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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第40章 魔女との戦い ~漢中国編~
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エルサムの奇跡マーズ参上



 鳳子騒ぎの他は何事も無く夜明けを迎えた。

「おじさん達おっはよ~♪」

ぴょ~ん、ばふっ、ぴょ~ん、ばふっ♪


「想定内だがな……」「早寝したけどな……」


「うん♪」


「「いい加減にしやがれ!!」」ガバッ!×2。


「今日も元気~♪」窓に飛んでカーテン全開♪


「「だあああっ!!」」眩しくて掛布被る×2。


「朝ご飯~♪」「行くです♪」

着替えを急かして連れ出した。




 ホテル内のレストランに到着。

「あれれ? 俺達より早いヒト居る~♪」


「彩桜が毎朝すっからかんにするからだろ!」

「先に食わねぇとバイキング形式だからなぁ」

漢中国では珍しい。


「ちゃんと黒瑯兄が補充してるも~ん♪」


「「来てるのか!?」」


「今も来てるの~♪」「「マジかよ!?」」

「マジ~♪ でも……ナンか揉めてる?

 言葉、困ってる? 俺、行ってみる!」

「ボクも行くです!」



 近付いて内容を確かめる。

〈彩桜、何語?〉


〈んとねぇ……方言も入るし混ざってるけどバーラト語(インドヒンズー)とアラビア語が公用語なのかにゃ?

 俺、通訳してみる♪〉

「どうかしましたか?」まずはアラビア語♪


「ああ♪ 私達、これ、食べる、大丈夫?」

アラビア語が片言。


「戒律食? なのか、ですか?」

ゆっくりで単語ハッキリにしてみた。


「「はい!♪」」


ホテルのスタッフにニッコリ。

「輝竜シェフ、来てますよね?」漢語。


「はい♪ お世話になっています♪

 よく似ていらっしゃいますね♪」


「兄弟ですから♪

 このヒト達、戒律食でないとダメなんです。

 兄に伝えてもいいですか?」


「そうでしたか! お願いします!」


「はい♪

 ちゃんとな戒律食、貰って来ますね♪」

アラビア語で笑顔で。



「なぁサーロン、何の騒ぎだ?」

「彩桜は何語を話してたんだ?」


「アラビア語みたいです♪

 お客さん、話してたのはバーラト(インド)語とアラビアが混ざってる方言らしいです。

 宗教上の戒律食を求めてたようですけど、このホテルは国際ホテルではありませんから通じなくて困ってたです」


「なんで英語も漢語も喋れないのに来てるんだ?」

「なぁ。国際ホテルに泊まりゃいいのになぁ」


「安いから、かもです。

 金錦お兄さんは経費削減、言ってました。

 話せるから無問題です♪


 一緒に来た虎威教授、国際ホテルです。

 設備は このホテルが上ですが、宿泊費は3倍です。

 外国の言葉と文化を勉強する費用、上乗せな感じです」


「「なるほどなぁ」」



 彩桜が両手にトレーで戻って来た。

客達を席に案内してメニューの説明をしている。


「ったく、ブッ飛びまくってるよなぁ」

「これも燻銀に話してやらないとな♪」「だな♪」


客達は嬉しそうに食べ始めた。

口に運んで更に笑顔になる。


ホテルのスタッフと話してから彩桜が戻る。

「食べよ~♪」


「スタッフと何 話してたんだ?」


「レシピは黒瑯兄からシェフさんに伝えてもらったから、朝と夜のを明後日の朝までお願いしたの~♪」


「昼は外で食うのか?」「何しに来たんだ?」


「用事は知らにゃ~い。

 でもお昼は大丈夫なんだって~♪」

また てんこ盛り盛り運んでいる。


「黒瑯の どれだよ?」「それか?」


「うん♪ 黒瑯兄の盛った~♪

 俺 終わったら補充ある~♪

 いっただっきま~す♪」



―◦―



 漢中総科大学に到着。

また虎威教授一行が龍教授を捕まえていた。

「今日は一緒に万里の長城だよねぇ?」


「虎威教授は これから空港だ。

 その挨拶だろう」


「そっか~♪」


その通りで、運転手が連れて行った。



 (ロン)父子が笑顔で歩いて来た。

「ようやくお話しできます」


「はじめまして。お世話になります」

金錦も にこにこ。

直接 話すのは初めてだし親子程の年齢差があるのだが、しっかり握手で確かな友情を掴んだ。




 その穏やかさのまま前日と同じ飛行機で万里の長城の調査場所へ。

着くと、この日は歓迎されてしまった。

〈昨日は視線が冷たかったのにね~〉

〈龍教授がいらっしゃるおかげかもしれない〉

〈そっか~〉



 発掘の為に移築した城壁近くには、前日には無かったテントが屋根な席もあり、スーツの十人程が何かを待っていた。


〈何かイベント?〉〈聞いていないが……〉


そのテントから金錦と同世代くらいの2人が走って来た。

「落書きを消して修復するのを見てから全体について決めたいと」

「言い出したら即な方々で申し訳ありませんが、あの場所をお願いします」


「そうですか。ではマーズを呼びますので」

〈3人で十分だろう〉〈ん♪〉〈はい♪〉



 分身を残して一旦 消え、

「金!」「空!」「桜マーズ「「参上!」」」

城壁の縁上に現れ、低身ポーズをキメて

【領域昇華!】

「地に残る古の記憶を此処に。

 忍法、「「回復元起浄化術!!」」」

【【浄化の極み!!】そんでもって治癒全開!】


城壁が光に包まれた。ピッカーン☆だ。


【昨日の穴も?】【そうだな。片付けよう】



 収束するのを待って立ち上がり、ピシッと礼。

「昨日の場所も、これより霊を鎮めます」

サッと跳んで浅い穴の周りにスタッ。


「此処に眠る多くの霊の強き思いを鎮め、地縛を解き、魂を安寧の天へと向かわせます。

 唱術開始!」

穴に向かって合掌した3マーズがお経のような文言を唱え始めた。


唱えているのは形ばかりで金錦は領域昇華を、サーロンは弱禍を浄滅する為の人魂用浄破邪を維持している。

彩桜は楽しく昨日の落書きを光で復元して、地縛を解き始めた。



 光の魔法円モドキから最初の霊が顔を出す。

【理俱師匠♪ 死神師匠♪

 いっぱい地縛解除するから来て~♪】


【何人?】エィムの声。


【ん~とぉ200人くらい~♪】


【まさか1人で解くの?】上空に現れた。

【どうして昨日、いや、じゃなくても分身にでも言ってくれないんだよ?

 ったく何度も話していたのに】爺様(リグーリ)も。


【なんかぁ~、いろいろ忙しかったんだもん。

 悪神入り怨霊は昨日 捕まえたから~♪

 普通霊ばっかりねっ♪】

唱えながら心話しながらも次々と解除している。


【そんな大仕事、軽々やるな~】


【大仕事? そぉかにゃ?

 光と闇、混ぜ混ぜしたら簡単だよ♪

 エルサムで いろいろ試してベスト配合 見つけたの~♪】

本当らしく、どんどん昇っていく。

それは普通の人々にも見せていた。


【普通、闇なんか持ってるかよ!】

闇は亀神のみで、しかも稀。他の獣神は光のみ。


【ルロザムール様もお願いします!

 チャムも来て!!】【は~い♪】


現れたルロザムールが漢中国担当職神達を集め、チャムは網を広げた。

【いらっしゃ~い♪】【聞こえないと思うよ】

【声出していいの?】【やめてね】溜め息。

神力の無い霊ばかりだが、纏めるには便利なチャムの網だった。



 5分程で地縛解除を終えた。

上空は人には見えない大騒ぎ真っ最中だが、気にせずに礼。

「もう発掘しても何事も起こりません。

 では我々は これにて」

シュッと上に跳んで消えた。



 暫し皆、唖然呆然。

その間に金錦達は分身と入れ換わり完了。


「あ、あの……」「本当に幽霊が?」天を仰ぐ。


「はい。あの下からは先程の霊の数と同じだけのご遺体が出るでしょう。

 建造当時の罪人達ですが、その家族が含まれてもいるでしょう。

 これは霊達の言葉から得た情報ですが、調査は これからです。

 明かしていくのが我々、歴史家の仕事です。

 それはそうと、城壁を確かめないのですか?」


「あ!」「そうでした!」走って行った。



「あれれ?」 「ん?」「どうしたの?」

「ほら、朝の人達♪」「だけじゃないね」

「サーロン行こ♪」「え? ええっ!?」

サーロンを引っ張って金錦とは反対方向、国際色豊かな団体の方へ。

【彩桜、気をつけて】

【うん。不穏なヒトでしょ?】

【何処の人だろ……】

【南米かにゃ?】『魔女の丘』絡みかにゃ?

「こんにちは~♪」アラビア語♪


「ああ! あなた、朝の♪」

「何してた? さっきの?」


「遺跡の修復、古の霊魂の浄化♪

 忍者マーズが来てたの♪」


「エルサムの奇跡!?」大勢が様々な言語で。

どうやら『マーズ』に反応したらしい。


【そんな呼び方されてるんだ……】【みたい~♪】

「そのマーズです♪ 邦和の忍者です♪」

いくつかの言語で繰り返した。

「それで、見学ですか?」

ガイドらしい人が来たので英語で。


「はい。25ヶ国の遺跡保護団体の代表者を案内しています。

 エルサムの奇跡があったからこそ、宗教の枠を越えて集まる事が叶ったんです!

 ですから驚きの声が上がったんですよ!


 万里の長城は どうしても見たいという意見が多く、他は北長安周辺ですから遠いのですが、来て良かった。

 とても良いものを見せてもらえました」


「観光トコも見ましたか?」


「はい。ですが保護の参考には……」首を横に。


「さっきマーズがピッカンしたトコ、見ますか? キレイなってますよ♪」


「あれは?」


「発掘調査するのに動かした部分です。

 昔々に崩れて、造り直したトコだから、バッチリ区切れてて動かせたんです♪

 調査前は観光してましたから、向こうと同じで落書きだらけでした」


「そうですか。あの光は……そう……。

 では許可を得なければなりませんね」


「龍教授♪ いいですよね?」

金錦と一緒に来ていたので。


「どうぞ、案内しますよ」「通訳する~♪」



【彩桜……】


【ん? どしたのサーロン?】


【彩桜って、やっぱり優しいね♪】


【ほえ? どしたの急に?】


【ボク、少しだけ思い出したんだよ。

 眠り期の頃の事。

 ショウの背に乗せてもらったり、兄さんやモグラさんや彩桜と話して笑ったり♪

 ありがと彩桜♪ これからもヨロシク♪

 ね、固まってるけど大丈夫?】


「あっ」速歩(はやあし)で団体を追い掛ける。

サーロンより前をキープ。視線は斜め上。

【えっとぉ……だから大好き♪

 ちっちゃソラも、ソラ兄も、サーロンも♪

 俺、だ~い好き♪

 だから~♪ これからもヨロシク♪】

振り向きもしない。ほぼ競歩。


【彩桜♪ こっち向いてよ♪】


【今ダ~メ。向けにゃいのぉ】


【神眼封じなんてしないでよ♪】


【やぁだぁ~】走る。が、本気ではない。


【待ってよ彩桜♪】追い掛ける♪

【彩桜、皆を追い越して何処へ行く?】


【サーロンと鬼ごっこ~♪】


【通訳は?】


【城壁に上がってから~♪】


【ふむ】フフッ♪

【待ってよ彩桜♪】あははっ♪



 ぐるぐる逃げ回っていた彩桜が唐突にサーロンに抱き着いた。

【わあっ】【だ~い好きっ♪】【うん♪】

【これからもず~~~っと【一緒ね♪】】

笑いながら一緒に城壁に上った。







闇神は人神には多いのですが、獣神には珍しく、亀神のみなんです。

蛇神にも居ますが、実は全て蛇亀神で、純粋な蛇神には闇は居ません。

フルコンプなオフォクス様も闇持ちです。

父オフォクス由来でラピスリも闇持ちなんです。


ドラグーナ様は光神です。

異界龍神ブルー様からの闇障を、光を闇に変換して発動できるように光明も貰っているんです。

その闇障を少しですがラピスラズリ、ラピスリも受け継いだんです。


闇って消耗は激しいし、光→闇の変換効率も悪いんですよね。

強い分、いっぱい修行しなきゃ使えないぞってことでしょうか。



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