継承で神力を爆上げる
キツネの社では――
〖だ~か~ら~、オフォクスも強化しないと~。
も~無理でしょ?
こんなのに逃げられてたら、この先 戦うの無理でしょ〗
【嫌です! 受け入れられません!
ただ疲れていただけですのでっ!】
〖神が疲れるって大問題でしょ~〗
【問題であろうが受け入れられませんのでっ!】
〖頑固なんだから~。
グランディーヌちゃん、説得してよ~〗
〖ガチガチ頑固なのですよ〗ほほほ。【桔梗!】
――オーザンクロスティを封じたガネーシャと、回復したオフォクスとの口論が、夜中が近くなっても続いていた。
一旦は揃っていた輝竜兄弟は、分身を保ってくれている狐儀に悪いからと、金錦と彩桜を残して早々に帰宅していた。
【【只今 戻りました】】
奏と響に説明し終えた青生と、動物病院の様子を見に行っていた瑠璃が一緒に戻った。
【兄さん、俺達が残ります。
家と白久兄さんをお願いします】
【ふむ。お稲荷様を頼む】瞬移。
青生と瑠璃は、眠ったままの彩桜に回復治癒を当てながら待つ事にした。
―・―*―・―
【白久、まだ話しているのか。
双璧は神力消耗が激しいのだから早く眠るように】
白久はシルコバからの治癒を受けながら徳示・麗楓と話し、結解と話した後、宮東の部屋に家西も連れ込んで話していた。
「そんじゃあ、この話を詰めるのは明日な。
事務長候補にも頼んでるんだ。
病院が建つ頃には主要なトコは揃うからな♪
時差ボケ解消したいから寝させてくれ♪」
「確かに、それは僕もまだ必要だね」
「あっ、お邪魔しましたっ」
――と解散して、白久は金錦の部屋へ。
「ア~ニキ♪」
「早く眠るよう言った筈だが?」
「双璧が成功して、たぶんハイなんだな~♪
けど、どうやったら2発目が出せるんだ?」
「基礎神力を上げるしかないだろう」
「そっか♪ そんじゃあ瞑想すっか♪」
「早く眠るよう」キンッ!
「睨まなくても大丈夫だって♪」
「シルバーン様 コバルディ様。
眠らせて頂けますか?」
〈〈いいのか?〉〉
「はい。お願い致します」「お~い」苦笑。
〈白久、部屋に戻れ〉〈先ずはソレだな〉
「へいへい。退散しますよ。
ありがとな兄貴♪」
―・―*―・―
「あれれ? 俺……サーロンは!?」
目覚めてキョロキョロッ!
「無事だよ。響さんと話しているね。
彩桜の攻撃でオーザンクロスティは、ほら、あの封珠の中だよ」
「そっか~♪ 白久兄の攻撃って?
双璧だっけ? 1発モノなの?」
「神力消耗が激しいから今は1発なだけだよ。
双璧は直前の術でも能力でも何でも写して発動できる神力なんだ。
大技でも小技でも同じ神力が必要なんだよ」
「そっか~。だから大技だったんだ~♪
俺よりコスパ良かったんだね?」
「そうだね。コスパね」くすっ♪
「ね、青生兄。お稲荷様とガネーシャ様、な~に騒いでるの?
瑠璃姉、呆れてない?」
「うん……もう止めるのも諦めたみたいだね。
オーザンクロスティの残滓なんかに封珠を割られてしまったから、ガネーシャ様は もっと強い神力を受けるように仰っているんだよ」
「どして嫌なの?」
「強い神力と陽の性格がセットらしくてね、だからガネーシャ様はお茶目なんだ。
そうなりたくないと、お稲荷様は抵抗しているんだよ」
「ふぅん。
代わりに俺、貰ってもいいのかにゃ?」
《貰ってくれるの!? ドラグ~ナ♪》
ぽよん♪ と弾んで来た。
「ドラグーナ様じゃなくて俺♪
神様の魂 使ってるって聞いたよ?
俺じゃムリ?」
《見させてね~♪ ふむふむ……うんっ♪
彩桜なら大丈夫だねっ♪
術で神力封じも使ってるし~♪
ボクの欠片を込めてあげる~♪ はい♪》
光点が彩桜の額へと飛んで入った。
「わあ♪ なんかキラキラ~♪」ぱあぁぁあ♪
《定着 早いねっ♪ あとは基底を上げれば上げるだけ強力になるからね~♪》
「あっりがと~ございます♪」ぴょんぴょん♪
《うんうん♪
シッカリ定着したら追加するねっ♪》
彩桜と一緒に ぽよんぱよん♪
【変わった……のか?】瑠璃が寄って来た。
【どうだろうね】くすくす♪
「お稲荷様~♪
同じ先読みの神様から貰うのは? ダメ?」
「いや、しかし……」如何な神力であろうが――
《オフォクス~♪
父様にお願いしてあげる~♪
父様ならいいでしょ?
陽、と~っくに消えちゃってるし~》
「然うか……其れならば――」《決っまり~♪》
ぽよんぽよんぱよ~ん♪ と隠し社へ。
オフォクスが唖然としている間に話したらしく、直ぐに戻った。
《受けてくださるのですね?》
シヴァは感動しているらしく瞳を潤ませていた。
何をどう話したのやらと思いつつもオフォクスが断れずに頷くと、シヴァは嬉しそうに欠片を分けてくれた。
「有難う御座います」丁寧に礼。
《変わってないね~♪ ラピスリもどう?》
「ふむ。頂いておくべきだな」父ニヤリ。
さっきまでのは忘れたのか!?
逃げようとしたラピスリの そんな思いが伝わったらしい青生が苦笑を浮かべながら抱き止めた。
「瑠璃に何かあったら俺は耐えられない。
受けて、もっと強くなってよ」
「青生……」 《「決っまり~♪」》
「瑠璃は俺と彩桜を無謀兄弟と呼ぶけど、瑠璃も同じくらい無謀なんだからね。
シヴァ様、お願い致します」
瑠璃の背を押して行き、シヴァの前に立たせた。
《よろしいのですか?》
「っ……はい。お願い致します」礼。
《では、今ピュアリラにも》
また嬉しそうに欠片を分けた。
「ありがとうございます」深々と礼。
《青生は彩桜と同じボクのがいいよね~♪》
「えっ!? シヴァ様お願い致します!!」
《ええ~っ》《はい♪》ふふっ♪
―・―*―・―
楽しく騒いだガネーシャが動物病院に戻ると、キャンプーと悟が並んで竜騎に浄化を当てていた。
《クーゴソン、交替ね~♪》ぽよん♪
《はいっ! ありがとーございます!》
《悟は? ちゃんと寝てる?》
《それが……》魂を確かめる。
〖強くならなければと己を追い詰めていて、強制的に眠らせましたが焦りばかりが伝わるんですよ〗
〖新学期が始まるって泣きそうになってたもんね~。可哀想にね~〗
〖ドラグーナが帰ってると聞いて、一度は行ってたんですけどね。
行ったら分身ばかりだったから、すぐにコッチに。
助けてもらえるかもと喜んでたんですけどねぇ……〗
〖ねぇキャンプ~。
黙ってるけど、もっと頑張れない?
ボクを受け入れてくれたら強くなれるよ?〗
〖受け入れるとは?〗イラッ。
〖ボクを妻だと認めて~『愛してるよ♡』って言って~♪ ねぇキャンプ~♡〗
〖寄るなバカッ!
何故いつまでも頭だけなのだっ!?〗
〖だってぇ~、象って大きいからぁ。
全部 成したら威圧的でしょ~?〗
〖小さくも出来るだろっ!〗
〖それでキャンプ~が妻だと認めてくれるなら~♪〗ぽん♪
〖うっ……〗〖こりゃあカワイイですねぇ♪〗
〖でしょ♪ ねぇキャンプ~♡〗すりすり♡
〖寄るなっ!!〗水晶玉が逃げる!
〖待って~♪〗やっぱり弾んで追う。
小さめサイズの水晶玉と、手乗りサイズの2頭身パステルブルー象は、追いかけっこしながらも浄化を続けている。
〖流石、大神様だよなぁ〗感心しつつ楽しむ。
〖早く器クンを終わらせてオフォクス手伝わないと~〗
〖どーゆー事だっ!?〗
〖オフォクスてば、100年ず~っと ひとりで頑張ってきた疲れとかもあるのに、人神力不足で更に頑張ってるでしょ~?
だからヘロヘロなんだよ~。
父様達も手伝ってるから~、ボク達も手伝えると思うんだ~♪
だから強くなろ~よ~♪〗
〖他に方法は無いのかっ!?〗
〖他~? ボクの力、分けてあげる~♪〗
〖要らぬ!!〗〖キャンプー様♪〗
〖何だクーゴソン!!〗
〖息ピッタリなベスト夫婦にしか見えませんよ♪
認めてみたら如何です?
嫌ってはいないのでしょう?〗
〖黙れクーゴソン!!〗〖ほらほら言って~♪〗
〖割り込むな青象!!〗〖愛してるから~♪♡〗
〖五月蝿い黙れ象!!〗〖蝿ならシッポでね♪〗
〖何故まだ頭頂に!?〗〖カワイイでしょ~♪〗
クーゴソン、堪えきれずに大笑い。
〖クーゴソン! 笑うとは失礼な!〗
〖ですが夫婦漫才でしょ? 笑いますよ♪〗
〖やかましい!〗〖うんうん笑って~♪〗
〖ああもうっ!〗〖愛してるから~♪♡〗
〖くっつくな!〗〖くっついちゃう~♪〗
〖いい加減にしろっ!!〗〖あらら~♪〗
ペコリとしたガネーシャがスポッと水晶玉を鼻キャッチして退場らしく横に動いた。
〖何をするのだ!?〗
〖ん? 夫婦漫才♪
さっきの、退場の合図でしょ♪〗
〖はあっ!?〗〖確かに♪〗
〖キャンプ~♡ 一緒に浄化ねっ♪
朝になったら彩桜にも浄化してもらお~ね♪
彩桜と~っても強くなったから~♪〗
〖は?〗
〖ボクの力、分けてあげた~♪〗
〖はあっ!?〗
〖欲しいって言ってくれたよ♪
だからキャンプ~にもあげるねっ♪〗
〖要らぬ!!〗
〖親友~♪〗
〖それは認めたではないか〗
〖だから欠片あげる~♪〗
〖やかましいわ!!〗
朝まで夫婦漫才は続く。
青生と彩桜、瑠璃も継承神力でパワーアップです。
頑固に拒否していたオフォクスも とうとう大神力を貰いました。
夫婦漫才。
見るからに楽しそうなガネーシャだけでなく、キャンプーも楽しんでいると思います。




