フリューゲル&マーズwith○○
ファンファーレに続く1曲目は白久と黒瑯がボーカルなハードロックだった。
そのまま2曲目に入る。
わらっと残りのマーズが馬頭王子姿で中央の7人を囲む形に現れた。
静止からのダンス。
時々翻るマントでしか客席からは誰なのか判別できなかった。
要塞内の3人も含めて立ち位置をどんどん変えながら踊り、楽器アリ6人が内側、ナシ6人が外側になったところでポーズ。
再び動き始める。
内の右回りの6人と外の左回りの6人が交差する時がキメポーズのタイミング。
ステージが広いので忍者ならではの俊敏さが大いに活きている。
もちろん瞬移も使っている。
右回りの馬頭王子達は楽器を出して演奏したり、消してパフォーマー達と同じく踊ったりだ。
演奏していても動きが止まるわけではないが、演奏中は左回りのパフォーマー達の魅せ所だ。
曲が変わり3曲目。外側が10人になった。
四方から4人が駆け込むと同時に内外、若干の入れ替わりがあったが、回る方向は変わらず続いた。
「パフォーマー、また増えた?
それに少し背が低い?」
「黄緑マーズ四人衆よ♪
正式メンバーになれたら色が貰えるみたいね♪
ほらほらヒィちゃん、よ~く見てごらんなさいな♪」
「見てって……まさかメグルくん!?」
今、真正面で踊っている。
忍面の内の顔が見えるわけではない。
親族だからこその共鳴と気で分かったのだった。
「とっても頑張ってるわね~♪」
すっかり元気になって、いつも通りに明るい寿と一緒に待機場所で楽しむ響だった。
―◦―
【ジョーヌ、大丈夫か?】
中学生6人が左回り固定なので一時的に右回りにされたオニキス。
【はい♪ 楽しいですね♪】
同じく右回りにされたが楽しそうなジョーヌ。
【オレ達は演奏しなくていいんだからな。
楽器 出したり引っ込めたりだけバチッとキメればいいから気楽にな♪】
【はい義兄様♪】
【あ……そっか。だよな……うん】ナンかハズい。
曲が終わる。
その余韻の中、パフォーマー達は消え、演奏で残る者達は高く跳んで宙返り。
着地した時には忍装束だった。
紫 灰 黄がフリューゲルメンバーを連れて現れた時も忍装束だった。
が、連れて来ただけでドロンした。
『ここからはフリューゲル&マーズだ!』
―◦―
待機場所に現れた黄緑達4人は着替えブースに急いで入った。
「慌てなくても大丈夫だからな」
「抜けのないように着替えてね」
瞬移と同時に忍装束に瞬着替えした橙と白が声を掛け、黄緑達を待つ間にスポドリをカップに準備している。
「あ、ソーカイの皆さんも忍者に慣れてくださいね」
「もう仲間ですからね♪」
「ありがと♪ えっと~」
「橙です」「白です♪」
「そっか。橙クンと白クンは、ステージは?」
「この曲は出ないってだけです」
「次の曲は黄緑達と走ります♪」
「走る?」踊るじゃなくて?
「「見ててください」♪」
「先輩、チェックを――うわあっ!?」
忍面顔だけを出していた黄緑が引っ込んだ。
「仲間だから気にするなって」橙が入る。
次々と出てきたので白が装束を確かめていく。
橙が引っ込んだ黄緑を連れて出た。
「着替えOKだ。
知り合いとかに会っても平然とな。
面を着けてる限りはマーズだ。
神眼でも顔は見えない。
他人として動けよな」「こっちもOKだよ♪」
「じゃあスタート位置に」
「「「「はい!」」」」
返事は元気だったがスタート位置に忍者移動で連れて行くのは橙と白だった。
「ん? このドリンクは?」
「俺達の~♪」
ステージに居たマーズが次々と一瞬だけ戻っては飲んでステージへ。
観客には気付かれない速技なバンバン瞬移だ。
踊って戻った紫 灰 黄が空いたカップを浄化して次のスポドリを準備して消えた。
「さっきのは慎也さんとリーロンさんと受付のジョーヌさんよね?」
メンバーはソラから聞いているが、あまりに素早く消えたので。
「ほらヒィちゃん、走っているわよ♪」
パフォーマー達が長い旗を見事に靡かせてステージ外周を疾走していた。
橙を先頭に黄緑2人、白を先頭に黄緑2人の3人ずつが対角からスタートして正方形なステージに目一杯な円を描く。
「曲の疾走感にピッタリね♪」
「もしかして1曲ずっと走るのかしらね?」
そんな事はなく、1番の終わりのロングトーンの間に、旗の柄の握っていた側を天に向けて放つと、長い尾を引いて飛んだ旗は消えた。
間奏に入ると、走っていた6人は他を囲んだ位置のまま紫 灰 黄と同じ振付けで踊り始めた。
「タフ~♪」「頑張っているわね♪」
耳も目も楽しい曲が終わるとメーアが話し、銀が横に並んでソッコー通訳する。
『――次の曲はエルサムに一緒に行ってくれた仲間と共にだ!
キリュウ! 来てくれ!』
その声で7マーズが消え、(待機場所で水分補給をして)ステージに戻ると、各々が面ナシ忍装束のキリュウ兄弟を連れていた。
騒めきと歓声とが沸く。
『フリューゲル&マーズwithキリュウ兄弟だ!』
最新アルバムで共演したクラシック強めのロックが夜空を貫く。
「おいおい、俺達の方が後って……」
爽が ぼやく。
「支えてくれるわよ♪
So-χサポートメンバーズなんだから♪」
「そうだよね♪」
「ソラお帰り~♪」
「どこ行ってたんだ?」
「輝竜さんと一緒に居ました♪」
一緒にステージに居たので嘘ではない。
出番が近くなったので空マーズを狐儀に頼んで戻ったのだった。
「全力で演奏するだけです♪」
「そうか……だよな!
ヤスもマコちゃんも出てくれよ。
こんな機会そうそうないからな♪」
「ありがと……」緊張するって!
「頑張りましょ♪」背中バシッ!
「っ……だね♪」緊張ブッ飛んだ♪
「ソーカイさん、次の曲です。
ギターとベースは構えて待ってください」
「「「「「「はい!」」」」」」
―◦―
「こんな高い席に居たのかね」
八郎、彰子、清楓、涼楓、白桜、ローズと最後列の客席に並んで楽しんでいるところに馬白社長が来た。
「全体が見えますし、ステージもよく見えますので」
八郎が にこやかに答える。
「松風院社長から次の辞令が届いたのでね、急ぎ来たのだよ」
封筒を渡した。
「では、邪魔をしたね」
微笑んで去った。
「八郎さん……」
不安いっぱいな彰子が見上げた。
「大丈夫ですよ」取り出して広げた。「ほら」
「まあ……♪」「彰子さん?」
清楓も覗き込む。
「あら♪ 良かったわね♪」
その声で不安そうに見ていた人姿の馬達も少し安堵を浮かべた。
「次の出向先はミツマル建設ですって♪」
「6月からは白久さんの秘書だそうです♪」
「じゃあまた一緒に居られるね♪」
「良かった……」
「おめでとう、でいいのかな?」
「ありがとう。
うん、おめでとうが嬉しいですね」
『次は、更にwithソーカイだ!♪』
「あ……すみません。
1曲 聴きそびれてしまいましたね」
「まだ続くし、明日もあるからいいわよ♪
それよりも彰子さんが大喜びな方が大事よね♪」
「「だよね♪」」「はい♪」
照れる二人に大喜びな1人と3馬だった。
―◦―
最新アルバムにはフリューゲル&マーズwith So-χでのフリューゲルアレンジな『Fly on the tomorrow window』が収録されている。
それを今、披露しているのだが、そこにSo-χサポートメンバーズなキリュウ兄弟が加わっているので、壮大感が半端ない曲に仕上がっていた。
1番、2番のサビでは青 紺 桜 空 緑 紫が鳥忍として飛んで舞い、地上メンバーと同じ振付けの箇所は3次元でポジションチェンジ出来るので大いに会場を沸かせた。
ラストのサビでは分身を忍者として残したラピスリ オニキス ジョーヌにドラグーナが加わって、螺旋を描いて上昇し、最後の最後にスッと真上に飛んで夜空に吸い込まれるように消えた。
幻想的な光景に呆気にとられていた観客達は暫く上を向いたままだったが、夜空に煌めいているのは龍達の残光ではなく星の瞬きだと気付くと、魔法が解けたように現実に引き戻され、同時に歓声を爆発させた。
その歓声は龍が舞い飛んだ軌跡を追うように渦を巻き、立ち昇る熱気と共に夜空へと吸い込まれる。
『俺達フリューゲルは、この3ユニットと素晴らしいエニシを得た!
今日また皆と良いエニシを得た!
俺は邦和が好きだ!
ルーツだから、だけでなく大好きだ!
だが、これからロンドンでライブだ!
だからアンコールはナシだ!
そんな顔をするな。また明日も歌うからな!』
全員で邦和式の礼をして留まり、笑顔を上げて全方位に大きく手を振った。
そして楽器も何もかもをマーズが連れて消え、ピカピカなステージだけが残された。
―◦―
フリューゲルをロンドンに、So-χを控室に、楽器やら諸々ごと送り届けたマーズは自分達の控室に集まった。
【アレ、どーするよ?】
【エールの掛け合いかぁ?】
Bステージの観客は全く帰っておらず、東西南北の客席毎に声を上げていた。
今は手拍子と共に『マーズ!』が繰り返されている。
【オレ達、店仕舞いしたいんだけど【なぁ】】
【あの集団が後で行くから開けとけよな♪】
【【あのなぁ】】
今度は『キリュウ!』になった。
【出るかぁ?】金錦を見る。
【演奏するキリュウ兄弟を囲んで踊るのはどうだろうか?】
【それなら俺達だけで済みますね】
【出なければ終わりそうにありませんよね】
【行こ~♪】もぐもぐもぐもぐ♪
【【また持って来やがったな!】】【うん♪】
『ソーカイ!』に変わった。
【あの~】【ど~したソラ?】
【次はフリューゲルコールになります。
ずっと続いているんですよ】
白儀が現れた。
【運営に確かめました。
30分以内でしたらアンコールをしてよいとの事です】
【そんじゃあ行くか♪】
【楽器はロンドンに運んだから家から運ぼう】
【ドラムはソーカイの借りりゃいいだろ】
【ソラ兄、空マーズねっ♪】
【では要塞は背中合わせの三角に。最速で】
【はい!】一斉に動いた。
1日目は無事に終わりました。
魔女も悪神も現れず、人々は皆 楽しそうなので、予定外のアンコールくらい何のそのです。
フリューゲル&マーズは そのままのハイテンションでロンドンライブも終えたそうです。




