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ハーリィとルロザムール



 オニキスとウィスタリアは輝竜兄弟を家に運んだ後、きりゅう動物病院の処置室に戻り、青生を診察台に横たえた。


【起きねぇな……】つんつん。


【本体をしていたので疲れたのでしょう】

治癒を当てている。

【あ、そういえばモグラは?】


【逃げてすぐトリノクス様がモグラ縛ってた鎖みたいなヤツ滅したらどっかに。

 一緒にオフォクス様の社に、って思ってたんだけどなぁ。

 んで、話しかけたかったんだが、ショウの中の皆が苦しみだしてすぐに意識なくなって……】


【そうですか……】


【オレがモグラの方 向いた時、何があったんですか?】


【一瞬の出来事でした。

 敵神が空いている手から黒い塊を放ったのです。

 おそらくオニキスの動きを止めるべく背に当てようとして。

 私には、それが禍に見えました。


 それをショウが網を広げて捕らえたのです。

 ショウの網は神力封じ。

 禍にしろ、術に依る何かにしろ神力です。

 抜けられる筈なんてありません。


 ですが抜け出たのです。

 シュルシュルと蛇のように細長く。

 そしてショウのお腹に噛みつき、傷口に頭を突っ込もうとした時、私が放った破邪が達したのです】


【そっか……アイツ、ナンかイッパイ持ってるような気がするんですけど……】


【そうですね。

 捕らえた獣神から力を奪い、水晶に込めて使っているようです。

 それに、禍や毒も水晶に込めて持っているのでしょう。

 そのような発動術は、全て古来よりの禁忌だと思うのですが……】


【アイツ、逃げたんですよね?】


【はい。獣神の力で自身を護り、破邪炎を防いで逃げたのです】


【ったく腹立つなぁ。

 ムカッ腹立つ!】


【先ずは水晶を全て奪わねばなりません。

 彼奴が再び現れる迄に策を練らねばなりませんね】


【オフォクス様がお戻りになられたら相談しよう!】


【そうですね。

 あ、バステート様にお会いしました。

 一緒にお話し致しましょう】


【来てたんですね♪】【はい♪】「ん……」


【あ!】【青生父様!】ワン!×2。


「あ……俺は……?

 もしかして、また欠片の龍神様が出ていらしたのかな?

 うん。傷も治っているし、手伝ってくださったみたいだね。


 ウィス、オニキス。

 ショウを運んでくれてありがとう」

2匹を抱き寄せて背を撫でた。


【父様の手だ~♪ あったけ~♪】

【そうですね♪ 優しいですね♪】



―・―*―・―



【ウンディは無事に結界に入ったが……アレ、どーする?】


ディルムが上空で騒いでいる集団を見つつリグーリに尋ねた。


【ディルムの上司なのだからディルムが助けるしかないだろ?】


【嫌なんだよなぁ……】


【今後の為に恩を売っておけよ】


【仕方ねぇなぁ――あ、ハーリィ】

【珍しいな、降りて来るなんて】


【若い再生神達が あの騒ぎに怯えて仕事にならぬのだ。

 あれは何事だ?

 全て死司神なのだろう?】


【モグラ、知ってるか?】


【怨霊の、か?】


【そうだ。ウチの最高司がモグラを捕まえようとしたんだが、逆に操られちまった奴らが、最高司と一緒に居た俺の上司を囲んでるんだよ】


【助けぬのか?】


【操られてる奴らは全力攻撃なんだよ。

 だから様子見――ん? ハーリィ、この話し方にスンナリ入ってきたな?】


【下の様子を見つつ降りて来たのでな。

 禁忌ではないと聞こえた。

 それでディルムの上司とは誰――まさか! ルロザムール様か!?】


【【知り合いなのか?】】あんなのと?


【私が浄化域で修行していた頃の指導神であり、最初の相棒となってくださった人神様だ。

 人神でありながら獣神を理解している聡明な男神様であったのに……】


【今は人神全てが敵神に操られてるからな。

 ハーリィの知るルロザムールじゃねぇよ】


【しかし、そうであれば早急に解いてやらねばならないだろうな。

 きっと神力が高くて聡明だからこそ敵神に拐われて、間抜けな補佐なんかにされたんだろうからな】

死司の2神は頷き合った。


そしてディルムが肩を竦める。

【弟の大事なダチなら仕方ねぇな。

 そんじゃあ助けに行ってやるよ!

 お前らは離れてろよ。エィムもなっ】

気を整えダンディを纏うと、今来たとばかりに姿を見せ、騒ぎへと突入した。



【ハーリィ様、ミュムは――】


【変わり無い。互いに案じているのだな。

 この話し方で呼び、永遠の樹で会えばよい。

 私は許すがリグーリは?】


【勿論じゃよ。友は大切にせねばのぅ】

騒ぎに目を向けると、ディルムが上司とその配下を突飛ばし、何やら叫んで行けと手を薙いだ。


ルロザムールの手を引いた配下が返事をして、2神が消えた。


ディルムからの光に包まれた死司神達の動きが止まる。


【残りは全て眠らせようとしているのか?】

【みたいじゃな。手伝うとしようかの。

 エィムは動くなよ?】

ニヤリとして瞬移した。



「リグーリ様って……」ぼそっ――


そのリグーリが水晶玉を掲げると、死司神達は あっけなく吸い込まれた。


「ただの爺様だと思っていたけど……」


戻って来た。

「今日はもう教会に戻って修行じゃ」


「はい! お願い致します!」


 目標にさせて頂きます!



―・―*―・―



 山に戻ろうとしたバステートだったが、誰かに呼ばれているような気がして、黒猫の姿で東の街を駆けていた。


 この辺りだと思うのだけれど……?


速度を落とし、探りながら歩いていると人の声が聞こえた。


 生き人とユーレイ?

 祓い屋なのかしら?


植え込みに隠れ、聞き耳を立てた。



〈それにしても何だったのかしらねぇ?〉


〈サッパリ分からないわ。

 大急ぎで来たのにぃ〉


〈でも何事もなくて良かったわ~〉


〈そうね♪〉

【バステート……】【カツェリス姉様♪】


【え? バステト様?

 それとキャティス?】


【姉様♪ 私、曾孫ちゃんの中なの♪】

生き人の身体が淡く光った。

【このコ達は、堕神な私の姪と曾孫♪

 私、生きていた頃からバステト様の欠片を集めていて、今は姪と曾孫ちゃんが集めてくれているのよ。

 でも滅多に見つからないのよね。

 だから姉様も集めてね♪】


【キャティスは、ずっとそこに?】


【そのうち分離するわ♪

 でもまだなの。

 まだ離れる時じゃない、って感じるの。

 寿(よし)ちゃんが、あと少し力を戻したら離れられると思うわ♪】


【寿ちゃん?】


【私を封じる器にされちゃった人魂(じんこん)なの。

 繋がりが切れないのよね】


【私も子猫の魂を持ったままなの。

 実は切り離せなくて……】


【でしょ? でも共存も良いと思うの♪

 寿ちゃん可愛いから♪

 姉様は……さっきのクサい奴を追って降りて来たの?】


【私も堕神にされ……今はオフォクス様の所に居るのです。

 先程は胸騒ぎから確かめに来たのです】


【さっきのクサい奴ね、たぶん私を堕とした奴よ。記憶は抜かれてるけど。

 私、きっと奴の秘密を知ってしまったのよ。

 まだ事を起こす前の何かをね。


 祓い屋の寿として生きていた頃からずっと、接触した堕神や欠片達から神世の様子とか聞き出していたの。

 数は多かったんだけど、なかなか思い出してもらえなくて大変だったのよ。

 でも根気強く聞いたわ。

 現王についてもね。


 傲慢で横暴で腹黒い王と、脱け殻の王。

 纏めると、その2本柱よね。

 腹黒王が、さっきの奴じゃないかしら?

 脱け殻王はティングレイス自身なのかも。

 ただの想像だけど、2神で王をしているんだと思うのよね】


【やはり……】


【姉様も、そう思ってた?】


【いえ。すっかり騙されていました。

 ですが、辻褄が合いました。

 玉座簒奪は彼奴なのですね……】


【簒奪かぁ。しそうなクサさよねっ♪】


【怨霊モグラを使って簒奪したのです。

 先程は……反旗を翻したモグラを捕らえに来ていたのですね……】


【モグラさん……元に戻れたのなら護ってあげないとね。良い人なんだから】


【知り合いなの?】


【知り合いの知り合い。

 寿ちゃんの先生の相棒だったらしくて、有名な祓い屋だったそうよ。

 怨霊にされてしまうなんて……可哀想……】


【モグラはマリュースの器だったの。

 だから何としても護ります】


【そうなの!?

 だったら私も頑張るわ!】



―・―*―・―



 瑠璃のスマホが着信を告げた。


「澪か……」画面を確かめたが仕舞おうとした。


「出て? 私は……」台所へ。


「聞いても構わぬが?

 澪、どうした?」


『ショウが居ないの!

 首輪が外れていて!』


「ふむ。捜すから落ち着け」

と話している途中で見つけた。

〈青生、ショウは どうかしたのか?〉

〈うん……何かの中毒なんだ〉

〈澪と行く〉

〈うん。お願いね〉


「澪、迎えに行く。待っていろ」切った。

「小夜子、少し出るが大丈夫か?」


「ええ。澪がどうかしたの?」


「ショウがウチに運び込まれたらしい」


「って病院に!?」


「そうだ」


「早く行ってあげて!」


「青生が治療している。大丈夫だ。

 今夜は此処に泊めてもらってよいか?」


安堵を浮かべて頷いた小夜子の肩に触れ、

「ついでに着替えを持って戻る」

ぽんぽんとして、外に出た。







ハーリィはディルムの弟で黒豹です。

再生域に潜入していてミュムの師です。


親はマリュースとバステート。

マディアと同じ日に生まれました。


オフォクスの子、ロークス・ラナクスと仲が良くて話し方も似てしまいました。



龍以外の四獣神の子達は、龍の子達が護りに連れて行かれる直前にマヌルの里に預けられます。


ハーリィは その後、修行の旅に出、再生神となっていたアーマルの弟子になり、そのまま再生神となりました。


ドラグーナの近衛団を結成したアーマルの不在を隠していたのもハーリィだったんです。


獣神狩りが始まって一旦は再生域から逃げたものの、姿を変えて再潜入し、今に至ります。

再潜入時の指導神がルロザムールだったようです。


ついでに、ですが。

ディルム・ハーリィの姉チャリルはマリュース譲りの紫獅子で、魂生(こんせい)域に潜入しています。



大怪我をした上に、蛇神毒を受けてしまったショウ。


行方が分からなくなってしまったモグラ。


逃げてしまった敵神ナターダグラル。


そして月は?


利幸と勝利も放ったらかしですね。


そろそろ纏めます。



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