表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第40章 魔女との戦い ~漢中国編~
729/870

噛みつき玉



 慎介達が頭を上げると、藤慈が並んだ。

「この二人の母親が杏華(シンファ)さんに渡した薬が残っていましたので分析しました。

 安価なビタミン剤に毒草を混ぜ込んでいたのです」

杏華から預かった小箱を警察に渡した。


「その箱、確かに私がお願いしたものです」

杏華も来ていた。それに気付いた近所の人々が大いに驚いている。


「庭で育てていた毒草ですか?」


「はい。複数種類 混ぜています」

禍に絡むのは富士蓬(ふじよもぎ)だったが、本当に毒草入りのビタミン剤だった。


「失礼ですが貴方は?」


「私は――」「煌麗山大卒の薬学博士なの~♪」

スルリと彩桜が来て卒業証書を広げた。

「彩桜っ!」「勲章とピンバッジもあるの~♪」


「世界芸術賞!?」「もしやキリュウ兄弟!?」


「うん♪」

「彩桜、この騒ぎはナンだぁ?」一応、扉から。

「マジで後片付け来てくれるんだな?」同じく。


「白久兄 黒瑯兄いらっしゃ~い♪

 兄貴達♪ 癒しの音楽ねっ♪」バイオリン♪


それならと7人並んで弦楽器を構えた。

「兄弟も姉妹も同じなの。仲良くなの~♪」

流れ出した美しい音色は皆の心に染み渡った。


 しかし――

「何よ何よ何よ何よっ!!

 (わたくし)の占術は外れないの!

 私は大国の王妃!

 正妃オーガンディオーネよ!

 この世でも王妃以上になるの!

 私は頂に立つ者なの! 神なのよ!

 私を邪魔するラピスリを滅殺しなければ私は王妃に戻れない!

 ラピスリは梅華(メイファ)と名付けられたわ!

 早く亡き者にしなければ!」

――耳を突刺(つんざ)く叫び声が響き渡った。


北長安の警察も到着していたので聞かせようと誰も止めず、言いたい放題にしていたのだった。


「母親の霊が取り憑いている――などとは調書に残せないと思いますので、妄想という事に。お願いします。

 このままでは連行も困難でしょう?

 医学博士に静かにさせてもらいますので少々お待ちください」


「ええっと、取り憑いているのを、ですか?」


「調書の為に、そう表現しました。

 祓いますね」


「そういうプロなんですね?」


「裏稼業ですので」口の前に人差し指を立てた。

「お願いしますね」にっこり。


頷いて、後ろを向く。

「あの状態では取り調べも無理だ。

 それに我々ではなく病院に収容されるだろう。

 重ねてきた罪に対しては甘過ぎる処置だ。

 ここは専門家にお任せしよう」


警察関係者、神妙に頷く。


「皆さんも、この事は他言せぬよう」


 皆、恐々(こわごわ)頷いた。

ずっと苦しめられてきたので春豊も怖い。

悪霊なんて怖いに決まっている。

警察や役人に従わなければ何をされるか知れたものではない。

そんなこんなな同意だった。


その間に兄弟やらは鈴豊を囲み、その中の男女1人ずつが鈴豊の背に手を当てていた。

別の1人が鈴豊の額に人差し指の先をつけている。


鈴豊は口を動かし続けているが声は出せておらず、身動きも出来ないようだった。


「何をしているんだろうな?」

「医学博士はどれだ?」

「シッ、静かに(!)」「あっ(!)」


カクンと鈴豊の力が抜けた。

そこで ようやく見えたのだが、背側の男女の間には少年が居り、黒い玉を鈴豊の背に当てていた。


倒れそうになった鈴豊を囲んでいる者達が支えると光に包まれた。

十分、不思議で不可解な光景だ。


「終わりました。

 次に目覚めれば鈴豊さん自身です」


「あの~、何を話していたのです?」

今も少年達が黒い玉と何やら話しているので。


「悪霊と化した母親は、先程の妄想を繰り返していました。

 自分はオーガンディオーネという大国の正妃だと。

 再び王妃や女帝に戻るには障害となる者を葬らねばならないと。

 危険極まりない思い込みです」


「オーガンディオーネという名の王妃は古今東西、何処にも存在しません。

 完全なる妄想です」

「金錦兄は歴史学の教授なの~♪」


「あ! (ロン)教授との対談!」


「知ってたの?」


「周辺警護を――」

言い掛けたが極秘だったらしく言葉を止めた。


「ありがとうございます。

 ですが私共は――」「お強いのでしたね!」


「ああ、エルサムの救世主……」「忍者……」

何故だか警官も含めて大勢が合掌している。


「本物の忍者はマーズで、俺達はコスプレ~♪」


「ええっと、そもそも此方には何故?」


「私共の従弟達がお世話になりましたので」

「オレとサーロンはシィァン姓なんだよ♪」

「はい♪ リーロン兄さんとボクは養子です♪」

金錦の横に並んだが、他と区別がつかない。


「俺の妻、瑠璃の双子の妹が梅華さんなんですよ」

「離れて育ったが、今は邦和で共に暮らしている。

 久方ぶりの里帰りが、この騒ぎになってしまった。それだけです」


「メイ姉がルーツ調べに邦和 来て~。

 瑠璃姉とDNA一致で双子で~。

 リーロンなんでか追っかけて来て~。

 俺達ソックリから親戚て分かったの~♪」

「姉さん心配して悪いかよ!」

「み~んな此処で繋がってたの~♪」


「私は杏華母さんから危険だからと遠くに逃がしてもらいました。

 その時からリーロンはサーロンを連れて護衛だと近くに住んでくれていたのです。

 ですから邦和にも。

 私は海を渡れば、もう安心できるだろうという思いもあって邦和に行きました。

 姉に会えて、夫を得て、今は本当に幸せです」


妄想母娘の悪行で引き離された姉妹が寄り添う姿と、梅華の穏やかな言葉で皆の目に涙が浮かんだところに、再び美音が流れてきた。


キリュウ兄弟の音色は神の奏音(かなでね)だと、この場の皆が感じた。



「すっごいね♪」「キレイよね~♪」

「カッコいい~♪」「ヒーローだ♪」

部屋から出るなと言われていた子供達も来ていた。

最初は大勢が入った後で、扉の隙間からコッソリ見ていた。

白久と黒瑯が来た時に、どさくさ紛れに入ったのだった。



―・―*―・―



 鈴春と鈴豊が連行された後、そっくり軍団と仲間達は各々に動いていた。

金錦はホテルに戻り、白久 黒瑯 紅火は邦和に。

リーロンと梅華は子供達の相手をしていて、理俱は屋根の上で走査中。

サーロンは杏華に術治癒を当てている。

青生 瑠璃 彩桜は魔女を封じに行っていた。



 藤慈と慎介はキツネの里に行き、仮死状態の人達に染み込んでいた不穏禍を浄滅しつつ聖水に溶かした解毒剤を投与していた。

月華(ユェファ) 星華(シンファ)、意識が戻る迄この薬を投与し続けてくださいね】


【【はい、狐儀様】】


【神世由来植物からの毒が人に浸透していますので、解毒には長く掛かると思います。

 定期的に補充しに参りますので、どうかお願い致します。

 意識が戻らなければ何も進まないと思いますので……】


【【はい、藤慈様。お任せくださいね】】

【藤慈君、投与はお任せして、この玉を調べましょう】

同じ部屋にあった玉を並べている卓に向かった。


【そうですね。神様の『水晶玉』ですよね。

 封珠ではなさそうですが、何か入っているものもありますね】

藤慈も卓に寄って玉を手に取ろうとしたが、触れずに引っ込めた。


【どうかしましたか?】1つ持ち上げた。


【慎介君は何も?

 私は噛みつかれそうな気がしてしまったのですが……】

神力攻撃を遮断する手袋を着けて持ったが、それでも嫌だと置いた。

【ですが、この入っているものから白久兄様に似た感じがするのです】


【白久様と?】


【確かめます!】

【術移でしか出入り出来ませんので】

瞬移しようとし藤慈を止めた月華が連れて術移した。



 そして連れて来た。

【おお~い何事だぁ? イキナリ何処なんだよ?】

もう寝ていたのかパジャマ姿だ。


【キツネの里です。それよりも、この中身を確かめて頂きたいのです】


【中身?】玉を取ろうと――【うわっ!?】


【兄様も?】【噛まれそうに?】


【ナンなんだよコイツ!?】卓から離れた。


【分からないのです。

 私も噛まれそうになったのです。

 ですが凶暴なのは玉で、中に入っているのは違うと思うのです】


【そんじゃあ玉が噛み千切ったんじゃねぇかぁ?

 ナンで慎介はフツーに持ってるんだよ】


【私には何事も無いからですよ】

【兄様、共鳴はしませんか?】


【してるよ。そこらじゅうと反応中だ。

 つまり俺の魂材様かぁ?】

置いたままの玉を遠くから覗き込む。

【バラバラ細かくなっちまったんだなぁ】

今度は寝ている人達に目を向けた。

【この中の誰かが噛み千切られたかぁ?

 いや、違う可能性もあるよな。

 なぁ慎介、魂を噛み千切られても人は生きてられるのか?】


【それは……】【難しいわね】


【ん?】

声の方に振り向くと、青生と瑠璃が最高司補達を連れて来ていた。


【この仮死状態も、千切り取られた結果という可能性があるわ】

【毒も見える。相乗作用なのだろう】


【この中のは? その中の誰かのなら合わせたら目覚めるとか?】


【ふむ】ロークスが1つ持って行った。


【狐は平気とかかぁ?】【なのでしょうか……】


【だとすれば、その玉のターゲットは人神様だよ。

 俺達の魂材様は人神様なんだからね】

青生も遠くから観察している。


【あ~、だな。あ……】


青生と藤慈が白久の視線を追うと、玉から取り出した魂片を人に込めていた。


【やっぱ噛みつくんだな】【そうですね】

【でも……此処に居ない人の魂もあるね】


【んん?】【青生兄様には分かるのですか?】


【うん、拾知でね。

 慎介君、入っているのだけを前列にしてもらえる?】


【はい】一目瞭然なのでササッと。

最初に置いた玉が転がりそうになったので押さえた。


【それを1とするね。2と5と6を後ろに。

 うん、ありがとう】


【他は此方の方々に込められるのですね?】


【そうですね。後ろに下げたのは同じ人。

 少年だとしか分からないけどね】


【そうなのですか……】


【生きていますよ。それも確かです】

【青生、補填用の魂材を取りに行く。

 玉は他にも在る筈だ。

 人には見えぬ物だから押収はされていないだろう。

 だが探すのは明日だ。人は眠るべき時間だ】


【ありがとう、瑠璃。

 でも(シィァン)さん家で待つからね】


【ふむ。先に白久殿と藤慈殿を帰してやれ】


【そうだね♪】くすっ♪


【何を笑っている?】


【優しい瑠璃が可愛いから♪】


【青生……】【本当に仲が良いわね♪】

笑うチャリルを連れて瑠璃はプイッと術移した。







魔女は妙な物を使っていました。

白久の魂材様は神世薬草に詳しいのでしょうか?

謎だらけですが、明らかになるのは先の話になりそうです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ