輝竜家は若者だらけ
〖キャンプーはダメでっしょーーーっ!!〗
〖謝ろうとしていただけだっ!!〗
〖それでもイキナリ現れちゃダメッ!!〗
小さな馬を前足で押し潰している象という状態の塊が消えた。
【主様、お任せしておきましょう】【然うだな】
ガネーシャが居ないと気付いて追った理俱に呼ばれ、防護盾になっていた御老公と助さん格さんは後ろに頭を下げてから消えた。
第二の盾、ケイロンとオーディンが振り返る。
〖もう大丈夫ですよ〗〖ご案じ召されるな〗
【……ありがとうございます】
アステローペはアルテメィアの魂頭部を震える手で抱き締めた。
―◦―
慎也として外に戻った理俱は、寧宜と目が合ったので会釈して瞬移した。
――桜と空が浄化ピッカンしたところだった。
【今日の班分けは?】既に紫マーズ。
【あれれ? 理俱師匠お休みでしょ?】
黒が2人を掴んでいて次へ瞬移。
【親娘の再会に水は差せないだろ】
追い掛けると、もう次へ。
【そっか】ピッカン☆ 黒に連れ去られる。
【今日は俺達班が高速浄化で、青生兄班が神楽と祓い屋さんしてるの~♪】
話しながらピッカンして次でもピッカン☆
【青生班の方が多いんだな】
青生 紅火 藤慈が夫婦で参加している。
確認している間に次へ。
【コッチは黒瑯兄が移動係さんなの~♪】
ピッカン☆ 移動。
【供与もしてるだろっ!】【してるねぇ】
ピッカン☆
【それなら移動係は任せてもらおう】【おう♪】
黒ごと連れて瞬移。
【お腹空いた~】
【供与 要らねぇのかよ!】【オヤツ~♪】
ピッカン☆ 瞬移。
【リーロンに言えよな!】 【言った~♪】
ピッカン☆ 瞬移。
【ほらよ♪】【ドーナツだ~♪】るんっ♪
ピッカン☆ 瞬移。
忙しいリーロンはソッコー帰った。
こんな調子でジャンジャンバリバリ落書きを消していた。
―・―*―・―
金錦は春休みなのに特別講義の真っ最中で、白久は一仕事 終えて瞬移で帰宅したところだった。
先日、尾張でのサイン会の最中に金錦に掛かった電話は、この特別講義の依頼だった。
白久が大部屋に入ると極めてナチュラルに空間が拡がった。
へぇ~♪ 流石、狐儀だな♪
元々の広さを知らなければ気付きようがない。
なので集められている若者達は何も不思議には思っていなかった。
その騒がしい集団の前に立つ。
「静かにしろ~。
此処は中渡音。俺は輝竜 白久だ。
かつては『櫻咲の白久』と呼ばれていた。
お前らをマーズから預かったからな、当面の衣食住は任せろ。
で、目指す生き方、目標とか希望とかが見つかったら卒業してもらう。
この人数だからな、当面は大部屋で雑魚寝になるが我慢してくれ。
数人足りないのは治療が必要か、魂を浄化しなきゃなんねぇからだとマーズから聞いている。
無事だから心配するな。
で、最初に確認だ。
生きたいか、そうでないか、だ。
こんなのは嫌だという者は立て。
ただし元の場所に戻すなんて選択肢は無い。
街のゴミ扱いされていたくらいは自覚あるだろ?
戻したら迷惑千万だからな、生きるのをヤメてもらう」
「殺すってか?」
「死んでもらうだけだ」
『俺が話していいか?』白久の背後から。
「身を以て知ってるからな♪」
「そーだけどな」
廊下から覗き込んだヤマトが白久と並んだ。
「俺はホドコシを受けたくないから殺せと言ったんだ。
そしたら死神に雪山と深海、どっちかを選べと言われた。
どっちでもと言ったら雪山に一瞬で連れてかれたんだ。
で、凍死した。
ミコトが来て、謎生物な女神様が来て、ミコトが頼んでくれて一緒に助けてもらえたから今こうして生きてる。
つまり死体が見つからない場所に放置してくれるんだ。
誰にも迷惑かけずにアノヨ行き。
ソレ選んでもいいけどな、俺は生きてて良かったと思う。
エラソー言ったけど、よく考えてくれ」
サッサと出て行った。
「ヤマトが話した通りだ。
止めはしないから望むなら立て」
「死神ってマーズか?」
「じゃねーよ。本物だ。
魂を連れてってもらわねぇと、残したら災厄の元になるからな。
今、俺の頭がイカレてると思ったヤツは立て。
連れてってもらうからな」
ザワザワするばかりで誰も立たない。
「どっちなんだよ?
立つか静かにするか選びやがれ!」
静かになった。
「信じてもねぇし、死にたくもねぇか。
因みに此処から逃げ出せば指名手配だからな。
それだけの事はしてきてるだろ?
俺が保護してるから捕まらねぇってだけだ。
逃げ切ればいいと思ってるだろ?
追うのはマーズだから無駄も無駄な悪足掻きだ」
「監禁!?」
「それだけの事をしてきただろーがよ。
ただしムショよりは自由だしメシは旨い。
風呂も何時でもだ。
かなり良質な監獄だ」『また随分と集めたな♪』
「メーア!?」7割くらい。
「なんの話してるんだ?」
「此処は監獄だって話だ♪」
「天国の間違いだろ」
「ありがとな♪」
突然のドイツ語にキョトン顔が並ぶ。
「メーアはドイツ人だ。トーゼンだろ」
「じゃなくて白久サンがドイツ語!」
「話して悪いかよ。メーアとはマブだからな♪」
心話でも重ねる。
「心の友だよな♪」ご機嫌で肩を組む。
「で、続きだが、櫻咲は進学校だ――」
『しかも白久君は煌麗山大学の医学部を卒業した博士です』
〈ナンでわざわざ分身で!?〉
〈メーアを連れて行かねばなりませんので〉
襖で見えなかった白儀が入って来てニッコリ。
「フリューゲル&マーズ事務所社長の白儀です。
メーア、そろそろ次に参りましょう」
「おうよ♪」一緒に出て行った。
「あ~、ま、この家はフリューゲルが邦和に来てる時は寝泊まりしてる。
マーズも よく来る。
神やらユーレイやらも来る。
常識の外に在る家だ」
『そうだね。
見聞を広げるには最適の家だよね』
白久の頭上を見て悲鳴やら何やらで大騒ぎだ。
「だから神様だよ! 龍神様だ!」
「ドラグーナが出たからだぞ♪」
「パニックじゃねーかよ♪」
今度は喋る犬だと大騒ぎ!
もちろん白久の頭に乗っている。
「拍車が掛かったじゃありませんか♪」
ドラグーナ、兄達にニコニコ。
「だから言ったろ!!
此処は常識の外なんだよ!!」
『で、僕は帰っていいの?』
「今かよ!?」
「ずっと待っていたんだからね」
天井近くに現れた、見るからに死神が大きな三日月鎌をギランと構えた。
もう大パニックだ。
〈お~い神様達~。
フザケないでくださいよ~〉
〈でも白久の言葉を全く信じていないからね〉
〈〈だよなっ♪〉〉〈不穏は世の害ですから〉
〈あ~ったく! ありがとーございます!〉
なんだかんだって楽しそうだ。
―・―*―・―
ルカのチームを離れていた90人と、赤鬼お兄さんことタイガのチームを離れていた100人程は和館の2階に集められていた。
つまり本館の大部屋に居るのは200人程だ。
「ふむ。皆、生きていたいのじゃな?」
「皆は既に抜けておったのじゃから帰りたくば帰ってもよいのじゃぞ。
如何する?」
此方は狐面くノ一な姫達が説明していた。
「帰りたい者は立てばよい」
「苦しゅうないぞ。思いのままにじゃ」
誰も立たなかったが手が挙がった。
「「申してみよ♪」」
「ウチは家に帰ってました。
連絡してもええんですか?」
「手紙でも電話でも好きにせよ♪」
「会いたくば連れて参るぞ♪」
「そんなら会うて勉強しに行くて話します」
「「うむ♪」他には?」
「マーズの音楽が聴きたいです!」
「うむ♪ CDでよいのか?」「はい!」
「ならば後程のぅ」
「マーズに会えるんですか?」
「会えるじゃろぅのぅ♪」
「フリューゲルとも練習しておるからの♪」
嬉しそうに座ったまま弾んでいる。
この集団は滞在を喜んでいるらしく順調だ。
―・―*―・―
『キャンプ~落ち着いた?』
ガネーシャは また人姿女神で、ぐったりなキャンプーを膝に乗せて撫でている。
『もう行かぬ。会わぬと約束する。
その……すまなかったな』
『解ればいいから~♪』
『解いてはくれぬのか?』神力封じ。
『も~少し このままね♪』光で包む。
『浄化? 何故?』
『呪の術者に近づいたら活性化しちゃうよね~』
『そ、そう、か……』
『ボクに隠し事なんて出来ないんだよ~ん』
『ぅ……』
『でも嫌いになんてならないからね♡』
『ぅうっ……』
『そ~だ♪ また神の湯に行こっ♪』瞬移♪
――ちゃぷん♪
『い~い湯だよね~♪』
『だから身体を隠せっ!!』
『ボク達だけだから~♪』『だからだっ!!』
『まだ慣れないの?』『獣姿になってくれ!』
『仕方ないなぁ』ぽよん。
『その色……どうしたのだ?』赤寄りのパステルパープル?
『ん? あれれ~?
でもカワイイからいっか♪』
『呪であったならば如何にするのだっ!?』
『心配してくれるんだ~♪
だったらいい~♪』
『親友としてだっ!!』
『それでもいいの~♪』
『呪か否か見て頂かないと!』
『ボクは不可侵♪ 呪じゃないよ~ん♪』
『それでもっ!!』
『じゃあ夫として愛の力で解呪して♡』
『ヤカマシイわ!!』
『ボク幸せ~♪』
『ウルサイ!!』
〖アステローペちゃん聞こえてる?
こ~んなキャンプ~知らないでしょ♪
と~っても楽しんでるんだよ~ん♪
だから安心してね~♪〗
【本当に……愛でのご結婚をなさったのだとは伝わりました。
……ありがとうございます】
〖うんっ♪ アルテメィア様、どう?〗
【はい、間もなくお目覚めになられるかと。
ご自身でも神力を保つ為に眠りを掛けられておられましたので、月で習いました術で解いてみました。
お導き、ありがとうございました】
〖良かったぁ~♪ ね、姉妹共鳴は?〗
【あっ……共鳴しています!
確かに! 複数!】
〖やっぱり~♪ ゆっくり探してね~♪〗
【はいっ!
どれほどお礼を申し上げればよいか――】
〖キャンプ~のでチャラにしてもらえる?〗
【――あっ、はい!
その呪、解かせてください!】
〖あっりがと~♪〗
ヤマト達の時は40人程でしたが、今度は400人程。
リーロンは その食事対応で大忙しです。
ゲンブやルカのようにオーロザウラの器だった者や、怪我や病気のある者はキツネの社に残されています。
ガネーシャの色は本当に問題ないそうです。
シヴァ様は『象神ですから』と笑みを浮かべていましたので。




