謎能力の神力核と鍵
《やっほ~彩桜~♪ あれれ?
器クン真っ白!? 縮んだ!?》びよっ!
「ガネーシャ様いらっしゃ~い♪」「象……?」
「象の神様♪」「神様!? あっ、印度神話!」
「うんうん♪ 有名神様なの~♪
ちっちゃカワイイ象さんなったんだ~♪」
《キャンプ~が、この方がいいって~♪》
彩桜の周りを宙で弾みながらクルクルクル♪
「そっか~♪ キャンプー様は?」
《父様とお話し中~♪
それで~、彩桜が真っ白にしたの?》
彩桜の頭に乗って弾む♪
「俺とサーロン♪ 限界なったから休憩中♪」
《いい感じに伸びてるね~♪
青生のトコ行こっ♪》彩桜を連れて消えた。
「彩桜だけ……?」「特訓かな……?」
《おいコラ悟!
ドラグーナは特訓が必要かもだがな、オイラだって大神なんだぞ!
休憩なら瞑想だ!》
《ソラもだ! 俺も大神なんだからな!》
「「はいっ!」」瞑想!×2。
《嬢ちゃんも瞑想するんなら引き上げてやるぞ》
《オイラも手助けしてやる♪》
「はいっ♪」悟と並んで目を閉じた。
オッサン神達よ、こういうのもセクハラと言うのだぞ。
―◦―
《神力の具合、見てあげる~♪》
入院室に居た青生が仮眠室に行くと、小さなパステルブルー象が目の前に現れ、鼻先が額に くっついた。
〖瑠璃は~?〗
【牧場に出掛けています】
〖じゃあ後だねっ♪
あのね、さっき彩桜の中に重要な神力を見つけたんだ~♪
でも鍵が見当たらなくてね~♪
探してい――あった~♪〗
【本体が彩桜で、鍵が俺ですか?】
〖そのと~り♪
このままじゃ発動できないから~、ケイロン様に相談しよ~♪〗
青生と彩桜を連れて瞬移♪
――キツネの隠し社。
〖ケイロン様~♪ あ、父様も居た~♪
父様経由、ケイロン様の探し神力♪
見つけましたよ~♪〗
〖やはりドラグーナの内に?〗〖うん♪〗
〖そうですか。噂は本当だったのですね〗ほ。
〖二人を連れて来たという事は、まさか……〗
父子が話している横で困惑気味の兄弟にケイロンが寄って確かめた。
〖ドラグーナ様が分割されているが故に、困った状況になってしまったのですね……〗
【つまり、本体と鍵がバラバラだと発動できない、という事ですか?】
〖そうなのです。ですが、もしかしたら……〗
遠くに居たオーディンも寄って来た。
〖私も見てよいか?〗
〖ええ。お知恵を拝借いたしたいところです〗
〖ふむ……〗
青生と彩桜の額に掌を当て、唯一の眼でジッと見る。
身動きも出来ずに暫し。
〖状況は分かった。
ケイロン殿、夜まで猶予を貰えるか?〗
〖ええ。たった数時間でよろしいのですか?〗
〖方法を練るのみだからな。十分だ。
そもそも、この特異な神力核と鍵はドラグーナの魂核と魂頭部に込められたのではなく、各々が好む位置に移動し、定着したものだ。
故に発動させたいからと鍵を魂核に移そうとも用を成さぬだろう。
そうなると写しを込めるより他に手は無い。
魂核には鍵の写し、魂頭部には神力核の写しを込める事となる。
ここまでは決定だ。
若干、弱まるだろうが発動が出来ぬよりは遥かに良いだろう。
都合の良い事に、兄弟の魂素材は同一。
叶う筈だ〗
〖もしや、写しの神力核は反転効果となるとか?〗
〖可能性は有る。
しかし反転であろうが有益だ。
敵が支配と操禍持ちなのだから、何れにせよ強力な武器となる〗
〖確かに。では青生、彩桜。
今宵、瑠璃と共に いらしてください〗
【はい】【ねぇねぇ、どんな力なの?】
〖己で見つけなければ開かぬ神力なのですよ。
見えていても教えられないのです〗
【なんか~ワクワク♪
青生兄と一緒だし~♪ 頑張りま~す♪】
〖そうですか〗ふふっ♪
〖ああそうだ。
ドラグーナの魂手を連れて来てくれ。
私の偽眼を摘出してくれた青生が対象なのだから代わりが必要だ。
瑠璃と魂手とで摘出し、写しを作らねばならんからな〗
【解りました】【紅火兄でしょ?】【うん】
〖紅火だったらモノ作り得意だから~♪
すっごくイイ写しが出来ると思う~♪〗
〖そうか。それは良い〗
―◦―
そして夜。
牧場から戻った瑠璃を手伝いも兼ねて先に行かせ、動物病院の仕事を終えた青生が紅火と彩桜を連れてキツネの社に行くと、父娘は睨み合っていた。
どうやら獣神秘話法で口論中らしい。
「じゃあ今、ラピスリ様?」
「たぶんね」
「瑠璃姉の姿のまま?」
「ラピスリ様の人姿なんだよ。きっとね」
「瑠璃姉まんま?」
「俺達だってドラグーナ様の人姿まんまらしいよ」
「そっか~♪ だからソックリ兄弟で、瑠璃姉とメイ姉もソックリなんだったね♪
リーロンは?」
「オニキス様の人姿まんまらしいよ。
ドラグーナ様の御子の中でもソックリ一番だと話していたよ」
「そっか~♪」
背を向けて話していると、紅火が二人の肩をつついた。
「「ん? あ……」」
白狐と白銀狐が睨んでいた。
「心話の方が耳障りだと思ったんですけど聞こえましたか?」
聞こえたからこそ姿を変えたのだと、青生の問いには言葉では答えずに睨んだままズイッと一緒に寄って来た。
「何でしょう?」「うんうん」微笑み返し×2。
「ドラグーナこそ神力を受け、強化すべきだっ!」
〈俺に飛び火?〉
〈オフォクスが弱っているからだよね?〉
〈ラピスリも複数 受けているんだから頂けば?〉
青 紅 桜ドラグーナが各々の頭上に浮かんで苦笑。
「それに俺達は強化の為に来たんですよ?
潜在能力を使えるようにするのも強化だと俺は思います」「俺も~」「うむ」
〈そうだよね。
俺も違和感には気付いていたけど、その力を開くには至っていないんだよ〉
〈だから確かな強化だよ〉
〈しかも青生と彩桜が使えれば複数同時発動になるんだから大きな強化だよ〉
「ええい! 口達者な奴だ!
複数で喋るな!」
〈同時には話していないよ?〉紅と桜、頷く。
「今は継承神力と称号の話だ!」
〈この神力も何方かからの継承だと思うんだけど?〉
〈それでも論点が違うと言いそうだよね〉
〈それなら俺みたいに中神力を沢山 頂くのは?〉
「中神力だと?」「父様それは?」
〈ラピスリの慈愛とかも中神力だよ〉
〈陽の性格や制約とセットになっていない軽めの称号とかだよ〉
〈それなら俺も沢山 持っているんだよね〉
「では『今ピュアリラ』は?」
〈ギリギリ中神力だね。中の最上〉
〈セットになっていないからね〉
〈たぶんセットにしなかったんだよ。
若干 弱くなっても箍を外しておきたかったんだろうね〉
「そういう類いを集めれば!」
〈うん。大きな強化になるよ〉
〈オフォクスも それならいいよね?〉
〈危険な父娘喧嘩なんてしないでね〉
「「危険?」」
〈口論ならいいけど、本気で喧嘩なんかしたら地星が割れてしまうよ〉
〈自覚なさそうだけどね〉〈そうだよね〉
「煩いっ!」「父様っ!」
「ねぇねぇドラグーナ様~♪」
〈〈〈どうしたの彩桜?〉〉〉
「どんな称号 持ってるの?」
〈雑多に沢山なんだけど……〉
〈音楽に関しても持っているよ〉
〈奏技、舞技、音色、癒し、舞術、奏術とかね〉
〈『技』は技術。演奏そのもの、舞いそのもの〉
〈『術』は詠唱時に術を強化する動作だよ〉
〈他にもあるけど、君達も奏舞時に自然と使えているから意識しなくてもいいよ〉
「「自然と?」」「む?」
〈うん。音色に神力が乗るんだよ〉
〈心を込めると、その強さ分だけ強くね〉
〈でもアンフェアじゃないからね。
誰しも心を込めて奏でるものだからね〉
兄弟、顔を見合わせる。
〈悩まなくてもいいよ〉
〈正当な能力なんだから〉
〈君達の奏舞は本物だよ〉
「でも……」
〈人々を魅了しているのは俺の神力じゃない〉
〈君達の心だよ。研いてきた技術もね〉
〈音神の言葉だから信じてね〉
兄弟、まだ顔を見合わせている。
〈まだ信じられない?〉
〈君達は修行も積んで自前の神力も蓄えている〉
〈最近は俺の神力よりも自前のを使っているよ。
だから実力だね。努力の賜物だよ〉
「それならいっか~♪」
「そうだね」くすっ。 「ふむ」フッ。
〈納得したのなら強化を始めよう〉
〈ケイロン様とオーディン様がお待ちだよ〉
〈隠し社に行こうね〉
「うん♪」「はい♪」「うむ」
隠し社に行くとケイロンとオーディンとシヴァが頭を寄せて話していた。
《待っていたよ。
オーディン様、説明をお願いしますね》
《説明と言われてもなぁ……ま、よいか。
知恵を出し合い、ドラグーナが元に戻った際には大元が本来の力を発揮するのは勿論、写し神力も使えるよう考えた。
試す事となるが故に、詳細は都度、施術者に説明する》
《青生と彩桜は眠っていてくださいね》
「「はい。お願い致します」♪」兄弟揃って礼。
―・―*―・―
きりゅう動物病院では、一気に浄化された竜騎を見、それを人が成したと知ったキャンプーが激しく落ち込んでいた。
《だから~キャンプ~も強化しよ~よ~》
《ウルサイ! シヴァ様からも何度も聞いた!》
《悟達が帰ったから涙目でもいいけど~、格好悪いよ?》
《どっか行けっ!》
《禍 生みそ~だから放っとけないよ~》
《うっ……》大いに負に傾いている自覚はある。
《今は浄化お休みだからキャンプ~もお休みね~♪》爆眠♪
静かになった保護水晶を抱いて、小さな青象も眠りに就いた。
シヴァがガネーシャに探し神力を頼んだのは雪が舞う終業式の日でした。
連れて社の外に出た。くらいしか書きませんでしたけど。
この稀な神力を持つ龍神をケイロンが知っていて、その欠片もガイアルフかフィアラグーナが集めている筈だとシヴァに話したようです。
ドラグーナかオフォクスが持っている、その神力をガネーシャは ずっと密かに探していたんです。
キャンプーに振り回されながらなので、隠れている神力探しは大変だったと思います。




