うん、高嶺(たかね) 茉莉花(まりか)

 超有名人、トップ女優っての?

 ゲストなのかな?」


「ローカルじゃなくて東京から来たのかしら?」

「この遺跡、歴史的大発見とか?」

今度は歴史研究部員がザワザワだ。

地方では芸能人なんて、そうそうお目にかかれないので。

「でも……なんだか怖いよね」

「女優なんて そんなもんじゃねぇのか?

 ほら、勝ち残って上り詰めたんだろ?」


その怖い女優が狐松の背後に迫っている。


【狐儀師匠! 禍臭いよ!】【そうですね】

人が多過ぎるので、どうしても緊張が走る。



 伝わったのか見ていたのか、バスで待っていた紅火も来て、彩桜の楽器を複製して弾き始めた。

【危険となれば堅固結界を成す】


【ありがと紅火兄。

 青生兄と藤慈兄も帰ってるから呼ぶねっ】


(頼む)



 彩桜が呼ぶと兄達は揃って直ぐに来た。

違和感が生じないようにバスの方から。


紅火が人数分の楽器を複製して渡した。

テレビ局が大喜びしそうな原始楽器七重奏だ。


【彩桜、たぶん――】

青生の視線は女優にチラリ。


【うん。やっぱり寄って来たね。

 魔女達、眠ってるよね。

 でも禍……漏れてる? 目覚めかけ?】


【他の魔女達から何か伝わったのかもね。

 オーザンクロスティだろうがオーガンディオーネだろうが繋がっているんだからね】


【うんうん。やっぱり……強いよね】


【そうだね。両魔女の魂核なのかもね。

 オーロザウラだって魂核だけで逃げたんだから】


【やってそぉだよねぇ】うわあ……。


(はす)に向けている神眼に聞こえてきたのは、この場の責任者とテレビ局本社の もっと上の人物との通話で、明日の収録についてだった。


チェロの後で原始楽器も演奏してほしいと狐松にも伝えている。

そのゲストも高嶺 茉莉花で、幼い頃から今も続けているバイオリンで合奏に参加するからジョージも一緒にという話になっていた。


【コッチ向いたぁ】


【キリュウ兄弟に興味があった。ね……】

【おい、青生 彩桜。コソコソ話すな。

 また魔女なんだろ?】


【黒瑯兄てば怒らないでよぉ。

 確かめてるんだからぁ。

 神眼直視ダメなんだからぁ】


【おう。ちゃんと話せよな】


【うん。帰ってからね?】


【おう】







魔女の魂核が現れました。

どうやらまだ確かには目覚めていないようですが、影響はバリバリ主張しているようです。


やっと学校に戻れた彩桜にとっては一難去ってまた一難です。


オーガンディオーネもオーザンクロスティも魔女と呼んでいるので ややこしいですが、どちらも魔に堕ちた女神ですので ご勘弁くださいませ~。

m(_ _)m



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