表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第25章 増殖する悪神オーロザウラ
493/870

コソコソにょろにょろカササササッ



 神の湯の青生と瑠璃は、封珠を手にしたドラグーナが目を開けるのを待っていた。

【うん。確かに伝わったからね。

 このまま湯に浄化していてもらおう】とぷん。


【父様、出る際には何か前兆が起こりますか?】


【分からないけど……トリノクスの神力が光るかもね。

 それじゃあ お邪魔だろうから戻るね】

にこにこと青生の内に戻った。



【邪魔だなどと……】


【のぼせた? 頬が赤いよ?】


【違うと分かっていて言うのだな】睨む。


【うん♪ 可愛い♪】


揶揄(からか)うなっ】


【ほら、夕焼けが綺麗だよ。

 瑠璃の方がずっと綺麗だけどね♪】


【まったく……】


【ん? 負の感情より ずっといいよね?】


【……確かに】


【笑ってようよ。

 ショウも その方が頑張れると思うよ】


【そうだな】ふふっ。


【やっぱり可愛い♪】くすくす♪


【だから揶揄うなっ】はははっ♪



―・―*―・―



 両親を後部座席に乗せて中渡音に戻っている結解の車は、高速国道を降りて一般国道に入った。

平日なら帰宅ラッシュの時間帯だが、土曜日な今日はスムーズに流れている。

母と百香が話しているのを微笑ましく聞きながら運転していると、男の子が飛び出して車の前で止まった。


全力ブレーキ!


衝撃は無かったが、男の子は跳ね飛ばされたかのように体勢を崩し――


「えっ?」「消えた!?」

百香と母の声が聞こえたが、それには返事せずに結解は車を降りて男の子を探した。


「こっちだ。怪我なんかしてないよ。

 ぶつかってないもんな」

男の子を歩道に連れて逃げたらしい男が向いて笑みを浮かべた。


「慎也さん、どうして こんな所に?」


「歴史資料って、あちこちにあるんですよね」

男の子を立たせた。

「もう飛び出しちゃダメだよ」ぽんぽん。


「ジャマしやがって……」ボソッ。


「ん? 気をつけて帰れよ?

 それとも送ろうか?」「いらない!」

男の子は走り去った。


「あの子……」

大呂(おおろ) 春希(はるき)君。

 あの事故でお父さんを亡くしたの。

 お母さんは後遺症で働けなくて……」

百香が悲しそうに俯いた。


平等(たいら)、車を動かさないと」渋滞が。


「んっ」慌てて乗った。「慎也さんも」


「俺は探索したいので此処で。

 それじゃ、お気をつけて」

手をヒラヒラさせて去った。



―・―*―・―



【俺そろそろ帰らないとだけど~、ソラ兄ムリしないでね?】


【そういえば、みんなは?】


【俺ん家に泊まるの~。危険だから~。

 俺、入院動物のお世話って出てきたの~】

まだ心配そうだが立ち上がった。

【あ、奏お姉さん浄化しないとねっ♪】


【そうだね!】

(カラ)元気な二人が両手を突き出した。

【【浄破邪の極み! 人用の!】】



―・―*―・―



 狐魔ヶ岳(こまがたけ)に絶叫が響き渡る。

ただし神耳にのみ。


【彩桜達が奏さんの残滓を浄滅したのかな?】


【そうだろうな】


【俺の勝手な想像なんだけど、理子さんに隠れている欠片は真核の一部か、真核に近い箇所じゃないかと思うんだ。

 だから強い意志があって、神力を感じる奏さんと響さんに欠片を込めたんじゃないかとね。


 颯人さんの欠片は、理子さんのが込めたんじゃなくて元々入っていたと思う。

 だから引き合って惹かれ合った。

 理人君のは理子さんのからだね。

 だから絶叫し合うんじゃないかな】


【ふむ。納得だな】



―・―*―・―



 慎也(リグーリ)は素早い男の子を追っていた。


【お~いリグーリ。

 その子の家は百香チャンと一美チャンが知ってるぞ~】


【オニキスか。何処から見ている?】

気を消しているのはお互い様。


【上だよ。巡視のついでだ】


【家が分かってよーが、次に何やらかすか知れたもんじゃないだろ】


【確かにな。けど家に帰ったみたいだぞ】


【確かに入ったな。この家は?】


【ダチのじゃなく住んでるのなら、母親の兄家族の家だとよ。

 一美チャン情報だ】


【そんなら俺は此処で張っておくよ】

シュルッと普通サイズの蛇になって庭へ。


【神眼も神耳も禁止だぞ。

 あ、弟らしいのが向かってる。

 そんなら――】

ピッと爪で弾いた極小の何かが、買い物帰りらしい小走りな子供の耳後ろに着いた。

【盗聴機だ。ほらよ、受信機】ポイ。


【ありがとな】口でキャッチ。


【そんじゃ頼んだ。オレは結解を追う】

飛んで行った。



『にーちゃん、タマゴ。ハイ』


『ん』ガサッ。


『タマゴやき、たべたいな……』


『コイツはダメだ。武器にするんだからな』


『ブキ? タマゴが?』


『腐らせて投げるんだよ。卵爆弾だ♪』


『え~、もったいないよぉ。

 タマゴやき、おばさんに つくってもらお~よぉ』


『ダメだ。にーちゃんの命令はゼッタイだ』


『ちぇっ。ハナビは? しないの?』


『もうない。全部 武器にして使った』


『ええ~っ』


『どっちもコヅカイ使いきったからな。

 次のコヅカイを待て。すぐに2月だからな』


『つぎのハナビ?

 こんどは、ちゃんとハナビしよーね♪』


『おにーちゃんたち、なにしてるの?

 おふろ、はやく はいらないと、しかられるよ?』


『あっ』『アキは入ったのか?』


『でたとこだよ』


ガサガサと買い物袋らしい音がした。


『にーちゃんの物、勝手に触るなよ』


『うん』


足音のみ。廊下を歩いているらしい。


『おばさん、お風呂お先です』

『にーちゃんと入りま~す♪』


『すぐ夕飯だから長湯しないでね』


『はい。行こう』『は~い♪』



 あの子には弟と妹が居るらしいな。

 悪神の欠片は弟妹には入っていないのか?

 風呂に入ったら盗聴機が流れるとか

 ないだろうな。……もう暫く聞くか。



―・―*―・―



【キツネ様、響が乗っ取られるとかありませんよね?】


【そんな事はさせぬ。案ずるな】


【はい……】

眠る響の髪を撫でた。


【此れ迄、何度も接しておきながら見付けられず、すまなかった】


【いえ……獣神様には見えないと聞きました。

 致し方ない事だと思います】

【ソラ兄、落ち込んじゃダメだよ】


【彩桜、みんなは? 来て大丈夫なの?】


【家の警護は兄貴達とオニキス師匠と狐儀師匠がしてるから大丈夫。

 祐斗がね、何か起こってるって気づいてて、行っていいよって】


【そっか。ありがと彩桜。

 心配かけてしまうね】


【相棒だから心配 当たり前なの】ゆるゆる浄化。


【ん。ありがと】

【彩桜、何か見えぬか?】


【にょろにょろウナギな悪神ねぇ……隠れちゃうんだよね~】


【鰻の神なんぞ居らぬ。其奴は人神だ】


【でも黒くて捕まえられないんだもん。

 ウナ――やっぱりゴキブリかにゃ?】


【ふむ。確かに御器噛(ごきかぶ)りの如き(やから)だな】

【あんまりな言い方だね♪】くすっ♪


【真っ黒コソコソかくれんぼなんだも~ん♪【あっ!】】睨んでる!


【ふむ。続けよう。

 言葉までは聞き取れる筈が無い。

 意識を向けられ、揶揄われておると察知したのであろう】

〈御器噛りならば殺虫剤が効くやも知れぬな〉

聞こえるように通常心話に切り替えた。


〈キャッチポイポイは?〉〈いいかもね♪〉


【紅火、らしき物は作れるか?】【勿論】


《ボクも入れて~♪》ぱよん♪


〈ガネーシャ様、ルロザムール様。

 ご協力をお願い致します〉


《うんうんな~に?♪》〈はい! 何なりと!〉

紅火と神達は内緒話を始めた。



―◦―



〈ゴキウナギ~♪

 コソコソにょろにょろ~♪〉


〈やめて彩桜、聞こえてしまうよ〉あははっ♪


〈聞こえてもゴキブリもウナギも知らないと思う~♪〉


〈ウナギならいいんだけどね♪〉


〈美味し~もんねっ♪

 でもゴキブリは――〉〈〈料理人の敵だ!〉〉

〈あれれ~来ちゃったの~?〉


〈アレはサイテーだからなっ!〉

〈考えただけでゾワゾワする!〉


〈アイツ、似てると思わにゃい?〉にやにや♪


〈似てるじゃなくて!〉〈そのものだっ!〉


《そのような原始人世(ひとよ)生物と儂を一緒にするな!!》

【掌握!】〖網~♪〗

《なっ、何をするっ!!》カササササッ!


 苛立ち、攻撃しようと響の額に浮かび上がった小さな黒い染みは、彩桜の破邪を纏った紅火の掌握に追われて響から離れ、部屋中を逃げ回る羽目になった。


〈やっぱりカサカサにょろにょろ~♪〉


言い返す余裕も無く逃げる魂片が微かな人神の神力を感じ、それを得て反撃しようと隠れた先は、ルロザムールの神力を餌とし、ガネーシャが神力封じ網を仕掛けた栗の中(キャッチポイポイ)だった。


〖【【【【捕獲成功!♪】】】】〗【【ふむ】】


《これは何事だっ!! (はか)りおったな!!》


【【滅禍大っ輝雷!!】】バリバリドドーン!


網の中で暴れていたがトドメの雷光に貫かれて固まった。気絶したらしい。


【焼き栗~♪

 瑠璃姉、来て来て~♪ 捕まえた~♪】


【は? いや行く!】来た。【浄滅しに行く】

〖はいラピちゃん♪〗【ありがとうございます】

ガネーシャから受け取った栗を封珠に込めると術移した。


青生も来て、摘出時と同様に繋がりを断った。

【残滓は彩桜、ソラ君。お願いね。

 奏さんもだけど、長く居座っていたんだし、人なんだから弱めに継続してね】


【うんっ♪】【はい!】







普通の盗聴器ではありませんので紅火作のは『盗聴機』です。年末と同じです。


罠に使った栗の中身は紅火が掌握で取り出し、火炎で程よく焼いて、彩桜が美味しく完食済みです。

試作込み込み そこそこ作りましたので。


響に入っていたオーロザウラは捕獲しました。

奏のを食べてしまったカケルは?

次の作戦会議中です。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ