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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第41章 魔女との戦い ~魔女だらけ編~
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歴史研究部は大所帯



 ダラジャ達は北長安空港まで見送りに来てくれた。

話しているうちに漢中国での日程が終わったら邦和に来ると約束もしてくれた。

「次の、木曜日、終わります」

「金曜日、飛行機、乗ります」


「あれれ? でも明日が最終じゃないの?」


「次、南です」「遺跡、たくさん、楽しみ♪」


「うんうん♪ 楽しんでね~♪

 邦和、ウチ泊まってねっ♪」



 その横で金錦は南米遺跡保護管理局の2人と話していた。

「ええどうぞ。此方は何時(いつ)でも何人でも受け入れ可能です。

 では連絡先を――」「教授、研究室の」

「それが確かですね。

 木口さん、ありがとう」渡してもらった。

「メッセージかメールが確かでしょう。

 では再会を楽しみにしております」握手。



 土産を買いに行っていた慎也とサーロンが戻った。

「木口さんも行ったらどうです?」


「いえ、私は。

 妻も呼んでいただいて、一緒に観光しましたので、お土産は妻が」


「そうでしたか。それは良かった」


「輝竜教授には感謝するばかりです」

「搭乗の始まったよ~♪」

出国の諸々はキリュウ兄弟の同行者という事でパスしていた。

「行こ~♪ 龍教授も行こ~♪

 皆さん、まったね~♪」

大きく手を振り、様々な言語で挨拶しながらゲートの向こうへ。



―◦―



 東京の金錦の家に帰り着くと

「彩桜! お帰り!」

祐斗達が出迎えてくれた。


「たっだいま~♪ サーロンも居るの~♪

 龍教授達と一緒に帰るの~♪」


わあっと歓声が迫り、囲まれた。

「明日は彩桜と一緒に通訳です♪」


「歴史研究部だもんな♪」「良かった~♪」

「後ろの皆も慣れてね。彩桜の従兄だから」


今年度からの部員達の多くが後ろで静かにしていた。


「どしたの?」


「ま、話は中で、だなっ♪」

白久が後ろから祐斗の両肩をポンポン。


「白久兄も どしたの?」


「運転して来たんだよ!」


「そっか~♪ 入ろ~♪」


「女子は天海さんの方なの。

 また明日ね♪」


「ん♪ また明日~♪

 あれれ? ソラ兄どしたの?」狐儀師匠~♪


「響に追い出されたんだ。

 今日明日は男子禁制なんだって」


「じゃ俺の部屋~♪」

サーロン、ソラ(狐儀)と手を繋いで入った。



―◦―



 部屋に落ち着いてから彩桜だけで1年生の部屋に行った。

「何でも言って?」にこにこ。


メグル達、既に慣れている集団は少し離れた。

残った集団は顔を見合わせていたが、

「えっと……これって遠征ですか?

 運動部の試合の、みたいな」

悩んで入った組のリーダー格な園間(そのま) 陽太郎(ようたろう)が言い難そうにボソボソ。


「自由参加だから都合悪かったら無理しなくていいんだよ。

 強制じゃないの。ソレ、大前提ね。


 今回は漢中国の歴史学教授が来邦したから希望するヒトだけ来てもらったの。

 よく分からなくて来たんだったらマーズ呼んで忍者移動してもらうから帰れるよ」


「これからも ありますか? 費用とかは?」


「史跡巡りとかもするし、外国の博士とか来たら今回みたく、でも次は、ちゃんと説明して希望者だけ来てもらうよ。


 費用は、ウチのバスで兄貴の運転で、兄貴の家に泊まるから要らないの。

 この先も、俺、高校生なっても続けるつもり。

 ウチが第2部室な限りね」


「部長だけ……なんか、そんなのって……」


「楽しいコト全力で楽しんでるだけ♪

 み~んな一緒も楽し~の♪ それだけ♪」


「でも……」


「でも、何だよ? イヤなら来なくていい」

「そうだよね。毎日のオヤツも同じなのに、どうして今ゴニョゴニョ言うの?」

「陽太郎だけに話させないで他も言ったら?」

秀飛、メグル、サイトと続いた。


「心トゲトゲ、ダメだよ~」

何処から出したかギターを弾き始めた。

「み~んな落ち着いてね~」


優しい優しい音色が心に流れ込む。


部員達からは既に弱禍は浄滅しているが、彩桜は音色に治癒だけでなく浄化も込めていた。


皆が静かに聴いてくれているのが嬉しくて1曲 弾ききった。


「落ち着いた?

 俺もね、してるコト矛盾してるのは自覚あるんだ。

 普通してたいのに、何でも全力しちゃうから大騒ぎなっちゃう。


 でも……それでも楽しいのは全力したいの。

 仲間いっぱいも楽しいの。

 みんなで笑ってたいの。

 悪いな~とか思っちゃうよね?

 ソレも解るの。


 んとね、上手く言えないけど、楽しいが俺のパワーなるの。

 だから、みんなも楽しいがパワーなると思うの。

 だから……一緒に笑ってもらいたいな~」

言葉にするのが恥ずかしくなってギターに逃げた。


兄達なら的確に言葉に出来るだろうに、と悔しさもある。

結局、本心は言えなかった。

なんだか偉そうで、自分らしくなくて……なんだか嫌だった。


そういう複雑な、少しネガティブな思いも音色に乗ってしまう。

「あ~、考えるの苦手~」にゃはは~。

しんみりしてしまうので途中で止めた。


「部長、聴きたいです」


「部長……ヤダ~」


「だって部長だし。じゃあ輝竜先輩」


「ええ~。先輩もヤダぁ。


 去年ね、俺 入ったトキ徹君だけだったの。

 3年生。でも友達なろう、って。

 だいたい、歴史好きとか言ったら変人扱いでしょ?

 勉強ので好きとか。


 だからね、歴史研究部は先輩とか言わないで、み~んな友達♪

 友達は何も付けないのが近さの表現でしょ♪

 でも3年生 呼び捨てとかムリだから徹君♪

 今年もソレ、お願いしていい?」


「お願いって……」

「じゃあ彩桜君?」「うわ。イキナリ言った」

「他の先輩も?」「いいのかな……」「ムリ」

ざわざわから、どんどん騒がしくなる。


「友達がいいのぉ」またギターに逃げた。


でも今度は音色が明るい。

だから1年生も静かになる。


「俺ね……兄貴達も、だけどヒト集まるの楽しいの。嬉しいの。

 ウチ広いけど、だ~れも来なかったの。

 お化け屋敷とか呼ばれてたの。

 でも見た目、否定できないよね~。

 だから来てくれないのも仕方ないよね~って。


 俺が初めてなったの。

 家で友達と遊ぶの。

 だから兄貴達も嬉しいんだって。


 歴史研究部 作ったの金錦兄なの。

 だから部員増えるの嬉しいの。


 白久兄は世話好き。大型車も大好き♪

 重機も何でも乗るんだよ♪


 青生兄たぶん教えるの大好き♪

 動物も大好きだから、部屋も庭も動物いっぱい♪


 黒瑯兄は寝てる時でも料理してたいくらい♪

 たぶん夢の中でもレシピ考えてるよ♪

 だから毎日オヤツてんこ盛り盛り作っちゃうの♪


 紅火兄、無口で無表情だけどアレね、恥ずかしがり屋さんなだけなの~♪

 不思議なお店してるけど、人助けしたいからなんだよ♪

 特殊なモノ作れたら何でも作れるよぉになれるからなの~♪


 藤慈兄は弟 俺だけだから、みんなも弟だと思ってるよ♪

 狐松先生とは親友なの♪

 急に転勤なったから、住んでってウチに引っ張り込んだの♪


 広くて寂しかったウチが今はヒトいっぱい♪

 嬉しいから乗っかってもらいたいの。

 兄貴達も おんなじ思いなの。

 輝竜兄弟、変人でいいの~♪」

奏でる音色をBGMにしていたが、またギターだけになる。



「そっか。普通は遠慮とか必要だもんな。

 親に怒られるよな。

 それでゴニョゴニョ?」

秀飛が陽太郎の背中をツンツン。


「うん。出がけに怒られた。

 バス乗ってから考えてて、話してて……」


「居候な僕達には耳イタイってヤツ~」

「だよね。僕もオシカケちゃったよ」


「そういうのも当たり前だと思ってたんだ。

 でも兄ちゃんの遠征費用とか、けっこうイタイって。

 だからタダで東京2泊とか、あり得ないって」


「そっか」「「確かにね」」


「んもぉ、俺達兄弟、普通じゃないから普通してたいって思っちゃうの。

 自覚あるから俺の楽しいに付き合ってぇ」


笑い声が聞こえた。ドアが開く。


「鷹前先輩……」


「彩桜って本心明かさないから聞いてたんだよ。

 そこそこ話したから安心したけどな。

 ま、親には1ステージで億稼ぐから金の心配しなくていいと言えばいいんだよ。

 な♪ 彩桜♪」


もがもがジタバタ。

でも本気で暴れられない彩桜は、祐斗と凌央と恭弥に捕まっていた。

ギターは直史が抱いている。


「彩桜とお兄さん達は大きな龍だから乗っかっていいんだよ」

「人助けも大好きだもんね♪」

祐斗と恭弥が1年生にニコニコ。


「さっきからポロポロ弾いてたけど、ステージで弾けば、あれだけでも数百万円になる音楽家なんだからね」

「凌央君てば~」

「事実なだけ。それに褒めてるから」

「だったらいい♪」


「けど普段はフニャフニャにゃんにゃんピョンピョンしてる変なヤツだよな♪」

「「おもしろいよね♪」」「うんうん♪」


「そういう変人が部長な非常識部だから、常識の外だって認識した上で乗っかって全力で楽しんでよ。

 非常識は悪いばかりじゃない。

 輝竜家は世界一の素晴らしく良い非常識なんだから」


「凌央君てばぁ……」感動うるうる。


ぷはっ。

「んもおぉおぉ~。

 恥ずかしいからぁ」本気うるうる。


「全て事実」「だよなっ♪」「「だよね~♪」」

「あ! ここに居たで「ごじゃりましゅる!」」

戸口に尚樹と星琉。


「入れよ♪」


「お風呂から戻ったら居ないからぁ」

「捜してたで「ごじゃりましゅるぅ」」

そのくらい広い家だったりする。


「悪い悪い♪」あはは♪ 『『あ!』』廊下から。


「高夢とキューヤだな♪」

「お風呂、次だったから」「ビックリするよね」

「そんなに騒がしいか?」「堅太がね」「ね♪」


「うわ、ギター!」「弾いてたんだぁ」


「弾くから返してぇ」「うん♪」はい♪


「お風呂、碧人(あいと)実成(みのる)だよね。

 声かけとくから待ってて!」

2年で入部した2人が居ないので祐斗が走った。


「彩桜、呼んだですか?」「うん♪」手招き♪

【ほんの少し漂ってる?】【ソレ後でね~】


「サーロン何してたんだ?」


「龍教授、案内してたです♪」「あ~そっか」


「お風呂みんな入った?」


「そう言う彩桜は?」「入ってないよね?」


「露天風呂~♪」「今、龍教授 入ってます♪」


「どこに!?」一斉!


「内風呂のが大きいんだも~ん♪」


「答えになってないだろっ」ヘッドロック!

「わわわわわっ。ギター弾くからぁ」「おう♪」


「サーロンも♪」ハイ♪ 「ボクも!?」

「直史もハイ♪」「どこから出したの?」

「祐斗もハイ♪」戻ったから~♪


「彩桜、それオモチャのピアノだよね?」


「ちゃんと弾けるから~♪ 楽譜~♪

 直史のホルダーのからアレンジしたから直史は そのままねっ♪

 始めよ~♪」


「ちょっと!」「待って!」

碧人と実成が中途半端な格好で髪を拭きながら走って来た。


「「人力ドライヤー♪」です♪」ぶわっ♪×2。


「え?」「マジ?」すっかり乾いた×2。

でも優しく しっとりで爽やかにポカポカだ。


「始めよ~♪」


 大所帯になった歴史研究部。

個々の思いは絶対あるし、大切にしたい。

思いを押し込めないでほしい。

でも、この週末で1つになれて皆で笑えたらいいな~と、思いを込めて奏でる彩桜だった。



 あ♪ 見~つけた♪







漢中国から邦和に帰国し、明日は龍教授と出掛けたり、話を聞く予定な夜です。


『東京編』ではなくて『魔女だらけ編』。

魔女オーガンディオーネは、どれだけ居るんでしょうね。


そして1年生の部屋に漂う不穏と、彩桜が見つけたものとは?

普通に中学生していたいのに、できそうにない彩桜は これからどうなっていくんでしょう?



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