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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第34章 落書き消しと月の女神探し
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妄想的な勘違い



「我々の楽曲がお気に召さないのでしたら座って本題に移りますか?」

部屋に設置したモニターをオフにしようと忍者が動くと、金の腰帯が ふわりと(なび)いた。


「消さなくてもいい。

 何を言っているのかくらいは聞いておきたい」


「ドイツ語ですが?」


「和語の歌詞は難解だが、他の言語はストレートだ。この程度ならば解る」

ソファに沈み込むように腰掛けた。


「念の為、歌詞の英訳をどうぞ」

向かいに座り、初老の男に向けた紙をテーブルに置いた。


「この英訳は誰が?」


「メーア=ドンナー自身です。

 彼はドイツ人ですが英仏伊西露語訳が可能です。

 多くの国でライブを行いますので」


「和語は?」


「勉強中です。

 彼の曾祖母が邦和人だと知ったのが年明け直ぐでしたので」


「今は何故ドイツ語で?

 我が国には媚びないと示しているのか?」


「母国を愛する心は同じだと示しているのです。

 ですから兵士の皆さんは共感して涙を流しているのです」


「ふむ。マーズは15人だと聞いている。

 足りないのでは?」


「まず私が此処に居ます。

 他は音響や照明、此方に送信する為の撮影等を行っています。

 スタッフの同行は許されませんでしたので」


「そうか……ふむ。

 では本題に移す。

 何故、朱里城を復元したのだね?

 誰に許しを得たのだね?」


「現在、琉球は独立王国ではありません。

 邦和の一県です。

 あの公園は琉球県の所有地です。

 ですので琉球県と公園の管理事務所の許可を得ました。

 他には琉球王朝を研究している教授にも。

 邦和国内の歴史遺産ですので十分だと思いますが?」


「ふむ……」


「少なくとも、戦争であったにしろ焼失させたアメリカには口を挟む権利は無いと考えます。

 何故これまで再建を阻んできたのかをご説明頂けますか? 大統領閣下」


「私は引き継いだだけだ。

 理由なんぞ知らん」


「お祖父様が燃やし、お父様が再建を阻んできたのを引き継いだのですよね?

 それなのに理由すら聞いていないのですか?」


「……何を知っている?」


「復元する為に、この地に残る記憶を忍法で拾い集めました。

 ですので琉球で起こった事、全てを知っています。

 お祖父様が何と叫んで襲撃したのか、お父様が琉球の方々に放った暴言、等々も」


「何が望みだ」


「望みだなんて。

 独立国としての当然の権利についてお話ししているだけです。

 敗戦国であったのは随分な過去となりましたので」


「あの城の今後は?

 琉球は米軍を排除し、独立するのでは?」


「まさか。

 琉球人もアイヌ人も邦和国民です。

 あれは遺跡。歴史の1ピースですよ。

 他の邦和国内の城と同じです」


「しかし……」ふらり。

『小国の王の城なんぞ許せるものか。

 あれは武士の住居とは違う。

 生意気にも王を名乗る者の城だ。

 ケモノを感じる者達の国城だ』


「とうとうオモテに現れたな、オーロザウラ」


『儂を知る者よ。

 人神でありながら獣神(ケモノ)の神力を得、儂に歯向かうと言うのか』


「既にカリュー国のみならず人神の地が焼け野原となり風雪に閉ざされて数十億年を経ている。

 お前が君臨していた世は終わったのだから、その一族から離れろ!」


『何を小癪(こしゃく)な!――何をした!?』

立ち上がれないらしく両の肘掛けを掴んで(もが)いている。


【と~っても融合してるのぉ。

 闇呼吸着じゃ出せないのぉ】


【想定内だよ。瑠璃が摘出するから表面に留めておいてね】


【うん♪】


 彩桜がソファ下に置いた闇呼玉(あんこだま)はオーロザウラが融合している米国大統領を強く引き寄せていた。

大統領は尻が座面から離れず、踵も両足とも引き寄せられているので、両手と首だけで暴れ、(ののし)り続けている。


「その人から離れろ、オーロザウラ。

 既にオーラマスクスは浄滅されている。

 お前自身だと俺には分かっているのだから抵抗せず離れろ」


『ケモノの手先めが! お前こそ何者だ!』


「古の世に現れ、地星を滅亡から救った異界の龍神ブルー様の神力を継ぎし者。

 この御名に聞き覚えがあるのだろう?」


『遥かなる過去に現れた龍の神力(ちから)を継承しているなんぞ有り得ぬ!』


「お前が不穏を撒き散らし続けるから異界から闇禍(あんか)までもが飛来したんだ。

 ブルー様は今も尚、この世の全てをお守りくださっている。

 故に闇禍を浄滅する為に地星にいらした。

 その際に継承したのが俺だ!」

バッと翼を広げた。

その翼が纏う光が一気に眩しくなる。

「神力差は歴然。

 その人を解放しろ!」


『ならば攻撃すればよい。

 この者が先に木っ端微塵だ!

 儂は次の器を探すのみ!

 人は悪どい事を心の内に溜め込むものなのだからな!』


「言いたい事は、それだけか?

 龍神を感じ、悪どさを感じない琉球人を恐れて根絶(ねだ)やしにしようと攻め込み、城を燃やした。

 そして琉球人が国を再興するのを恐れて琉球に軍を置いて居座り、朱里城再建を阻み続けた。

 大統領という地位を得た今、邦和を攻撃するのも可能だと言いたいのだろうが、そうはさせない。

 お前は何も出来ずに終わるんだ」


【青生、完了だ。時間稼ぎをありがとう。

 此度(こたび)は私だけで行く】

【大統領のアフターケアがあるから仕方ないよね】


『何も出来ぬだと?

 儂の神力(ちから)を知らぬのか?

 もう自由に喋れぬだろう?』


「自由ですが? 何かしましたか?」


『なっ――支配が効かぬ!? 何故――っ!?

 何をした!? 此処は!?』


「出ようとしないから出したまで。

 其処は封珠の中だよ」【行ってらっしゃい】


オーロザウラの声が遠ざかって消えた。

ラピスリが術移したのだろう。


【彩桜、アフターケアを一緒にね】【うん♪】


モニターがオンになっている内線に向かって

「どうぞお入りください」

言うと、軍人やSPやらが雪崩れ込んだ。


「大統領は気絶しています。

 変に反響していた声の主が悪霊。

 大統領の祖父の代から取り憑いていたんです。

 悪霊の妄想的な勘違いで、戦中をいい事に朱里城は燃やされました。

 復元した朱里城は、このままでいいですよね?

 また燃やしたりしませんよね?」

手を取って治癒を流している。桜マーズも。


 誰が話すのかと(ざわ)めいたが、マーズを迎えに来ていた『お偉いさん』が一歩前に出た。

「そんな事はしないし、させない。

 邦和の遺跡であり、宝なのだから。

 軍は、このまま居ても?」


「それは邦和政府とお話しください。

 忍者が口を出せる事ではありませんので」


【虫食いになった魂の補填は完了よ♪】

ラピスリに呼ばれて来たチャリルが神眼にだけ姿を見せてウインク☆


【ありがとうございます】【治癒してていい?】


【後の回復治癒はお願いするわね♪】消えた。


「長く取り憑かれていたようですので、数時間は眠ったままになると思います。

 ライブを楽しんでいる兵士の皆さんは気づいていませんので、この後も静かに見守っていてくださいね」

「コレ乗せといたら治るの~♪」


運び込まれた簡易ベッドに大統領を横たえ、ほんのり光る白衣の馬ぬいを胸の上に座らせた。

馬ぬいは2つ。青と桜色のネクタイをしている。


「俺達もステージに戻ります」「行こ♪」

ぴょんぴょんピタ♪ と桜マーズが『金マーズ』に くっつくと、2人は消えた。



「あれが忍者移動か……」

「あの低い声が悪霊か……」

お偉いさん2人、顔を見合わせる。

「指示せねばな」「そうだな」


「大統領には軍医とSP、ドア前に2人。

 空撮の分析は?」


「進めております!」


「では継続。他は通常。以上だ」

お偉いさん2人は眠る大統領に敬礼して退室した。



「ライブに行かないか?」「当然、行くぞ」

真顔を装って足早に外に向かった。



―・―*―・―



 輝竜兄弟とフリューゲルメンバーが帰宅したのは夜中だった。


「なぁ白久、ちゃんと説明してくれよ」

メーアは白久だけが寛いでいた青生の部屋の襖を開けた。


「説明するから入れよ。

 他のメンバーは疑問とか無ぇのか?」


「忍者がする事は全て極秘で当たり前だから聞かなくていい。

 楽しかったし疲れたから寝る、だとよ」


「そんならいいけどな。

 オーロザウラについては説明しなくていいだろ?」


「俺ん家を占領してた悪霊だろ?」


「正確には悪神なんだがな。

 ま、似たり寄ったりだ。

 其奴が米国大統領の祖父に憑いてたんだ。

 オーロザウラは大国の王だった。

 だから小国の城が許せなかった。

 大戦中を利用して燃やしたんだ。

 その後、祖父が引退すると息子に、孫にとオーロザウラは移っていったんだ。


 で、その息子、大統領の父親も軍人だった。

 偉くなって戦後の琉球に米軍を置いたんだ。

 で、事有る毎に琉球県に口を出した。

 攻め込むぞと裏で脅してな。

 琉球人が集まれば国を再興するのではと疑心暗鬼に駆り立てられて蹴散らし、朱里城の再建を阻み続けたんだ。


 大統領も父親の後を継いだ。

 軍人として のし上がり、とうとう大統領だ。

 だが動かしていたのはオーロザウラだ。

 それを祓った後の大統領が、これから何を成すのか……何を望むのか、なんてのは俺達にも分からん」


「知らなかったとは言え、マズいのに首突っ込ませちまったな。スマン」


「ま、あの紛争地域に行くのに、いい予行練習だったと思うぞ♪

 同じセトリでいいんじゃねぇか♪」


「そう言ってくれるのは有難いが、邦和のトップは? 大丈夫なのか?」


「変な心配すんなって。

 総理とも話したよ。

 大晦日の文部副大臣の件でチョイと知り合いになっちまってたからな♪」


「何だそれ?」


「弟達にも話してない極秘事項だよ♪」


「将来、総理になる気か?」


「ならねーよ♪

 忍者は表舞台なんかに興味無ぇんだよ♪」


「ステージに立ってるのに?」


「兄弟一緒に音楽するだけだ♪

 兄弟も音楽も大好きだからな♪

 フリューゲルも大好きだぞ♪」


「おう♪ 15日、楽しみにしてるからな♪」


「その前に明日、秋小路さんトコとオッテンバッハホールだろーがよ」


「だったな♪」



―◦―



【白久兄て暗躍大魔王?】


【縁の下の力持ちだと言ってあげてよ。

 忍者(おれたち)が好きに音楽できるのは、兄さん達が支えてくれているお陰なんだから】


【言いながら笑ってる~♪】


【どうしてもね】くすっ♪


話しつつ理子の魂を調べ直している青生と彩桜だった。







そう言えば金錦と白久は年始の帰国後、事情聴取やら何やら弟達を巻き込まないように二人だけで行動していましたよね。

どうやら、その間に総理とも話したようです。



この日、煌麗山大学の一部研究室は大学院生のみ研究を開始してもよいとされていて、響とソラは初登校しました。


そのソラと金錦と黒瑯は狐儀の偽装分身だったんです。

響は全く気付いていなかったんでしょうか?


フリューゲル&マーズの落書き消しイベントは終わりましたので、そちらにも目を向けたいと思います。



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