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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第40章 魔女との戦い ~漢中国編~
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魔女の丘絡み



 その夜は龍父子との食事会を予定しておりレストランに行くと、遺跡保護団体の一行もパーティーらしく来ていた。


「奇遇ですね♪ 一緒にいかがです?」

ガイドが駆けて来た。


「アラビアとかのヒト達は?」見当たらない。


「ホテルで食事をすると……まぁ、彼らは戒律食ですから仕方ありません。

 これは自由参加ですから」


「でも交流会なんでしょ?」


「遺跡巡りで十分なのでしょう」


「じゃあホテルで食べた後で呼んであげてください。

 演奏会しますから♪」


「え?」


「俺達も向こ~で食べてからねっ♪

 教授達、お話あるの~♪」


「は、はい……」


「パーティーしててく~ださい♪」



【彩桜、つまり……あの不穏か?】


【うん。『魔女の丘』絡みだと思うの。

 でも……だから音楽で。ね?】


【ふむ。反応を見よう】



―◦―



 兄達は呼び集められ、トレービとジョージも連れて来られて、嫌がるサーロンもコントラバスを渡されての演奏会が始まった。


〈彩桜、この集まり何だよ?〉

〈今朝の戒律食のヤツらか?〉

残業していた白久と夜ピークな黒瑯。


〈遺跡保護団体の皆さん♪ 俺のお友達~♪

 戒律食のヒトも居るよ♪

 これから世界中の遺跡、落書き消しするの~♪

 だから兄貴達も顔見せねっ♪〉


〈〈いや、やるのはマーズだろーがよ〉〉


〈キリュウ兄弟、マーズ呼べるの~♪〉


〈〈おいおい〉〉


〈呼べるんだも~ん♪〉

〈すまない。今日、私が呼んでしまったのだ〉


〈兄貴が!?〉〈そんならいい♪〉


〈万里の長城の一部を彩桜、サーロンと共に修復したのだ〉


〈そんならいっか♪〉〈だよな♪〉他も同じく。


〈あとね~♪ 呪いとか言われてるトコ、除霊とか お祓いとかするの~♪〉


〈そりゃユーレイ探偵団の仕事だろ〉〈え?〉


〈俺もユーレイ探偵団なのっ!

 メグルとサイトもなのっ!〉


〈だったらチビッ子マーズで やってくれ♪〉


〈ん♪ サーロン一緒にねっ♪〉〈う、うん……〉

〈響お姉ちゃん、くノ一ねっ♪〉〈ええっ!?〉


〈けど、アレコレは夏休みにな。

 チビッ子マーズは学業第一だ♪〉


〈ふええ~い〉〈彩桜ってば♪〉あはは♪


「おい、次の曲はお得意のヤツやってくれ♪」

「とっかえひっかえ、超ド派手にヤレよな♪」

1曲目が終わって、兄弟の前に立っているトレービとジョージが後ろを向いていた。


「ん♪ マーズ、楽器お願いねっ♪」


黒子な忍者集団(当然、各々の分身)が様々な楽器をスタンドに立てて去った。


「ったく、やってくれるよな♪」

「マジで不思議兄弟だよなっ♪」

ソリスト達は笑顔のまま前を向いた。



―・―*―・―



 演奏会をしても不穏に変化は見られず、この夜も魔女と悪神は現れなかった。

なので(シィァン)家は もう大丈夫だろうと、以降は祓い屋の狐神達が見ておくとなった。


明け方にキツネの里で月華(ユェファ)星華(シンファ)と狐儀・理俱が その話をしていると、魂材の塊を持ったロークスとチャリルが来た。


【どうかしましたか?】【その魂材は?】


【どうやら魔女は玉に噛み千切らせた魂片を神力ごと喰らう事で知識を得ていたようだ】

【だから欠落があるの。その補填用よ。

 このままでは魂材とされた人神様も、この人達も目覚められないから】


【この魂材様は? どんな神なんだ?】


【それが知りたいから目覚めていただきたいのよ】

【ただ、悪意しか感じぬ魔なんぞに知識は渡したくないと伝わった。

 医師か薬師なのだろう】

【おそらくは戦乱期の人神の大神様よ。

 当時なら居るでしょうからね。

 魂材とされたのは処刑だけれど、敵国にでも捕らえられたのでしょう。罪無き方だと思うわ】


【そっか……】

【では、どうかよろしくお願い致します】

狐儀は藤慈の分も込めて頭を下げた。


【そう頭を下げないでくれ。

 同代の従兄弟なのだからな】

【同代は兄弟で親友よ♪ 任せてね♪】

【万全を尽くすと約束する。しかし時を要する】


【ええ。それは致し方無き事。

 お願いしますね】



―・―*―・―



 そして朝。

ホテルを移したトレービ ジョージと また遊んだ彩桜を慎也が捕まえた。

〈あれれ? 今日は分身じゃない?〉


〈狐の皆が、むしろ彩桜の方が危険だと言うんだよ。

 魔女にとっては最大の敵だとな〉


〈俺が? 青生兄と瑠璃姉でしょ〉


〈あの二人なら護衛なんか要るもんか〉


〈そっか~♪〉


〈喜んでる場合かよ。

 今日は あの団体と一緒に回るんだろ?

 不穏な奴には気付いてるんだろうな?〉


〈うん。でも神様ぜ~んぜん入ってないと思うのぉ〉


〈確かに獣神は入っていない。

 が、人神な魔女と悪神の有無は俺達 獣神には見えんから知らん。

 けど何にせよ不穏は不穏だ。気をつけろ〉


〈は~い〉



―◦―



 この日、午前中は新・稲作伝来ルートの最終的な決定打となった洞穴の壁画と、その頃のものとされる発掘された物を分析・保管している施設とを見学し、午後は復元史跡を巡る予定になっている。

14時半発だった帰国予定は、2日連続で虎威教授一行に(ロン)教授が確保された為に、夜に変更済みだ。


 慎也は前日まで分身がしていたのと同様に、静かにタブレットに記録をし続けつつ、南米人らしい2人を観察していた。



 壁画の説明の後、短時間だが自由行動となった。

【理俱師匠、離れてみていい?

 チャンスだと思うんだよね】


【囮になる気か?

 サーロンとだけは、はぐれるなよ?

 ま、見とくけどな】


【うん♪】

「サーロン、あれ何だろね~♪」走る♪


「あっ、待ってよ彩桜!」追い掛ける♪


それを目で追っていた2人も集団から離れた。



―◦―



「ダラジャ、あの2人……」


「どうしてサクラを追っている?」


「こんなのは思いたくないが目つきが悪い。

 子供を拐うなんて、よくある事だ」


「確かに。行ってみよう」「どうかしたのか?」

同宗教仲間が集まって来た。


「あの2人、サクラ達を尾行している」

「目つきが悪いから行ってみようと話していた」


「そうだな。囲んでみよう」


前夜、彩桜達と同じホテルのレストランで美味しい戒律食を味わった同宗教仲間が一致団結した。



―◦―



【彩桜、あの2人がボク達を追って来たのはいいけど……】


【あらら~、巻き込みたくないねぇ】


【ここで2人が捕まると真相が闇の中になってしまうよ?】


【だよねぇ。でも囲まれちゃったねぇ。

 マーズが捕まえる?】


【そうだね。離してから聞き出そう】


【ん♪】


 既に団体と教授達からは見えない場所まで離れていた。

彩桜とサーロンは何にでも興味津々な様子を保ってウロチョロしていた。

それは、向けられている銃口が狙いを定められないようにとも考えていて、しゃがんだり跳んだりと止まる瞬間すらも無く動いていたのだった。


「ん?」方向転換。岩壁に走る。

「どうしたの!?」慌てて追う。

【あの向こう、空洞。何か描いてる♪】

【ホントだ♪ でも気をつけて!】


パシュ、と小さな音がして薄かったらしい岩壁が崩れた。


『うわあっ!』


【あ~あ、捕まっちゃったぁ】

【彩桜! ほっぺた!】

【だいじょぶ】手を当てて治癒。

【彩桜?】怒ってるよね?


【マーズ、行くよ】【うん。分身は?】

【怪我したから運んだにする】【うん】



―◦―



「桜マーズ!」「空マーズ「参上!」」ピシッ!

「ご協力ありがとうございます」

「犯人達は連れて行きます」


「サクラは?」「サーロンは?」


「運びました」「治療もお任せください」


「やはり狙っていたのか……」

「これを」2人から奪った銃を渡した。


「「ありがとうございます」」深々と礼×2。

まだ足掻いている2人を手刀で気絶させて肩に担いだ。

「「では」」シュッと上に消えた。



――魔女の丘。

暴れるだろうと考えて神力封じ縄で縛り、気付けをした。


「話してくれる? どうして狙ってたの?」

エスパーニア語とポルトガル語で繰り返した。


男達は話す気は無いと顔を(そむ)けた。


「悪いけど探らせてもらうね」拾知。

「ふ~ん。兄弟なんだ。

 君達のお母さんを置き去りにしたのはキリュウ兄弟じゃない。

 もちろん俺達マーズでもないよ。

 それなのに――そっか。来て話してたんだ。

 だったら生きてるうちに助けたら良かったんじゃない?

 死魂が天に召されるのは当然なんだから。


 本当の遺跡保護団体の人達は解放するからね。

 魔女の力も、本来、人にあるべきものじゃないから消すよ。

 君達のお母さんは魔女に取り憑かれたんだ。

 だから悪い事をして、あんななったんだよ。

 誰かを怨むなんて、そもそも間違ってるけど、もしも怨むなら向けるべき矛先は魔女だと思う。

 魔女がお母さんにさせた事……はい」

(くう)から掴んだ新聞を広げて見せた。


母親から浴びて得たらしい神力は不穏の塊のようになっていたので、話しながら闇を混ぜた浄破邪で消せる限りを消し、残りは闇呼玉に吸着した。


憑き物が落ちた兄弟は新聞に目を走らせて涙を落とした。


記事はメイドが起こした大統領夫人毒殺未遂事件のもので、大統領に色仕掛けをしたが失敗しての犯行だと書かれていた。

更に過去にも富豪達とその夫人にも同様の事を繰り返していたとも書いている。

何度 収監しても脱獄するので累積により死刑が確定したとも。


【誰が阻止してきたの?】

【ホンガンジさんとカミコウジさん達~♪

 不穏いっぱいだからマークしてたみたい~♪】

【それも拾知?】

【拾っちゃった~♪ あ、そ~だ♪】消えた。


【彩桜!?】


【ん? 連れて来ただけ~♪】戻った。


【まだ怒ってる?】それ……。


【ほえ? もぉ反省してるから怒ってにゃ~い】

「はい。葬儀の申請は出しています。

 お引き取りください」


「ヒィッ――」「ギャアッ!!」

顔を上げた男達は()けつ(まろ)びつで走って逃げた。


「あれれ?」


「まんま運んで来るからだよ」苦笑。


「だって~、お話ししてたのに~」


「魔女の呪縛が生きていたままの姿を見せていたんじゃないかな?」


「そっか~。どぉしよねぇ……」


「紅火お兄さんに包んでもらう?」


「そぉしよ~♪」


「でも……彩桜は平気なの?

 ボクはユーレイだから平気だけど……」


「うん。見慣れちゃった~♪

 ユーレイさん、ちゃんと人だけど、だいたいの霊って~~~だよねぇ?」


「確かにね。そんなにも見えてたんだね」


「うん。ちっちゃい頃は普通の視界と神眼視界の区別ムリだったの。

 切り替えもムリだったから、い~っぱい見えてたの~♪」


「襲われなかった?」


「勝手に浄化ピッカン☆だった~♪

 オバケ霊さんビックリして逃げちゃった~♪」


「流石、彩桜だね♪

 それで、追い掛けないの?」


「さっきカミコウジさんが飛んでったよ♪

 だから包んでから配達ねっ♪」







また魔女の丘です。

漢中国編ですがウロチョロです。


彩桜の幼少期はチラホラで、兄達の幼少期は藤慈が泥だらけで帰宅した時のしか描いていませんが、稲荷や狐儀が教えようがチビッ子なのでヤラカシますし、見えてしまうのはどうしようもない状態でした。

勝手に浄化ピッカン☆は寝ぼけドラグーナ様でしょうけどね。



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