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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第34章 落書き消しと月の女神探し
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悪神魂片一斉覚醒



『ここから出せ!! 全部 教えろ!!

 マーズだからなんだろ!! 隠すな!!』

メグルは叫ぶだけでなくドアを蹴ったり殴ったりと大暴れしている。


「支社長、これではお客様を3階にご案内できません」


「静かにさせるから少しだけ待っててくれ」


「はい。では会議室でお待ちしております」


 ミツケン営業所の地下は駐車場、1階から3階までがショールームで、上階では営業2課と住改課や設計部等の関連部所から来ている者達が働いている。

会議室やらは最上階だ。

 ショールーム各階には商談室が複数あり、3階の1室にメグルは閉じ込められたのだった。

閉じ込めには金マーズと銀マーズ(黒瑯)が協力してくれたが、青マーズが動いている件が急ぐからと離れてしまった。


【紅火~、チョイ来てくれるかぁ?】


【む】赤マーズのまま現れた。【ふむ。堅固】


ドアから結界ごと掌握で押し離されたメグルは閉じ込められても暴れ叫び続けている。


【相殺消音は青生か彩桜に頼んでくれ】


【おう♪ ありがとな♪】【む】瞬移。



「ったくウッセーなぁ」ボソッ。


【静かにさせますね】青マーズが居た。


【ありがとな♪ 浄破邪も頼む!】


【昇華光明煌輝。

 相殺消音、治癒眠、滅禍浄破邪】

もちろん人用だ。

感知されては元も子も無いので白久は双璧しなかった。


ピタリと静寂。やれやれだ。


【なぁ青生、アレ弱禍なのかぁ?】


【いいえ。オーザンクロスティです】


【ゲ……まさか理子(あやこ)に?】


【親戚中に微細魂片を込めていますよ。

 過去に親族の集まりなどで込めたんじゃないでしょうか。

 どうやら明確な目的があった訳ではなくて、将来、何かの役に立つだろうくらいの軽い理由です。

 今、それらを金錦兄さんと黒瑯に協力してもらって回収中です。

 全て目覚めていて神力を高めようとしていました。

 メグル君のは神力十分だと動き出したんでしょう】


【ナンで一斉に?】


【山辺のオーラマスクスが呼び掛けた後、ご親戚の皆さんは結婚式で元凶な理子さんが近くに居た事で拍車が掛かって早まったんでしょうね。

 相乗効果で発動してしまったんですよ】


【あ~、全部 目覚めさせたとか言ってたなぁ】


【はい。ですから、ご親戚でない人達も いずれは目覚めて活動するでしょうね。

 彩桜がもうすぐ合流してくれますので、今日の回収は早まると思います。

 午後からは浪花府で握手会ですから、間に合うように動きますよ】


【で、いつ気付いたんだぁ?】


【地下駐車場に来てから探りました。

 神眼で探る黒瑯を浄破邪しつつね。

 その後、俺だけは離れて紗桜家の情報を拾知してから魂片回収を始めたんです】


【青生が離れてから兄貴と黒瑯が来てくれたんだな。そうか】


【白久兄さんは会議に出席してくださいね】


【おう。俺も昼には間に合わせる】


 神と認められる輝竜兄弟の獣神秘話法なんて微塵も拾えないメグル(オーザンクロスティ)は消音された結界の中で喚き暴れ続けていたが、白久と青生は各々の場所へと移動した。



―・―*―・―



 東京のソラと響は、その話を寿(よし)から聞いていた。

理子(あやこ)さんを結婚式に招待したのは間違いだったんですね……】


【そうじゃないわ。

 何にせよ、いつかは発動したでしょうし、回収しなければならないのだし、良い機会だったと思うわよ】


【親族中って……そんな……】


【響? ショックだとは思うけどボク達も祓い屋なんだから冷静に動かないと。

 ヨシさん、響をお願いします。

 狙われるかもしれませんので。

 ボクは回収の方に加わります】


【置いてかないで!】

【響ちゃん、大きな騒ぎを起こす前に回収しなければならないの。

 親族相手に冷静になれる?

 戦わなければならないのよ?】


【響ゴメン! 離れてゴメン。

 買い物は明日行こうね】瞬移。



【ヨシさん、私……】


【他にも目覚めているらしいわよ。

 東京で事が起これば動かなければならないわ。

 備えて瞑想してましょ】


【そうね。私も祓い屋なんだから!】


【そうそう♪ その意気よ♪】



―・―*―・―



【彩桜!】【サーロンだ~♪ せ~のっ♪】

現れた空マーズの眼前に迫る男が居た。

【【滅禍浄破邪大っ輝雷!!】】


浄破邪雷に貫かれた男がブッ飛ぶ。

【堅固】

クッションな壁に包み込まれて止まる。


【昇華闇障暗黒、激天大闇呼吸着!】

男の腹から黒い魂片が抜けると同時に

【【昇華光明煌輝【滅禍浄破邪!】】】

桜 青が闇呼玉に入った魂片に、空が男に向かって放った。


【次 行こ~♪】【少しは休め】【は~い♪】

赤が堅固を解いて男を抱えた。


【彩桜、激天にしなくても吸着できそうだよ】


【そぉかも~♪ 吸引力マシマシ~♪】

セルフ回復治癒~♪ サーロンにも~♪


【掃除機みたいだね♪】【そぉかも~♪】

【回復治癒ありがと♪】【えへへへ~♪】


男を治癒で包んだ青が『行こう』と見回しついでに桜に回復治癒を飛ばしたので、赤から受け取った黒が男を社へと運び、他は次へと瞬移した。



―・―*―・―



 ヤ・メ・ロ……〈ヤメロ!!〉


《まさか目覚めるとは!?》


〈僕の身体で勝手するな!!

 こんなの許さないからな!!〉


《目覚めたとて動けぬだろう?

 その怒りも負の感情。

 我が原動力としてやろう》


〈止めてやる!!

 オバサンなんか滅してやるからな!!〉


《なっ――言うておればよい。

 身体を目覚めさせ、また暴れてやる。

 神への冒涜に対する報いを思い知るがよい》

耳障りな高笑いを響かせて魂の表面へと遠ざかった。



―・―*―・―



〈ケイロン様っ〉

隠し社の隅で瞑想していたジュールが異変を察知して目を開けると、ケイロンの姿が揺らめいていた。


《馬部分の器が危機に瀕しているようです》


表の社に居た黒瑯が瞬移して来た。

〈聞こえました。

 メグルの居場所なら知ってます。

 オレが対処しますので!〉瞬移!


シヴァ達が来た。

《支えましょう》《《勿論だ》》


大神達が続々と増えていく。

《オーディンとオフォクスは続けていてくれ》

《ケイロン様を支えるのはお任せください》



―・―*―・―



《目覚めてくれたお陰で神力が増したわ!》

『こんなモン破ってやる!!』《破解!!》


「させるかよ!」

結界に両手を当て【堅固に供与!】


『現れやがったな銀マーズ!』


「オレには口パクでしかねぇけどな♪」

破邪嵐舞(はじゃらんぶ)!!】


『うわあっ!!』

《銀は双璧だけの筈! 何奴!?》


「術なら覚えりゃ済むんだよバ~カ♪

 それにマーズは協力ってのも強いんだ♪

 だいたいオバサンこそ誰だよ?

 オレ達のメグル返せよな!!」

【昇華煌輝、浄破邪嵐舞撃!!】


【あ♪ そ~ゆ~クジあるよね~♪

 透明ドームの中でクルクルしてるヤツ~♪】


【言ってないで吸着してくれよなぁ】


【うん♪ や~っとオモテ出てくれたから~♪

 昇華闇障暗黒、激天大闇呼吸着♪】


【【昇華光明煌輝【滅禍浄破邪!】】】青 紺 空。


【あれ? (るり)さんも来たのか?】


【桜がウロチョロする故な】【俺なのぉ?】

【少しは無謀さを自覚しろ】【ほえぇ~い】


話している間に悪足掻きしていた黒魂片がメグルから抜け出て闇呼玉に吸い込まれた。


【金の兄貴と赤は?】 【来たが?】【む】

【ナニしてたんだよ?】


【黒が戻らぬので次をお社に運んだのだが?】

【俺は その次だ】

そして隠し社の様子を見、神力を注いでいた。


【あ~(ワリ)ぃ。藤は?】さっき見たぞ?


【メグル君を運んだよ。

 メグル君は自力で目覚めていたから回復が早いと思うよ】


【はい♪ ケイロン様も支えてくださいます♪】

戻った藤マーズ。


【そっか♪ そんじゃあオレも黒帯に戻すか♪】


【一瞬で真っ黒~♪】【悪いかよ!!】

【次行こ~♪】【今度は放置かよ!!】


笑いながら次々と瞬移した。



―◦―



 丁度その頃。

会議が終わり、白久は得た情報を纏めようと営業所内の支社長室に向かった。


「支社長、少し宜しいですか?」

呼び止めたのは営業2課長だった。


「どうぞ」ドアを開けて手で促す。



 応接セットに向かい合い、

「どうかしましたか?」

歳上の課長に穏やかな笑みを向けた。


「いえ、全く個人的な事なんですが、お礼を申し上げたくて」


「お礼? 何かしましたか?」


「先日、予備校の帰りに息子が いかにも悪そうな他校の生徒達に囲まれたそうなんです。

 ですが、その中の1人が『櫻咲だ。ヤメだ』と仲間を止めて去ったそうなんですよ。

 不思議に思った息子が、その高校に進んだ同級生に尋ねると、『伝説のアタマの母校だから』だと教えてくれたそうなんです。

 ですので、ありがとうございます」


「そんな、お礼だなんて。

 ただの黒歴史ですからぁ。

 ですが、今の高校生達も そんなふうに思ってくれているのなら目を光らせておきますよ」


「ありがとうございます。

 足止めした上に仕事を増やしてしまい、申し訳ありません。

 議事録は支社に届けますのでマーズに加わってください」


「社の皆さんのご協力あってこそ私はマーズとして動けています。

 ですので私の方こそ感謝しきりですよ。

 ありがとうございます。


 少年に憑いていた悪霊も兄弟が祓ったようですので、次に行かせて頂きます。

 お騒がせして申し訳ございません」


「私は牧場イベントからのマーズファンです。

 どんどん活躍してくださる事こそを望んでおりますよ」


「ありがとうございます。では失礼致します」

瞬着替えした銀マーズはペコリとして瞬移した。



「本当に……支社長は忍者だったのか……」

目の当たりにした課長は呟いて、嬉しそうに支社長室を施錠した。







確かに『他全てを目覚めさせた!』とか何とか言ってましたよねぇ。

まさか理子が親戚中に魂片をバラ撒いていたなんて……ホントとんでもないです。


この日は浪花でイベントです。

間に合うのかマーズ!? です。



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