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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第34章 落書き消しと月の女神探し
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月の男神ツクヨミ



 紗桜家の居間には爽と魁が来ていた。

響の部屋に荷物を運んだ(という事にしていた)ソラが響の隣に座ったので、晃典が『始めよう』と見回した。


「バンドSo-χ(ソーカイ)のリーダーをしています、杜田(もりた) (そう)です」

「マネージャーの来光寺(らいこうじ) (かい)です。

 So-χ(ソーカイ)にとってボーカルの奏さんとギターでコーラスの響さん、マルチサポーターの(そら)君は欠かせない存在です。

 ですので真っ先に確かめたく、参りました」

ここまでは晃典に。名刺も渡す。


爽が奏と響に向き直る。

「俺はメジャーデビューに向けて動きたい。

 3人がバンドの要だ。

 だから誰か1人でも反対なら諦めるしかないと思ってる。

 どうだろうか?」


「はい、頑張ります」「奏……」

即答したので父ビックリ。


「お姉ちゃんがヤル気なら私も♪」

「ボクも頑張ります♪」


「奏、本当に大丈夫なのか?」


「心配しないで♪

 歌いたいの。これからもずっと」

「メーア=ドンナーのお墨付きだもんね~♪」


「メーア=ドンナーだと!?」


「お父さんも知ってるの?」


「世界的有名人じゃないか。

 それが どうしてお墨付きを?」


「慰霊祭で聴いてくれてたの♪

 プロになれる、だって♪」


「……ま、何でもいいか。

 奏が目を輝かせているから反対なんて出来るものか。

 悔いのないように頑張りなさい」


「ええ♪」「お父さん ありがと♪」

「「「ありがとうございます!」」」

ソラだけでなく爽と魁もサッと頭を下げた。


「いやいや。こちらこそ娘達をお願いします。

 ところで不躾で申し訳ないが、来光寺君は……」


「ああ、はい。珍しい姓なので気になりますよね。

 両親の離婚後、母に引き取られましたが、入籍を機に父方姓になりまして。

 マネージャーとの二足の草鞋を始めたところなんです」

照れつつ、もう1枚の名刺を差し出した。


「やはり来光商事の……専務さん!?」


「まだまだ名ばかり。(じつ)が伴っていませんので、お恥ずかしい限りです。

 ですがミツマル建設の輝竜支社長から どんどん吸収して、1年内に社の皆さんから認めてもらえる者になるつもりです。

 勿論マネージャーも手を抜くつもりはありません。

 これまで培ってきた経験は、全て此方側ですので」


晃典は感心の溜め息を溢してから、深呼吸して返す言葉を探した。

「また輝竜君なんだな……大船に乗ったと喜んで娘達を後押しするよ」


「ありがとうございます。

 それで……私の方からも不躾な質問で申し訳ないのですが、紗桜 理子さんはご親戚でしょうか?」


晃典は言葉に詰まり、奏と響は顔を見合せて

「ソックリだもんねぇ」「そうね……」

苦笑しつつ頷き合った。


「そ、その、妹がご迷惑を?」


「大した事ではありません。

 もしもお話する機会がありましたら、私が結婚しました事をお伝えください」


「あのバカは……」ボソッ。


「確かに、お綺麗ですよね」にこにこ♪


ソラは静かに苦笑しつつ、理子への爆眠を強めていた。



―・―*―・―



【アミュラ様~♪ 俺また来た~♪

 カーリ元気してる~?♪】まだ遠い。


〖すこぶる元気だよ。ほらよ〗


結界壁の内に瞑想している姿が浮かんだ。


〈カーリ♪ 来たよ~♪〉《イマチェリー!♪》

〈欠片、見つけたの~♪〉《ありがとう!♪》


《その魂片……見せてくれるかい?》〈はい♪〉


ラピスリが保護水晶を結界壁の内に放つと、光に包まれて保護水晶が溶け消えた。


《カーリ、真核近くだよ。

 少し真核を含んでる。

 これで確かに生きられるよ》

短く唱えて魂片を合わせた。


《アミュラ先生、ありがとうございます!

 イマピュアリラ様! イマブルー先生!

 イマチェリーありがとう!♪》


 カーリザウラが感動うるうるしている間にアミュラの意思はオーロザウラの魂片入り封珠を地中に封印した。

〖それで、また古い話が聞きたいのかい?〗


【えっとねぇ、聞きたいけどぉ、今の方が急ぐと思うから先に相談なのぉ】

前回約束して思い出してもらっているのに(ラピスリ)の滞在時間に限りがあるので、申し訳なくてモジモジ。


〖いいよ。アタシゃどっちでもだ〗


【ありがとアミュラ様♪】

〈カーリ縛ってるオーロって、他のオーロ引き寄せちゃう?〉


《そうなっちまってるねぇ。

 オーロは(らく)したがる。

 自分なら抵抗されずに引き込めるからねぇ》


子供(ちっちゃ)オーロでも大人(オジサン)オーロ引き込んじゃう?〉


《本来なら逆だろうけどねぇ。

 器が死を迎える時なら入ってもらえるだろうねぇ》


〈じゃあオジサンお引っ越し?

 器さんは成仏しちゃってる?〉


《あくまでも可能性の話だよ》

《お引っ越しだったよ。

 でも入って来たオーロの方が強かったから、僕のオーロは従えさせられてたよ》


〈そぉなんだ~〉


《とっても嫌々ね。

 動きたくないのにってブツブツ言ってた》

《オーラマスクスにしろオーザンクロスティにしろ人神としちゃあ強いからねぇ。

 人神だから人から人に移るのは獣神よりゃ容易(たやす)いだろうし、強いから居座るのも従えるのも容易かったろうねぇ》


〈乗っ取っちゃったんだぁ〉

《うん。居心地いいって喜んでた。

 魂が濁りきってていいって》


〈子供オーロが濁らせたの?〉


《オーロ、僕を縛るので精一杯。

 だから何もできなかったと思うよ》


〈じゃあ弱禍かにゃ?〉


《ジャッカ?》


〈人の魂の中にタネある禍〉


《あ! うん。あったよ。

 器 全部じゃないけど魂の中に現れてビックリして逃げたよ。オーロも逃げてた。

 それから魂の濁りが濃くなったんだ。

 お引っ越しは、もっと後だよ》


〈じゃあオーロでも弱禍でもない?

 最初から濁ってたの?〉


《……再確認してみたけど、どの器も僕が目覚めた時には濁ってたと思うよ。

 僕には居心地 悪かったから。

 オーロは僕より後で目覚めてるから、(そそのか)したりしていないよ。

 どの器もオーロに縛られてた僕より怠け者で、オーロみたいにラクしたがってた。

 いっぱい妬んでて、他の人の努力を横取りしようとしていたよ》


【影響?】〖どうだかねぇ〗

〈カーリ、思い出したくないのに、いっぱい ありがと。

 もひとり、たぶん同じだから、よ~く観察して取り出すねっ〉


《まだ居るんだ……あ、ちょっと前に共鳴していたよ。

 僕は大丈夫だよ。

 だから もっと思い出しておくね♪》


〈無理しちゃダメなのぉ~〉掌握ハグ。


《ありがとイマチェリー♪》


ピロン♪


《《〈ん?〉》》


〈ザブダクルに呼ばれただけです〉

ラピスリは連絡板を展開して確認中。


《行ってやりな。

 そろそろ居るのも限界だろ?》


〈そうですね。では失礼致します〉

〈カーリまったね~♪〉《うん♪》

〈アミュラ様、またお話お願いしま~す♪〉


《あいよ。気をつけて帰りな》〈うんっ♪〉

何度も言うが、飛ぶのはラピスリだ。


苦笑しつつ飛んだラピスリは死司最高司の館に向けて術移した。



―・―*―・―



 イベントは終了時間を迎え、入場ゲートは全て閉ざされた。

後片付けをスタッフに任せた理俱は、月の男神を感じる湖へと瞬移した。


【私はリグーリと申します!

 月の男神様! お返事くださいませんか!】


【先日も探っていた蛇狐だな?】


【はい! 今、私共の拠点では多くの大神様の魂頭部を保っているのですが、人神が無理矢理に掛けた眠りが解けずに難儀しているのです。

 どうかお助けくださいませんか?】


【そうか。大勢の気は感じていた。

 それらが弱いのは眠らされているからか。

 納得だ。

 では私も参じよう】


 水中に光点が見えたと思ったら、一気に浮上して盛り上がった水面を突き破るように出て宙に浮いた。


【もしやケイロン様と同じ……?】でも立派な角?


【ケイロンを知っているのか。友だ。

 では、この手足三対の異形にも そうは驚かぬな。

 しかし私は馬ではなく鹿だぞ。

 我が名はツクヨミだ】

上半身が人で下半身が鹿。人の頭に鹿の角な男神ツクヨミはニッと笑うとズイッと寄った。

【アマテラスも見つけたのか。……ふむ。

 では行こう。

 人神の術ならばケイロンが苦労しているだろうからな】

人の方の手でリグーリの肩をポンッ。


【はい! ありがとうございます!】


今回は何の苦も無く大神を仲間に出来たリグーリだった。



―・―*―・―



「今回は何事ですか?」今ブルーにこにこ。


「本当に来てくれるのだな……」ほう。


「不安で試したのですね?

 マディア様の咆哮ではありませんでしたし、不穏を感じなかったので、ゆったり来てしまいました」


「では、オーロザウラや闇禍が現れたならば?」


「最速で参りますよ。世の為に」


「ふむ。世の為か……」


「はい。ではオーロザウラとカーリザウラ探しに戻りますね」

「失礼致します」「まったね~♪」

ザブダクルには丁寧に礼。

マディアにはポンポン挨拶をして瞬移した。



「余裕、なのだな……」


「頼もしいですよね♪」


「そう、だな……」


どうしても身震いしてしまう。

敵に回してはならないと何度も何度も己に言い聞かせるザブダクルだった。



―・―*―・―



「あら、お兄様。ご無事でしたのね」冷たい。


「誤解だと何度も言っただろ。

 それなのに突き落としおって」


「ですが確かにお兄様でした。

 お兄様がウケモチに禍を投げたのです!

 ウケモチは消えてしまったのです!

 滅されたのですよ!」


「それが誤解なのだ。

 オーロザウラと名乗る人神が私の角を折って逃げた。

 その角を使ったのだろう。

 そもそも私が禍を投げられると思うのか?」


「剣から放ちました! 可能です!」


「初耳だ。私が行った時には奴は去っていた。

 私は禍が迫っていたウケモチを連れて瞬移し、月に発とうとしていたセレーネ様に託した。

 その後はセレーネ様に尋ねてくれ」


「それを信じよと?」「お待ちください!」


睨み合う兄妹に一触即発さを感じた理俱は、とうとう大神達の間に割って入った。







大神同士の喧嘩に割って入るのは非常に危険です。

年末に狐儀が氷化されて砕かれたように格下がすることではありません。

それでも理俱は止めてしまいました。

大丈夫なんでしょうか?



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