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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第34章 落書き消しと月の女神探し
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月星の女神アステローペ



 マーズに保護された若者達は輝竜家で食事と風呂を済ませると、稲荷山の北斜面中腹に堅固で成した浄化の為の社に運ばれた。


 そして神達に眠らされて浄化を受け、爽やかな朝を迎えた。

「起きろ~朝メシだぞ~」

そんなにイカツク早朝ではない。

彩桜なら3度目の朝食を終えた頃だ。


 次々とムクムク。

眠い目を(こす)る者、伸びをする者、もう一度 寝ようとする者、様々だ。

「起きた者から運んでもらうからな!

 布団は そのままでいいから外で顔を洗え!」

大勢が動く雑音に負けないように叫ぶ。


『はい!』という返事も聞こえたが、殆どが無言で外に出た。


「寝てたいなら好きなだけ寝てろ!

 昼メシ迄には起きろよ!

 全員が聞ける状態になったら説明するからな!

 そんじゃあ俺は仕事に行くからな!」

広いし騒がしいので叫び続けだ。


「で、誰?」


「俺かぁ? 俺は櫻咲の白久だよ。

 ま、浪花のヤツは知らんだろーがな」


「知ってるて!」「有名人やん!」

慌てて起きる者 続出だ。


「そんじゃあ青と赤と藤、コイツら頼んだぞ」

「「「お任せを」」」

白久は外に出た。


「昨日と同じ、忍者移動で輝竜家に運ぶからね」

顔を洗って戻った者達を囲んで瞬移した。



―◦―



 外に出てから瞬移した白久は山の社に居た狐儀を捕まえた。

「尾張のヤツら連れて来たのは狐儀だろ?」


「そうですが何か?」


「ま、あの不穏じゃあ解らなくもねぇけどな。

 それはそれとして、和館を拡張してくれ。

 隠し社みたくしてくれよ。

 400人近くになっちまったんだからな」


「確かに。では外観はあのまま、4階建てにしましょう。

 本館も空間を増やしますね」


「お♪ ソレで頼む♪」



―・―*―・―



「なんだか……騒がしい?」

アトリエの2階で勉強中の純玲(すみれ)が手を止めて本館の方を向いた。


「またマーズに助けられた人達じゃない?」

「きっと そうね♪」

夕香と銀河(さらら)が微笑む。


「マーズって……人とは思えない。

 善の塊で、欲も無くて……やっぱり神様?」


皆、顔を上げて頷いた。

「だと思うけど、心の中だけで言ってね」

「フツーに人してたい神様だからなっ♪」


「それは思うだけにして勉強しないの?

 今日も明日も午後はイベントの手伝いなんだからね」


「だな♪ 凌央、ここ頼む♪」


「また?」


「次のテストは足引っぱってるとか、凌央に言われたくないからな♪」


「確かに引き上げないといけないね」



―・―*―・―



 慎也は沙織を連れて、鳥を感じる月の女神が居る北の大地に来ていた。

「あの山の麓にいらっしゃいます」


「まだ雪深いのですね。

 父は何をして暮らしているのでしょう?」


「自給自足でしょう。畑がありました」


「雪の下ですよね? あ、神眼ですね?」


「はい。探っていると女神様は逃げてしまわれました。

 今は、いらっしゃいます。お父様も。

 会いたくなければ此方でお待ちください」

今は山を遠くに見る町の中だ。


「いえ。ワタクシも参ります」


「では、もう少し近くに」連れて瞬移。



――雪しか見えない場所。

「町は……山の向こうなのですね?」


「そうです。近くの人々ですら見えない山間で暮らしているのです」

【お逃げにならないでください!

 彼女は本浄神社の巫女です!】


【私は……あの男神(おとこ)が居る所には参りません!】

女神の怒りを込めた無数の(いかずち)が雨の如くに降る!


【輝天包囲! 不通防壁!

 お待ちください、お話しを――狐術堅固!!】

本気攻撃なので防壁が破られると感じて沙織を庇って防護術を重ねた。

「沙織さん、町に戻ります!」「はい!」

防護を維持し、瞬移しようと――『沙織?』


男が居た。

足跡が無いので瞬移して来たのだろう。


〈沙織……なんだね?〉


〈お父様ですか?〉


〈そう名乗れるとは思っていないよ〉

自嘲を口元に浮かべて視線を落とした。


女神からの攻撃は止んでいた。


寧宜(やすよし)。帰ってよいのですよ』


「それは……」

「ワタクシは女神様をお迎えに参りました!

 どうかお社にお戻りください!」


『沙織。私が月に逃げた経緯を知らないのでしょう?

 私が唯一 憎む男神が居る場所には近付きたくありません。

 社には、沙織を護っている、そちらの方に入っていただきなさい』


「きちんと謝罪していただきますので、どうかお戻りください!」


「沙織さん、私が話してみます」背に庇う。

【アステローペ様。

 私は経緯をハーリィから聞きました。

 ハーリィとは兄弟の如くに育ちましたので。

 聞き出した断片的な話から、その男神様がキャンプー様ではないかと考えております。

 アステローペ様には近寄らせません。

 どうか どうか本浄神社にお戻りください】


〖そう……それでハーリィは?〗

淡く姿を見せた。


【再生神をしております。

 お望みでしたら呼びますが?】


〖いえ……〗


【そうですか。

 ハーリィは会いたがっておりましたよ。

 結婚したのを報告したいのでしょう】


〖貴方は沙織と結婚するのですか?〗


【望んでおります。

 ですが彼女が成人する迄は待つつもりです】


〖その祝福は私がいたしましょう。

 沙織の神力が十分でしたら絆も〗


【ありがとうございます】


〖それは約束します。

 またお出でなさい。

 寧宜を連れてお戻りなさい。

 お社をお願いいたします〗


【それは困ります!

 私は死司神ですので人世に長居は出来ません。

 どうかお戻りください】


〖近寄れば、また呪ってしまいます。

 神として、そのようなことはしたくないのです〗


【キャンプー様は既に結婚なさっておられます。

 もう警戒なさる必要はございません】


〖それでも――〗〖ね、アステローペちゃん〗

現れた人姿ガネーシャが後ろからハグした。

〖ガネーシャ様? どうして……〗女神?


〖ボクがキャンプーの妻だから〗


〖シッディとブッディは!?〗


〖行方不明なんだ。

 小さな欠片なら見つけたんだけどね。

 ちゃんと見つかったら契婚(けっこん)でいいか確かめるつもり。

 ボクはキャンプーの妻で、シッディとブッディには夫するつもりだよ。


 キャンプーには謝らせるから戻ってあげてよ。

 もう1つ確かめてもらいたいのもあるし〗


〖何を、でしょう?〗


〖ボクはアルテメィア様を知らないんだよね。

 でも、噂通りな魂頭部(たまかしら)が眠ったままなんだ。

 どうにも目覚めないってケイロン様が何日も何日も いろいろ試してるんだ。

 確かめてもらえない?〗


【それだけを……確かめさせてください】

姿を確かにした。


〖決まりだね♪ 行こっ♪〗

頭だけを象にして皆を吸い込んで くっつけ、瞬移した。



――稲荷山。

『小屋は此処ねっ♪』ぽん♪

寧宜が暮らしていた小屋までも畑ごと運んでいた。

『で、アステローペちゃんはコッチね~♪』

手を繋いで弾んで消えた。



「結局、俺は何も出来なかったな……」

つい、声に出てしまっていた。


「いいえ。怒りで雷を降らせていた女神様とお話しできました。

 それに――」父に微笑み「――お帰りなさいませ」


「でも僕は……今更、帰るなんて……」


「そう仰らず。

 お帰り頂かないと、年末年始の度に死神が宮司をしなければならなくなりますので」

「お父様。ただの家出ではないと、ワタクシは思っております。

 きっと、お婆様も」「鋭い方ですからね」

「はい♪」


「ただの家出だよ」『嘘はダ~メ』

声が先で、姿を見せた。


「ガネーシャ様、ご存知なんですか?」


『聞けてないけどね~。

 アステローペちゃんが離れたのは、キャンプ~の器くんが生まれたからでしょ。


 そもそも、あの社の地にはアルテメィア様の結界か何かがあったと思うんだ。

 今も微かに気が残ってるから。

 だから眠ったままの魂頭部で見ず知らずだけどアルテメィア様なんだろ~な~って思ったんだよね。

 その地に戻るかもって居着いて、拠点にしてアステローペちゃんはアルテメィア様を探してたんだと思う。

 だから留守がち。

 見えていた寧宜くんは、その度に追ってたんでしょ?

 まただと思って追っかけたら、もう帰らないとか言われたんでしょ。

 ほっとけないから帰れなかったんでしょ?』


「月星の女神様は僕を鍛えてくださって……帰れるようにと瞬移をお教えくださいました。

 ですが僕は……」『あなた……寧宜さん』

ハッとした寧宜が姿を求めて見回す。

織姫(おりひ)、どこに居るんだい?」


沙織によく似た女性が淡く姿を見せた。

「私の体が弱かっただけなのですから、ご自分を責めないでくださいな。

 沙織……すっかり娘さんね。

 育てられなくて ごめんなさいね」

ゆっくりと姿を確かにしていった。


「お母様……なのですね?」


母は微笑むばかりだった。

父も そうだったが、育てていないのだから親だとは名乗れないと瞳が語っていた。


「こういう時は飛び込まないと♪」トンッ。


「珊瑚様?」背を押されて数歩前へ。


「うん♪」「珊瑚の言う通りだな」

今度は慎也が優しく背を押して歩く。

「飛び込むべきだ」


寧宜の方はガネーシャが押している。


【おいエィム、姿を見せたらどうだ?

 母親を近付けてくれ】【……はい、お師匠様】



 そうして、ようやく躊躇(ためら)いがちな両親の手が娘を包み込んだ。

父も母も娘も無言で、泣いているようだが確かに幸せそうだった。



【お師匠様も入っては?】【おいおい】


【あれれ? ガネーちゃんは?】


【ん?】【いらっしゃいませんね……】







やっと月の女神様登場です。

1神様目でビンゴでしたけどね。

アステローペ様が本浄神社を離れたのはキャップーの器・竜騎が生まれたからです。


なので沙織には父の記憶は朧気にしかありません。

沙織の母は産後の肥立ちが悪く、亡くなったので沙織には全く記憶がありません。


父・寧宜(やすよし)にとっても幼い沙織しか覚えていませんので、妻に似ているから娘なんだろうと考えただけなんです。


さて、マーズは?

中国地方で落書き消し真っ最中です。

午後は備前でイベントの予定です。



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