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利幸と勝利



「お~い彩桜~」


 利幸はクラクションも鳴らしたが、聞こえなかったのか、彩桜は走り去った。


「な~に急いでたんだろなぁ……」


『すまんっ! 邪魔だったな!』

助手席側に駆けて来た足音と男の声。

『すぐに移動させ――トシ!?』


「あ? お♪ 勝利(かつとし)じゃねぇか♪

 ナンでこんなトコに居るんだぁ?」


「そりゃあコッチのセリフだっ!

 何してやがるんだよ?」


「見ての通り、配達係だよ。

 勝利こそ、会長サンどーしたんだぁ?

 あの黒ピカ高級車、会長サンのだろ?」


「送ってったばっかで、拾いに行くのは夜だ。

 その間に確かめたくて来たんだよ」


「何を?」


「会長が惚れ込んでるコレのアパートだよ」

小指を立ててニヤリ。


「ふ~ん。で、見つかったのか?」


「たぶん、そこの2階だ。

 昨日の夜中、つーか、ほぼ今朝だな。

 送ったんだが階段上がりかけで早く行けって追い払われちまったんだよ」


「そこの2階なぁ……ホステスかぁ?」


「だよ。知ってるのか?」


「1人な。

 小夜子なら――」「ナンで知ってる!?」

          叫びながら助手席に。


「高校の同級生だよ。

 乗ってもいいが、お前の車ジャマだろ。

 倉庫の前なら広い。そこ曲がってすぐだ。

 俺も荷物を下ろすからソッチ行く。

 ついて来いよ」




 結局、勝利も荷下ろしを手伝う。


「ナンでバラ積みなんだよ? 多いなぁ」


「リフトの免許取ったらパレットに積めるんだがなっ♪」


「まさか落ちたのかぁ?」


「行くヒマがないだけだっ!」


「ふぅん。ま、さておきだ。

 小夜子サンと知り合いなら、頼みがあるんだ」


「水クサイ前置きなんかいらねぇ。言えよ」


「小夜子サンに病院行くよう言ってくれ。

 いや、連れてってくれっ」拝む!


「どーゆーこったぁ?」


「ザルだったのに飲めなくなったって……昨日も全く飲まなかったんだよ」


「そうか……だったら瑠璃からの方が話聞きそうだな」


 つーか俺は話した覚えも無い。

 澪さんから聞いて卒アルで確めたが

 全く覚えてなかったんだよな。


「瑠璃サン!?」


「きりゅう動物病院、知らねぇか?」


「あ……会長のララちゃんが世話になってる。

 よく乗せてってるよ」


「ララちゃん? 犬か? 猫かぁ?」


「イタチ?」


「ペレットだろ」


「んんっ? ナンか違うぞ???」


「ま、問題はソコじゃねぇだろ」


「トシがララちゃんに食いついたんだろっ」


「そうだったかぁ? ま、いいじゃねぇかよ。

 瑠璃はソコの医者だよ。

 俺達なんぞが言っても無視されるだけだろーが、医者な瑠璃が言ったら小夜子でも検査に行こうって気になるだろーよ」


「そっか。だなっ♪ じゃあソレ頼む♪

 で、瑠璃サンは相変わらず美人か?♪」


「諦めろ。とっくに輝竜サンだ」


「へ? 結婚……したのかっ!?」


「だから夫婦で仲良く『きりゅう動物病院』だよ。

 入り込むスキなんざミジンコもねぇよ」


「どんな強者だっ!?」


「お前マジで結婚できると思ってたのかぁ?

 あり得ねーだろ」


「トシもだろーがよ」


「とっっっっくに諦めてるよっ!!」


「で、どんなヤツだよ?」


「勝利は飛翔(たかし)を覚えてるか?」


「ああ。キッカケになった可愛いコの彼氏でトシのマブだったよな。

 ヤサオトコつーのか?

 ケンカとか無縁そうだったな。

 ん? まさかソイツとか!?」


「違ぇよっ! 飛翔は澪さんと結婚したよ。

 病気で死んだけどな。

 だから俺は澪さん支えたくて汗水流してるんだよ」


「ここの給料って?」


「こんくらいだ」指を立てる。


「ん~、、、お前、板前のシュギョーしてみねぇか? カナリ厳しいらしいがな」


「給料は?」


「見習いでも10は上がる。

 ちゃんと板前になりゃあ、もっと上がる。

 高級料亭ってヤツなんだが、もう何人も見習いが逃げてるんだとよ。

 会長が俺のダチなら根性ありそうだから誰か紹介しろっつってたんだよ」


「へぇ~♪ 行ってみっか♪

 ここが2ヶ月更新だからよ、来月末で辞めるよ」


「ん。面接の日程は連絡する。連絡先くれ」


「ん。ホレ」スマホ渡す。


「どーしろと?」


「俺のなら好きなだけ持ってけ」


「つまり、どーすりゃいいのかサッパわかんねぇんだな?」


「そーゆーこった♪」


「おいおい……」「あ!」「ん?」


「瑠璃のダンナだよっ」「ハァ?」


「コッチに背中向けて しゃがんでるヤツ!」


「あの格好でよく分かったな。

 で、何やってんだぁ?」


「まぁ見てろって♪」土曜恒例だ♪


「猫? 野良かぁ? 集まって――犬も?

 呼んでもねぇのに……エサか何か持って(おび)き寄せてるのか?」


「いや。いつも手ブラだ」


「んで、集めて何を?」


「健康診断♪」「野良の!?」「だよ」

「光った!?」「瑠璃と同じだろ♪」

        彩桜から聞いただけだがな♪


「だから結婚?」


「ソレだけじゃなさそうだがな。

 あの瑠璃がサラッとノロケるくらいゾッコンなんだよ」


「野良達が散ってく……ナンか鼻歌でも歌ってそーな歩き方だな……」


「だろ♪ たぶんな、猛獣だろーが恐竜だろーが宇宙人だろーが、ああやって手懐けちまうんだよ」


「瑠璃サンも……か?」


「ソコは知らねぇが、ラブラブだ♪」


「あ……オーラが飛翔だ……」


青生が歩いて来ている。


「だろ♪ 似てるんだよなぁ」



「こんにちは。手伝いましょうか?」


「「いいのか?」」


荷台を覗き込む。

「奥の方から運ぶの、大変ですよね?」

にっこりして、軽く荷台へ跳んだ。

「受け渡し、お願いしますね」

サッと奥に行って積み上げている箱の一番下の底に手を入れ――


「「小さいが重いぞっ!!」」


――軽い足取りで運んで来た。

「そうですか?」

爽やかスマイルのまま再び奥へ。


「重いよなぁ?」「ああ。重いよ」

「実は強い?」「んだろーな……」


と言っている間に次の列が届いた。


「あ、パレットに積みましょうか?」

外に出て、リフトを操り、パレットを荷台に入れた。

「ここに置きますね」


あれよあれよという間に全て運び終えた。



「ったくスゲーな……」「だよな……あ!」


「はい? 俺、何か間違えましたか?」

リフトを片付けた青生が首を傾げる。


「違う違う。瑠璃に伝えてほしいんだ」


「瑠璃なら……もうすぐ公園の辺りを通りますよ」にこっ。


「「はぁあ???」」


「呼びましたので、すぐに来ます」くすっ♪


「「どーやって!?」」


「青生、何故こんな所に居るのだ?」


「瑠璃!?」「マジかよ。ホントに来た……」


「荒巻まで何をしている?

 利幸、真面目に仕事しろ」


「してるって!」

「俺が勝手に手伝ったんだ。

 亥口さんから話があるそうだよ。

 俺は離れて待つね」


言いながら離れた青生を勝利が追った。


「どこ行くんだよっ!?」


「コレ頼むだけだよっ!」両手にスマホ。


「勝利だって分かんねぇんじゃねーかよ」


「で、話とは何だ?」


「あ、そうだったな。

 勝利から聞いたんだがな」斯々然々(カクカクシカジカ)――




「ふむ。小夜子に会って話す」アパートへ。


「って今か!?」


「急がねば仕事に行ってしまうだろ。

 顔を見るのは久し振りだが……ま、話せるだろう」

背を向けたまま呟いてスタスタスタ――。


「澪さんの方が親しかったかぁ?

 ま、いっか。

 あ……お~い勝利、ソッチは?」

青生と勝利の方へ行く。


「おう♪

 お前のパスワード、すぐバレたぞ♪」


「は……? うわっ!!

 ンなモン必要なのかっ!?」


「ロック解除しねぇで、どーしろって言うんだぁ? ほらよ。終わったよ」


「連絡先を交換しただけですのでご心配なく。

 では、向こうで瑠璃を待ちますので」

くすくす笑いながら行った。



「パスワード、何にしてたんだよ?」


「ナンで言わなきゃなんねぇんだよ?」


「気になるからだよ」


「言わねぇからなっ!」


「ケチ」


「っせーなっ!」



 ナンで瑠璃の誕生日だって

 ダンナにバレたんだよぉ!?


 澪さんの誕生日に変え――いや……

 バレたら瑠璃に殺されそうだな。


 つーか俺、変え方わかんねぇよ……。



「ナンで頭抱えてるんだぁ?」


「っせーっ!!」







出てきました荒巻(あらまき) 勝利(かつとし)

勝利の会長さんは『や』の付く自由業の方ではありません。



ドラグーナ(青生)アーマル(飛翔)は父子なので似ていても不思議ではありません。


だったらウンディ(利幸)は?

父子なんですけどね……(苦笑)。


ラピスリ(瑠璃)もドラグーナの子。

夫婦してるけどいいの? は、追々で。



三界奇譚(さんかいきたん)の面々にソックリな登場人(神)物(とうじょうじんぶつ)達ですが、全くの別人(神)(べつじん)ですのでっ!(汗)


あ……性格等々は同じです。はい。m(_ _)m


蛇足ですが三界奇譚のアオ ルリ サクラの誕生日は同じです。

たぶんこちらでも青生 瑠璃 彩桜の誕生日は同じなんでしょう。



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