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古城にて



 悟とサーロンとは放課後と約束していたのを夜更けに変更していた彩桜は、皆を連れてキツネの社に行った。

【お稲荷様~、狐儀師匠~、理俱師匠~。

 だ~れか居ませんか~?】


【お三方は大陸です】淡く姿を見せた。


桜華(インファ)様こんばんは~♪】

彩桜は朝、ボンボ達から聞いた話をした。



【確かに黒い不穏を追っておりました。

 今も追っております。

 黒い不穏は、その両者なのでしょう。

 私も追っておりましたので、今思えば、なのですが、オーラマスクスと その欠片を込められた者達、そして闇禍だと思います。

 オーラマスクスが闇禍を見たのか、狐神を見たのかは分かりかねますね】


【ふぅん。

 オーラマスクスの親玉は黄土で捕まえたよねぇ?

 込められたヒト達まだ残ってるの?】

練習中の掌握で手の甲に触れた。

(どして今日はお堅いの?)


【残っていると思います】

(よく知らない人には神として威厳を――)


【闇禍は?】(ふぅん)企みニッコリ。


【まだ分かりません】(な、何を?)


【俺達どして呼んでもらえないの?】

(神様は陽の気 大事~♪)掌握こちょこちょ♪


【連日となるからでしょう。

 神は疲れを知りませんが、人は疲れますので】

必死で堪えて威厳を保つ!


【一緒の方が早いと思うのににゃ~ん】

(笑わにゃいと~♪)


【アジトを見つけたなら呼ばれるのでは?】

(早く帰って!)


【ん♪ じゃあ待つ~♪】

(俺の友達なんだから次は笑ってね~♪)


【今宵は(しか)とお休みくださいね】

(もうっ!)


【は~い♪ みんな帰ろ♪】

手を繋いで瞬移した。




――彩桜の部屋。


【簡単に引き下がったのは俺達が居たからか?】

【僕が弱いから……】


【違うよ。兄貴達を休ませてあげたかったから。

 兄貴達、俺が寝てる間も動いてた。

 ソレさっきリハしてて拾っちゃったんだ。

 だから今夜はお休みな日にしたいの。いい?】

それも本当だが桜華が限界プルプルだったからだ。

今、桜華は社で爆笑中だ。


【いいけど、拾ったって?】


【んとね、拾知って力。

 お稲荷様の探りとは違うみたいなんだけど情報収集能力なんだって】


【ドラグーナ様ってスゲーな】《おい悟》

内からクーゴソンが睨んでいた。

【クーゴソン様と比べてませんから!】


《オフォクスの猿部分はオイラなんだからなっ!

 オイラの方が大神(ウエ)なんだぞ!》


【【【へ?】】】


【みんなってばぁ】

竜騎はオロオロ、銀河は苦笑。


《お前ら! 失礼にもホドがあるぞ!》

《サル、五月蝿(うるさ)いぞ》

《やかましいイノブタ!》【瞑想しよ~♪】


【そうだね】【だな♪】【【うん】】


《よーし悟! ガツンと上げてやる!》

【お願いします!】


〖竜騎、私も協力しよう〗


 声に少し遅れて、ぬいぐるみのように愛らしい小さな白馬が姿を見せた。

煌めきの尾を引いて(なび)(たてがみ)は美しさそのもので、その煌めきは背の真珠のような白鱗からも放たれていた。

半透明な龍角にも真珠のような光沢がある。

尾は細い龍尾の先に馬らしい房が付いており、風に揺れているかのように煌めいていた。


【キャンプー様?】


〖如何にもだ。

 ようやく姿が成せたのでな、これからは共に修行しようぞ〗


【はい!】



―◦―



 白久と みかんは大呂(おおろ)家の為に分割したままだった青生の部屋の半分に引っ越し、白久の部屋にはフリューゲルが入っていた。


「リハした感想は?」

メーアがメンバーと目を合わせていく。


「「「サイコーだよ♪」」」


「やっぱな♪」


「なんでもっと早く呼んでくれなかったんだ?」


「お前らが行方不明だったんだろーが!

 電話しても出ない!

 メッセージは読まない!

 メールまで送ったのに誰からも返事が来なかったんだよ!」


「子供が生まれてなぁ」ベースのフルス。


「はあ? いつの間に結婚してたんだよ?」


「いや、犬の――」「いーかげんにしろ!」

「家族なんだって」「そーかよ! 他は?」


「俺は彼女達とバカンスだよ」「「「達?」」」

「ああ。15人だ♪」ギターのベルク。


「あ~、もういい。ラントは?」


「俺か? ドラムの手入れを――」


「やっとマトモなヤツが出たな♪」


「――さっき忍者達に頼んだ♪

 メーアが邦和行くつってたから船便で送ってたんだけどな、ヒドイ状態になっちまっててなぁ」


「来る気だったんだな?」


「ああ。忍者、気に入ったからな♪」


「ナンで空輸しなかったんだよ?」


「高いから」


「金あるだろーがよ!

 それよか何してたんだよ?」


「いやマジで倉庫に籠ってたよ。

 予備楽器を改造してたんだ♪」←趣味。


「また魔改造かよ。夢中になり過ぎだ。

 ま、今更だよな。

 ライブまで時間が無い。

 マーズに負けるなよ」


「仲間だろ?」「なぁ」「うん」


「仲間だがライバルだ。

 新人だとか甘く見てたら喰われるぞ」


「そりゃそーだな」「「確かにな……」」



―◦―



〖キャンプ~居た~♪〗ぽよん♪


【ガネーちゃ師匠、捜してたの?】


〖キャンプ~、身体が成せたばっかりだから、まだ1時間しかムリなんだ~〗

〖まだ大丈夫だっ〗


〖またまたぁ~。

 そんな言うけど、夕方も へにゃへにゃ~って消えちゃったでしょ。

 称号とかの中神力集めも早くしなきゃでしょ。

 消えるギリギリまで頑張らないでねっ〗


〖お節介めが。考えておる!〗


〖ボク、奥さんなんだから~、お節介が仕事なんだよ~ん♪

 も~ちょっと待って戻らなかったら保護水晶に封じちゃうからね~♪〗消えた。


キャンプーが大溜め息。


【優しい奥様ですね♪】感動したらしい銀河。

しかも、どちらも ぬいぐるみみたいで可愛い。


〖……ま、確かにな。再開するぞ!〗


【はい!】一斉。




〖ん? あのガネーシャが すんなりと引き下がったな……〗

数分も経っていないのに中断。


【キャンプー様どしたのぉ?】瞑想は?


〖すまぬな。気になってしまってな〗


【聖良さんの女神様が?】


〖ん? 確かに小さな欠片が眠って……その欠片、よく見せてくれ!〗

銀河の頭に乗った。


【え、あっ、はい!】かわいい~♪


〖この女神……この気……起きろガイアルフ!〗


〖・・・は?〗思いっきり寝起き。

【ガイアルフ様、キャンプー様がお呼びです!】

〖そ、そうか。

 キャンプー様、如何しましたか?〗


〖この女神、知っておろう?〗


〖あ……その小さな欠片は2神が重なっているように思います。

 ブラフマー様のお嬢様方ではないかと。

 双子のシッディ様とブッディ様という御名ではなかったかと……〗


〖そうか、やはりな。

 ブラフマー様を感じたのだ。

 ガネーシャは どちらかと結婚の約束をしていたのだろう〗


〖あ……〗


〖知っておるのか?〗


〖よく、ご一緒だったのは……はい。

 プレイアデス姉妹と共にアルテミス様の所に修行に行くまでは、ですが。

 ですから私が子供の頃の話です〗


〖ふむ。私が知らなくて当然なのだな。

 欠片を集め、目覚めさせねばなるまいな〗


【協力しますからぁ、瞑想しませんかぁ?】


〖そうであったな。待たせたな〗


 やっと瞑想修行に入れた。

しかし、この30分後にはキャンプーは連れ去られてしまうのだった。


 騒がしく帰った後、竜騎と銀河にガネーシャとキャンプーが結婚した経緯や、神にとっての結婚について話さなければならなくなった彩桜達だった。



―・―*―・―



 彩桜の兄達が夜な夜な動いていたのは、5年前の犠牲者・城多(きた)の件だった。

スノボー競技会の時点で逆斐(さかい)の不穏が気になっていた兄達は密かに調査し、エィムとメーアの協力を得て城多を生き人として復活させようとしていたのだった。


〈城多さん、では打ち合わせ通りに〉


〈はい、ありがとうございます。

 (ノリ)の事故までもだったなんて……。

 ですが、もう一度 生きられるのですから頑張ります〉

〈モリ、クルーが近いよ〉〈そうだな〉



―◦―



「東邦テレビ独占取材班、レポーターは毎度お馴染み『何でも見たい知りたい』の見田井(みたい) 知望(とも)です。


 我々は今、世界的に有名なロックバンド、フリューゲルのリーダーでボーカルのメーア=ドンナー自身からの情報に依り、此処、遠くドイツの地に来ております。

 メーアからの調査依頼ですので、当然ながら入城許可はメーア城主から直々に頂いております。


 メーア=ドンナーが上級貴族だったという事実にも驚かされましたが、所有地の広さ、城の多さにも大変 驚きました。

 その中の1つ、全く使っていなかった城に我々は来ております。

 14世紀に建てられた深い歴史を感じる、とても威厳のある古城です。

 この古城に何やら住み着いていると、使用人から聞いたとの事なのです。

 その何者かは昼間は留守なのか、眠っているのか生命感が感じられず、夜になると活動しているようなのです。


 メーア=ドンナーの曾祖母は邦和人だそうで、これも驚いたのですが、それだけに使用人も和語を理解しているそうなのです。

 その使用人の話では、この古城から和語が聞こえたとか。

 果たして、住み着いているのは邦和人なのか、はたまた曾祖母の霊なのか!

 夜の(とばり)が降りた古城に潜入します!」


城の庭を歩きながら語っていたレポーターを先頭に、取材クルーが突入した。







逆斐と皆見が起こした5年前の事件に絡むお話に移ります。


メーアの先祖である初代フリューゲルが得た領地は広く、かつては葡萄畑が広がり、多くの雇われ農民(かつては領民)達が働いていました。

親族が暮らしていた複数の城も建っています。


今は休耕地とは名ばかりの荒地が広がるばかり。

家族も親族も全て亡くなってしまったので、主城をメーアの別荘 兼スタジオにしているのみで、他は全て空き城になってしまっていたんです。

その空き城の1つを舞台としての大芝居を打ちます。



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