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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第33章 離れたくない春でも騒がしい
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全ては特撮という事に



 山を駆け下る理子(あやこ)達を追ったサーロンは、すぐに狐儀と会った。

【この状態の彼らを止めるのは難しいでしょう。

 戦う場所と援軍を確保しますので、山を下りきるまでは、このまま追尾してください】


【はい!】

追尾に集中しようと姿を戻した。



 狐儀が離れて少しすると、(あかね)(あおい)が合流した。

【ソラさん、私達が奏さんと響さんをします】

【南渡音へと誘導するよう指示されています】


【目立ちますよね?】


【【撮影ということになってます♪】】


【指名手配者は?】


【悪者らしく姿を変えます♪】

【皆さん盲目状態ですから♪】


【え?】


【【忍法、古狸(こり)変化(ヘンゲ)♪】】


【わ……】


 頭が狸、服は魔女みたいなドレスやら。

なんだかファンタジーに出てきそうな悪者が出来上がった。


【でも、どうして狸なんです?】


【【私達の神様、狸さんなんです♪】】


【小さな欠片でしたのでお手伝いだけと言われてましたが、魂頭部(たまかしら)さんが見つかったんです♪】

【欠片は魂頭部さんに移りましたが、大きな神力をいただいたんです♪】

【自分を偽装するのは自由自在になりました】

【でも、まだまだ修行しないと、他の方は狸にしかできないんです】


【楽しいから、いいと思います♪

 でも……神話に残る狸の神様って……?】


【たくさん悪者として残ってます。

 童話にも寓話にも】

【化かしたり騙したり。

 でも、たくさんの人を助けたからこそなので私達は狸さん推しです♪】


【そうですか♪】



―・―*―・―



「その無自覚な裏切り者が器として最適だ。

 私に渡せ」


「言われて渡せるかよバ~カ」


 欠片持ちでない者達を階下に逃がし、沙都莉(さとり)銀河(さらら)に守りを頼んでアトリエの2階に戻った竜騎は、黒く染まった純玲(オーロザウラ)に追い回されている夕香を護っている悟の前で両手を広げた。

「通さないよ」【浄光防壁!】

清々しい白光が壁と成る。


小癪(こしゃく)な……喰らえ強禍呪!!」


【闇呼吸着!!】現れ即、闇呼玉を掲げ、

【昇華光明煌輝、滅禍浄破邪雷炎華!!】

彩桜は目一杯な雷炎撃を放った。


「ぐおあっ!!」逃げ消えた。


【悟 竜騎、追っかけるよ!】

【おう!】【うん!】 【彩桜様!】声だけ。


瞬移中断。【狐儀師匠だ~♪】


【奴をサーロンの方に合流させてください!】


【うんっ♪】一斉に消えた。



 残された夕香の前に白い小狐が浮かんだ。

「陽野さん、走るのに自信は?」


「その声……狐松先生?」


頷く。


「短距離なら自信あります!」


「では共に。追い始めるまでです」

連れて瞬移。



――街の大通り。

ソラと奏 響とエキストラ(理俱と分身達やら)が逃げて来ている後ろを狸頭の悪役らしい4人が追い迫っている。


 そこに彩桜達に誘導された黒い純玲(オーロザウラ)が現れた。

『見つけたぞ、裏切り者!!』「走って!」


「はい!」

ソラ 奏 響は通り過ぎたので、夕香はエキストラ達と一緒に走った。


【輝天包囲浄破邪壁!】

狐儀は黒い純玲(オーロザウラ)が前に回り込めないようにエキストラ達を浄破邪光の分厚い壁で囲み、後方に細い通路を作っておいた。


【【古狸変化(こりヘンゲ)♪】】

その通路に入った純玲も悪役狸頭に。


「あっ」

(つまず)いた夕香は追い抜きざまのエキストラに手を引かれ、ふわりと横抱きにされた。

「このまま走ります」「はい先生♪」


 撮影車は、全国行脚の打ち合わせに来ていた東邦テレビの見田井(みたい)撮谷(とりたに)や他テレビ局のもので、大喜びで即座に配置を決めて撮っている。

即席とは思えない程の連携振りだ。


 撮影ヘリも到着した。

見田井が呼んだものだ。

走っているシーン全てを使うわけではない。

編集当然と撮っているので遅れても構わない。

音声も、その場のものも採用するが、編集後にも加える予定だ。

「それにしても速いな……」

なので、呟いても大丈夫だ。


「全て忍者なのだから当然だ。

 見田井、レポートは?」


「後録りでいいだろ?」


「確かにな」



―◦―



 その上空には、アトリエから瞬移した者達が瑠璃龍(ラピスリ)の背に乗っていた。

【――アミュラ様から伺ったのは以上だ。

 確実ではない。全て試す事となる。

 青生、シナリオを組み立ててくれるか?】


【うん、やってみるよ。

 順番とタイミングが大事だよね】目を閉じる。


黒瑯と紅火を背に乗せたオフォクスが現れた。


【黒瑯兄 紅火兄だいじょぶ?】


【大丈夫だ。

 お稲荷様にガツンと浄化と治癒してもらったからな。

 ったく! オレを狙いやがって!

 許さねぇからなっ!】

【悔しいのは確かだが、修行不足と認めるより他は無い】

禍を向けられた黒瑯を庇うと同時に堅固したのだが、間に合わずに二人で浴びてしまったのだった。


【黒瑯兄と紅火兄が逃げられないなら誰も逃げられないと思うのぉ】

【そうだよね】青生が目を開けた。


【そんなに凄いのか……】橙 白、驚き中。


【魂片ないから『雲を掴む』ってのだと思うのぉ。

 吸着途中で逃げちゃうしぃ】


【けど吸着 繰り返してたら、ちょっとずつ弱るんじゃないか?】


【頑張るのぉ~】


【あ、彩桜が先に倒れるとか?】


【頑張ぁ~るぅ~】


【倒れるんだな】【そうみたいだね】



 黄龍(ジョーヌ)が現れて並んだ。

その背には銀マーズの他に2人乗っている。

【あれ? マネージャーさん、どうして?】

【それに小学生?】小さな狐面忍者くん?


【い、いや、その……】【……小学生、です】


【獣神秘話法できるんですね!♪】


【だからコイツらが鍵になれるんだ♪

 術を覚えてもらうのにチョイと手間取ったがなっ♪】

獣神の欠片は社長(狐儀)が追加し、獣神秘話法もシッカリ教え込んだ。

とは言え、オーラマスクスと心話していたからこそ短時間で修得できたのだが。

【春希も今日から忍者の仲間入りだ♪】


【うん♪】


【ステージデビューできるよ~に頑張れよ♪】


【えっ……う、うん……】


【なんかミニ白竜だな♪】【そ、そう?】


【確かになっ♪】【港広場に着いたよ~】

先頭のソラが野外ライブが出来る広い場所に入ったところだった。



【お♪ 間に合ったな♪】

黒龍(オニキス)の背に狐面の子供忍者達。


「俺達は民衆を避難させる役だ♪」


「堅太だぁ~」


走る自信のある堅太 祐斗 秀飛と「マサキ君!?」


「うん♪ 走るだけだから♪」



 話している間に先頭のソラが港広場の真ん中辺りに達していた。

【エキストラ増えてる?】【増えているね】

【勝手に加わったのだろう】【あららぁ~】


「民衆を避難させる所までシナリオ通りだ。

 行けっ!♪」

銀マーズがラピスリの背に移り、若威と春希を乗せたジョーヌが降下した。


「これ以上は行かせない!」

若威の声が響き、ジョーヌが長い身体で通せんぼ。

「防壁!!」を成すのは上空の紅火。

実は若威の声で叫んだのは声真似上手な彩桜。


 マーズ装束だが目立つカラフルな帯は無く、面は狐面。

その狐面を止める鉢巻もマットな黒という出立(いでた)ちの若威と春希がジョーヌの背に立ち、印を結ぶ。

降下を始めた時から唱えていた術を完結させた。

【【――持我以同、神力捕縛!!】】

「「悪神力吸着!!

  我の元に戻れオーロザウラ!!」」

【昇華闇障暗黒、激天大闇呼吸着!!】


 勿論、オーロザウラの神力は若威と春希に戻るのではない。

シナリオ通りのセリフなだけだ。

しかし器であった二人が唱えた術に絡め取られているオーロザウラの神力は、名を呼ばれた事がトドメと成って動けなくなった。

そして抵抗も出来ずに、二人の背後で姿を消している鳥忍 桜マーズが付き出している闇呼玉へと吸い込まれていった。


「援軍も呼んだ!」「カンネンしろ!」


 狐面の子供忍者達を乗せたオニキスが降下。

飛び降りた子供忍者達は逃げていた民衆を庇って両手を広げる。

「遊具の方に逃げてください!」

「タケとハルも!」「コッチに!」

狸頭達が防壁に阻まれているうちにと逃げる。


――が、防壁が弾け散り、表に出ていた神力の殆どを失ったとは言え、まだまだ強気な狸頭達が走り出す。


「通さない!!」

現れたマーズ15人がズラリと横並びの壁になって行く手を塞いだ。

金錦と藤慈も加わっていた。

【領域術浄!】禍圧が後退した。【堅固】

藤慈と紅火がマーズ有利な領域を確保した。

【領域昇華!】【領域供与!】【双輪双璧!!】

【え?】【白久兄?】【改良だ♪】【へぇ~♪】

ちょこちょこ練習的に使っていた双輪だったが、これまでのは弱くて どちらかに傾くグラグラ双輪だったので弟達は驚いたのだった。

かなり改善して強化したらしく明瞭で確かな双輪になった双璧で昇華と供与が倍増し、一気に皆の神力が高まった。


それでも突っ込んで来る狸頭達。


「忍法「神雷撃!!」」

一斉に放った色とりどりの雷撃が狸頭達を貫く。

雷撃が出せない者の分は、上空のオフォクスが放っている。


弾き飛ばされても尚、狸頭達は直ぐに起き上がって走り始める。


【丈夫だねぇ】【言ってる場合かよ?】

【『常識』が『砦』に強化されている】

【ならコッチも守りを固めねぇとな!】


【作戦変更。一般人も加わっている。

 護衛に5人、行ってもらいたい。

 砦は少しずつ崩すより他に無い。

 浄破邪を込めた攻撃を続けよう】


【はい!】全マーズ。

「神雷連撃!!」一斉。


狸頭達は遠くへ遠くへと弾かれていく。


「中忍は下忍と共に護衛を!」「はい!」


 頷いて消えたパフォーマー5人は、遊具側に離れた民衆と子供忍者達を囲む形で現れた。

「浄破邪防壁!!」パフォーマー、一斉。

ぐるりと光の防壁を成したのは理俱だ。



 狸頭達の前に残っているメイン7人と緑 紺 空の特・上忍10人は、雷だけでなく炎や竜巻等の各々の得意技を繰り出している。

「金華雷撃!」「銀雪雷撃!」

「紅蓮炎撃!」「星夜嵐舞!」

「桜華乱舞!」「藤華乱舞!」

「氷華尖撃!」「氷輝散撃!」

「術浄狐撃!」「浄空牙撃!」

怒涛の如く、言い終わる前に次が放たれる。

実は叫ぶのは何でも良く、浄破邪や術破邪を放って少しずつ弱体化していたのだった。


「呼龍一閃!!」一斉に天を指す!

各々の色の浄化光で成した龍が頭上に現れる。

「再、呼龍一閃、放!!」

天を差した2本の指が振り下ろされると、倍になった龍達が狸頭達へと鋭く飛んだ。


 飛んだのはドラグーナと半具現化龍達。

ノリノリなドラグーナは浄破邪を込めた半具現化龍達を率いて的確に狸頭達を貫き、浄めていく。

これまでの上忍マーズの攻撃で、同調して再び大騒ぎを起こした4人と純玲の魂内のオーロザウラを護っていた『常識の城壁』に禍や負の感情を加えて成した強固な『砦』が徐々に浄化されていた。

そこにドラグーナが直接攻撃を加えたのだ。


【オーロザウラの砦に亀裂が!】【割れたぞ!】







狸頭達、タフです。

稲荷山から南渡音って……フルマラソンくらい?

けっこうな距離なんですよ。


これ、三流ファンタジー的な悪者にされた5人を助ける為の戦いなんですよ。

本当に。



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