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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第41章 魔女との戦い ~魔女だらけ編~
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王子達への呪



 上空では何度か不穏を感じ、一度は姿を見せたので追い払ったが、校内・授業の方は何事も起こらずに放課後になった。


 歴史研究部と文芸部と勉強会仲間が彩桜(サーロン)を囲んで帰る。

「ええっとぉ、コレにゃ~にぃ?」

まだ彩桜になりき中のサーロンが首を傾げる。


「東京に連れ拐われないよーに護衛だ♪」

「はい! 中渡音の超新星ですからね!」

1年生も一緒なので壁が分厚い。



 そのまま塊で輝竜家のアトリエへ。

「ったくサーロンは彩桜の真似なら和語ペラペラだなっ♪」

「真似、上手だよね」


「彩桜の真似だけです♪」


「やっぱ双子なんだろ♪」


「違うです♪」『サーロン居た~♪』

階段口から発射されたかのような弾丸ハグ♪


「彩桜おはよ♪」2年生ほぼ一斉。

1年生は『?』状態だ。


「彩桜は昨日 寝てなかったらしくてな。

 ブッ倒れて、ちょうど来てたサーロンがピンチヒッターしたんだよ。

 双子って便利だよなっ♪」


「双子じゃにゃいからぁ。

 眠かっただけだから俺もぉ元気♪

 サーロン、オヤツ貰って来よ~♪」「はい♪」



―◦―



 階段を下りた彩桜はサーロンと手を繋いで洋館の屋根の上へと瞬移した。

繋いでいる手から手へと情報を流す。

【だから紅火兄の結界の外側に光、内側に闇で鏡するの。

 魔女、光に強い闇神だけど合わせたら武器なるの。

 今、青生兄達 東京だから光お願い】


【うん。でも浄化はダメなんだよね?】


【だから治癒♪

 治癒眠にピッカン込めるの♪】


【やってみるよ。あれ? 響?】

大門からアトリエへと歩いている。


【うん。危険だからSo-χ練習なの。

 琢矢さんも魁さんも狙われるかもだから。

 この後は俺が分身でサーロンするねっ♪】


【この距離ならボクも分身できるよ。

 これも修行だから任せてね♪】


【うんっ♪

 じゃあ術治癒眠と目潰しピッカンねっ♪

 タイミング合わせるから先に唱えてね♪

 最初だからフルね?】


【ん。覚えたよ】唱え始めた。



【――煌光昇気、夢幻治癒眠、不通防壁!】

【【煌輝、広域供与、暴嵐竜巻で拡散♪】】

【昇華闇障暗黒、激天大闇呼防壁、拡散!】


先に光が結界を抜けて拡がり、降り積もった。

続いて闇が拡がり、結界の内壁に蒸着の如くに着いて一瞬だけ暗くなった。

すぐに光闇どちらも透明化して落ち着いた。


【成功~♪ 黒瑯兄リーロンありがと~♪】W領域供与♪

【黒瑯お兄さん、兄さん。ありがとです♪】ガツンです♪


【【おう♪ オヤツ取りに来い♪】】


【うんっ♪】【はい♪】



―◦―



 それを見た魔女な悪霊は舌打ちして去った。


 魔女は鳳子を拐おうとして失敗した後、理子と久香を探したが見つからず、その家族・親族も拐えずに漢中国に行ったが、逮捕拘留中の鈴春(リンチュン)鈴豊(リンフォン)姉妹も狐神達に阻止されて拐えなかった。


 仕方がないので再び邦和に戻ったが、痕跡持ち達は全て憑依できなくされていた。

全ては闇使いの子神の仕業だと思い込んで戻ったら、結界を太刀打ち出来ないものに変えられてしまったのだった。


 だったら魔女の丘ね!

 動きは悪くても入れるわよね!


神力は貯めに貯めている。

その為に半身を切り離して囮としてまで潜伏したのだからと連続瞬移で南米に向かった。



―・―*―・―



 魔女は稲荷山上空にも痕跡を辿って来ていたのだが、ハリハラ(シヴァ+ビシュヌ)に追い払われていた。



 そんな外の騒ぎを知らないままのオーラタムとマナライティアは、向かい合って両手を取り合い、神力を循環させて高める修行を幸せに浸りつつ進めていた。


「休憩にしましょう」「はい」ぽ♡


目が合っただけで頬を染める新妻に愛おしさが熱を帯びるが、話す為に中断したのだからとオーラタムは気を引き締めた。


「私は神力が高まったなら、真っ先に貴神殿に行かねばなりません。

 王子様方の魂を(けが)し、呪で縛ってしまいましたので、このままでは神王様の地位が危ぶまれてしまいますので」


「それでしたら私もです。

 操られていた私はオーノマイトナールの為のみに動いていましたので、あの男神(おとこ)が王になれるようにと王子様方を呪っているのです。

 それに獣神様を狩ろうとして、負けて気絶した王子様を堕神として人の魂にも込めてしまいました。

 その王子様も私が過去に呪っていて――」


楽し気な女の子の声が聞こえたので話を止めると、真っ白な子狐神が毬を追って庭へと駆け抜けた。


「愛らしいですね」「そうですね」

微笑み合い、ふわふわな尾を見ていると、

『珊瑚ってば! また勝手に女神様のお部屋に――失礼いたしましたっ!」

今度は真っ白な子狐神の男の子。

既に女の子は去っていると気付いて、頭を下げてから去った。


『お~い。サ~ンゴ~、シ~オン~。

 修行しないのかぁ?

 どこ行っ――わああっ! ゴメンナサイ!」

まさしく狐色な子狐がキョロキョロ入ってビックリ反転! 逃げようと――


「お待ちください王子様」「ゲ……」

「王子様ですよね?」


――そぉ~っと振り返って、溜め息。

諦めたと背筋ピンでスンと座った。

「俺、もう王子ヤメたんです。

 修行して立派な獣神になるんです。

 だから他の人神にはバラさないでください」ペコリ。


「あの……そういうつもりではないのです。

 私は悪い男神に操られて、たくさんの王子様を呪ってしまったのです。

 確かめさせていただけませんか?」


「あ~、オーロナントカってオッサンね。

 じゃあ確かめるだけ。お願いします」

トコトコ寄って、また座る。


「では、失礼いたします」「私も失礼致します」


二神が手を翳している間は静かに待った。


「ありがとうございました。

 私の呪は有りません」

「私の方は有りますので解呪します」


「じゃ、お願いします。

 あ、先に。どんな呪なんですかぁ?」


「神力が漏れて貯まらない呪です。

 申し訳ないばかりです」


「オーロナントカのせいですから謝らなくても~。

 修行ガンバッてもダメだったの、呪のせい?

 だったら これからバリッと上がりますよね♪」


「そう、なると思います。では――」



―・―*―・―



 まさか此処にまで獣神(ケモノ)が!?


長旅をして来たのにと悔しさに歯噛みしながら魔女は北へと進路を変えた。



―◦―



【狐儀殿、北に向かいましたのでロシアで決戦としましょう】


【はい青生様】



【彩桜、魔女はロシアに向かったからね。

 戦うのは邦和時間では夜になるから、もう少し休んでね】


【ねぇ青生兄、大学のは?】


【まだ全てが解決したわけじゃないけど、彩桜は転校しないし、講義の件は先送りになったよ。

 芸術学部は講義だけじゃなく個人レッスンがあるから、美術と音楽それぞれ週1レッスンだけ引き受けたよ。

 これは金錦兄さんと俺と藤慈でするからね。

 あと兄弟揃ってと学生との演奏会が年1ね】


【青生兄イッパイ イッパイじゃないの?

 大丈夫?】


【彩桜よりは時間的に自由だし、余裕もあるよ。

 瑠璃が協力してくれるからね】


【無理しちゃダメなのぉ】


【ありがとう。

 全て彩桜が困らないようにするから、彩桜は何事も思う存分、思いきり全力でね】


【ん。楽しむの~】



―・―*―・―



「解けましたが、御気分は如何ですか?」


「スッキリです♪

 もしかして勉強嫌いだったのも呪のせい?」


「そうですね。

 努力からは遠ざかり、たとえ努力をしようとも実らない。そういう呪です。

 他には想いの欠片やらの粉を魂に混ぜ込んで、王子様の神力発動を阻害する濁りとしておりました」


「あ~ソレ、解決済みです♪

 いっぱいな人と話して満足してもらいました。


 弟のショウも人世に居るんですけど、居場所は知らないんです。

 キツネ様に聞いてください。

 それじゃ――あ、女神様の呪って?」


「素行が悪くなるように魂を縛る呪です」


「あ~ソレならショウには入ってないな。

 ショウはカワイイお茶目っ子ですから。


 けど思い出しちゃったな……。

 パトラマイト兄様には入ってると思います。

 人してたんですけど悪いコトしたらしくて今は金魚なんです。

 いい思い出なんてない兄様だけど呪なら忘れます。

 あ、やったのオーロナントカだからホント気にしないでくださいね。

 でも今日は山の結界から出るなって言われてますので、今度お願いします」


「どうして出てはならないのですか?」


「なんか~、魔女がウロウロしてるらしいです。

 危険だから出るな、です。

 それじゃ、ありがとうございました」ペコリ。


「力丸~♪ 紫苑が待ってるわよ~♪」

また毬を追って駆け抜けた。


「ったくサンゴは~。それじゃ失礼します」

ご機嫌な足取りで出て行った。



「可愛い王子様に救われました」


「そうですね。

 それに私達はお護り頂いていると、お教えくださいましたね」


また珊瑚が駆け抜ける。

いくらでも弾み転がる毬は神力で動いていると、ようやく気付いた。


「どうやら王子様はご存知なく、このお社の主様に導かれていらしたのですね。

 あのまま話していたら間違いなく私達は知らぬままに出ていたでしょうから」


「そうですね。きっと、そうしたでしょう。

 とても お優しい主様ですね」


「はい。では修行を再開しましょう」

手を差し出す。


「はい」そっと手を重ねた。

熱をもつ頬を隠そうと俯いたが、幸せだと伝わってしまうのは諦めてしまった。

循環する神力に乗ってくる幸福感にはオーラタムのものも一緒になっていたからだ。


 あの男神に私の知識や神力を悪用された

 悔しさや、言いなりにされた憎しみが

 新たな不穏に変わろうとしていたのに……。


 すっかり、どうでもよくなっているなんて。

 とても不思議だけれど、良かった。


 今ブルー様と今ピュアリラ様には

 言い尽くしきれない感謝を込めて

 祈りを捧げ続けます。


 あ……オーノマイトナールって……

 浄化神なんて無理も甚だしいからと

 回り回って再生域に押しつけられて、

 指導は最終的に私が押しつけられた

 伯爵家のお坊っちゃまではないの。


 その後の記憶…………あったわ。

 再生最高司次補まで昇格したの!?

 あ……それも私が……私が働いて、

 功績は全て あの男神のものになったのね。


 全ては古の悪神(オーロザウラ)だとしても

 二度と会いたくはないわね。



「あの……私もオーロザウラに憑かれていましたし、彼は子孫なのですが……」


「憑かれていたのは私も同じですっ!

 ご先祖様と子孫は別神(べつじん)ですっ!

 私はオーラタム様が大好きですっ!」


「あっ……私もマナライティア様が大好きですよ」


「あっ……」

つい勢いで言ってしまうなんてと真っ赤っか。


 それもまた可愛らしいですよ。


「えっ?」


 はい。とても愛おしく思っております。


「あ、あのっ」


「落ち着くまで休憩しましょう。

 ですが……この手は離したくありません」


 嬉しいので離しませんっ♡


本物の結婚の絆で繋がっている上に手を繋いでいるので、互いの心の声はダダ漏れなのだった。







ティングレイスの子とは思えない王子達でしたが、原因は雑多な魂片と呪でした。

魂片の方は除去済みのダイナストラとショウフルルですが、人神専用術の呪は獣神には見えず残っていました。

でも……ショウは呪われてなさそうですよね。



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