マーズの窓口は輝竜家
【ねぇサーロン。
昨日の一周忌の知ってる?】
結局、爆走散歩の間は心太が騒ぎ続けたので青生からは聞けずに、彩桜は授業中にサーロンに話し掛けた。
【うん。彩桜達が上総に行ってからのと、聞いた話だけならね】
【お願い~】
【お昼過ぎに慰霊塔の除幕式があって、その式典が終わった頃にエィム様が沢山の想いの欠片を持って来たらしいんだ。
その頃お兄さん達は浪花府に行ってたみたい。
彩桜も休み時間に行ったよね?
だから手伝いはサイオンジ達と瑠璃先生。
サイオンジ達の話を信じて、会いたいって来てくれた遺族に想いの欠片を会わせてたんだって。
ボク達が本浄神社に行った頃には青生先生と藤慈お兄さんが馬頭で手伝いに入ってたって。
彩桜がキツネ様のお社に行ったのを鈴本さんと菊乃さんが追って戻らなかったから、茶道は指導者不足で短縮になったんだ。
終わってからトモヱさんが沙織さんに公園を手伝いなさいって。
ボクも そこで知ったんだ。
行く途中でリグーリ様に会って、八郎さんと悟にも会って、お嬢様達も一緒に行ったんだよ。
手伝いが増えたから、あのニュースので青生先生と藤慈お兄さんが上総に行ったんだ。
大まかな流れは そんな感じ】
【想いの欠片さん達、遺族さんに見えたの?
あ、そっか。瑠璃姉と死神師匠なら見せられるよね~】
【じゃなくて具現化。
ボクが行った時にはトクさんとショウが頑張ってたよ。
ボクも具現化の手伝いをしたんだ】
【カケルさんは? 行って大丈夫だったの?】
【うん。遺族さんに飛びかかったら大変だから瑠璃先生が眠らせたんだって。
だからショウと力合わせるのに飛翔さんを起こそうとしたらしいんだけど起きなかったって。
ショウに聞いたら最近 寝てばかりだって。
瑠璃先生はアーマル様に引っ張られてるって言ってたよ】
【爆睡修行だねぇ】
【うん。心配しなくていいと言われても心配なんだよね……】
【ランちゃんのランマーヤ様が先のがいいのかなぁ? ねぇドラグーナ様?】
〖え? 呼んだ?〗寝起き。
【あのね、アーマル様と飛翔さんが寝たきりなの。大丈夫なの?】
【それは修行に集中しているだけだから大丈夫だよ】
【ランマーヤ様、先に起こしたら早い?】
【そうだね、早くなるよ。
でも無理をさせないでね】
【うん♪ ランちゃんと ゆっくりだけど楽しく瞑想する~♪】
【うん、そうしてね。じゃあ眠るよ?】
【ありがと♪ おやすみなさ~い♪
サーロン、俺ガンバル~♪】
【ありがとう彩桜。
いろいろイッパイなのにゴメンね】
【ん?】
【理子さんのも、鳳子さんと記者さんのも終わってないし。
オーラタム様は目覚めないし。
ボンボ達の漢中国のも終わったのか分からないし。
それなのに浪花府のが増えて、上総のが増えて、心太さんは来てるし、橇待記者は居座ってるし。
あ、家出してた人達も居るよね。
凄くイッパイだと思うよ】
【そっかぁ。イッパイだねぇ】にゃはは~。
【あ、兄さんが台所の子犬な龍神様が ちょっとだけど龍になれたって言ってたよ】
【ルビーナ様だねっ♪ あとちょっとだね♪】
【それで……ホントに忍者するの?
記者会見も昨日も忍者として話してたよね?】
【んとねぇ……顔隠す理由、いろいろ考えたり考えてもらったりしてたけどぉ~、忍者だからっての、けっこう便利かな~って。
メーアが忍者って呼ぶし、お稲荷様も狐儀師匠も忍者したらいいって言うし~。
だからリハ時に兄貴達と話し合って決めたの。
祓い屋コミコミ現代忍者マーズ。
兄貴達と頑張るの~♪】
【何足目の草鞋?】
【何足だろ~ねぇ】
【馬頭雑技団とマーズは一緒?】
【うん♪ 馬頭トキと忍者トキで呼び方 変えるだけ~♪】
【キリュウ兄弟は別だよね?】
【顔出しだから別~♪】
【マーズでも忍者で祓い屋なのは別だよね?】
【ソコがビミョ~。
でも表が音楽で、裏が忍者?】
【ボクは別だと思うよ。マーズだけで2足。
で、キリュウ兄弟と一般人で4足だよね。
何かの競技選手になったら、もっと増えるよね】
【増えるの!?】
【普通の人なら1競技で1足になるよ。
彩桜ならスケボーと馬術とスノボで3足】
【あらら~】
【あ、チェイスタグの練習は? ぶっつけ?】
【日曜日にスケボー場、1時間 借りてる~♪
パルクールするの~♪】
【そっか。公園みたいな場所もあったね】
【うん♪ あ……春希くんと正義くん、死神師匠に会えたかなぁ……】
【ボクが行った時、エィム様と一緒に居たよ♪
春希クンはユーレイお父さんと一緒に呼び掛け案内人してたし、正義クンは猫を抱いてニコニコしてたよ♪】
【そっか~♪ 良かったぁ~♪】
―・―*―・―
【青生~、今いいかぁ?】声だけ白久。
【手術中なんですけど?】
【そんじゃあ行くわ】瞬移♪
――ぶわっ!【のわっ!?】何やら吹き抜けた。
【手術室ですからね。浄化しただけです】
【軽く浄化されるだろうとは思ってたけどな。
青生に電話だ】
「医学部の砂熊教授からだ」
スマホを青生に近付けて保留を解除した。
「お待たせしました、輝竜 青生です」
『先日、他の教授達が電話した件なんですが、人の医学を学びにいらっしゃいませんか?』
「そうまでして俺なんかの本を?」
『医学界の未来にとって、とても重要な1冊になると確信しているのですよ。
私だけでなく、教授会が満場一致でね』
「学べる機会は大変嬉しいと思いますが、開業医ですので、少し考えさせてください」
『それは当然だと思いますが、良いお返事を待っておりますよ』
「ありがとうございます。
では兄に戻しますので失礼します」
【ん。邪魔して悪かったな】
「教授、白久です――」
片手拝みして瞬移した。
――支社長室。
「――いえいえ、弟は手術中だったんですよ。
素っ気なくてスミマセンねぇ」
『手術室に入っていたのかね?』
「入りましたけど、まぁ人も動物も基本は同じですから問題ありませんよ」
『そうかね。それじゃあ説得を頼んだよ』
「頑張ってみますよ。では失礼します」
【なぁ青生、後でいいから詳しく話してくれないか?】
【これが終わったら行きます】
【悪ぃな】
―・―*―・―
「ん? ユーレイ?」
台所の入口に気配を感じたリーロンが振り向いた。
「はい♪ 輝竜シェフと同じホテルで働いてました黒蛇 蛟喜と申します」ペコリ。
「黒瑯のダチか♪
オレはリーロン。黒瑯のイトコだ♪
で、会いに来たのか?」
「レストランに雇っていただきました♪
住む部屋もいただきましたのでご挨拶に参りました♪」
「そっかシェフ仲間か♪ ヨロシクなっ♪」
「宜しくお願いします♪」ペコリ♪
電話が鳴る。
「あ~、好きにしててくれ♪
はい輝竜です」
『上総南署の千葉と申します。
昨夜の件でマーズの何方かに少々伺いたいのですが』
「マーズは出払ってるんですよね~。
窓口な教授も出なかったんでしょ?」
『ええ。『只今 講義中です』とメッセージが流れましたよ』
「急ぎですか?」
『急ぎと申しますか……今夜、そちらに伺いたいのですよ。よろしいですか?
白玉さんと小倉さんも一緒なのですが』
「そんじゃあ教授にも伝えて、晩飯用意して待ってますんで。
記者達にだけは気をつけてくださいね」
『ありがとうございます。では』
通話オフ。即 鳴る。
「また? はい輝竜です」
『浪花中央署の西生 言います。
西邦新聞とナニワ報道の件でお聞きしたいんですけどマーズに繋いでくれはりますか?』
「マーズは留守なんですよ。
夜には揃いますけど」
『伺ってもよろしいんで?』
「どーぞ。そちらは何人です?」
『2人ですが、他にも?』
「上総の馬ぬいバラバラ呪いの儀式事件のも3人来るんですよ」
『あ~、騒いでましたなぁ』
「コッチはオトナ6人ですからダブっても無問題です。
晩飯用意して待ってますんで、張り込み記者達に気をつけて来てください」
『ほな行かせてもらいます』
「警察? マーズ?」
「もしかして黒蛇は昨日 復活したのか?」
メモ書き書き。
「はい♪」
「そんなら説明しねぇとな。
ええっと、キリュウ兄弟からかな?」
「キリュウ夫妻なら知ってますけど……」
「その息子達が、この家の兄弟。
オレのイトコ達だ♪」
「って輝竜シェフが!?」
「だよ♪」調理再開だ♪
「その、作ってるのは お弁当ですか?」
「ご近所さんの昼飯だ♪」
「これ全部!?」
「おう♪ お年寄りも多くてな。
このノートに好き嫌いとか持病とか細かく黒瑯が書いてくれてるから、踏まえて作るパズルみたいな修行だな♪」
「僕にもさせてください!」
「そんじゃあ一緒にな♪
作りながら兄弟の話だ♪」
「はいっ♪」
マーズとキリュウ兄弟は別だとしていますが、連絡先は輝竜家で、その代表は金錦にしています。
架空の忍者村を作る案もあったようですけど、何かあって訪問したいと言われると困りますので。
そして草鞋だらけになってしまった輝竜兄弟ですが、青生は医学部に招待されてしまいました。
あくまでも獣医師で開業医だと断るのか、藤慈と一緒に瞬移で通うのか……って、兄3人が東京だと彩桜も くっついて――いや、流石に無理ですよね~中学生なんですから。




