次々と見つかる大神様
その深夜、ソラは響の部屋に居た。
〈チョイと邪魔するだぁよ〉
サイオンジの声が聞こえ、ソラと響が少し距離を空けると現れた。
〈ソラ、チョイと来てくれるかぁよ?〉
〈はい〉〈サイオンジ、怨霊?〉
〈なぁんもだぁよ。
男だけでチョイと話し合いだぁ〉
〈そっか。ソラも大人ってことね♪〉
〈その通りだぁ。
すまねぇが響チャンは待っててくんなぁよ〉
〈うん。ソラ、行ってらっしゃい♪〉
〈すぐ戻るからね。行ってきます〉
サイオンジと何やら話しながら消えた。
「行っちゃった……」
〈響ちゃん♪
女だけの話し合い、始めるわよ♪〉
〈ヨシさん、トクさん、ツカサちゃん……〉
〈修行スイーツも、霊体じゃないのを持って来たわよ♪〉
〈こそこそヤラシイ男達は放っといて食べましょ食べましょ♪〉
〈夜中なんだけど~〉あはっ。
〈修行でカロリー消費させてあ・げ・る♪〉
〈ヨシさんたらぁ〉あははっ♪
―・―*―・―
サイオンジに連れられたソラが出た先は、冬の夜空に煌めく星々の真っ只中みたいな宙空だった。
「綺麗な龍神様……」
光を纏い、夜空の星々の仲間入りをしているかのような色とりどりの龍神の背に、輝竜兄弟と八郎と悟が乗っていた。
〈オイラとソラが呼ばれたんじゃねぇよぉ〉
〈フィアラグーナ様とガイアルフ様が呼ばれたんですね?〉
〈そ~だぁよ〉
〈何が始まるんですか? この真下は?〉
〈オイラ達は神様を起こしたら静かにしとくだけだぁよ〉
〈そうですよね……〉
そこに沙都留を連れたナンジョウが現れた。
〈ナンジョウも呼ばれたのかぁよ?〉
〈違いますけどね。
サトルが瞬移まだまだですから連れて来たんですよ。
それじゃ俺は――〉《チョイ待て!!》
〈俺?〉《お前だよお前!!》〈はあ……〉
《そのサトルも連れて来い!!》〈はい〉
何処に? と見回していると、黄龍神に乗っている少年が手招きしていた。
《お前……チッコイ欠片だなぁ……》
〈ええっと、欠片ですかぁ?〉
《もっとコッチだ! オイラのサトル!
そのユーレイと手を繋げ!》
「手!? ユーレイと!?」
《声出すなってぇ》〈はい!〉
《ソッチのサトルとも繋いだろーがよ》
〈でしたね!〉
〈あ~、具現化。ほらよ〉〈はい!〉握手。
《うん。間違いなく叔父貴だ。
こんなチッコくなっちまってよぉ。
フィアラグーナとガイアルフ! まだか!》
〈もう少し……すみません!〉
〈クーゴソン様よぉ、チィとお待ちくださるかぁよ?
似たよ~な神様を感じる奴らを連れて来るからよぉ〉
《似たようなだと!? 連れて来てくれ!
フィアラグーナも起こしてくれ!
大きな神力が必要だからなっ!》
頷いたサイオンジが消え、直ぐにキンギョとホウジョウを連れて戻った。
《その欠片……コッチに来てくれ!》
〈〈はい、大神様〉〉
《オイラのサトル! 今度はコイツらだ!》
〈はい!〉
ナンジョウを見て具現化していた手と繋いだ。
《親父様だ……親父様までもが……》
〈大神様、父神様の御名は?〉
《ライガース。前の四獣神だ。
叔父貴はライパンサー。
こりゃあ、お袋様も欠片なんだろうなぁ……》
《ま、皆 似たり寄ったりだ》
《目覚めさせるぞ、サルもシッカリしやがれ》
《起きてくれたか!♪》
《《早速 始めるぞ》》《頼む!》
龍神の背に乗っている八郎と悟が向かい合い、サイオンジとソラが向かい合う形で魔法円を囲んだ。
《サトル、欠片不足、神力不足ではあるが私も大神として加わらねばならない》
アヌビスが沙都留を動かそうとした。
〈何処に入れば?〉〈あなた……〉
沙都留自身が動き始めた時、人くらいの大きな黒猫が宙に現れた。
《バステトか。無事で何よりだ。
では共に》〈はい♪〉
サイオンジとソラが動き、沙都留とバステトも加わって正六角形を成した。
その外を龍神達と狐達が囲むと、7色のドラグーナが輝竜兄弟の頭上に浮かんだ。
白銀ドラグーナは眠ったままだが光を帯び、間も無く目覚めるだろうと神達を安堵させた。
《皆! 神力を注いでくれ!》
―・―*―・―
もうすぐ月が昇るよね♪
夜中も昼間と変わりなく執務に励むマディアはイーリスタと話せるくらい月が昇るのを弾む気持ちで待っていた。
〈エーデラーク、執務中か?〉
〈はい。最高司様、如何なさいましたか?〉
〈儂は……何日 眠っておったのだ?〉
〈3日程です〉
〈そうか。変わりはないか?〉
居室から出て来た。
ザブダクルが ふらりとソファーに腰掛けたのでマディアは慌てて寄り、治癒を当てた。
〈姉様の強い治癒の方がよろしいですか?〉
〈同時に……可能か?〉
〈はい〉
机上の神力珠を手にして戻り、ラピスリが込めた治癒も当て始めた。
〈ふむ……心地好い音色のようだな〉
〈姉弟ですので調和が良いのかもしれません〉
〈そうか。で、変わりは?〉
〈死司の職に関しては特には御座いません。
ただ、エィムが古い神器の部品を拾ったと話しておりました。
観測域に届けさせて頂きたいと〉
〈行けばよい。許可してやれ〉
〈はい、ありがとうございます〉
〈また礼か?〉
〈はい。嬉しいので。
エィムも喜ぶと存じます〉
〈そうか。
エィムと言えば、姉の指導は順調か?〉
〈そのようです。
神力珠もよく届きますので〉
マディアの視線を追うと、机上にも2つあった。
〈ふむ……儂は姉にも補佐として死司域に居てもらいたいのだ。
その神器を届ける際、エィムと共に行ってもらえるよう頼めるか?
いや、届けに行く条件としよう。
姉と共にならば許可する〉
〈エィムに そう伝えます。
姉とエィムと拾った者とで行ってもらいます〉
〈拾ったのは別神なのか。まあよい。
姉が行ってくれればよいのだからな〉
〈ありがとうございます〉
〈また礼か……〉〈はい♪〉
この遣り取りが楽しくなっているのはマディアだけではなかった。
―・―*―・―
魔法円の中央に立つキンギョとホウジョウが繋いでいる手から紅光が迸った。
《親父様! 無事かっ!?》
《クーゴソンか……何も見えぬが……どうやら無事らしいな》
《《そんなら次だな♪》》
《その声、フィアラグーナとガイアルフか?》
《皆、堕神で欠片ですよ♪》
《長も無事で何よりです♪》
《周りにドラグーナ?
オフォクスも居るのだな。
他二神は?》
〈トリノクスは犬をしております〉
《狐の仲間だ♪ よかろうよ♪》はっはっは♪
《して、マリュースは?》
〈神世の何処かに封じられております〉
《支配の神力は!?》
〈其れは……〉
《ふむ……。
私を罠に嵌めた悪神に奪われたのだな?
その戦の為に私を目覚めさせたのだな?
私も神力を高めねばならぬ!
もっと欠片を集めてくれ!》
〈〈畏まりました〉〉
四獣神の子供達も大きく頷き、そのまま頭を下げた。
《ライガース……》《まさかアヌビス様!?》
《そうだ。
私も目覚めたばかり。
獣神王様も間も無く全て揃うだろう。
共に、神世を奪還しようぞ》
《はい!》
《では次だ》《ライパンサーの器、中央に》
《ライパンサーも居るのか!?》
《欠片が小さ過ぎて共鳴も弱いでしょうが》
《兎に角、目覚めさせましょうよ。長》
《私も囲むぞ! ん?
私は……どうなっている?》
《今のところ、長の器が二人なんですよ》
《どんどん集めますから慣れてください》
ええっと……神様達、約束してるけど、
集めるのはボクとサイオンジだよね?
ソラが苦笑を浮かべて肩を竦めると、サイオンジとドラグーナも苦笑していた。
オフォクスは視線を上に彷徨わせていた。
祓い屋達には神の欠片が入っています。
だからこその特殊能力なんですから。
そんな訳で、お馴染みのユーレイ達にも入っていました。
今回は前の四獣神の長でクーゴソンの虎部分の父でマリュースの父であるライガースがキンギョとホウジョウの魂内に。
ライガースの弟ライパンサーがナンジョウに見つかりました。
前の滝の四獣神は、ライガース、ガイアルフ、フィアラグーナ、イーラスタでしたが、イーラスタが行方不明となったので空席をライガースの妻や弟、子供達が交替で務めていたんです。




