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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団外伝  作者: みや凜
第二部 第10章 激戦の翌々日
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サリーフレラ



 響とソラが店を出た後、2回目の朝食を食べた彩桜は店前の掃除をしてから、社に行く前にと庭の動物達の世話を始めた。


「リーロンどこ行っちゃったんだろ……」


〈オニキス様でしたら水晶玉を手に、飛んで行かれましたよ〉

〈そうですね。西に行かれましたよ〉


「ふぅん。

 ショウ捜すの手伝ってもらお~と思ってたのにな~。

 あれれ? ジョーヌ師匠の飼い主さんだ。

 今日ってお休みじゃないの?」

よく見ようと立ち上がった。


「あっ」

彩桜に気付いてフェレットのジョーヌを放そうとしていた手が止まった。


「おはよ~ございます♪

 今日もお仕事ですか?」駆け寄った。


「急に呼び出されてしまって……あの、いつもすみません」


「こ~んないっぱいいるから、ぜ~んぜんへ~きで~す♪

 ジョーヌ可愛いし~♪」


「ありがとうございます」なでなで。

「ジョーヌ、脱走しちゃダメよ?

 いいこにしててね?」彩桜に渡した。


「お預かりします♪」


「それじゃあ……」ぺこり。


「はい♪

 お気をつけて行ってらっしゃ~い♪」

ジョーヌの手を持ってバイバイさせる。


飼い主の女性は何度も振り返りながら離れて行った。



「なんか……心配?」


〈この身体は高齢ですので。

 心咲(みさき)さんは昨夜も僕を撫でて泣いていたのです。

『まだ生きていてね?』『朝、目覚めてね?』と……〉


「そっか~……って!

 ジョーヌ師匠 死んじゃうの!?」


〈僕自身は修行の成果が十分だから神に戻れるとオフォクス様が仰いました。

 フェレットの魂も僕の中で生きられます。

 ですが、この身体が死んでしまうので、心咲さんとの生活は終わってしまうのです。

 呼ばれればすぐに行けるようになりますので悪い事ばかりではありませんが……フェレットの僕を失った後の心咲さんが心配なのです〉


「ペットロスね……あ♪ オニキス師匠が犬なる術でフェレット続けるのは?」


〈そうですね……それも考えておきます。

 呼ばれたらすぐに飛びたいし、心咲さんを悲しませたくないので、よく考えます。

 もう暫くは この身体を保てそうですので〉


「でしたら身体の為に良い薬草を選びますね」


「あ♪ 藤慈兄~♪」

〈ありがとうございます!〉



―・―*―・―



「コイツ、眠ってやがるじゃねぇかよ……」


 誰にも邪魔されないようにと西に飛んで、村の上空で水晶玉に呼び掛けていたオニキスだったが、休憩しようと人姿になると同時に砂浜に瞬移した。


 夏休みの間は賑わっていた海水浴場だが、9月に入った今は人も疎らで、釣り人達も帰り支度をしているようだった。

遊歩道近くにベンチを見つけて腰を下ろし、水晶玉を見詰める。


「お~い起きろ~」つんつん。


《先程から何じゃ。

 起きよ起きよと失礼な奴じゃの。

 ワラワは ただ寝ておっただけじゃ。

 人神なんぞに眠らされてはおらぬのじゃ》


〈まさか、シャイフレラの欠片か?〉


《シャイフレラは妹じゃ。

 ワラワはサリーフレラじゃ。

 ヌシは何奴なのじゃ?》


〈ドラグーナの子でオニキス〉


《従弟なのじゃな。ふむ。

 して、ワラワに何用じゃ?》


〈姫様はナンで、こんな状態に?〉


《捕らえられ、魂のみとされて、堕神とされる前に閉じ込められておったのじゃ。

 しかし、順に話さねばのぅ。

 月で生まれたワラワは、お祖父様に連れられて龍の長老様に預けられたのじゃ》


〈同じのをシャイフレラからも聞いたよ〉


《じゃろぅのぅ。

 シャイフレラが預けられたが故にワラワはマヌルヌヌ様の里に移されたのじゃ。

 父上達が連れに来るやも知れぬ故、離しておくべきじゃと言われてのぅ。

 じゃからシャイフレラはワラワの事を知らぬ筈じゃ》


〈ああ。長女だと思ってるよ〉


《ふむ。

 弟も()るとカウベルル様から伺ぅたが、会ぅた事は無いのじゃ》


〈ジョーヌなら元気だよ。

 今は堕神でフェレットだけどな〉


《然様か。

 ヌシも堕神か?》


〈堕神っちゃあ堕神かもだが、オフォクス様に会いたくて飛んで来たんだ。

 で、今はオフォクス様の社と、父様の家を行ったり来たりしてるんだ〉


《ふむ。

 ならば修行の相手をしてくれるのじゃな?》


〈ナンでそーなるんだよ?〉


《修行しておらぬのか?》〈してるよっ!〉


《ならば共に修行 致そぅぞ♪

 ワラワは修行しか知らぬのでな♪》


〈って、つまり、長老様トコでもマヌルヌヌ様トコでも修行しかしてなかったのか?〉


《うむ♪

 じゃが『おつかい』ならば、したぞ♪》


〈どんな?〉


《何処其処の里に手紙を届ける、といぅのならば何度かしたのじゃ♪

 捕まったのも、おつかいの帰りじゃった。

 あれは栗鼠の里からの帰り。街道から外れて低く飛んでおる人神の(おのこ)を見つけたのじゃ。

 危険じゃからの、声を掛けたのじゃ。

 すると、栗鼠と兎の間に家が在る筈じゃと言ぅのじゃ。

 放ってもおけぬのでな、共に探しておったら縄が飛んで来て尾に絡み、動けぬよぅになってしもぅたのじゃ》


〈その人神は?〉


《さぁのぅ……ワラワは気を失のぅてしもぅた故のぅ……》


〈ソレ、どのくらい前の話なんだ?〉


《あれから どのくらい経ったのかも分からぬのじゃ……》


〈お~い元気出せ~〉


《優しぃのじゃな……》


〈そりゃ……トーゼンだろ〉


《ワラワの婿にしてしんぜよぅぞ♪》


〈お~いイキナリかぁ?〉


オニキス、ちょっと困ってます。



―・―*―・―



「ジョーヌ師匠。

 俺、ショウを捜したいんだ」


〈飛びましょうか? それとも神眼で?〉


「そっか♪ 神眼でもいいんだねっ♪」


彩桜とジョーヌは神眼でショウを捜し始めた。



―・―*―・―



 早々に答案を提出して退室したエィムとチャムは廃教会に戻った。


【試験 終わるの早かったわね♪

 真っ先に会場出るのってカイカ~ン♪

 エィムって凄いわねっ♪】到着~♪


【僕なんだから当然だよ。

 チャムのを確かめた分だけ遅くなったんだけど?】


【私、神眼なんて使えなかったわよ?

 エィムど~して平気だったの?】


【試験会場なんだから神眼封じは当然だろ。

 でも獣神には弱過ぎて無意味。

 あんなので使えなくなるのはチャムだけだよ。

 無駄口叩いてないで尾を見せて。

 その為に戻って来たんだからね。

 午後の試験に間に合わなかったら失格なんだから】


【遅刻できないのに ど~して戻ったの?】


 ふさふさピンクでカワイイでしょ♪


【外からの神眼封じ結界の強い此処じゃないと尾なんて出せないだろ。

 少しは考えろ】


 どーでもいいから、じっとしてて。


【その言い方がエィムの愛情表現なのよね♪】


【煩い】でも赤くなる。


チリンリン♪


【鈴? ねぇ鈴の音よね?】


【神呼びの鈴だよ。行こう】瞬移。


【ええっ!? まだシッポ――】【隠して!】

戻ったエィムが手を取って瞬移し直した。




――下に街並みが見える何処かの空。


【此処で待ってて。呼ばれたのは僕だから】

返事を待たずに瞬移した。




――神呼びの鈴の上空。

女性ユーレイが昇って来ている下によく知っている祓い屋ペアが見えた。


〈何? あ……僕に託してくれるの?〉


〈協力し合うんでしょ♪ お願いねっ♪〉


〈ありがとう〉


〈ね、この後、教会に行ってもいいかな?〉


〈構わないよ〉午後の試験に行くからね。


〈ありがと♪

 その後でミュム様 呼んでもいいのかな?〉


〈それを渡したのはミュムだろ?

 だったら呼べばいい。

 でも……ミュムは様で、僕はナシなの?〉


〈友達でしょ♪〉


〈神なんだけど?〉


〈いいじゃない、そんなの。

 そんな垣根なんかに拘ってたら改革なんてムリなんじゃない?〉


〈確かにね〉

結界の外に出た女性ユーレイの手を取り、エィムは優しい微笑みを保って昇った。


【チャム、僕に瞬移して】【ん♪】すぐ来た。


【一緒に導かないと意味が無いからね】


【うん♡】



―・―*―・―



「ショウ見~つけた♪」


〈眠っていますね……〉


「赤ちゃんだから~」


〈行きますか?〉


「どぉしよ……」紗ちゃんも一緒……。


〈目覚めるまで待ちますか?〉


「そぉだね~♪」


〈此処で? それとも――〉「あ!」〈え?〉

「お稲荷様トコ行くんだった!

 ジョーヌ師匠お願い見てて!」〈はい♪〉

彩桜は店の方へと走って行った。



「ジョーヌ様」〈あっ、はい!〉

振り返ると、小さなリュックを持った藤慈が微笑んでいた。


「薬草クッキーです。

 明日の分も手紙と一緒に。日曜ですので」

ジョーヌに背負わせる。


〈ありがとうございます♪〉


「ですが……その身体は、もう限界を過ぎているのではありませんか?」


〈そうだと思います。

 覚悟、、しなければなりませんよね……〉


「神様なのですから、終わりにしない良い方法があると思いますよ?」


〈はい。よく考えます。

 ありがとうございます〉


「相思相愛なのですから、きっと見つかります」にっこり。


〈あ……はい!〉


ジョーヌは赤く染まった頬を晴れ渡る空に向けて、真剣に考え始めた。







静香(シャイフレラ)にはソックリな姉サリーフレラが居ました。

つまりジョーヌには姉が二神(ふたり)居たんです。


まだそれを知らないジョーヌは、心咲(みさき)を心配して悩みつつも、心咲が迎えに来るまでは彩桜に付き合おうと思っています。


その彩桜は、ショウが紗と一緒に居るので躊躇っていますが……。

アパートを見ているという事は、この後の事に巻き込まれるのでは?


とにかく次に続きます。m(_ _)m



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