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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第41章 魔女との戦い ~魔女だらけ編~
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いろいろ並行して前進



 浄化・魂生合同研究室に行った今○○達は久香の魂を出して、兄弟が魔女を強く感じる部分を切り離し、ロークスとチャリルにも協力してもらって その箇所の久香を新魂材に移した。


「室長さん、どしたのぉ?」


「あっ、あまりの手際の良さにっ、感動いたしましてっ」

うるうるどころじゃない涙ポロポロだったのが話しているうちに滝の如くに。


「あらららら~」


室長の後ろでは室員3神も祈りの姿勢で号泣しており、作業は完全に止まっていた。


「間違えちゃった? 俺達ダメ?」


「「「ではなく! 素晴らし過ぎて!」」」


「ほえ?」


「「「お教えいただきたく!」」」


「ん~~とぉ、困ったねぇ……」

「言っている場合ではない。行くぞ」

梱包作業が終わったラピスリ達が苦笑している。


「でもねぇ」


「修行あるのみです。

 では急ぎますので」

「3人目も宜しくお願い致します」

青生が彩桜を連れてラピスリの背に乗った。


「私達も、よいか?」


「ふむ。懐かしの滝だ。来ればよい」

乗ればよい、と背を向ける。


「「ありがとう」♪」

「えとね、あと1人いるの。

 だから頑張ってなの~」連れ去られた。



――禍の滝、神喰いの森。

邦和や職域は夜更けだが、東端なので夜明けが近い。

術移とは言え1回でと、ロークスとチャリルが驚いていたが、声を発する前に通り抜けて滝前。



 青生と彩桜が降りて詠唱を始めた。

3者共に真剣なので、ただ見ているしかないロークスとチャリルだった。


龍達も集まる。


地響きが上がっている中、禍が転送された。

【任せて♪】ルビーナが飛び、オパールが追う。



 魔女を封印し終えた頃には禍は浄滅されていた。

が、続いて巨大な禍が転送され、転送口近くに居たルビーナとオパールに覆い被さろうとした。


【【昇華光明煌輝、滅禍浄破邪!!】】


昼間よりも眩しい閃光に視界が奪われる。


【ルビーナ師匠、大丈夫?】ふぁっさ ふぁっさ。


視界が宵闇に戻ると、龍尾天使達が降下した。

翼のキラキラで また昼間の如くになる。


【彩桜くん、青生先生♪ ありがとう♪】

【先生?】【獣のお医者さん♪】【へぇ】


【その反応、何?

 子犬に閉じ込められた私を助けてくれたのよ】


【うわ。それ先に言えよなっ。

 先生ありがとうございました!

 って、あれ?】


ルビーナとオパールの無事を確かめた青生と彩桜はドラグーナを出して瞑想中。

翼は落ち着いたキラキラになっていて、明るいのはドラグーナの鱗光だった。


【あの術、教えてもらわなきゃね♪】

【だね。行こう♪】



―◦―



 滝は陽も高くなっている。

邦和に夜明けが近付いた頃――

【ラピスリ、来ているのだろう?】

――ラナクスに呼び掛けられた。


【禍の滝だ。ロークスとチャリルも居る】


【呼んでくれてもよかろう?】


【ふむ。そうか、岩壁の上で瞑想していたのか】


【かなり離れているが光を見た】


【だろうな。来ればよい。

 タオファとハーリィとプラムもな】


【ふむ】【ゆっくり話せるのか?】


【もしや目星が付いたのか?】


【玉座に着こうとしている者ならばな】

と話しているハーリィが森を抜けた。

プラムと手を繋いでいる。

続いてラナクスとタオファ。

【定期的にドラグーナ様をお連れしているのか?】


【今は頻繁に来ているというだけだ。

 闇禍と魔女を封じる場所だからな】


【そうか。此処に来ていたのか】【あ♪】

プラムは父の所へ飛んだ。



 そして同代が集まる。

【何度も何度も玉座に着きたがっていたのは第9伯爵だ。

 現当主はオーノマイトナール。

 祖父の代から立候補し続けている】


【オーノマイトナールは若い頃に浄化神と再生神もしている。

 再生の次補まで昇った記録がある。

 紫の衣を好んでいるのも該当するが、それは上級貴族の8割くらいが該当者だから、まず石を投げれば当たる状態だ】


【その妻マナライティアも再生神をしていたらしいわ。

 だから再生域で知り合ったのかもね。

 此方は死司神かってくらい常に黒ドレスよ】

ラナクス、ハーリィ、タオファと続いた。


【調査と絞り込みに感謝する。

 それにしても貴族の事なのだから、もっと難航するかと思っていたのだが?】


【それなりに人神脈(じんみゃく)もあるからな】


【大したものだ】

【ねぇねぇ、第1公爵様トコ行かにゃい?】

離れているが聞いていたらしい。


【彩桜……また拾知したのか】


【必要なトキ拾知するの悪くにゃいでしょ。

 それにカイダーム様の子孫様でしょ?

 お話できると思うのぉ】


【ふむ。東京の皆が出発したなら、先ずはマヌルの里に行くとしよう】


【ん♪】るんるんる~ん♪

【人世も忙しいのね?】


【そうだな。まだ悪神も魔女も終わっていない。

 弱禍を全て浄滅するのも、まだまだ掛かる。

 つい先日も漢中国で魔女と戦ったばかりだ。

 メイを拐った者、襲い、苦しめた者達と、助け、育ててくれた者達が判明した】


【私も戦ったし、関わったけれど、あれが悪神の母だったなんてね。

 それで目的は何だったの?】

長くキツネの里に居たタオファ。


【オーガンクロスティは初代・今ピュアリラ様に封じられた。

 その怨みから、今ピュアリラが存在する限り再び王妃には戻れないと信じきっている。

 占術の結果から次の今ピュアリラとなる赤子を拐ったのだが、双子であったとは知らなかったようだ】


【では間違えてメイファを?

 あんまりな話ね】


【全くだ。

 魔女の欠片達は明確には繋がっていないが、感情程度は伝わるらしい。

 一斉に活性化して騒がしくて仕方無い。

 浄化全般が効かない上に、光耐性も持っているようだ。

 封印や治癒眠を破るのが得意で困る】

【自分とか悪神とか引き寄せちゃうのぉ】


【また拾ったのか】


【じゃにゃくてぇ、これまでの ぜ~んぶ重なってたでしょ】


【漢中国の母娘は?】


【完全に取り込んでたよ】


【そうなのか?】


【うん。内側に居たのぉ】

【箱に封じた時に初めて気づいたけどね。

 切り離すのは難しそうだったし、同じ箱で大丈夫そうだから、そのまま封じたんだよ】


【そうだったのか……つまり魔女は息子すらも利用しようとしているのだな?】


【そうだね。確かに愛息子(まなむすこ)なんだけど、自分が1番、他は息子も含めて2番以降なんだよね】

【だからカーリは必死で隠れてたのぉ】


【そうか。見つかれば確実に取り込まれるな】

【そろそろ戻らないと夜が明けるよ】

ドラグーナが兄弟の内に戻りながら。


【そうだな。では職域時間の昼にマヌルの里に行く。

 夕刻に永遠の樹に集まってもらえるか?】


同意を得て、背に乗ってもらい、職域へ。

そして人世へと術移した。



―◦―



 人世に降りた彩桜達は日曜日の朝を迎えた。

午前中は金錦の家で龍教授と話し、昼食後、白久が運転するバスで中学生達は中渡音に帰って行った。


「彩桜君、サーロン君。

 午後は何をするのかね?」

一緒に中学生達を見送った虎威教授が寄って来た。


「サーロンと お買い物なの~♪

 お土産 買いに行くの~♪」「はい♪」

「青生兄と瑠璃姉も一緒なの~♪」

彩桜が戻らなければサーロンだけでなく彩桜もしなければならないからと、夜中に東京に戻っていたソラは中渡音でSo-χの練習だし、彩桜達はマヌルの里に行かなければならない。

「虎威教授、龍教授、昇陽さん、ごゆっくりなの~♪

 金錦兄、行ってきま~す♪」

サーロンと一緒に駆けて行った。

青生と瑠璃が会釈をして追う。



「演奏している時とは別人ですな」


「まだまだ子供なのですよ。

 ですが才能の開花は目覚ましいものがあるのです」


「天才、なのですな?」


「そうですね。何事にも秀でています。

 弟達は明日の事を知っていても土産を買いに行ったでしょう。

 一夜漬けなんて無用ですので」フ。


「あ~、いや、私は そのようなつもりは……」

だったら何故 泊まったのかと聞かれると答えに窮すると尻すぼみに。


「龍教授とお話する為、ですよね?

 どうぞ お入りください」

龍父子にも笑顔を向けて家に入った。



―・―*―・―



【響、ただいま♪】【お帰りなさい♪】


中学生達がバスに乗って出発する迄はサーロンをしていたソラが輝竜家に瞬移すると、響はスタジオに一番乗りしていた。


「紅火さんから貰ったの♪」腕輪の力♪


「ボクの具現環の本体に……その神力、何?」


神速記(じんそっき)

 御札を書き上げるのを加速する力♪」


「だから見たことない神力だったんだね。

 響にピッタリだね♪」


「そうなの♪

 まずは、魂筆(たまふで)に神力を一点集中して上げる練習♪

 神速記を引き出して魂筆に重ねて、それから具現化なの♪

 全部同時発動できたら凄いのよ♪ とんでもなく速いの♪

 試しに発動状態にしてもらったらビックリ!

 だから頑張っちゃうもんねっ♪」


「修行も音楽も一緒にね♪」


「もっちろん♪」


【タクヤさんも泊まってたんだね】今、渡り廊下。


【マネージャーさんと一緒に……楽しそうね♪】


【これなら戻れるよね♪】「うわ、早っ」到着。


「ソラ君、タクヤ君にベースを教えてもらえるかな?」


「はい♪」「お願いします!」


響もSo-χも一歩前進。

しかも大きく前進したと感じて嬉しくて張り切るソラだった。



―・―*―・―



【此処がマヌルの里だ】


【すっごい結界だねぇ……】

【今の人神様では見えないんだね?】


【そうだ。入ろう】



 入るとカウベルルが待っていた。

「どうぞ。姉も楽しみに待っていますよ」



 最奥へ。

本当に待ち兼ねていたらしく、大きな大きなマヌルネコ神がソワソワしていた。

「獣神王ドラグーナ様……」


【ドラグーナ様~♪ あれれ?

 ドラグーナ様? 呼んでるよ?】


青生も声を掛けたが返事が無い。

居留守状態(タヌキねいり)だと感じた。

「申し訳ありません。ドラグーナ様は眠り修行に集中なさっているようです」


「分割されているのですから致し方のない事。

 ね、お姉様」

見るからに落ち込んだマヌルヌヌの背をカウベルルが撫でて宥めた。


「7分割、であったな? 他は?」


「今は、この2人しか神世に連れては来られないのです」

返事すらしないドラグーナにラピスリも仕方無く合わせた。


「そうか……」更にガックリ。


「ですが各々の部位は元気にしております。

 もう暫くお待ちください」


「……ふむ」「お姉様、本題に移りませんと」

「そうであったな。ラピスリ、申してみよ」







あれこれと前進という、なんだか繋ぎなお話でした。


マヌルヌヌ様はドラグーナ様を待ちに待ち焦がれていた様子なのに、ドラグーナ様は居留守?

会いたくなさそうです。

何があったんでしょうね?



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