まだまだ続く月の女神探し
【【【――復輝降臨!!】】】
眩しさで視界が奪われた。
地響きに驚いた神々が集まって更に驚く。
ざわざわが増えている間に視界が戻った。
「わぁ~♪ キラッキラ増し増し~♪」
と言った彩桜は、座り込んでいる青生の膝枕で眠っている。
寝神眼で見えているのだろうか?
「青生、無事か?」
「うん。
若さが吸い取られるなんてなさそうだけど、体力的神力の消耗が激しいね」
どうにかこうにか苦笑。
「確かにな。午前中は休むとしよう」
彩桜の髪を撫でた。
「そうだね」瑠璃と彩桜を回復治癒で包んだ。
「しっかし凄いのぅ。
億年単位で若返ったわぃ♪」
「もう その話し方は似合いませんよ♪」
キラッキラ金銀夫婦が寄って来た。
『あとは慣れが必要でしょうか?』
『神力調整が出来ねばな。だが流石だ』
ケイロンとオーディンも来た。
「成功、でしょうか?」
『大成功だ。兎に角、今は休むべきだな』
『では皆様は彼方に。説明致しますので』
金銀夫婦も集まった神々も連れて出てくれた。
「眠ろう」「そうだね」
回復治癒を当て合って眠りに落ちた。
―・―*―・―
青生達が会場に現れないまま、規模最大な為に他会場よりも早く開場する東京での握手会が始まった。
【兄様、そんなに分身して大丈夫か?】
今日も外な紫マーズが心配して声を掛けた。
【この程度、何ともありませんよ】
(青 黒 桜 紺)×3と緑×2、総責任者な白儀もしているし、動物病院でも青生をしている。瑠璃先生は梅華だ。
【このまま来なかったら演奏――】
【いらっしゃいますよ】
本体、フンと裏へ。
【兄様?】
【ただの補充です。
外は見ませんので、お願いしますね】
【それは任せてくれ。ん?】
【どうかしましたか?】
【物販裏が騒がしい。
兄様は気にせず、内を頼む!】
自分と灰の分身を増やして残し、瞬移した。
――マーズスタッフ2人を記者が捕まえていた。
不穏禍は出ていないものの悪神持ちである可能性を考えて神眼は向けず、その記者の背後で様子を見る。
【城多さん、お知り合いですか?】
【はい。後輩です】文里勇が微笑む。
【少し離れても?】典里勇は苦笑。
もちろん狐面の内で、だ。
【休憩してください】
大丈夫らしいと判断して、紫マーズは持ち場に戻った。
「見田井さん、こちらに」
「ただの休憩室ですので」
テレビで見る顔程度の認知だという雰囲気を醸して、神眼封じの結界でもある休憩室に入った。
落ち着いてもらう為に立ち話ではなく、奥のテーブルで向かい合って座った。
「スタッフもマーズと同じで正体不明なんですよ」
「返事もできなくて、すみませんでした」
狐面を取った。
「城多さあぁあぁん!」
テーブルをグルリして背中から双子まとめて抱き締めっ!
「ずっと探してたんですからあ!」
「実家に帰っていて」「今日から参加なんです」
「えええええっ!?」ガクッと力が抜けた。
「「大丈夫?」」
「そうだったんですかぁ~~」へなへなペタン。
「戸籍を復活させたりとか」
「いろいろとありましてね」
両側から支えて椅子に戻す。
「あ~~、言われてみれば、ですよねぇ。
それしないと何も始まりませんよねぇ。
それで、報道には戻らないんですか?」
「ノリはそもそも記者ではなかったし、僕も報道よりも面白い仕事に就けたから、もう戻るつもりはありませんよ」
「面白い仕事とは?」
「「マーズスタッフですよ」」
「それはもう、こっちにとは言えませんねぇ。
西邦も良い方に変わったし、東邦にとも思っていたんですけどねぇ。
もう逆斐と皆見は追わないんですか?
それとも忍者として追うとか?」
「もう警察に捕まっていますし」
「謝罪してくれましたから忘れます」
「へ?」
「10日程前に騒ぎになった狸頭ですよ」
「モリ、それ警察が囲んで顔をちゃんと見せなかったんじゃなかった?」
「そうだったね。それに撮れていても髪も髭も1ヶ月そこそことは思えないくらい伸び放題だったらしいから判別は無理だよね」
「あの男2人だったのかぁ。
よーし! 顛末を纏めるぞ!
これはシッカリ報道しないと!」
「ありがとう。元気になったね」
「僕達、仕事中だから戻りますね」
「今夜、飲みませんか?」
「いいね。そうしよう」「僕も?」
「モチロンです♪
片付けが終わる頃に車で来ますので♪
毎日 見てますから把握してますのでバッチリ来ますよ♪」
「じゃあまた夜に」
「はい♪」
―・―*―・―
「お~い、そろそろ起きねぇのか?」
つんつんゆさゆさ。ずるずるずると真ん中の彩桜だけを引き抜いた。
「彩桜~、忙しいんだからサッサとメシ食え~。お~いメシだぞ~」
青生達はギリギリでいいだろうと彩桜の耳元で。
「ん? ・・・ごはん!? 食~べる~♪」
ピョン! 跳ね起きて正座♪
「黒瑯兄ごは~ん♪ いっただっきま~す♪」
「オレまで食う気かよ?」
〈美味し~よ♪〉もぐもぐもぐ♪
「そ~かよ。で、行かねぇのか?」
〈ほえ? ・・・何時!?〉
「あと30分でライブ。
ブッ倒れるくらいの術したって お稲荷様から聞いたから寝させとけって話になったんだけどな。
オレの店も昼ピーク過ぎたから、リーロンと黒蛇に任せて夜ピークまでライブに出ようかと思って誘いに来たんだ」
〈リーロン行かにゃいの?〉
「今日明日は開店直後で予約ビッチリだからムリなんだよ。
それにオレとリーロンの店なんだから、どっちか残らねぇとなぁ。
だからライブは狐儀に分身頼んでるんだ♪」
週明けも見事な程に予約ビッチリなのだが。
〈今は!?〉
「やっと気づいたかぁ。
オレもだけどな、狐儀がやってくれてる。
3人ずつな。
灰だけは理俱だな」神眼で確認中。
〈うわわわ俺トコまた長蛇の列だぁ〉見た!
「だからチョイ早く行かねぇか?」
〈行く! 青生兄 瑠璃姉、起っきてーっ!〉
「ん? あ、黒瑯」
起き上がった青生の後ろに掛布すっぽりな瑠璃が隠れた。
「瑠璃さん、見てませんからぁ」気配で察した。
そうなるだろうと背を向けたまま。
〈ライブ行かにゃいとなのぉ〉
黒瑯越しの彩桜、もぐもぐ顔を見せる。
「二人のはサンドイッチにしたからな。
食ったら行けよ。
オレは先に行くからな」
背を向けたまま黒マーズになって瞬移した。
「瑠璃、支度しよう」「ん……」
彩桜から浄化が飛んで二人を包んだ。
「ありがとう彩桜」
サンドイッチの皿もスイッと寄る。
「器用だね♪」
「ごちそーさまっ♪ 俺も先行く~♪」
食器ごと浄化光を纏って輝くと、桜マーズも瞬移した。
――【狐儀師匠、サーロンありがとなのっ!】
着席、分身、入れ換わり成功♪
【青生兄と瑠璃姉もぉすぐ来るからっ】
【はい♪】【彩桜、大丈夫?】
同じ長テーブルの空マーズが向いた。
【俺 元気~♪ 復活なの~♪】
【さっき木口クンが弟クンと一緒に来てたよ】
【広夢君が!? バレちゃった?】
【かなり疑ってたけど、否定してボクも一緒に『彩桜は友達』で徹したよ】
【ありがと~】
【東京に来る時は気をつけてね】
【毎週 来るんだったぁ~。
どぉしよ……】前途多難感マシマシ。
【大学内なら大丈夫だよ。
外をウロウロしないでね】
【大学にも来ちゃう気するぅ】
【それも拾知?】
【あ……どぉしよ……】
その横の方では青 紺が入れ換わり真っ最中で、握手会ゲートを閉めたという連絡も入り、楽になった狐儀は分身を外の整理スタッフに回していた。
【兄様? ライブ会場の指揮もしてるんだろ?
大丈夫なのか?】
ライブ会場は開場して入場 真っ最中だ。
【この程度、何の問題もありませんよ。
ライブ中の灰マーズもお任せくださいね】
【兄様は演奏もあるのに器用だよなぁ】
【音神ですので。
理俱も、もっと修行なさい】ふふ♪
【余裕綽々だよなぁ】ったく~。
【当然です】ふふふ♪
【ところでセレナティス様は見つけたのですか?】
【邦和じゃないのかもなぁ。
漢中国の分身で蛇眼走査しているんだが、まだなんだよなぁ。
月の男神なら見つけたから明日 行ってみるけどな】
【邦和には他に隠れている神は居ないのですか?】
【居るけどな。
竜ヶ峰に龍の女神様がいらっしゃる。
アリアナティ様だと名乗ってくださったよ。
堕神にされて欠片で今はユーレイなんだと。
だからライブ後に行くつもりなんだ】
【アリアナティ様……】
【知ってるのか?】
【サイ様が近くにいらっしゃる筈です。
フィアラグーナ様に確かめてください】
【あ~、龍だもんなぁ。
ん。確かめるよ】
上空で待機しているのを見つけた。
【サイ様、フィアラグーナ様はお目覚めでしょうか?】
【もうすぐ音楽だからと起きとるぞぃ♪】
〖何だよ理俱〗
【アリアナティ様――】〖母様がどうした!?〗
【――そうでしたか。
欠片状態ですが竜ヶ峰にいらっしゃいます。
ライブ後にご同行願えますか?】
〖行くぞ! サイ、頼む!〗【おぅよぉ】
〖だが……ふむ。
理俱よぉ、そっちで名乗ったんだな?〗
【はい。何か?】
〖普段は愛称の『アルテメーア』を名乗ってたんだ。
素性を隠す為か、記憶の欠落なのかを確かめないとな〗
【アルテメィア様がいらっしゃるのをご覧なのかも……勝手な想像ですが、とても強い方だとお見受けしましたので】
〖可能性はあるな。
紛らわしいから師を立てて、か。ふむ〗
【理俱殿よぉ、マーズが集まっとるぞぃ】
【あっ! ありがとうございます!】
慌てて分身達を回収して瞬移した。
月の女神様探しは続いています。
男神様も居るようですね。
リグーリ大忙しです。




