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輝竜兄弟を守る人達



【紅火? また来てるのを見てるの?】


 紅火と若菜は作業部屋を拡張した自室で受注した祓い屋道具を作っていた。

その手を止めて若菜が不安そうな視線を夫に向けた。


【オーロザウラの欠片持ちかと思ったが違うようだ。

 他の神様の欠片持ちでもない。

 だが不穏は膨らみ続けている。

 厄介極まりない】


【神力の無い人でも こんなにも弱禍を膨らませられるのね……】


【これまでの不穏も大きなものはあったが、此奴のは……】

京海、美雪輝達、百香、竜騎など、過去の不穏と比較している。


 ナニワ報道社の逆斐(さかい)は夕刻以降、パトロール中の空沢(からさわ)に職務質問されて逃げ、若菜に追い返され、八郎に追い掛けられたにも拘わらず再び輝竜家に忍び寄っていた。


【行かねばならぬ】【待って♪】


わらっとユーレイ達が現れた。


【オイラ達が行ってみるだぁよぉ。

 ありゃあ祓い屋としても放置できねぇ不穏だぁよ】


【輝竜さん達は姿を見せるべきではないわ。

 私達に任せてねっ♪】

また来ているスザクインが(あで)やかにウインクして消えた。

他のユーレイ達も追って消える。


「あら? 紅火、それ……」


「受注した」フ。


『子猫』達が出来上がりつつあった。



―◦―



『な~にしてるのかしら~?』


不意の声に男が忙しなく見回す。


『喋れないのかしら?』


「誰や」


『不審者に名乗る名前なんて持ち合わせてないのよね~♪』


「隠れとらんで姿見せぇや!」


『あら、目の前なのに見えないのね。

 そもそも隠れているのは貴方でしょ?

 堂々と出ていらしたら?

 其処は他人様(ひとさま)のお庭よね。

 通報しましょうか?』


「俺は記者や! 報道は自由や!」


『あらあら、無知をひけらかすのも程々になさいな。

 報道の自由は、他の法律やモラルを守ってこそ主張してよいものなのよ。

 好き勝手になんて許しているとでも?

 そもそも歴史上の弾圧やらに対してのものなのよ。

 何でもかんでも公開してよいと言っているのではないわ。

 あら、その手の物は何?

 ペンは剣よりも強いのよね?

 どうしてナイフを構えているのかしら?』


「黙れ! どこに隠れとんのや!」

ガサッと葉擦れの音を立てて道に出た。


「出て来いや!」「また君かね」キッ。

「またお巡りか。

 俺は記者や。不審者やあらへん」

ナイフは素早く隠して身分証を突き出す。


「そうですか。

 ですが此処は芸能人も政治家も住んでいない住宅地です。

 不審者と言われても仕方の無い行為ですので、ご同行をお願いします」


「クッ……ソがぁ。

 離れたらええんやろ! 離れたら!」


「住宅地での騒音、大声は県の条例に違反します。

 繰り返すのでしたら測定しますよ?」


「やかましいわ!」

止めている自転車を蹴ろうとしたが空振り。

「なんでや!?」

動かしたユーレイ達が元の位置に戻した。


「では公務執行妨害も加えますね」

測定器を向けた。


「ナンもしとらへん!」逃げた。


『あとは私達にお任せくださ~い♪』

『ありがとうございました~♪』


「いえいえ、こちらこそです」敬礼。

追い掛けようと自転車に跨がった空沢だったが、不思議な現象には慣れてきていたので任せようと決めた。



―◦―



「美味しかった~♪ ごちそうさま♪」

沙南(さな)は満足そうな笑顔で箸を置き、掌を合わせた。


「だろ♪」


「って(まこと)が作ったんじゃないでしょ?

 届いたんじゃなかった?」


「ご近所さんから届いたものだ♪

 料理は心。真心だ♪

 素晴らしいご近所さんだ♪」


「確かに そうね。真心ね。

 それに腕も。プロなんでしょ?」


「その通りだ。プロのシェフだ♪

 4月からはレストランを開く♪」


「やっぱりね~。羨ましいな~」


「そうか♪

 作った者の真心が伝わったのならば追わないでやってくれ」


「え?」

淳を見ると真顔だった。


「頼む。取材しないでくれ」頭を下げた。


「どうして……?」


「知ったのは偶然だった。

 高築(たかつき)が書いた記事を見た。

 どんな雑誌なのかと調べた。

 勝手に調べたのは謝る。すまん!」


「そこは謝らなくても……」

「淳、それって どういう? まさか……」


「高築は女性向け雑誌の記者だ。

 だから家に入れた。

 取材しようと来たのだろうからな」


「そっか。知ってて……ごめんなさい」


「謝るのか?

 自分の記事に誇りは無いのか?」


「ないわよ。

 私は文芸部か社会部に行きたかったの。

 でも配属は……。

 だからジャンプアップしたくて……」


「そうか? 私は楽しく読んだぞ。

 大手なのだから記者は多い。当然だ。

 分かっていて挑んでいるのだから、途上で(くじ)けるな。

 諦めず、正々堂々な記事を書き続けろ。

 自信と誇りを持て。

 だが、愚痴や弱音を吐くのも必要だ。

 私が聞く。いつでも来い」


「淳ぉ……」


「泣く時の胸も貸してやるぞ♪」

「貸し易い胸だよね」「啓志!」

「どんなとは言ってないよね?」ピンポ~ン♪

「僕が行くよ」



『やっぱり紅火君♪』


「行くぞ高築♪」連れて走った。



「キリュウ兄弟!♪」


「む……」啓志に箱を押し付けて逃げた。


「やはり念が通じていたか♪

 高築、開けてみろ♪」


「え?」


「イケメンからのプレゼントだ♪」

「台所は片付けるから居間に行ったら?」

「そうだな♪ 啓志も最高だ♪」

「ありがと」苦笑して行った。



 居間の炬燵に入る。

「早く開けてみろ♪」


「うん……えっ!? どうして!?」


「それがキリュウ兄弟だ♪」


「可愛く寝床に入ってる……」


「充電が必要になれば勝手に収まるぞ♪

 出してやれ♪」


「うん」


 床に置くと子猫達は即座に掃除を始めた。

2匹の近付いたり離れたりの動きが、じゃれ合っているように見える。


「可愛い♡」「だろ♪ ん? おおっ♪」


子猫が増えた。


「この子達は?」


「私にもだ♪」『淳殿へ』の紙を見せた。

「出してやってくれ♪」「いいの?」「頼む♪」


高築のアメショーとロシアンブルー用の寝床(充電器)を取り出すと、その下にも寝床で丸まっている白と黒の子猫達が居たのだった。


「子供の頃、最初に飼った猫達ソックリだ♪」


「そんな話までしてるの?」


「していないぞ。

 しかし分かるのがキリュウ兄弟だ♪

 クロの右手には軍手、左足には靴下。

 シロの尾には淡いグレーの縞がある筈だ♪」


「まさか――」確かめに行った。「――あるわ」


「だろ♪

 取材をしないのならキリュウ兄弟について知る限り全てを話す」


「取材なんてしないわ。誓って、しないから」


「そうか♪ 昨日は甲斐に行っていたのか?」


「昨日は東京よ。

 部屋で記事を纏めていたわ。

 なんとなく点けていたテレビで開会式を見たの。

 もう釘付け。取材対象(イケメン)確定だと思って、ずっと観てたわ」


「私は輝竜家のバスで現地に行ったぞ♪

 キリュウ兄弟の大大大ファンだからな♪」


「輝竜さんがマーズなのよね?」


「そうだ。だが極秘だ」


「どうして閉会式には同時に?」


「分身の術だ♪ マーズは忍者だからな♪」


「もうっ、ふざけないでよ」


「真実だ」真顔。


「忍者だなんて……」


「だから、あのパフォーマンスが出来る。

 話さずとも子猫達が生まれたのだ」


「あ……納得しちゃった……」


「そうか♪

 さっき見た通りイケメンだが、忍者だからな。報道されたくないのだ」


「そっか」←すっかり丸め込まれた。


「マーズは正義のヒーローだ。

『皆に笑顔を』と多額の寄付をしているグループだ。

 昨日のギャラも全額寄付している」


「でも、稼いでいると思われてるんじゃ?」


「その通りだ。だから顔を隠している。

 忍者である事と、泥棒やらに狙われない為に隠しているのだ。

 通常の活動は、この姿だ」

ノートパソコンの画面を向けた。


「この動画は?」馬の被り物?


「中渡音では去年、大事故があった。

 その慰霊祭だ。

 ノーギャラで出演し、パンケーキの収益は全額寄付。

 スタッフとして働き、ピザも振る舞っていた」


「慈善団体だとして、昨日の競技に出て優勝・準優勝を総嘗めにしたのは?」


「少年少女達に夢を与える為だろうと勝手に解釈している。


 昨日、帰り着いたバスを出迎えてくれたミコトと名乗った少女から聞いた話だ。

 今、向かいの家には1クラス分程の少年少女達が保護されている。

 皆、家出をした者で、高架下で違法三昧な生活をしていたそうだ。

 そのバチが当たったと言っていたが……。

 吹雪の日に暖を取ろうとキムチ鍋をしたのだが、売る為に持っていた薬物を小学生達が悪気なく混入し、全員 意識不明の瀕死状態となったそうだ。


 どんな状態になっていたのか、どう運ばれたのか全く知らないが、気がついたら温かい布団の中だった。

 全く動けなかったが、生きたいと言ったら元気にしてもらえた。

 温かい場所で、美味しいものを食べさせてもらい、風呂に入り、可愛い浴衣を着て、人に戻れたと感じたそうだ。


 働くにしろ学ぶにしろサポートするから希望を捨てるなと言われて考え始めたところにマーズのパフォーマンスを見、輝竜兄弟が競技する姿を見た。

 言葉でクドクド言われても響かなかっただろうが、言外の思いが響いたそうだ。

 皆で話し合い、感じたものを合わせて言葉にしてみたら

『努力は無駄にはならない』

『夢に向かって生きろ』ではないかと落ち着いたそうだ」


「そっか……みんなに笑顔を取り戻させたのね。

 ただの慈善団体じゃないのね……」


「そうだ。ただの慈善団体ではない。

 真の姿は……これだ♪」

一旦、自分に向けていたノートパソコンを再び沙南の方に向けた。


「顔! 出してるじゃない!」


「クラシック界の超新星、世界のキリュウ兄弟だ♪」


「何それ!? もっと詳しく!」


「まずは曲を聴け♪」







また良い方向に解釈してもらえている輝竜兄弟です。

スノーボード競技会でのパフォーマンスも競技も、断るのが苦手なので出ざるを得なくなっただけなんですけどね。


そして勝手に『忍者』も定着しつつあります。

確かにニューイヤーライブでは忍者の衣装で忍者らしくしていましたけどね。

これからも忍者するんでしょうか?

兄弟の半分はノリノリで忍者しそうですよね♪



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