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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第34章 落書き消しと月の女神探し
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輝竜家で二次会



 歴史研究部員が中心になって開いた二次会には、一緒にジオラマを作った啓志(ひろし)と巧も婚約者を連れて来ていた。


〈響、男性だらけだけど大丈夫?〉


〈ぜ~んぜん何ともないよ♪

 あの みんなが彩桜クンの友達なのね~♪〉


〈かつてのイジメっ子も、他の小学校の子も、みんな仲良しになったんだよ〉


〈私も大学院で友達見つけよ~♪〉


〈ボクは?〉


〈女の子の友達よ♪〉


〈そうだね、必要だよね♪〉


「ソラ 響、ライブの打ち合わせしていいか?

 明日、東京に行くんだろ?」

少し離れた席の爽が手招きしている。


「はい!」「お姉ちゃんは?」


「ん? 呼んで来る~んるん♪」走った。


〈お庭でショウを撫でてたのね。お兄は?〉

〈寝てるみたいだよ〉〈またぁ?〉〈うん〉


彩桜が奏を連れて戻った。


「そんじゃあ始めるぞ。

 魁さんが連絡取ってくれたライブハウスで出来ると決まったんだが、ヤスが抜けたりワタルが抜けたりの可能性アリアリなんだ。

 ソラ、渡音フェス前2週末連続になる。

 頼んでいいか?」


「はい♪」マーズは時差があるから大丈夫♪


「そんなら魁さん、返事はOKで♪」「任せて」

魁はスマホ片手に廊下に出た。


「4月は予定通りフォレストでのライブが2回。コッチも抜けアリだ」


「毎週戻るからソラも大丈夫よ♪」


「ん。頼りにしてるぞ♪」「頑張ります♪」


「あ、そ~だ♪ お姉ちゃん、紗ちゃんのフルート発表会しない?

 それだけだと時間が少ないから私達も演奏するって、どう?」


「そうね……そろそろいいかも」


「店長、どの辺り空いてます?」


「そうねぇ……」スマホで予定確認中。

「ゴールデンウィーク最終日なら空いてるわ」


「そんな日が空いてるの!?」


「機材メンテと清掃の日にしてたの。

 そっちもなかなか業者の予約が取れないのよ。

 でもね」「俺達がしてあげる~♪」

店長の後ろに彩桜が居た。

「スケジュール見てたら後ろから、ね?」

「発表会の後でする~んるん♪ 兄貴達~♪」

ぴょんぴょん走って行った。


 彩桜が向かう先には兄達が揃っている。

が、So-χ(ソーカイ)メンバーの位置からは後ろ姿ばかりだった。

式場では新婦側親族に変に騒がれたくないからと髪型や眼鏡等で若干の変装をしていたので、今、背を向けているのも主役の邪魔をしたくないからだろう。

 珍しく人が集まっている場所に紅火が来ているのは、作業部屋に逃げていたら客が殺到したので若菜と慎介と慎也に任せて避難するより他になかったからだった。


「どういうこと?」「気にしないでいいよ」

「あ! 機械なんでもな紅火お兄さんね♪」

「うん。覚えたんだね♪」「やっぱり~♪」

「だから業者よりも、ね♪」「そうよね♪」



 その後のビンゴゲーム中。

ソラと響は前に戻っていて、奏と涼も その近くに座っていた。


「あ、そうか。響は聴いてなかったんだな」

爽が納得したと頷いた。


「「「何を?」」」ヤス ワタル 魁。

4月からはマネージャーをするつもりな魁はバンドメンバーと一緒に居た。


「あの兄弟の演奏だよ。お色直し中だったろ。

 俺達のが先でマジで良かったよ」


「確かになぁ」「後でなんて逃げてたよ」


「ソラは この家で鍛えられたのかな……」


「そうか」「そうなんだろうなぁ」


「ん? って事はバイオリンだけじゃないんだな?」


「何でもアリだよ」魁がニヤリ。


「習いたいなぁ。腰の治療も頼みたいし」

「博多じゃなければなぁ!」『ねぇねぇ』


「「「ん?」」」「ビンゴなってない?」


「「「ああっ!」」」「祐斗ビンゴ~♪」

とっくにビンゴしていた。

ので景品を貰いに前へと走る。


「彩桜君」「ほえ?」

早々にビンゴして余裕綽々の魁が呼び止めた。

「彼らが奏法を鍛えてもらいたいんだって」


「新学期からの平日ならいいよ~♪」


「平日だけ?」


「土日 忙し~の~」


「ああそうか」

『世界ツアー?』と指でテーブルに書いた。


「そぉなの~。

 博多も行くから ごめんなさいなのぉ」


「謝らなくても――」「アッチ行く~♪」

困っているらしい小学生達の方に行った。


バンドメンバーが戻る。


「平日なら来ていいらしいよ。

 都合を話しておけば博多にも行ってくれるよ」


「「「マジで!?」」」


「世界的有名人達だから週末は忙しいけど、平日なら一般人してるからね」


「やっぱプロなのか~」


「クラシックのね。でもオールマイティー。

 どんな楽器でもジャンルでもプロ級だよ」

マーズだとはいえないので『プロ級』で止めた。


「よーし! 俺は通うぞ!

 メジャーになってやる!」


「「俺は……」」


「ん?」


「趣味でいいと言うか……」「博多だし……」


「無理にとは言わねぇよ。

 ただ俺は目指すってだけだ。

 目標は高くだ!」


「「それなら……なぁ」」顔を見合わす。


「よくあるバンドの岐路だな。

 プロを目指すか、趣味(アマ)だと徹するか。

 よく話し合って決めるべきだよ」


「確かにな。

 そろそろ年齢的にも考えるべき時期だよな。

 奏さんも結婚とか考えるだろうからな」


「そのうち出産で抜けるとか?」

「いや、結婚しただけで人気に問題あるだろ」


「そんなアイドルみたいなバンドは目指さないからな。

 確かに響も奏さんもアイドル級の美人だけどな、そういうのじゃなく、奏さんの歌声の美しさと魂の強さは年齢を重ねる毎に深みを増すと思うんだよ」


「うん。どんどん良くなりそうだよね」


「魁さんも分かってくれますか!」


「うん。方向性は違うけどメーア=ドンナーと同じ魂の強さを感じる歌声だよね。

 何て言うか、大きな悲しみを乗り越えた真の強さ? みたいな感じ」


「確かに、奏さんは その通りですよ。

 奏さんの婚約者は、あの多重事故で奏さんを護って――」

『もしかして慰霊祭の? と聞いてます』


「「え?」」「「ん?」」

振り返る。

「「「「メーア=ドンナー!?」」」」と若威(つうやく)


その大声に皆の視線が集まる。


「うわわわわわっ」「スミマセンッ!」

「でもどうして?」「この家、何っ?」


「『皆、知り合い。友達だから問題ない』と。

 メーアの家族は、メーアが中学生の頃に病気で亡くなりました。

 曾祖母、祖父母、両親、妹。皆です。

 それに親族も次々と。

 天涯孤独となったメーアは生きていく為に音楽の道を選んだんです」


「だから強い歌声なのか……。

 奏さんの婚約者、慰霊祭した事故で、です」


「『慰霊祭で彼女の歌声を聴いた』え?

 いつ、やるつもり?

 ああ、マーズ単独での次って事だね。

 渡音フェスだよ。メーア達はロンドンだろ。

 そもそも混ざるつもりだった!?

 そりゃあ……うん。一緒に移動ね」

最初の和訳の後は独語。

「渡音フェスで『共演しないか?』だって」


「「「「えええっ!?」」」」「いいよ~♪」

また彩桜が来ていた。


「馬白さんには話しておきますよ」

八郎も来ていて にこにこ。


「メーアこっち~♪」

兄達の方へ引っ張って行った。

八郎も会釈して追った。



「ど、どう、する?」


「渡音フェスには出るつもりだったけど……」

「俺も来るつもりだったよ。でも……」


「気持ちは解る。ビッグ過ぎるもんな。

 だから今後も含めて、よく考えてくれ。

 俺は、お前らと続けたい。以上だ」



―◦―



 前に居る響もアワアワしていた。

それまでソラと話していた両親もフリューゲルは知っているらしく驚いている。

〈メーアよね!?

 あれメーア=ドンナーでしょっ!!〉


〈あ、フリューゲル揃ったね〉


〈どーして落ち着いてるの!?〉


〈慰霊祭から1ヶ月くらい居たし、この前も来てたから何度も会ってるよ。

 響は一度も?〉


〈会ってないわよ!!

 どーして輝竜さん家に!?〉

マーズがフリューゲルとニューイヤーライブしたとソラが話したのは舞い上がってブッ飛んでいるらしい。


〈普通にホテルに泊まったら大騒ぎになるから。

 此処、広いし隠れ家として最適だよね?

 それに黒瑯お兄さんはロイヤルグランホテルのシェフしてたから、それ繋がりで〉


〈そう言われると納得かぁ。

 もうっ、ビックリしちゃったぁ。

 ええっ! こっち来てる!?〉


若威にはメンバーの通訳を任せて残し、メーアだけで前に来た。

「ソラもメンバーなんだろ?」当然ながら独語。


「はい。サポートですけど」


「渡音フェスには出ろよ。俺達と共演だ♪」


「「えええっ!?」」


「お♪ 奥さんもドイツ語イケるのか♪

 こりゃあいい♪

 ああそうだ言い忘れてたな。

 結婚おめでとう♪」


「「ありがとうございます!!」」



「ね、響。何を話してるの?」不安そうな奏。


「渡音フェスで共演しようだって!」


「え……誰と?」


「だからフリューゲル!」


「え……」

「凄いじゃない!♪

 奏ちゃん、やるっきゃないわよ!♪」

ビックリ呆然の奏の肩を涼がゆさゆさ。



―◦―



 練習日程はフリューゲルの予定調整後という事で、夕方早くに二次会はお開きになった。


〈カナデ~、大丈夫?〉てってって♪


「・・・え?」上の空で歩いている。


〈あらら~〉

〈まだ大丈夫じゃないみたいね~。

 ショウ、お兄は?〉


〈あと1時間くらいしたら起きるって~♪〉


〈帰り着いて、お風呂入ったら丁度くらい?〉


〈僕、カナデの部屋で待つ~♪

 ソラ~浄化して~♪〉〈うん、いいよ〉


〈そうね♪ 私 お姉ちゃんと入ろ~♪〉


〈ソラ~、明日ホントに行っちゃうの?

 お兄の世話、僕だけ?〉

育てるつもりはあったが目覚めたカケルの難度の高さに困惑中で、どっぷりお疲れ中。


〈夜にはボクだけ戻るよ。

 輝竜さん家の響の荷物も運ばないとだし〉


〈うん♪〉〈ユーレイ便利ね~♪〉


〈行ったり来たりだけじゃなくユーレイを最大限 有効活用しないと、困った相棒が目覚めたからね〉


〈ありがと~♪〉〈ホント困ったお兄よね〉



 ショウを連れて行けば良い事が起こりそうだというソラの予知らしいものは的中したが、この後、夜中に困ったお兄(カケル)に邪魔されるなんて、そこまでは見えていないソラだった。







世界的超有名人メーアは気軽に共演しようと言っているように思えますが、しっかり力量を見極めての言葉なんですよ。


え? 落書き消しですか?

ソラは輝竜兄弟にとって家族ですから、結婚式の日くらいはお休みですよ~。


桜「これから行くの~♪」


だそうです。やっぱりタフです。



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