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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第34章 落書き消しと月の女神探し
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尾行される探偵団



 そしてソラと響が東京に行く朝。

カケルについて あまり詳しくは聞いていなかった華音(かのん)が奏を大層 心配していたが、その説明は晃典(あきふみ)寿(よし)に任せようと予定通り出発する事にした。


 龍神様(ドラグーナ)の目覚め具合までは聞いていない(かおる)(てる)には、まだ目覚めていないとして話して出発すると、バックミラーに自転車で追って来ているメグルとサイトの姿が小さく見えた。


「何か用なのかな?」

心話の方が聞こえそうなので普通会話。


「そのコンビニで待つ?」

【普通に話すのも神眼で聞こえるかもだし、魂や神力を見ながら慎重に話さないとね】

獣神秘話法はターゲット限定可能なので使う。


「そうね♪」駐車場へ。

「じゃあ飲み物 買い足そ♪」「そうだね」



 しかし車に戻ってもメグルとサイトは少し離れた建物に隠れて待っていた。

「何したいのかな?」


「探偵団の仕事が見たいとか?」


「移動だけなんだけど~」


「もう少し様子を見る?」


「そうね。紗ちゃんのお母さんに発表会のを話しておこうかな?

 紗ちゃんにはお姉ちゃんからでいいよね♪」


「いいと思うよ」



 けれども その状態は戌井家から出ても同じだった。

「ずっと見てるね」時々神眼で。


「う~ん……じゃあ次は輝竜さん家?」


「本当に凄い人集(ひとだか)りだね。

 あんな行列になってるの初めて見たよ」

もちろん神眼で見ている。


「わぁ。車も行列ね」



 それでも行く。

メグルとサイトは すぐ近くの路地に隠れた。


【普通の会話でも聞こえちゃいそうね】

【そうだね。また演技だね】【うん♪】

【どうして楽しそうなの?】【女優♪】

【……始めるよ?】【まっかせて~♪】


「車、ここにはムリね……」

「うん。凄いね」

「祓い屋さんって実は大勢いるのね~♪」

「あれ? サイオンジ♪」


【探偵団が尾行されとるなぁよ♪】

【目的が分からなくて演技中なんですよ】

【そんじゃあオイラも役者すらぁな♪

 ま~だ龍神様の封印は開いてなくて、オイラ達の知識も夏くらいにしとくかぁ?】

【そうですね♪】


 飛んで来て後部座席に。

〈龍神様の お店が大盛況だぁよ〉

メグル達にも確実に聞こえる普通心話で。


〈薫ちゃんと暎ちゃんが宣伝しちゃったの〉


〈これだけ力が集まりゃあ開くかもなぁよ〉


〈あ……そうかもねっ♪〉


〈ユーレイ祓い屋にも宣伝するだぁよ〉


〈ユーレイもお買い物?〉


〈タダで霊体だけをくれるだぁよ。

 また込めりゃあええだけだってなぁ〉

手首の腕輪を見せた。


〈ソレなぁに?♪〉

【具現環に浄破邪と偽装だよね?】

【その通りだぁよ♪】【へぇ~♪】


〈戦い易くなるように、補助的な力を3つ重ねてもらっただぁよ♪

 キツネ殿が来てくれてなぁ〉拝む。

【今、赤虎様と狐儀殿、理俱殿も一緒に、せっせと作ってらぁよ♪】


〈落ち着いたらソラも重ねてもらいましょ♪〉


〈キツネ様が いらっしゃらないとダメなんでしょ?〉

【もう何重にも重なってるよ】【そうなの!?】


〈い~や、重ね方を教えとったぞ~〉

〈響お姉ちゃん♪ ソラ兄♪〉コンココン♪


窓を開け「彩桜クンいいの?」列を指す。


「兄貴達に替わってもらった~♪

 いっぱい宣伝ありがと♪」

【メグルとサイトに神眼チラチラ監視されてて落書き消し行けにゃいのぉ。

 二人とも祓い屋見習いってコトにしたのに満足してくれにゃいのぉ】

故にカタカナ呼び。


「賑やかになっちゃって大丈夫?」

【じゃあ少し離してあげるね♪】


【あっりがと~♪】

「だいじょぶ~♪

 注文いろいろ楽し~よ♪

 紅火兄すっごく張りきってるの♪

 な~んにも言わないけどねっ♪

 あ♪ 青生兄おかえり~♪」

【演技なのぉ。合わせてぇ~。

 マーズ疑われてて落書き消し行けにゃ~い】


【そう。困ったね】

「この騒ぎ……何?

 あ、天海さん、おはようございます」


「夜勤お疲れさまです♪」

「祓い屋さんが団体さ~ん♪」


「なら、紅火が大変だね。手伝うよ」


「俺も~♪ あ、コレ補充ねっ♪

 それじゃまた来てねっ♪ お幸せに~♪」

【青生兄、逃げよ~】【そうだね】



「また妖秘紙(ようひし)もらっちゃった♪

 大丈夫そうだから私達も行きましょ♪」

【早く離さないとね!】


「そうだね。

 サイオンジ、週末毎に帰ってきますので、まだまだご指導お願いします」

【マーズ疑いだったらボクもメグル君達が追えなくなるまで車に乗っておきます。

 龍神様が目覚めてないならマーズは無理だと思ってくれればいいんですけど……】

【ピッタリな演技だったね♪】【そうだね】


「いつでもだぁよ~♪」笑って消えた。

【オイラも上から見とくよぉ】


【【ありがと!】】



『白久兄、黒瑯兄!

 テキトーに書かないでっ!

 漢字ムリなんだから書いてもらって!

 金錦兄、藤慈兄 助けて~!』

壁のような行列の向こうから聞こえてくる。

既に落書き消しに出ている兄達が居るとしているのだろう。



「開けばいいのにね……」

メグル達にも聞こえるように心話にも乗せる。


「きっと開くわ♪

 あれだけの物なんだから今だけなんて有り得ないわよ♪

 きっと全国から祓い屋さんが集まるわ♪」

響も同じく。そして発進。



 国道に出てから もう一度、街の結界端 近くのコンビニの駐車場で打ち合わせようと止まった。

【自転車だから休ませてあげないとね~】

「教会にも寄る?

 エィムに離れるって言っといた方が良くない?」


「どこで呼んでも来てくれるんじゃない?」

【欧州で呼んでも来てくださったよ】


「あ、ソレ確かめないと!」【ホントに!?】


「そういえば聞いてなかったね。あれ?」

【目的は1つじゃないかもだから寄ろう】


「ん? あ♪ 困ってそうなユーレイ♪」

駐車場の隅、車止めに座って項垂(うなだ)れている。


「どうして喜んでるの?」

【探偵団もしてみようよ】


「おじいさん助けないとね~♪」

【そうね♪】車をおじいさんユーレイの方へ。


「また寄り道?

 街から出られないんだけど?」


「輝竜さんトコとコンビニに寄っただけじゃないの~♪」


「その前に戌井さん家でも挨拶したよ」


「そこは通り道だから~♪」窓を開ける。

〈何かお困りですか?〉



―◦―



 そうして昇る手伝いをし――

〈それじゃ呼ぶわねっ♪〉〈うん。お願い〉

――神呼びの鈴を振って〈エィム♪〉見上げた。


〈え?〉〈あら?〉〈エィム様?〉

〈随分おじいちゃんになっちゃったわね~〉


【なんじゃその初対面みたいな言い様は?】

【従弟とその友達に尾行されてるんですぅ】

【新入り居候じゃないか。困ったもんだな】

【合わせてください。【お願いします!】】


〈エィムは昇格試験に行っておる。

 話があるのならば教会で待っておれ〉

彼奴(あやつ)らに何か聞かせたいんだろ?】

【初心者講座みたいなのをお願いします!】

【初心者講座なぁ……】溜め息。

おじいさんユーレイを連れて消えた。



〈エィムを待てってコト?〉

【大喜びしてるわね♪】


〈どうだろうね。

 でも何にせよ行くんだよね?〉

【きっと踏み込みたいんだよ】


〈トーゼン♪〉

【たぶんそうね♪】



―◦―



 廃教会に入ってリグーリを待つ。


〈やはり待っておったか〉老死神が現れた。

【マジで初心者講座しろと? 忙しいんだが?】

マーズ不足な落書き消し真っ最中なので。


〈エィムは?〉

【でもお願いします!

 マーズも疑われてて動けないって~】


〈今日 戻るなんぞと言うたか?〉

【確かにな。午後には握手会もある。

 落書き消しが遅れると個神的(こじんてき)にも困る。

 何とかせねばな】


〈あらら~〉

〈では、代わりにお教え頂けるのですか?〉


〈ま、答えられる範疇ならばな〉

【考えを纏めるから待ってくれ】ったく~。



 リグーリがエィムとミュムの名も出して考え考え話していると、メグルとサイトはジワジワと窓下まで寄って、身を低くして聞き耳を立てていた。


〈――その通りじゃよ。じゃから――〉

言葉を止めて神眼を上に向ける。

【敵まで来やがった。上は任せろ。

 二人を此処から離してくれ】【【はい!】】


〈――まぁ、この後すぐに分かる。

 儂も疑われてしもぅては困るからの。

 そろそろ離れるぞ。では達者でのぅ〉

【ったく、やれやれだ】苦笑しつつ消えた。


〈外に誰か居る〉ソラも上を見た。

もちろんメグル達に危険だと示す為だ。


〈うん……この結界で、向こうからは中の様子は見えてなさそうだけどね〉


〈窓から覗かれる前に出よう〉

『窓』という言葉で弾かれたようにメグルとサイトが離れた。


〈私も水晶見、鍛えなきゃ〉

扉を開け、

「引っ越す前にシッポ掴みたかったのに!」

言いながら出た。


「仕方ないよ。また来よう。

 遅くなるから、もう行くしかないよ」

【待って。まだ藪を抜けられてないよ】


【頑張ってるね♪】

「待って! 出ちゃダメよ!」

御札を構え、屋根上を睨む。

「そこに居るのは分かってるんだから!

 姿を見せなさい!」


〈消えたね〉〈そうね〉

【帰ったね】【そうね♪】

「逃げるな卑怯者!!

 何度でも来てあげるからっ!!」


【逃げてにゃいのぉ。落書き消してるのぉ】


【彩桜にも聞こえた?】【聞こえたのぉ】

【彩桜に言ったんじゃないよ。

 まだ操られてる死神が教会に来てたんだ】


【あ~、理俱師匠が連れてってるねぇ】


【うん。それとメグル君達ね】


【『大収穫』って嬉しそぉだねぇ】


【うん♪ 神眼()が合わないように向けてなかったんだよね?

 だから後で話すね】【ん♪】



【ホント仲良しね♪】


【だから響も友達作ってね♪】


【うん♪】


【メグル君もサイト君も、普通の人を受け入れられないとね。

 それまでは踏み込ませられない。

 神力が消えてしまうかもだからね】


【ソラ……私、困らせたよね……】


【大変だったけど、でも響を護りたかったから困ってなんかないよ。

 響が響のままで本当に良かったよ。

 でもまだ確かめながらだから、全部 隠さずに話すけど、ゆっくりだからね】


【うん♪】


【メグル君達、随分 離れたね。

 そろそろ行こう】


【空マーズは? しないの?】


【竜ヶ見台までは乗って行くよ。

 ……乗ってたいから】


【うん♪】真っ赤だよ~♪







ソラとしては早くマーズに加わって落書き消しをしたいんですけど、リグーリから初心者講座な話を聞くハメになってしまいました。

金錦からは休んで構わないと言ってもらっていますが、行きたいんですよ。


これでメグルとサイトが帰ってくれればいいんですが……あ、帰る場所は輝竜家です。

自転車で来たまま住み始めましたので。



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