部活動と勉強会
歴史研究部の活動はパソコンや文献の情報から考察していくという地味なものなので、入部希望者は1週間の仮入部として在籍していた。
そして金曜日の部活後。
3回の部活を経て、続けるか去るかを決めてもらわなければならなかった。
見学者達も日々の顔ぶれは全く同じではなかったが、勉強会と合わせると そこそこ皆勤賞ものな参加具合だった者達が残っていたので一緒に確かめる。
「続けるヒト、入部したいヒト、あのテーブルに集まってください。
他の部に行くヒトは此処に並んでください。
入部届を返します。
悩んでるヒトも、どっちかに動いてください。
後で部を変えるのも出来ますから。
掛け持ちも出来ますから」
「あのっ、他の部に入って、勉強会に来るのはダメですか?」
「いいよ~。部活の後で参加なるだけ~」
「ジオラマと鎧は?」
「調査中だから6月くらいから作る予定♪」
拓斗達、そうするつもりで入学した10人程はサッと動き、他は悩みつつも動いて最終的な入部希望の1年生は28人になった。
2年生は六花の他に部対抗スポーツ大会後から入部解禁を待っていた3人が掛け持ち入部済みだ。
「祐斗♪ 正式な入部手続きお願い」「うん」
「それじゃ返却するから第一希望トコ大きくバッテンして、新しいの第二希望トコに書いてくださいね」
顔と名前は覚えているのでサササッと返却。
「勉強会は自由参加だから、いつでも来てく~ださい♪」
「部活より勉強会だけ参加したいなぁ……」
「入らなきゃなの決まってるから~、新しい部、作っちゃう?♪」
「え……?」
「月羽さ~ん♪
部の作り方、教えてあげて~♪」
「ちょっと輝竜君!」ずんずんずんっ。
「月羽さんも文芸部 作ったでしょ♪」
「そうだけど……」
「文芸部に入れてあげる?
文芸部 勉強班♪」
「何よ それ」あはっ♪
「月羽さん達は読書班♪」
「もうっ♪ ふた班で活動ねぇ……。
先生、そういうの、いいんですか?」
「構いませんよ。
部活動の日は書庫で勉強してくださいね。
それと文化祭に向けての活動には参加してくださいね」
「はい♪ だったら文芸部にしよう♪」
「あ、いいな。僕も!」「私も入ろ♪」
「もうっ。
普段はいいけど文化祭だけはお願いね」
「はい♪」6人、入部届を差し出した。
「よろしくお願いします♪」ペコリ♪×6。
「音楽部も美術部も楽し~と思うよ~♪」
「彩桜君やお兄さん達からも指導してもらえます♪」
「その分は部活じゃないけどね♪」
「でも、どっちも楽しいよ♪」「「だよね~♪」」
直史、尚樹、星琉。と、茉那実と夢結花。
「音楽部は吹奏楽部とは違うんですか?」
「違うの。音楽部はジャズを演奏してるのよ♪」
六花も加わった。
「輝竜君、私、楽器持って帰ってるからドラムお願いしていい?」
「ん♪ ベースも用意する~んるん♪
聴きたいヒト、ホールに連れてって~♪」
サッサと下りた。
「ありがと♪」
「祐斗君、ピアノお願い」「いいよ♪」
そして全員揃って小ホール。
心地よくジャズが流れた。
「音楽部は3年生3人と私と吾倉君。
マネージャーの波希君の6人なの。
入ってくれたら嬉しいな~」
「他にも楽器あるんですか?」
「3年生がピアノとドラムとトロンボーンをしているの。
サックスも大小あるし、トランペットもいてもらいたいの」
「でも難しそう……」「うん……」
「私も吾倉君も中学に入ってからだから大丈夫♪ ね、輝竜君♪」
「うんうん大丈夫~♪」
『お~い彩桜、アピール不足じゃねぇのか?』
『フルパートで演奏しねぇとなっ♪』
「あ♪ 兄貴達 揃ってる~♪」るんっ♪
「じゃあ僕、聴く方ねっ」祐斗が席へ。
「わわわ。僕も勉強させてください!」直史も。
「私も! 聴かせてください!♪」六花も走る。
「あらら~」
「そんじゃあ今日のトコは兄弟だけな」
「彩桜、何したいんだ?」
白久がトロンボーン、黒瑯がトランペットを持って来た。
紅火がベース、金錦がピアノにスタンバイ。
「彩桜はドラム?」「青生兄と藤慈兄は?」
「サックスをアルトとテナーにしようと思っているんだけど?」
「どれも やりた~い♪」「無理だよね」クスッ。
「じゃあ俺このままドラムする~♪」
そして兄弟のジャズが心を満たす。
が、2曲終えると
「ディナータイムだから、ここまでなっ」
黒瑯が退場した。
「俺達も行くが、ま、音楽ってのは楽しむ為にあるんだ。
堅っ苦しく考えずに、やってみたいと思うなら踏み込むべきだと思う。
アドバイスなら何時でもだ♪
同じ顔の誰かを捕まえてくれ♪
そんじゃあ――」「次は絵なの~♪」
「好きに見せてもらいたい」「金錦兄てば~♪」
恥ずかしそうに逃げた。
「送る頃に声を掛けてね」
青生が彩桜に微笑んで、藤慈を連れて楽器を片付けに行った。
「あれれ?」【紅火兄?】
【む……】とっくに作業部屋。
「白久兄も一緒するの~♪ アッチなの~♪」
「おいコラ彩桜! 楽器!」「後でなの~♪」
白久を引っ張ってピョンピョンピョン♪
「さっきピアノを弾いていた金錦お兄さんが描いた絵を見てもらいたいんだ。
とっても綺麗だから。
美術にも興味が持てると思うから」
祐斗を先頭に2年生が行った。
迷っていた1年生も行ってみようと動いた。
絵の保管部屋では、彩桜がイーゼルにジャンルいろいろで並べていた。
「スゴ……」
やっぱり吸引力絶大で惹き付ける。
各々、気に入った絵の前で じっくり観る。
「ね、美術部、彫刻は?」
「予算の都合らしくて絵だけなんだ」
「僕達は絵だけでいいんだけどね。
あっ、でも紅火先生の彫刻だね!」
「それなら茶碗も出してよ♪」
「赤虎の出す~♪」「桜猫も♪」「や~ん」
騒ぎながら奥の彫像部屋へ。
チラリと紅火が来て、作業台に並べている赤虎の茶碗の横に倍程の茶碗と招き猫達を置いて去った。
「手乗り招き猫?」「机に並べるとか?」
「あ~、そんな大きさだよな♪」
恭弥も来て猫の頭を指で撫でている。
「彩桜が気づいてない?」「みたいだな♪」
石膏像と石像と木像を並べて説明している彩桜を確かめてから茶碗を手に取った。
「やっぱ桜猫だな♪」「そうだね♪」
「両手招きの招き猫?」凌央も来た。
「笑顔が彩桜だよね♪」「そうだね」
兄弟7色の招き猫達は、どれも両手招き。
「欲張りだよね♪」「彩桜らしいよね♪」
「オヤツ両手に持たせたいよな♪」
「口にもね」「そうだよね♪」「だなっ♪」
「にゃ~にしてるのぉ?」
「「「「なんにも」!」」だ♪」
「うわ。俺のだぁ」んもぉ~。
「僕も陶芸してみたいな」「いいね♪」
誤魔化しではなく本心。
「みんなで稲荷山 行こ♪」
「「「いつ?」」」
「明日どぉ?」
「「「行こう♪」」」「俺バスケ部だ~」
直史達も興味津々で向いていた。
「鷹前先輩、明日は午前中だけです」
秀飛も来た。
「そんじゃあ昼から山登りだ♪」「はい♪」
「部活じゃないからね~♪
陶芸したいヒト、朝7時半か、昼1時にウチ来てね♪
勉強会もご自由になの~♪」
「この招き猫は?」
「フツーの片手のも型もあるから作れるよ♪」
「型だったんだ」「だから同じなのか」
「いいコトなんでも♪
ぜ~んぶ招いちゃう猫さんなの~♪」
「それいいね♪」「作ろうかな……」
「型のでも、轆轤でも、ご自由になの~♪」
【紅火兄が持って来たんだからいいよね♪】
【バスも出す】【うんっ♪ ありがと~♪】
【彩桜、今夜は夜中に】【覚えてるからぁ】
「明日は形作るトコまでなの。
乾かしてから彩色するから来週またなの。
来週ダメなヒト、保管しとくから後で いつでもなの~♪」
―・―*―・―
邦和の深夜。
マーズは揃ってベルリンへと瞬移した。
「またリハは1時間だけかよ♪」
メーアは元気に上機嫌だ。
「このライブ自体が世界ツアーのリハだからな♪ けど俺達は全力だ♪」
一番の仲良し、白久が寄る。
青生と彩桜は、昼間からリハーサルをしていたフルス達に回復治癒を当てている。
「客はオッテンバッハの社員だからリハと言えばリハだよな♪
だが俺達も全力だ♪」
「おう♪ あ、そうだ。なぁメーア。
どうして俺を『銀』だと紹介したんだ?
リーダーが金ならサブリーダーは銀でいいじゃないかと弟達が言ったから納得してたんだ。
けど最初にステージで言ったのはメーアだったろ?」
「あ~、それかぁ。
キリュウのプロフィールで名を知った。
意味を調べたら色と花の名だった。
ただ『HAKU』だけは色でも花でもないのがワンサカで、何色なんだか どんな花なんだか分からなかった。
で、帯が銀色に見えたから『銀』だと言ったんだよ。それだけだ♪」
「そっか♪ そんならいい♪
今は白も居るし、俺は銀のが嬉しいからな♪
リハ行こうぜ♪」
「おう♪ ん? つまり白なのか?」
「いや、白銀だ♪
陽にキラキラしてる雪の色だな♪
だから銀で正解だ♪」
「そうか♪」
『履く』とか『箔』とか『吐く』とか『掃く』とか『拍』とか出たんだろうと苦笑しながら兄弟と仲間を追う白久だった。
この日のライブは世界ツアーの前夜祭。
年始に迷惑を掛けてしまったオッテンバッハ父子へのお詫びとして、リハーサル日としてホールを押さえていたのをミニライブにと提案したのだった。
すると、また社員を入れたいと言われて、それだけ喜んでもらえていると受け止めてシッカリ前夜祭にしたのだった。
今日からまた忙しくなるという事でもあるが、何にせよ全力で楽しむフリューゲル&マーズだった。
勉強会ってよりオヤツ目当てじゃないの?
とも思ってしまいますが、塾に行けと親に言われているなら断然コッチですよね。
日常を楽しんでいた輝竜兄弟ですが、フリューゲル&マーズの世界ツアーが始まります。
週末毎の夜中だけとは言え、また忙しくなるのは確定で、きっと騒ぎも起きてしまうでしょうね。




