ブルーの浄化光
桜マーズは人差し指に偽装具現化していた闇呼玉をジッと見ていた。
【彩桜?】空も覗き込んだ。
【うん……やっぱり悪霊オバサンだ。
でも違うのと一緒なってる。
瑠璃姉、貝とかの魂って獣魂と同じ?】
【精製度合いが違うが素材としては同じだ】
【ふぅん。貝に魔女いるのアリなんだ……】
まだ見ている。
【つまり魂材とされた魔女が貝から真珠へと移ったのか?】
【そぉみたい。移れるんだねぇ。
貝が死んじゃうから咄嗟に、って感じかにゃ?
どれが最初か分かんないけど、だから象牙とかも居ると思うのぉ】
【ふむ……】【黒い象牙か珊瑚かがあるぞ!】
【理俱師匠、触っちゃダメだよ~】飛んだ。
空と紺も追う。
【埋もれたままにしとくよ】
【ん。浮空】
黒い塊だけが宙に浮き上がった。
また偽装具現化した闇呼人差し指でツンツン。
黒のヴェールが吸い込まれた。
【綺麗な赤の珊瑚♪ 置物かにゃ?】なでなで♪
【お~い彩桜】【ん。行く~】ふよふよ~。
【どうして此処に集まってるんでしょう?
他の王室とかにも集まってるんでしょうか?】
【巡らねばならぬようだな。
この装飾品も誰かが不穏を感じて仕舞い込んだのだろう。
他所にも同様の物が在るのだろうな】
【キリがありませんね】
【移る、増殖するでは……ん? 真ブルー様は魔女をどうしたのだろう……】
【あ……消えていたんですよね?】
【箱は すっかり空になっていた】
【来てくれないかな……】
天を仰ぎ、神眼を限界まで遠くに向けてみた。
【そんな簡単に見えるなんてないよね】【あ!】
彩桜の声で皆が神眼を強めた時、神眼にしか見えない強い浄化光に包まれた。
【確かめる~んるん♪ 消えちゃってる~♪】
両手に闇呼玉でピョンピョン♪
【彩桜?】一斉。
【たぶん真ブルー様と真チェリー様が来てたの♪
魔女は闇禍を利用しよぉとして呼び寄せたから救えないんだって。
闇禍と一緒に浄滅されちゃうみたい。
ごめんね言ってたけど……闇禍なんか呼んだら天罰なっちゃうよねぇ】
【そうだな。
地星を滅するつもりだったのだから滅されて当然だ。
他には何か仰っていたか?】
【物に憑いてる分は浄滅するって。
生き物に憑いてるのは、そのヒトも滅しちゃうから頑張ってねって】
【つまり、まだ居るのだな?】
【うん。俺も まだだと思うのぉ】
【ふむ】
【だから宝物庫巡りしなくてもいいの。
此処も浄化済みなの♪】
【では帰ろう】
【金錦兄達は?】
【彩桜に伝わったのならば青生にも伝わっているだろう。
会談――というよりは依頼だな。
その件は終わったと見なして話も終了する筈だ】
【うん。伝わったし終わったよ】現れた。
【青生兄~♪】ぴと♪
【帰ろうね。邦和は夜中だよ】【ん♪】
―・―*―・―
(ちゃんと伝わったよ♪)
(そうだね。だから帰ろうね)
(会って話したいな~)
(この時点……まだ時流が向いていないから待ってね。
もう行くよ?)
(うん♪ 手繋ぎ特大時曲空♪)
―・―*―・―
瑠璃はサマルータを連れてキツネの社へ。
他は家の居間へと瞬移した。
〈〈ナンか作るから待ってろ〉〉
黒瑯とリーロンは台所へ。
〈ん? 青生と彩桜は?〉
〈む……学校だ。鮒丸の様子を見に行っている〉
〈そんなら鮒丸も安心だなっ♪
力丸の兄貴なら大事にしてやらねぇとな♪〉
―◦―
【彩桜、気を消して】【ん】姿も消して天井へ。
2年1組の教室に入ったのは力丸とオーラタムとマナライティアだった。
〈あ~、また落ちてる〉ぱし。ポチャッ。
マナライティアが水槽越しに手を翳した。
〈確かに私の呪です。解きますね〉
暫し待つ。
光に包まれた鮒丸に今度はオーラタムが手を翳した。
〈私の呪もありますので解きます〉
また暫し待つ。
体から浮き上がった鎖が弾けた。
〈残る呪は……術者はダグラナタンです。
ですが弱い呪ですので、心の方が強くなれば解けます。
ダイナストラ様とショウフルル様は既に解いているものと存じます〉
〈パトラマイト兄様って……でも変われると信じないと! ですよね?〉
〈そうですね。
では明け方に、また参りましょう〉
〈はい♪ ありがとーございました♪〉
一緒に社に帰った。
スッと忍者兄弟が下りる。
【うん。気絶しているけど魂がクリアになっているね】
【浄破邪していい?】
【俺は浄治癒を重ねるよ】【ん♪】
一緒に清らかな光を当てた。
【変われるよね♪】
【そう思うよ】
【人に戻れたら東京?】
【……どうだろうね。
力丸はまだ狐だし、ショウは犬だよね。
ショウは神力を使い熟していると思うのにね】
【そっか。まだまだ鮒丸かもなんだね。
ね、青生兄。さっきの、見えた? ロシアの。
ちっちゃ金色の龍神様ゆさゆさしてたの♪】
【見えたよ。ブルー様の言葉が伝わった時だから、手はブルー様で眠っていたのはドラグーナ様だろうね】
【かわいかったよね~♪
クルンなって『ボクまだ眠いの~』って♪】
【赤ちゃんだったんだろうね。
その時に光明を添えた闇障を頂いたんだね】
【ホントに異界の神力だったね♪
ん? 光明は反転じゃなかったの?】
【反転だと思うよ。
添えていた光明は小さいと思うんだよね。
戦う為じゃなくて、光神のドラグーナ様が闇障に転換する為の光を一気に生み出す為の補助的な神力だっただろうからね。
でも複製神力が反転する呼び水にはなったんじゃないかな。
闇障が反転して合わさって強い光明になったんだと思うよ】
【そっか~♪】
【何か他に話したいんだよね?】
【あ……うん。
コレ、拾知じゃなく考えたの。
オーザンクロスティの魂材にオーガンディオーネ入ってたんじゃない?
すっごく似てるもん】
【そうだね。似過ぎているよね。
オーラタム様は見ていたかもね。
オーロザウラが見つけて欠片を込めたのか、気づいていないけど引き寄せられたのか……】
【たぶんねぇ、オーロザウラは知らなかったと思うの。
だって魔女、最初から利用するつもりで生んでるんだもん】
【確かにね。人が子を産むのとは根底から違うんだろうね】
【青生兄、子供は?】
【また大学に戻ってしまったからね……】
【金錦兄と白久兄、踏み出したと思うの】
【それって……?】
【いっぱい悩んでたの。
子供もイジメられたりとか苦労するんじゃないかって。
だから俺、楽しくて幸せだよって話したの。
兄貴達にとって俺って、弟だけど半分くらいは息子な感覚でしょ?
だから大丈夫って。
東京に逃げちゃったりもしたけど大丈夫だよって話したの。
だって俺みたく保護者い~っぱいなんだもん♪
オーケストラ作れちゃうよね♪
父ちゃんと母ちゃんも一緒にキリュウ楽団♪】
【それは楽しそうだね】
【だから~青生兄も踏み出してねっ♪
俺、子守りもするから~♪】
【うん。瑠璃と話し合うよ】【うんっ♪】
【この話に持ってくるのにオーザンクロスティ?】
【あ~、バレちゃった~。
でもね、魔女達 似てるて感じたのはホントなの。
母娘? て思っちゃったの。
魂材だったら、そのものなんだけど~】
【どちらにしてもオーガンディオーネが入っているんだから、その線は正しいと思うよ。
そうなるとオーザンクロスティの魂核・真核が生き残っている筈だよね】
【うん。
これまでのってオーロザウラの魂核にオーザンクロスティの記憶が乗っかってるのだったんだよね?】
【そう。
だからオーガンディオーネに護られたオーザンクロスティそのものが居る。
拾知も震えたから間違いないよ】
【俺のも共鳴しちゃったぁ】確定だぁ~。
【問題は何処に居るのか、だよね】
【うんうん。まだ寝てるとか?】
【可能性は大いに有りそうだね。うん】震えた。
【また共鳴したぁ~】
【だから目覚める前に見つけないとね。
たぶん向こうから近づいて来るだろうけどね】
【うんうん! あ♪ 鮒丸が動いた~♪】
【そろそろ東京に行こうか】
【ん♪】手繋ぎ瞬移♪
――金錦の家、青生 藤慈 彩桜の部屋。
【お帰りなさい♪】
【【ただいま】なの~♪】
青生を引っ張って纏めてハグ♪
【彩桜、黒瑯兄様が夜食を作っていましたよ】
【貰い行く~♪
黒瑯兄 リーロンありがと~♪
いっただっきま~す♪】行って戻った。
【元気で良かったです♪】
【俺と~っても元気~♪】もぐもぐもぐもぐ♪
【青生兄も藤慈兄も食べよ~♪】
【じゃあ少しだけね】
【私は食べましたので果物を少し】
【うんうん♪
藤慈兄も早く子供ねっ♪】
【えっ!?】盛大に噎せた。
【だいじょぶ?】背中なでなで。
【たぶん彩桜は弟妹代わりに甥姪が欲しいだけなんだよ。ね?】
【うん♪ 子守りするの~♪】
【そ、そう、ですか……】こほっ。
【蜜柑じゃなくて良かったねぇ】
【そうですね】
確かに柑橘類は噎せるとキツいが、そこじゃないと苦笑する藤慈だった。
ロシア編のオマケで鮒丸の解呪でした。
これでロシアの魔女は終わったのかと言うと、まだ居そうなので ひと区切りというだけです。
なんですが、お話は前フリの通りの方向に動きますので、この章は終わりです。
ブルー様とチェリー様の言葉は謎だらけでしょうが、地星メンバーが知らないところなのでスルーしてしまいます。
m(_ _)m




