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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団外伝  作者: みや凜
第三部 第16章 部対抗スポーツ大会
384/870

2日目⑥:サッカーも駆け昇る



「沙都莉ちゃん、顔色良くなったね」


「うん。お腹痛くなくなった。

 立ってるだけなら大丈夫かも」


「じゃあ行かない? 鷹前(たかさき)君がよく見えるよ」


「っ……」見る見る赤くなる。


「うん♪ 顔色いいね♪

 いつでも抜けられるし行こ♪」


頷いた。


「輝竜君、沙都莉ちゃんも入るねっ♪」


「ん♪ 伝えてくる~んるん♪」走った。

〈青生兄、治癒ありがと♪〉


〈どういたしまして〉

ベンチの真後ろから沙都莉に治癒を当てていた青生が微笑んだ。



―◦―



『――1回戦B、軟式テニス部と、バスケットボール部の試合は、2―1で、軟式テニス部の勝利でした。

 シード戦B、軟式テニス部と、陸上部の試合は、0―1で、陸上部の勝利でした。

 お待たせいたしました。

 シード戦Aの試合を行います』

これまでの結果を放送して準備の隙間を埋めていた。


「やっぱりギリギリで勝てたんだな。

 当然だよな、俺が居ないんだから。

 でも運良く勝ち進んだんだから俺が行かないとな。

 サッカーは部長が居るよな。

 悟も居る。

 どうやって入るか……」


まだ竜騎はベランダで画策していた。



―◦―



「やっと減ったな」「体育館から出て来た!」

サッカー観戦に人が流れて黒瑯とリーロンがホッとしていると、バレーボール予選が一区切りしたらしく体育館からドッと溢れ出て、走って来ている。


「おいしいドリンクください!」口々同様。


「十分あるから並べ!」

「試合したヤツ優先だ!」


「ホントにタダ?」「ったりめーだろっ♪」

「彩桜君のお兄さん?」「オレはそーだ♪」

「え? 双子じゃないの?」「イトコだ♪」

「ソックリ区別ムリ!」「「そーだろ♪」」

「イトコって、サーロン君の?」「兄だ♪」

黒瑯とリーロンは忙しささえも楽しんでいる。


「輝竜君、繁盛しているね」


「校長先生、許可ありがとうございます♪

 けど繁盛ってぇ、売ってませんからぁ」


「大助かりだよ」あっはっは♪

「しかし此処じゃあ弟君の試合が見えないね」


「「勝ちますから見なくていいですよ♪」」

神眼でバッチリ見ているので。


話しながらも次々と配っている。

そこに紅火が大きな袋を担いで来た。

「容器……」


「また彩桜君のお兄さん!?」「ソックリ!」

一斉に大騒ぎ!


紅火は袋を置いて、空容器の袋を掴んで逃げた。


〈手伝ってくれ!〉〈頼む!〉


〈俺には無理だ〉


〈〈店やってるヤツが言う言葉か!〉〉


〈白久兄と青生が行く〉〈〈ありがとな♪〉〉


「大騒ぎだなっ♪」「ずっとこう?」

後ろの用務員室から出て来た。


「増えた!?」「さっきの人じゃないの?」

そんなこんな口々!

よく見ようと押し寄せる!


「彩桜の方は兄6人、サーロンの兄はリーロンだけだ。

 ま、簡単に言えば同じ顔が9人だ♪

 分かったら並べ~♪」

白久が列を整理しながら話す。


(カラ)になった容器は此処。

 リサイクルするから潰さずに持って来てね」

青生は大きな袋を広げて台座にセットした。

「あとは新しい容器を冷やしたらいい?」

「「頼む!」」



―◦―



「ホント……よく見える」「でしょ♪」

沙都莉と夏月は近い位置で話していた。

沙都莉は堅太を、夏月は祐斗を目で追いながら。


『直史君! 頑張って!』


「六花ちゃんの声ね♪」「あっ」


直史が蹴ったボールが誰も居ない方向に。

「ナイス直史!」「ナイスパス!」

抜けて沙都莉に向かって転がって来ている。


堅太が大きく手を振って『恭弥にパス』しろと口パクしている。


沙都莉は小さく頷いてボールを止め、野球部員が達する前に横並びの恭弥へ。

恭弥が、走り出て来た堅太に。


「ナイス沙都莉! 恭弥!」

カットしようと滑り込む野球部員達をクルクルと身体の向きを変えて躱して進んだ堅太は見事にゴールを決めた。


歓声が上がる。


「名前で……呼ばれた……」


歓声で誰にも聞こえないだろうと呟いたが、夏月が抱きついた。

「沙都莉ちゃんナイス♪ 良かったね♪」

聞こえたらしい。



―◦―



「沙都莉とっても楽しそうね♪」


「そうだね。

 昼は顔色が悪くて心配したけど、すっかり元気だね」


「女の子は複雑なのよ♪ いろいろとね♪」


「あまり笑顔を見せない子だったけど……中学に入って、良い友達に出会えたんだね。安心したよ」


「もう思い残すことが無いから成仏するなんて言わないでね?

 沙優莉と沙都志も居るんだから、まだまだ居てね?」


「僕は生きるよ。ずっと一緒にね」


〈お父さん……〉


〈沙都莉、どうかした?〉


〈みんなには本当のこと話していい?〉


〈構わないよ。

 これからも沙都莉の判断でいいからね〉


〈ありがと〉「あなた?」


「ん? 沙都莉を見ていただけだよ。

 恋する年頃になったんだな、とね」


「そうね」ふふっ♪



―◦―



 狐松と藤慈は屋上に居た。


「懐かしいですね……」


「そうですね。

 私達の頃はテニスと卓球とバドミントンはダブルスがありましたよね。

 全部、藤慈君と一緒に優勝しました。

 剣道は藤慈君が、柔道は私が優勝しましたね。

 決勝戦、楽しかったですね」


「慎介君と一緒だから出られたのです。

 そうでなければ私は……」


「一緒に楽しみたかっただけですよ。

 また一緒に如何です?」


「嬉しいですけど、対戦相手は?」


「ご兄弟でも、今の歴史研究部でも♪」


「そうですね♪」【動きましたね】


【参りましょう】【はい】



―◦―



 竜騎は人目を避け、身を隠しながらBグランドに向かっていた。

決勝戦が この後だと思っての行動だった。


「動いているのは4人だけだな。

 他は雑魚。

 ボールを触って大喜びか。フザケるな。

 敵陣にボールを突っ込ませて走ればゴールは楽勝だな。

 1年の誰かを捕まえてゼッケンさえ奪えば出られるよな。

 悟は手強いから他の――」『馬白』


呼ばれて思わず振り向くと部長が居た。


「出る気になったか?」


「……はい」


「一緒に来てくれ」


「はい」やっぱり俺が必要なんだな。


薄ら笑いを浮かべて部長の背を追った。



―◦―



【大丈夫でしょうか?】


深長(ふかなが)君は中学生とは思えない程の人格者です。大丈夫でしょう。

 ですが、このまま追いましょう】


【はい】



―◦―



 深長と竜騎が部室に入ると部員達が揃っていて、一様に嫌そうな顔をした。


「サッカーの決勝戦は明日の午後だ。

 スタメンは決めた通り。馬白も参加する。

 念を押しておくが、部対抗スポーツ大会はレクリエーションだ。

 勝つ為ではなく協調性を養う為に陸上部は参加している。

 それを忘れないでくれ」


「はい!」竜騎以外。


「馬白は?」「勝たなければ意味が無い!」


「それなら何故、個人戦にエントリーしなかった?

 個人で優勝すればよくないか?」


「それは……」


「個人戦なら誰も君の遣り方に とやかく言わないのでは?

 ともかく、サッカーとバレーは団体戦だ。

 どちらにも僕が出るのだからチームリーダーも僕だ。

 協調性を学ぶという僕の方針に従ってもらうよ」


『サッカー、シードA、野球部と、歴史研究部の試合は、0―6で、歴史研究部が決勝戦に進みました。


 本日の、サッカーの試合は、終了です。

 明日は、午前9時から、3位決定戦。

 野球部と、軟式テニス部との、試合を行う予定です。

 対戦チームが、バレーボール準決勝戦に、進んだ場合は、3位決定戦が先となります。


 決勝戦、歴史研究部と、陸上部の試合は、午後1時からの予定です。

 どちらの試合も、Bグランドで行います』


「順当だね。

 それじゃあ体育館に移動しよう。

 歴史研究部との予選だ」「えっ?」

「馬白は出る予定だった試合に来なかったから、この試合は応援だ。

 皆、2戦目だから速やかに」


「はい!」



 まだ部長に食って掛かろうとしている竜騎を悟が強引に連れて外に出た。

「離せ悟!」


「離さない。

 いい加減にしないと、また馬になるよ。

 馬の神様は白竜の中に居るんだ。

 いつも見ているんだよ。

 怒りが爆発寸前だから、もう騒がないでくれ」


「偉そうに言うな!

 あの馬、喋りやがったな!

 とにかく離せ!

 俺はバレーにも出るからな!」


「静かに見る気がないのなら体育館にも行かせない。

 俺から逃げられると思うな」


「偉そう言うなっ!!」


「部長、喧嘩はしませんので心配しないでください。

 俺は親友だと思ってますから。

 バレー、応援に行けなくて すみません」

暴れる竜騎を引っ張って校舎に向かった。


「そうか。馬白を頼む」

深長は後ろにも頭を下げてから体育館に向かう部員達を追った。







悟は怒りで動いている訳ではありません。

怒りが0でもありませんけどね。


陸上部の後方には狐松と藤慈が居たんです。

気付いたのは深長部長だけでしたけどね。


サッカーも決勝戦に駒を進めた歴史研究部は、これからバレーボールの予選10連戦です。



・サッカー 決勝戦進出

  陸上部、歴史研究部



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