カケル目覚める
披露宴会場から出て来る人々と言葉を交わし、出きったところで響とソラは案内されてエントランスホールへ。
【二次会の準備があるから先に帰るぞ♪】
【はい♪ 兄さん ありがと♪】【おう♪】
リーロンと一緒に徹と祐斗も手を振りながら出て行った。
外まで見送りに行った彩桜が紗と飛鳥を連れて来た。
「ヒビキお姉ちゃん♪ とってもキレイ♪」
「ソラ兄♪ カッコよかったよ♪」
「オシアワセニって、いわなきゃなんだよぉ」
―◦―
その向こうでは青生と瑠璃がショウを撫でている。
【この状態、もしかして……】
【ふむ。ミュム、来てくれるか?】【はい!】
姿を消したミュムも触れる。
【半年も早い? ですが……】
【今は眠らせているが、ほぼ解けているのでは?】
【そうですね。
外からの刺激でトリノクス様の神力が十分となったのでしょう。
アーマル兄様は まだ眠っていますが……】
【トリノクス様はお目覚めになられても、再び眠り修行に入られるだろう。
今すぐ活動を始めるではないのだから、試しに解いてみてくれるか?】
【はい!】詠唱し始めた。
「うん。とても健康だね」「そうだな」
並行して ゆっくりと治癒眠を解いていく。
―◦―
黒瑯が躊躇いつつソラをつついた。
「料理、どーだった?
その……口に合ったか?」
【つーか、いつも食ってるのに悪ぃな】
「あ、もしかして――」【黒瑯さんの?♪】
やっと響も気付いた。
「おう、オレのレシピに変えてもらったんだ」
【出しゃばって悪い!!】
「「とっても美味しかった!」」
【何言ってるんですかシェフ先生♪】
【響、大喜びで ずっと食べてたよね♪】
【言わないでよぉ】
「なら良かった♪ 祝いになったなっ♪」
心底ホッとしている。
「はい♪」「ありがとうございます♪」
―◦―
【簡単に解けてしまいました……】逆に困惑。
【間も無く目覚める】
【お稲荷様そっくりな狐様が目を――あれ? 蛇神様?】
【両方だ。理俱殿と同じだ】
【じゃあ狐儀殿と理俱殿も呼ぶ?】
【そうだな】【お呼びします!】瞬移。
そしてオフォクスも来て、姿を消した神が増えていく。
【トリノクスを目覚めさせる。協力を頼む】
【はい!】一斉。
―◦―
奏にも神力が有ると知って改良した試作心話環を紅火が渡した。
「「ありがとうございます!」」
【青生兄 瑠璃姉~】【うん。行くよ】
「それじゃ兄貴達♪ せ~のっ♪
「「「「「「お幸せに」」」」!」」♪」
兄弟の後ろに並んで微笑んでいた妻達が会釈して、兄弟と共に離れた。
そして姿を消せる者はショウを囲む。
―◦―
トリノクスへと神力を注いでいると、先にショウが目覚めた。
〈あれれ?〉
【ショウおはよ♪
トリノクス様を目覚めさせよぉとしてるの♪】
【ん♪ じゃあ僕もガンバル~♪】
【飛翔さんは?】
【ん~~~、まだ寝てる~。アーマルも~】
【そっか。じゃあもっと神力だねっ】【うん♪】
【おや?】 【あ♪ タカシ~♪】
【これは?】【お兄 起こすの~♪】
【僕も頑張るよ】【うんっ♪】
更に頑張っていると、カケルが目覚め――
「あ! ショウ!」
――ソラに向かって まっしぐら。
【お兄ヤメッ! ハウス!!】あわわわわっ!
【解けたのに!?】【どうして犬!?】
「「「えっ?」」」ドッ! ワフワフワフ♪
〈ショウ!? どうしたの!?〉
ソラがショウを受け止めていた。
〈え? ただの犬? お兄なのっ!?〉
〈だ~♪〉ブンブン尻尾でペロペロペロ♪
〈ソラ~、ごめ~ん。
お兄がオモテに出ちゃったぁ。
お兄、ソラ大好きだから~〉
〈お兄ってば、まだ犬なの?
人の記憶は?〉
〈まだなの~〉【解こうとしてたんだけど~】
【え? 失敗したの?】キツネ様も居るのに?
【わっかんな~い。お兄ってナゾ~】
〈そっか……試作ができたのに……〉
【ソソウ頑張って止めとく~】【お願い!】
「翔君、大丈夫?」皆に囲まれた。
「はい。大丈夫です。
人が多いので興奮したみたいです。
すぐに外に行き――」
〈ソラ!!〉〈ショウ?〉〈助けて!!〉
〈どうしたの!?〉〈蓋! 開きそう!〉
封印は既に解錠されているのだが、それに気付いていないカケルが封印の中に居座っていたので犬のままだったらしい。
そのカケルが蓋を押し上げて封印から顔を出したのだ。
〈響! 手伝って!
お兄の記憶、開きそうなんだ!〉〈うん!〉
ソラと響がショウを挟む。
結や茶畑、斎達も囲んで手を当てた。
姿を消したままの神と祓い屋ユーレイ達は上に浮かんでいる。
輝竜兄弟と妻達、紗と飛鳥も駆け寄って円陣。
「いっくよ~、全力せ~のっ!」
【カケルさん出て!!】一斉!
見える者には神力キラキラ。
見えない者にも神聖さが伝わる。
緊張感がエントランスホールを占めていたが、ワッと歓声が上がり、人垣が解けた。
【【【お兄!♪】】】ソラと響とショウ。
【え? 俺……あっ、奏!♪】
その輪からショウが駆け出、一直線に奏に!
〈奏!!〉
しゃがんだ奏に飛び込む。
〈会いたかったよ、奏!♪〉
【こんなに頑張ってあげたのに、お姉ちゃんなのね~】
【まっしぐらだったね♪】【た~す~け~て~】
【ショウは我慢ね♪】あはっ♪
「お兄、気が早過ぎ。
お姉ちゃんには聞こえないんだからね。
お姉ちゃん、はい♪ コレ、腕輪ねっ♪」
「えっと……どうなってるの?」
〈奏♪ 奏♪〉ワフワフ♪【も~ヤダぁ~】
「ショウとお揃い♪ 着けてみてよ♪」
響がショウの首輪にも着けた輪をつついて揺らした。
「うん……」お揃いは嬉しいので着けた。
〈奏♪ 俺だよ♪〉「翔!?」
「そ♪ ショウの中で、お兄が目覚めたの♪」
「でも……どうして翔の声が?」
「その腕輪よ♪ 心で話せるの♪
これでお兄がユーレイに戻っても大丈夫♪」
「あ……♪」〈ん? ユーレイに戻っても?〉
「お兄、サッサと現状把握しなさいよね」
〈ん?〉振り返り――〈響なのかっ!?〉
「何に見えてるのよ?」
〈だだだだだって! その格好!!〉
「そこからなの?」ソラを引っ張る。「わっ」
〈えええっ!? ソラも!? ナンで!!〉
「私達、結婚したの♪」
〈マジかっ!? ホントにマジなのかっ!?
俺っ、何年寝てたんだっ!?
つーか結婚!? ユーレイと結婚!?〉
〖この騒ぎは……?〗【トリノクス様だ~♪】
「だ~か~らぁ、お兄と お姉ちゃんも、ね?」
「ボク達が、ちゃんと生きていけるって証明しますので」
〖……ショウか?〗【うんっ♪ おはよ~♪】
「響……翔君……」
〖しかし……未だ神力不十分だな〗
「お姉ちゃんも幸せになろ♪ 一緒にね♪」
【アーマルみたく眠り修行?】
〈奏、俺も具現化は得意だから心配するな。
ソラには負けないからな〉
〖ふむ。然うすべきだな。
今暫し眠るとしよう〗
「うん……待ってるね」うるっ――
【うん♪】【【父様っ!】】
〈泣くなよ。待たなくてもすぐに――ん?
これ……俺の手か?〉
奏の涙を拭おうとした手をじっと見る。
〖その声、フェネギとリグーリか。
兄様も居るのだな。
目覚めの神力をありがとう〗
「はいはい。い~かげん気づいてよね。
はい♪ 鏡♪」
【眠り修行をし、確かに目覚めよ】
〖はい、そうさせて頂きます〗
〈え? ショウ? ・・・えええっ!?!?〉
両前足で顔をペタペタ!
〈俺が犬!? 俺オモテなのにナンで犬!?
笑うなショウ!! 飛翔さんまでっ!!〉
〈まだカンペキじゃないのかも~♪
ゆっくり落ち着かせるからね~♪〉
カケルが慌てた隙にショウがオモテになって外に出た。
神とユーレイも、輝竜兄弟と妻達も追って出る。
―◦―
エィムは外ではなく、天海家控室に戻った。
「お待たせしました。
彼らの中でソラ君は生き人として、祓い屋として確かに生きています」
〈安心しました〉
〈正直、あの子が結婚だなんてと信じられない思いと不安とで いっぱいだったんです〉
〈お連れくださり〈ありがとうございました〉〉
「この後は二次会だそうです。
お連れしますので、それまで ごゆっくり」
にこやかに瞬移。
この部屋に成した結界の外、窓から睨んでいるチャムを宥めに行った。
―◦―
式場の外で伏せたショウ(身体)の魂内では、ショウ(魂)がカケルに経緯やらを話している。
それを軽く聞きながら、彩桜はショウ(身体)の背を撫でて飛翔が眠っていないのを確かめた。
〈飛翔さん、ランちゃんと飛鳥に話し掛けてみてく~ださい♪〉
〈え?〉〈〈パパ~♪〉〉〈あ……〉
〈心話できますから~♪
ランちゃん、飛鳥♪
姿は まだだけど、お話しできるからねっ♪〉
〈うん♪〉〈パパおはなし~♪〉
〈そうだね。嬉しいよ。
パパは まだまだ修行に集中しないといけないけど、二人が近くに居る時は彩桜君に起こしてもらうからね〉
〈〈うん♪ パパがんばってね♪〉〉〈何!?〉
〈〈〈〈ん?〉〉〉〉〈お兄てば~〉
〈奏に見合いだなんてっ!!〉
〈だ~か~ら~過去だってばぁ〉〈うんうん〉
〈過去つったって!!〉
〈目覚めても お兄てば おバカ~〉〈まぁまぁ〉
〈タカシが笑ってるからいっか~♪〉〈ね~♪〉
〈お前っ! 誰なんだよ!!〉がるるっ!
〈そんなコト言ってたら~、クッキー貰えなくなるよ~♪〉〈へ?〉
彩桜が消えて、戻った。
〈はい♪ ショウにね♪〉〈わ~い♪〉ぱく♪
〈旨っ♪ じゃなくて!〉〈お兄の味覚オフ♪〉
〈ショウ!?〉〈いらないんでしょ?〉サクッ♪
〈要るからっ!!〉
〈サクラ~♪ おバカお兄 眠らせて~♪
クッキーおかわり~♪〉ぱくサクサクッ♪
〈ショウおいっ!〉〈おやすみね~♪〉治癒眠♪
こうしてカケルは夜まで眠らされたのでした。
目覚めはしましたがカケルって……。
記憶も戻っている筈なんですけどねぇ。
半年早かったから? ということにしておきましょう。




