表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第40章 魔女との戦い ~漢中国編~
726/870

母娘魔女



 3子犬なルビーナを連れて(シィァン)家に戻った彩桜は、調理が終わったリーロンにも杏華(シンファ)の部屋に来てもらった。

【あれ? ルビーナ姉様、ナンで?】


ルビーナは龍に戻って浮かんだ。

【とうとう滝に行けるから。

 オニキスには とってもお世話になったから挨拶しておきたくて寄ってもらったの】


【そっか。コッチ来ててスミマセン。

 けど龍に戻れるの短時間じゃなかったんですか?】


【人世では この子達を主役にしてあげたかったの。

 それだけだから、ちゃんと維持できるわ】


【な~んだ。

 そんじゃあオパール兄様とお幸せに♪

 オレも そのうち行きますからね♪】


【ええ。必ず来てね♪

 とっても楽しかったわ。ありがとう】



 と、姉弟が話している横で彩桜は理俱と話していた。

【そんじゃあ もう捜さなくていいのか?】


【んとねぇ、悪霊オバサンの娘かにゃ?

 近くに居ると思うの~。

 メイ姉もぉ見つかってると思うのぉ。

 最近 何回か来てるでしょ? 金錦兄と一緒に。

 だから準備万端 待ち構えてた思うのぉ】


【ナンで来てたって考えたんだ? 拾知か?】


【じゃなくて、ちっちゃコドモ達もメイ姉 知ってたから。

 メイ姉、魔女から逃げてキツネの里に居たんでしょ?】


【そっか。金錦が護ってたから襲えなかったのか。

 今回は見た目ヒョロヒョロの兄様だからな。

 だとしたら今夜だな?】


【来ると思うの~】


【飛んで火に入る極悪魔女だな。

 今夜が決戦だ】


【もぉコッチ来てるかも~】


【へ?】【彩桜、出来たぞ】来た。


【ん♪ じゃあ行こ~♪

 理俱師匠、オバサン見ててね~♪】

兎達を抱いて瞬移した。

紅火はルビーナを連れて追った。



【オバサン、ね……】


理俱は杏華への治癒の続きをと目を向けると、縁台みたいな質素にも程がある寝台が寝心地の良さそうなベッドに変わっているのに、ようやく気付いた。


【紅火、入れ換えたのか?】【む】声だけ。


【一瞬で、とは……ん?】


床には猫型ロボット掃除機も居た。


「『出来た』ってベッドと掃除機の事かぁ」



―・―*―・―



 青生 紅火 彩桜の魂を連れたラピスリと神に戻ったルビーナ リップル ポップルを連れたエィムは絶滅種保護区域に戻った。


 イーラスタが嬉しそうに飛んで来た。

「無事で何よりだ」


「ありがとうございます」

「僕達が呼び出したばかりに姉様まで……」


「各々が捕まってしまったのだろう?

 仕方のない事だ」


「「ありがとうございます義兄様」」

「リップル様 ポップル様、俺達 上行くからお話ししててなの~♪」


「「あっ、はい! ありがとうございます!」」


「また来るの~♪」

龍達は道に入り、飛んで行った。


「義兄様、姉様からの手紙です」

「元気なのですが、欠片が少なくて……」


「元気ならば良い。

 届けてくれて ありがとう」

アリティアそっくりな兎形の水晶を受け取った。



―◦―



〈この森を抜ければ禍の滝だ〉

初めてな紅火に説明して森に入った。


久し振りに飛ぶルビーナに合わせているので ゆっくりと森を抜けると、オパールが当番だったらしく振り向いて驚き、続いて笑顔になった。

「ルビーナ!♪」


「オパール、あれ以来だから何年ぶりかしら?

 元気そうで良かった……」


〈ルビーナ様、硬ぁいよ?

 ちゃ~んとお話ししてねっ♪〉


「ラピスリの声でもエィムの声でもなかったよね?」

飛んで行く妹と弟を見ていたが、返事の無いルビーナに視線を移すと真っ赤だった。

「そんな色だっけ?」確かに赤だけど。


「もうっ、オパールったら!」

クルンと背を向けた。


「って? ええっ!?」

次は突進して来て抱き着かれたが、ほぼ頭突きだし、格闘でも始めるのかという勢いだった。

「ルビーナ何!? 同代を助けられなかった事なら謝るからっ!!」

投げ飛ばされるのは確定だと覚悟した。


ルビーナの力が抜けて離れた。

「それなら私も同じよ。

 だから謝らないで……」


「だったら、、何?」


「……あのね」


「……うん」


「私……ずっと……オパールが好きだったの!」

ほぼヤケで一気に早口!


「へ?」


「もうっ!」

チラッと睨んで逃げようと――「待って!」


「だって……」

――尾を掴まれたので恨めしそうに振り返る。


「ゴメン。シッポしか掴めなくて。

 じゃないよね。うん、ゴメン」

恐る恐る並んだ。

「嬉しくて、ビックリで、でも嬉しくて!

 何かやってるラピスリ達が終わったら結婚しない?♪」


「イキナリ!?」

今度はルビーナがビックリする番。


「うん♪

 ルビーナには手が届かないと思ってた。

 並ぶなんて無理だよね、って。

 でも来てくれたから♪

 お互い十分 知ってるし♪

 ずっと一緒も大丈夫だと思うんだ♪」


「そう、ね……うん」


「じゃあ決まり♪ 大好きだよルビーナ♪」

今度はオパールが抱き締める番。

舞い上がる気持ちそのままに上昇して尾を絡めた。


下では兄弟が どんどん集まっていて、見上げているなんて気付かずに。



―◦―



 滝の地下から闇障大器を出した青生と彩桜は、調べている紅火の肩に手を添えて神力を支えていた。


【この場で複製を成し、調整する】


【紅火兄すっご~い♪】


【全く同じには作れぬ。しかし十分だと考える。

 大きな支えが必要だ。頼む】


【もちろん】【うんっ♪】

【俺も支えるからね】

青 赤 桜色のドラグーナも出て合わさった。


「私達も加えてもらえるだろうか?」

ゴルシャインとシルバスノーが代表として前に居り、ズラリとドラグーナの子供達が何重かの横並びになっていた。

「上の二神(ふたり)は そっとしておくが」


「「「お願いします」!」♪」



―・―*―・―



【兄様、大丈夫か?】


【ええ。先程のは偵察でしょう。

 あまり猶予なく来るでしょうから、主殿に詳しく聞かねばなりません。

 ご婦人の方、お願いしますね】


【もう意識は戻ったよ。

 だから可能な限りコッチも聞いとくよ】


 彩桜が言った通り、『オバサン』は直ぐに来て、孤児院の父・紘于(ホンユー)と玄関先で話しただけで帰って行った。


子供達は『オバサン』が来た時点で食事部屋に行かされ、金錦とリーロンが護っていた。

そのまま梅華とリーロンが話し相手をして留め、金錦と狐儀は紘于の所に行った。


「立ち入って申し訳ありませんが、もしや寄付したお金は先程の女性に流れてしまったのでしょうか?」

項垂(うなだ)れている紘于の肩に金錦が手を添えた。


「ああ……はい。申し訳ない事です」


「詳しくお聞かせ願えますか?

 親族がお世話になりましたご恩返しとして力を尽くしたいのです」


「彼女は遠方から来た富豪で、(リー) 春豊(チュンフォン)

 この辺りの土地を買い占め、地代だと毎月 徴収しに来るのです。


 もう30年近くにもなります。

 最初は彼女の母親でした。

 親切そうに何度も来て妻の友となり、病気がちな妻に薬をやると……ですが無料(ただ)ではなかったのです。

 とても高価な薬で……なかなか支払えず、借金が膨らんでいきました。

 妻も治らず……悪くなるばかりで……。


 苦しんでいると今度は春豊が来て土地の話が……。

 この寺は譲り受けたものでした。

 後を継ぐ者が居ないからと、寺としては閉めて孤児院のみを引き継ぐ形で貰ったのです。

 なのに……売りに出した覚えなんて全く無いのに、この辺り一帯が彼女の土地だと証書を突きつけられたのです。

 輝竜さんから頂いたお金は、滞納していましたので、全て……」


「近隣の方、皆様 同じなのですね?」


「はい。この辺りに裕福な者なんて居りません。

 皆、彼女に苦しめられています」


「役所には? 訴え出なかったのですか?」


「何度も行きましたよ。ですが……」


「そうですか。

 では真実を確かめ、解決しますので。

 少々出ますが子供達には気付かれないよう、お願いします」



―◦―



 紘于(ホンユー)の妻・杏華(シンファ)も話せるくらいに回復した。

ベッドに喜び、猫型ロボット掃除機に喜びと笑顔になった後、本題に移った。

「梅華ちゃんを受け取ったのは私よ。

 夫は信じてくれないけれど、幽霊の若夫婦から預かったの」


「どうして幽霊だと?」


「私、子供の頃から見えていたの。

 だから間違いないわ。

 南方の訛りだったから、わざわざ遠くの、見える私の所に来たのねと思って、確かに育てますと預かったのよ。


 若夫婦が振り返りながら遠くに行って、消えるまで見送って家に入ろうとしたら、今度は真っ黒な悪霊。

 必死で護符部屋に逃げ込んだけれど……」

左の袖を捲り上げた。淡いが痣がある。

「戸を閉めようとした時に、ここに痛みが走ったの。

 その後、その部屋で梅華ちゃんを寝かせたら安心してしまったのね。

 気を失ってしまったのよ。

 気がついたら夜で、光っている大きな狐さんが居て、もう少し休めと言われて……眠ったのかしらね、次は朝だったわ」


「それ以前から病気がちだったのですか?」


「元気そのものだったわよ。

 でも……そうね。あの悪霊以来ね。

 この痣も消えていたのよ。

 あの薬からかしら? また浮き出て、濃くなるのと病とが連動しているのかと思ってしまったわね」


「以降、大きな狐は?」


「時々来ていたわ。

 痣を消してくれて、薬は飲むなと。

 だから飲まずに……」

ベッドサイドの小戸棚から箱を出した。

「心配してくれる夫には悪いから隠していたの」


「分析させてくださいね」


「ええ。お願いするわね」

「ボクが運びます」


「ああ。藤慈なら確かだな」「はい♪」

サーロンは浄化で光る手で受け取って瞬移した。


「元気な幽霊くんね♪」


「よく見えるのですね」苦笑。


「ええ♪ そちらのお二人はご夫婦かしら?

 私を助けてくださったのね♪」


「あ~まぁ、ちぃとばかしだぁよ」「ええ♪」

姿は見せたが和語なので理俱が訳した。


「白い狐さん、大きな狐さんは?」


「すっかりバレているのですね。

 伯父は悪霊を追っています」







ルビーナとオパールは めでたし めでたしですが、翔家の方は気分の悪い事件に巻き込まれているようです。


理俱とサーロンが不穏を感じていたベッドサイドの小戸棚には怪しげな薬が入っていました。

杏華さんは梅華を預かった事と欠片持ちだった事、両方で狙われたのではないでしょうか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ