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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団1.5  外伝その1 ~探偵団の裏側で~  作者: みや凜
第三部 第14章 嫌われ者の白竜と馬龍大神
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忍び込んだら喋る犬と馬に会う



 翌日、土曜日の輝竜家で中学生達は、各々の苦手な部分を重点的に勉強した。


 そして夕食後。

皆がアトリエに戻ると、彩桜が居なかった。

「サーロン、彩桜は?」

堅太がサーロンを捕まえた。


「ホールで準備中です♪」


「ホール? これから演奏?」

祐斗も寄って来た。


「月曜日は数学と音楽です。

 だから音楽の勉強です♪」


「って、5教科だけじゃなく全部やるのか?」


「はい♪ 千点満点 目指すです♪」


「何事も全力、なんだね♪」「はい♪」


「それなら僕も真剣にやるよ」凌央も加わる。


『みんな~♪ 下りて来て~♪』


「彩桜だね」「行くぞ!♪」



 ホールの席に着くと楽譜が配られた。

前の壇上には弦楽器を手にしたキリュウ兄弟が弧を描いて並んでいる。

兄弟の後ろには、高い天井から吊り下げられた大きなスクリーンがあった。

「その楽譜の音楽記号を演奏しながら説明します♪」


 曲が流れ始める――


「アクセント♪ この音、つ! よ! く!♪」


スクリーンにも楽譜が投影され、演奏している音符と記号が跳ねるように大きくなって色も変わる。


「スタッカート♪ この音、み・じ・か・く♪」


スクリーンの音符が もっと弾んで光る。


「タイ♪ 帯で結んで、1つの音に~♪」


次の段に。


「スラー♪ スラ~っと、滑らか~に♪」


 そんな感じで進んでいく。

弦楽器なのは同時進行で説明を歌う為。

強弱やテンポ、移動記号も順に楽しくテストに出そうなものは網羅した。


 そうして二度 演奏しながら歌い、質問にも答えて一段落すると、投影を担当していたリーロンが扉を開けた。

「勉強を兼ねた小演奏会を始めますので、どうぞお入りください」


 輝竜家で暮らしている人達だけでなく、保護者やら近所の人達も姿を見せたので、中学生達から口々に何やら声が上がる。


「キリュウ兄弟が招待したんだからな。

 文句あり気な顔してねぇで、シッカリ復習しろよなっ♪ ほら静かにしろ。

 皆様どうぞご着席ください」


 父兄参観かのように中学生達の後ろに着席している間にスクリーンが上がると、様々な楽器が並んでいた。

要塞3(パーカッション・)(ドラム)セット(・シンセサイザー)も台座が引き出されて更に後ろに並ぶ。


「中学生は聴きながら、2枚目の楽譜に記号を書き込むよーにな。

 こんなテストは無いが、記号を覚える為だから頑張れよ」


「はい♪」一斉。


楽しいテスト勉強が始まった。



―◦―



「ここか? 門、開いてるな……」


輝竜家を覗き込んだ人影は、音を立てないように慎重に勝手門の下に。

辺りをよく窺って踏み出すと――

「っ!?」

――前を塞いでいた(住居と店を繋ぐ)渡り廊下が真ん中で割れて音も無く両側へと縮んだ。


大いにビクンとした後、侵入者だと感知されたのだと思って身構えたが、誰かが出て来る気配は感じられない。

「忍者のカラクリ屋敷かよ……」

呟いて更に進む。


カーテンの隙間から灯りが漏れている部屋もあるが、静かなものだった。

それだけに慎重に慎重にと歩を運ぶ。


「大きいな……よく見るタイプじゃないけど集合住宅か。庶民らしいよな。

 それにしても大きいな。

 それにこのボロさ……古いだけか?

 ま、メンテができてないんだろうな。

 とにかく貧乏確定だな。

 あれだけ集まれば騒がしい筈なのにな。

 輝竜の家……どれだ?」ぶつぶつ進む。


〈いらっしゃ~い♪ コッチだよ~♪

 始まってるから急いでねっ♪〉


驚いて立ち止まりキョロキョロッ!


〈ん? サクラのお友達でしょ?

 でも知らないニオイだね~。

 初めてなんだねっ♪

 僕、喋る犬のショウ♪〉


「犬?」

視線を下げると、確かに大型犬が お座りしているらしい塊があった。


〈早く行かないと終わっちゃうよ?〉

〈ショウ、どうかした?〉

〈お客さん案内してるの~♪〉


カササッと葉擦れと落ち葉を踏む音がして、より大きな動物がショウに寄った。


「まさか馬? 庭で飼ってるのか?」


〈その声、竜牙の竜騎様だよね?

 入ってよ。みんな待ってるから〉


「待ってるワケないだろっ」反転ダッシュ!


〈明日も勉強会してるから来てね〉

〈来て来て~♪〉


竜騎は全力で走って勝手門を出、少し離れた場所に止めていた自転車に乗ると必死で逃げた。



〈僕、怖がらせちゃった?〉


〈そうじゃないよ。

 本当は仲間に入りたいんだ。

 でも素直になれないんだよ〉


〈追っかける?〉


〈そうだね。

 無事に帰り着くまでは見守ろうかな。

 乗って〉天馬に。


〈うん♪〉ぴょ~ん♪



―・―*―・―



 空から追跡する。

暫く眺めていたが、どうやら竜騎は無我夢中でペダルを踏んでいるらしく頭を低くしていて、あまり前を見ているようには思えなかった。


〈このままだと~〉〈そうだね。助けよう〉

〈縄で捕まえる~♪〉〈お願いね〉〈ん♪〉


直交する道を走って来る車との事故を回避させようとルルクルは降下した。


〈ひゅ~~~ん♪ はい♪〉カウボーイ♪


竜騎は自転車ごと宙に浮き、車を越えて着地した。

縄をシュルンと前足元(てもと)に戻したショウは首を傾げた。

〈あれれ~? 飛んだのも気づいてない?〉


〈パニックなのかもね〉


〈そっか~。素直に受け入れたらいいのに~〉


〈素直に、が一番 苦手な子なんだよ。

 家に入ったね。

 もう少しだけ様子を見たら僕達も帰ろう〉


〈うん♪〉



―◦―



 自室に逃げた竜騎は、駆け込んだままの勢いでベッドに潜り込むと、頭から布団を被って丸まって震えていた。


「犬や馬が喋るとか、なんだよ。

 何かに飛ばされて車を越えた?

 どうなってるんだよ!

 やっぱ噂通りオバケ屋敷なのか?

 俺、取り憑かれたのか?」


《何故、逃げたのだ?》


「ウルサイ!」


《何をしようとしていたのだ?》


「ダマレ!!」


《皆の気を汲んで歩み寄ろうかと思ったが、やめておく。好きにせよ》


神の言葉が聞こえ始めた途端、竜騎はギャアギャア喚き散らしていたので何も聞いていなかった。


《上に居る若い神達よ、もう此奴を構わずともよい。好きにさせよ。

 相応の(むく)いは私が下す》


〈お待ちください大神様っ!〉


《居心地の悪さ、(はなは)だしい。限界、(ゆえ)な……》


〈大神様っ!! 大神様っ!?〉


それきり馬龍の大神からは返事は無かった。



―◦―



〈どうしよう……〉

〈馬の神様、どうかしましたか?

 ん? 乗ってるのはショウかぁ?〉


〈ナンジョウさんだ~♪〉〈ヨォ♪〉


〈今夜の見張りの祓い屋(かしら)さんですね?〉


〈さっき交替したんですけどね、チョイと出遅れたら出掛けてたんで捜してたんですよ〉

下を指して苦笑。


〈そうですか。

 僕達は出掛けていた彼を見つけて追って来たんです。今は部屋に居ます。

 大神様と少し話せたんですけど、あまり良いとは言えない状況なんです。

 踏まえて見ていてください。

 僕は急いでキツネ様に報告しなければなりませんので〉


〈解りました〉敬礼!



―◦―



 ルルクルはショウに演奏会が終わったら彩桜とソラに伝えてほしいと頼んで庭に残し、キツネの社に行った。


【オフォクス様!

 馬龍の大神様が、もう器の少年には関わるな、報いは私が下すと!】


【話せたのか?】現れた。


【はい。先日の大神様方からの呼び掛けは届いていたようです。

 それを汲んで少年に声をお掛けになられたのですが少年は受け付けず、馬龍様はまた閉じ籠ってしまわれたのです】


【全く……若い頃のダグラナタンを見ているかの様だな。

 父達に相談する。引き続き見ていてくれ】


【はい!

 ダグラナタンって……僕達を堕神にした?】


【然うだ。彼奴は反省しておったが……。

 若い頃の彼奴は自惚(うぬぼ)れきっておった。

 上級貴族の家に生まれ、何不自由無く育ち、学校なんぞという狭い世界では王者だった。

 大神様の欠片を持っておりながら、そんな彼奴の如くに育つとは……。

 まさか其の様な者と人世で相見(あいまみ)えねばならぬとはな】


【鞍木さんや悟君と会わせた方がいいんでしょうか?】


【難しいところだな。

 泊まりの者達が眠ってからでよい。

 輝竜兄弟とソラ、猪瀬と悟と沙都留を此処に頼む。

 サイには儂から伝える。

 他の神も可能な限り集めてくれ】


【はい!】







期末テストは1日2科目で5日間です。

5教科(国語・数学・社会・理科・英語)と音楽・美術・保健体育・技術家庭・地域社会の10科目です。


悟に会いたくて輝竜家に忍び込んだのに、素直になれずに帰ってしまった竜騎と大神様が何か起こしてしまいそうで気になります。



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