元ワル達が羽ばたく為に
翌日の夕方。勉強会 真っ最中の彩桜は1年生達のテーブルで教えて回っていた。
「「彩桜先輩♪」」メグルとサイトが挙手。
「ん♪」ぴょんぴょん移動♪「どれ~?♪」
「この問題です♪」「お願いします♪」
「ん♪ その公式は~」教科書に手を伸ばす。
【お~い、彩桜】【白久兄どしたの?】
【桜マーズでタキ電機本社に来てくれ】
【白久兄トコ行ったらいいんだよね?】【だな♪】
「あ……」メグルとサイトの肩に触れていた。
【聞こえちゃった?】
【【はい♪】僕達も行っていいですか?】
【この問題 解いてる間に白久兄に確かめる~。
公式コレだから解いてみて~】
【【はい♪】】
―◦―
「桜マーズ参上♪」「「黄緑マーズ参上!」」
入院動物達の世話をしに行くと勉強会を抜けた彩桜に、見学したいからと輝竜家ペット餌係のメグルとサイトが一緒に抜け、タキ電機本社の会議室に現れた。
(もちろん着替え終えた2人を連れて、彩桜が瞬移したのだが)
生忍者移動にタキ電機社長は笑顔で、常務の大樹は大喜びだ。
【ねぇねぇコレなぁに?】【まぁ座れって♪】
【昨日の馬ぬいロボット掃除機?】【だよ♪】
「技術的な話は ご理解頂けましたよね?
子供マーズでも忍法バッチリでしょ?
CM出演、子供達で十分だと思いませんか?」
【CM出演て? 兄貴達は?】
【赤マーズが嫌がって帰っちまったんだよ】
【そっか~。俺いいけど他 知らにゃいよ?】
「では、このシーンは子供マーズだけ。
最後に勢揃いでビシッと並んでもらえますか?
各色の掃除機を下に表示しますので」
「まぁ、並ぶくらいなら受けてくれるでしょう」
【分身でもいいもんね♪】【お♪ だよなっ♪】
「忍法バッチリなら……社長、聞いてみていいですか?」
「ああ、あの件か。
しかし忍法は家電化できないのだろう?」
「確かめるだけですよ」
「ふむ……」手で『聞いていい』と促した。
「桜マーズ君、落書き消しとかの光は除菌・滅菌光とかと似ていますか?」
「もっとず~~~っと強い光です♪
忍法、浄化ピッカン☆」
空になっていた湯飲みに当てた。
「わ……新品みたいに……」持って確める。
「家電には忍法ムリです。
家電、忍者修行できませんから。
でもCMだったら出ます♪
光除菌洗濯乾燥機か食器洗浄乾燥機でしょ?」
「両方です。お願いします!」
「いいよ~♪」
「正式な契約は次回、マーズ事務所社長を連れて参りますので」
「はい♪
社長、光除菌シリーズ増産確定ですよ♪」
「製造第7課、マーズ家電課を作らねばな」
「課長は3課の紗桜さんが良いと思います」
「ふむ。彼ならば小家電で経験も十分だな」
小声で話がトントントン。
【メグル♪ 父ちゃんじゃないの?】
【・・・えええっ!?】
【い~っぱい協力しよ~ねっ♪】
【うわ……】【メグル?】
【嬉しくにゃいの?】
【頑張ります!】【僕も全力協力します♪】
【悟 竜騎 サーロン♪ 聞こえてたよね♪
CM出演決定ねっ♪】
【やるぞ♪】【うん♪】【頑張るです♪】
悟と竜騎はアトリエ、サーロンはヤマ大。
【レオとルイに話しといて~】
絶賛修行中な2人には届かなかったので。
【おう♪】【任せて♪】
社長と話していた大樹が向いた。
「それで、若葉マーズ君は複数なのかな?」
「「黄緑と書いてワカバです♪」」
「マーズ入りたて下忍なの~♪
今トコ4人だけど増えたり減ったりするの~」
「「「減る?」!?!」」
「昇格して色の忍名 貰ったら黄緑じゃなくなるから~♪」
【【それ先に言ってくださいよ!】】【にゃはは~♪】
「それじゃあCMは……」
「あのね、忍獣に化けたらいいと思うの~♪」
何処からか出した紙に筆で器用に描き始めた。
「俺達がシュタッて掃除機に下りるでしょ♪
掃除機、進むでしょ♪
俺達が人形に化けるの♪
俺と空と橙と白は馬ぬい♪ 黄緑達は忍獣♪」
「絵コンテ……」「ふむ。それでいこう」
―◦―
その日の夜遅く、マーズは白久の部屋に集まった。
【どうしたんです?】寝静まっているので心話。
【オレ達は朝が早いんだからな】
【中学生は明日も学校なのですよ?】
青生 黒瑯 慎介と続いた。
【口々に言うなよなぁ。
今日、タキ電機の社長・常務と話したのを纏めたんだ。
目を通してくれ】
紅火が複製して配った。
【紅火は途中で帰っちまったが、彩桜が代わりに加わって進めてくれたんだ。
その後で細かい所を詰めた。
全ては元ワル達を受け入れてもらう為だ。
協力、頼む!】
【マーズ家電課長、メグルの父ちゃんなの。
兄貴達、師匠達、協力お願いなの~】
【【お願いします!】】
【ふむ。主に外観デザインとCM出演なのだな。
引き受けようと思うが、どうだろう?】
【音楽も引き受けては?】
【そうしよう。青生が乗り気なのだからな】
【はい♪ 俺達の音楽をライブよりも広く届けられますので】
【そうだな。異存は?】見回す。全員笑顔だ。
【では白久、進めてもらおう】
【皆、ありがとなっ♪】
【それで、この整列バージョンは良いとして、忍者ポーズとは?】
【俺達の下にロボット掃除機の映像が並ぶから15マーズ整列のと同じ並びで、重なるとしても交互で、忍者らしいポーズを考えてくれと……】
【ライブでも披露できると思う~♪
俺、考えていい?♪】【却下だ!】複数。
【どしてなのぉ?】
【マーズなんだから全員で考えないとね】
青生が寄って よしよし。
【そっか~♪ だよねっ♪
み~んなで考える~んるん♪】
【それがいい♪】【む】安堵。
【え? 光消臭便座?】
サーロンが数枚綴りの最後のページを見ていた。
皆、急いで捲り、確かめる。
【あ~ソレなぁ。彩桜だけで頼む!】
【どして俺だけ?】
首を傾げた彩桜の手から紙を奪って黒瑯が逃げた。
【黒瑯兄てば にゃにするのぉ?】
【彩桜が主役のCMだから楽しみにしてろ♪】
【ふぅん??? ねぇねぇサーロン、教えて~】
【教えたヤツは一緒に出演なっ♪】
一斉に紙を白久に返し、紅火が神眼封じした。
【んもぉ~】拾知するもん。【ほえ?】
羽を出して、突き出したお尻をふりふり♪
【コレでいいんでしょ?♪
天使のお・し・り~♪】
【嫌がるって彩桜の辞書にはナイんだな?】
【恥ずかしいもナイんじゃねぇかぁ?】
【そうらしいね♪】くすくす♪
【彩桜、羽は小さく出来るのですか?】
【【藤慈ぃ、真面目に聞くな~】】【はい?】
【やってみる~んるん♪】ぴよっ♪【でっきた~♪】
ぴよぴよ飛んで天井近くをくるくるくる。
【藤慈兄、このくらいでいいかにゃ?】
【はい♪ 可愛いですよ♪】
【ソレを褌でヤルんだぞ?】
【いいよ~♪ エンジェル桜マーズ参上♪】
『桜マーズ』なのは頭だけ。
桜色の褌のみな天使が飛び回る。
【サクランボお尻ふりふり~♪】
【桃じゃなくて桜桃?】【桜マーズだも~ん♪】
【んな褌、何処から出したんだよっ♪】大笑い♪
【俺いつも忍者トキ――】【褌なのか!?】複数!
【――うんっ♪ 紅火兄 作ってくれたの~♪】
【紅火ぁ、マーズ皆アレだと思われるだろっ】
【む……】誤算。
【まぁいいじゃないですか。忍者なんですから】
【赤マーズ、赤褌マーズ~♪】
紅火が無言で跳んだ。
【逃~げる~♪】きゃはははっ♪
【お~い紅火、夜中に鬼ごっこヤメろ~。
あ、言い忘れてたけどな。
撮影当日 欠席者分は彩桜の偽装分身が参加するから心配しないでくれ♪】
【【絶対参加する!】からっ!】
語尾は各々だが満場一致。
紅火も天井を走るのは止めて白久を睨む。
【俺い~っぱい参加したいのににゃ~ん】
【自分のだけにしろ!】これも異語同義に一致。
【み~んなヤル気まんま~ん♪】きゃは♪
嬉しくてクルクル飛び回る。
【お~い、いつまで裸で飛んでる気だぁ?】
【ん? あ♪ 黒瑯兄 夜食~♪
飛んだらお腹空いた~♪】
シュタッと着地と同時に瞬着替えしていた。
【飛ばなくても腹ペコザウルスじゃねぇかよ♪
すぐ作ってやっから来い♪】【うんっ♪】台所へ。
【せっかく集まっているんですから忍者ポーズを考えませんか?】
満場一致で同意。
彩桜が戻る前にと考え始めた。
【たっだいま~♪ あ♪ お陽さま林檎飴♪
俺も入る~んるん♪】ピシッとポーズ♪
【確かに このポーズ、昇る朝陽にも見えますね】
【他の考えるかぁ?】 【いいと思うのににゃ~】
【ん?】彩桜を除き一斉。
【どしたのぉ?】
【彩桜がいいなら『朝陽ポーズ』を忍者ポーズその壱にすっかぁ?】
【そうしましょう】満場一致。
【あ……】【サーロンどしたの?】
【彩桜をセンターにしませんか?
飛んで入ってバンザイで♪】
【整列のも?】
【はい♪】
【彩桜が真ん中、その両側に兄さん達。
あとは身長の順で両側が低くなれば忍者ポーズも綺麗だと思うんですよね】
青生が引き継いだ。
【けど子供マーズが奇数になるだろ?】
【藤慈は大人マーズの中では少し低くて、悟君は4人の中では高いと思いますよ。
ですから両端はサーロンと竜騎君ですね】
【あ~そっか。確かになぁ。並んでみっか♪
彩桜は真ん中にシュポッと入れよ♪】
【着地せずに浮かんでね♪】
【うん♪】
忍装束で腕組みをして、少し内向きに立つ。
【前に掃除機がアップで現れて~♪
引いたらマーズが並んでて~♪
馬ぬいが俺に戻ってジャ~ンプ♪
宙返りシュポッ♪ でっきた~♪】
宙返りの途中で翼を広げて、金銀の間でバンザイ。
末広がり的に緩やかな逆さVの字が完成した。
【良いのでは?】
【はい♪】またまた満場一致。
何しろ元ワルを2000人以上も抱えていますからねぇ。
きっと、これだけでなく財閥御三家とも同じような話を進めるんでしょうね。




