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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第28章 悪神起因の様々な犠牲者達
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メーアの来邦理由



 夕食の後、大部屋に行こうとした青生はメーアに呼び止められた。

「ええっと、三男?

 悪いが、まだ区別が難しくてな」


「そっくりなのは自覚していますよ。

 三男の青生です」


「居間で若いのと話してたのが次男だろ?

 昨日の夜、俺と話した」


「そうです。白久兄さんです。

 長男の金錦兄さんは東京で働いています」


「ふ~ん。大学には行かなかったのか?」


「そう言えば、ちゃんと自己紹介していませんでしたね。

 俺はメーアさんと同じ年の3月に生まれましたので少しだけ歳上です」


「はああああ!?」←7月生まれ。


「邦和人が欧米の方から若く見られるのは知っていますから、兄弟誰も気にしていませんよ」くすっ♪


「だから結婚してたのかぁ」


「職業は獣医師、妻の瑠璃と一緒に動物病院を経営しています。

 居間に戻りましょうか?

 皆も呼びますので」


「そうだな。頼む」


「何かお話があるんですよね?

 来邦の目的でしょう?」


「やっぱバレバレかぁ」


「なんだか大騒ぎになってしまって話し辛かったですね。すみません」


「キリュウのせいじゃないだろ。謝るな」


 居間のソファに落ち着き、皆を心話で呼んだ青生は金錦と白久の紹介をし始めた。



―◦―



 白久と(すぐる)の方も夕食を終えて、炬燵(こたつ)エリア近くのソファにテーブルを挟んで座ったところだった。

「で? 俺に聞きたい事って?

 前置きとか気にしなくていいからな」


「では単刀直入に。

 兄とは友人関係なんですか?」


「慰霊祭で知り合った。一応ダチかな?

 慰霊祭には来てなかったんだな?」


「行ってません。

 知り合いが亡くなった訳でもありませんし、大勢が亡くなったのにお祭り騒ぎするなんて、なんだか違う気がして」


「人を集め、寄付を集める為の催しだ。

 最も必要とされているのが金だからな」


「そうですか。それで兄とは何が?」


「募金の手伝いをしてくれた。

 だから話した。それだけだ」


「これは?」スマホの画面を向けた。


その写真は魁がアップしているライブハウス宣伝用のものらしかった。

秀が見せたのは棚に並んでいるマスコットの写真だった。


「その時の礼だよ。

 寄付もしてくれたからな。

 腹違いだろーが兄弟なんだから直接アイツに聞けよな」


「母さんが絶対 会うなって。

 兄も僕を避けてるし」


「魁が避けてるんなら秀が跡取りだと認めての事だろーよ。

 周囲は皆、秀を跡取りだと認めている。

 だから接触しない。優しさだよ」


「爺様は認めてくれません」


「それは魁とは関係ねぇよ。

 秀自身の問題だ」


「爺様も そう言いました。でも……」


「それに気付けたなら会長サンにも美那チャンにも認めてもらえるよ」


「どうして そこに!?」


「理由が同じだからだよ。

 俺は忙しい。美那チャンは取り込み中だ。

 昼からずっと此処に居させたのを明日は詫びろよな」


「いや、だって来ていいって!」


「そーゆートコだ。

 早く気付けよ」


「言ってくれないと分からないよ……」


「そーゆートコもだ」「お~い白久、ナンだ?」

「勝利サンすみません。ご帰宅です」


「え? まだ帰るなんて――」「坊っちゃん!」


玄関近くのドアから声を掛けた荒巻が急ぎ足で迫って来た。


「昼過ぎにも白久を捕まえてましたよね?

 他人(ひと)様のお宅に突然訪問して長居するのはマナーとして有り得ませんよ」


「だって居ていいって……」


「ホスト側は本心がどうであれ、そう言うのがマナーなんです。

 さ、帰りますよ」


「はい。

 また来ていいですか? 本心で」


「いいけどな。ああそーだ。

 土曜の午前中ならウチの坊っちゃんを教育中だから、ミツケンの支社長室に来れば話せる。

 隣のビルなんだから此処より近いだろ。

 それでどーだ?」


「はい。じゃあ それで。

 失礼します」

「今日はお忙しいところ、ありがとうございました。ですよ」耳打ち。

「えっと、、ありがとうございました」


「お構いもせず失礼致しました」笑い堪える。


「ホントだよ。何時間も待っ――」

「坊っちゃん! 行きますよ!」

御曹司に有無を言わさず引っ張る運転手は逃げるように輝竜家を出た。



「こりゃあ社長サンと話すべきかぁ?」

呟いて肩を(すく)め、弟達の方を向いた。


「白久兄さん待ちですから早く」


「おう」

金錦も居たので、金錦と青生の間に座った。

「メーアど~したぁ?

 青生、何 話してたんだよ?」


「各々自己紹介しただけですよ」


「あ~、だからビックリかぁ♪」


「思ってた歳の倍くらいだと聞いたら驚いて当然だろっ」


「そんじゃあ彩桜は6歳児だなっ♪」「むぅ~」


「マジで そのくらいだと思ってたよ。

 で、揃いも揃って博士で、ドイツ人でも知ってる煌麗山大卒ときたら、もう言葉も出なくなって当然だろ。

 それなのに金錦は教授で、白久は支社長。

 お前ら、どれだけ驚かせたら気が済むんだ?」


「メーアは貴族じゃねーか♪」


「そりゃあ先祖が偉かったってだけだろ」


「じゃあ世界的有名人♪」


「お前らもだろっ」


「俺達は全然だ♪」


「あのなぁ――いや、こんな話なんかしに来たんじゃないんだよ。

 音楽のと悪霊の真面目な話があるんだ」


「また城に出たのか?」既に真剣モード。


「いや、城は無事だ。

 庭の池近くに白猫が居着いたくらいだよ。

 畑にも人が来てくれたよ。

 じゃなくてな、話せてなかった事を全部 話しておこうと思ったんだ。

 事が起こる前にと思ったんだが、もう起こっちまってたな」


「常に何かに巻き込まれてるだけだ。

 ついつい首突っ込んじまうからな♪」


「そうか。

 さっきの若いのも、その絡みなんだろ?

 悪霊の臭い、漂わせてたからな」


「もう抜いて浄滅しましたよ」にこにこ青生。

「あとは浄破邪ゆるゆるするの~♪」彩桜も♪


「流石、忍者は素早いな。

 そんならまぁ、俺の話だな。


 俺はガキの頃から悪霊の声を聞いていた。

 最初は言葉までは聞き取れなかった。

 聞き取れるようになると悪霊は仲間になれと言い始めたんだ。

 嫌だと言うと、大切なものを奪っていくと脅し始めた。

 だからキク婆様に相談したんだ。

 で、城から離れるべきだと言われて全寮制の学校に行った。

 そうしたら家族が次々と、だ。

 葬式で帰る度に悪霊は俺を誘い、脅した。

 もうソッチに行こうかと思ったよ。

 けどキク婆様の言葉を思い出したんだ。

『悩んだら月の女神の池に行け』って言葉をな。

 だから行ってみた」


「月の女神の池?」


「庭の清らかな池だ。

 嵐の後だろうが水が濁らない、俺の大好きな場所だ。

 その池に今は白猫が居るんだよ」


【あの池かにゃ?】【だろうね】

【白猫って~】【後で行ってみよう】【ん♪】


「キク婆様の霊が導いてくれるかと行ったら、マジ女神様が出たんだよ。

『貴方は世を救う側。

 決して悪霊の側に行ってはなりません。

 いずれ家族には再会できます。

 今は耐える時です』

 そう言って消えたんだよ」


「その後も女神様に会ってたんだろ?」


「会ったよ。

 音楽したいと言ったら賛成してくれた。

 城は1階と地下なら入っていい。

 ベルリンで暮らせ。とかとか言われたよ。

 聞いてりゃ成功する。

 コッチも悪霊かと思うくらいに成功したよ」


「ホントの女神様だからぁ」


「分かってるよ♪

 あの臭いがしないからな♪」


「ん♪」


「そんで、家族と再会させてくれた者と生涯共に、協力し合って生きろとも言われてたんだ♪

 だから これからも頼む!」

両手をテーブルに突いて土下座風に礼!


「ンな事すんなよなぁ。

 もうダチなんだからトーゼン生涯共にだろ」


「そうか♪

 それなら早速 音楽の話だ♪」


「リリース時期の話とマーズの名でってのは社長から聞いてるぞ?」

「私達は同意したのだが?」


「即答、感謝してるよ。

 で、そのアルバムのライブツアーしたい」


「今までンな事しなかったろーがよ」


「邦和では普通なんだろ? アルバムツアー」


「ま、よくあるけどな。

 じゃあ邦和でやるのか?」


「いや、世界ツアーだ♪」


「俺達には仕事と学校があるんだぞ」


「レコーディングと同じだろ♪

 忍者移動で来るんだから♪」


「お前なぁ」「メンバーの皆さんの意見は?」

「だよ。リーダーだからって独断暴走するな」


「アイツらからの提案だ♪

 レコーディングは順調過ぎるくらいサッサと終わった。

 しかも出来は最高、大満足だ。

 だからお前達に会えなくて寂しいだとよ。

 勿論お前らのスケジュールは最優先にする。

 それでもダメか?」


【ど~するよ? 世界中に顔出しかぁ?】

【衣装は工夫する。俺達は忍者だからな】

【自営業は何とでもだよね。黒瑯、紅火】

【オレにはリーロンが居るからな】【む】

【学校と会社スケジュール同じだよね♪】

【そうですよね♪ 楽しそうですよね♪】


【ふむ。では、マーズとして参加しよう】


【【【【はい】♪】】】【【おう♪】】


「マーズとしてツアーに参加するよ。

 で、いつからだ?」


「忍者話法か?♪ 相談も素早いな♪

 アルバム無関係にツアーするつもりだったから、邦和の夜中にライブ出来る国の会場は確保してるんだ。

 マーズが参加しなくても聴きに来てもらおうと思ってたからな。

 邦和と近隣の国は、これから押さえる。

 マーズのスケジュール優先だからな」

テーブルにスケジュール表を出した。

「どうだ?」


【夜中なら問題ねぇよな】兄弟の顔を見回す。

【一番問題ありそうな黒瑯がそう言うなら】

【青生と彩桜の回復治癒頼みだけどなっ♪】


【兄貴、再来週のアレどーする?】

【ふむ。メーア殿に確かめねばな】


「なぁメーア、このまま20日まで居られねぇか?

 メンバーも呼べたら尚良しだが」


「俺は構わない。

 ツアーのリハは3月に入ってからだからな。

 メンバーには確かめておく」


「そんじゃあ一緒にライブしような♪」


「ん? そんな予定があったのか?」


「この前の慰霊祭での寄付が不十分ならと押さえてたんだ。

 けど十分。メーアが歌ってくれたから3倍くらい集まったんだ♪

 だから普通にライブだ♪」


「そうか♪

 そんならマーズのデビューライブだな♪」


「「は?」」「「え?」」「ほえ?」

「「ナンでそーなるんだよっ!?」」







新たな問題児君が これから絡みそうですが、少しだけ休憩的で、エィムがメーアに関して若威に話した内容は嘘ではなかったというお話を挟みました。

(悪霊を悪魔にしていたのは、若威には その方が解り易いだろうと考えたからです)

だって~ずっと重苦しいんだもん。

って書いてるのは私ですけど。


彩桜が6歳児……(ぷ♪)。

ま、紗ちゃんとバランス良いと考えれば――「良くにゃいもんっ!」


凜「だからお子ちゃま扱いなんだよ?」


桜「『だから』ってにゃ~にぃ?」あっかんべー。


凜「にゃんにゃん語やら動作やら~」


桜「ふぅん。キャラ変えちゃうよ?」


凜「ややこしくなるからヤメて」


桜「ふ~ん♪」あっかんべ~♪ 瞬移♪


やっぱり6歳児だ。うん。



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