ソラと友達に
「ん~~~、気持ちいい朝♪
って……ええっ!? お社!?
お稲荷様っ!! お稲荷様ってばっ!!
どーして起こしてくれなかったのっ!?」
起き上がってバタバタと浄化!
「今日は学校は休みであろう?
帰るのならば此の手紙を――」
「店番しなきゃなのっ!!」
虚に飛び込んだ!
『どぉしよ! 犬達お散歩してないっ!』
だんだん遠ざかる。
そしてキツネの社は静寂を取り戻した。
「狐儀が戻ったら頼むとするか……」
―◦―
「黒瑯兄 黒瑯兄 黒瑯兄っ!
朝ご飯どこっ!?」
「店 行っとけよ。持ってってやるから」
「ん? リーロン? 黒瑯兄は?」
「誰かの代わりだとかで仕事だってよ。
昨日の晩は遅くまで喋ってたんだがな、早番だつって行っちまったよ。
で、握り飯でいいか?」
「うんっ♪ で、喋ってたって?
あっ、店の準備っ!」タタタタッ!
【誰と喋ってたの?】
【青生達と、だよ。
目覚めてる組 勢揃いでな。
あ、彩桜は居なかったな】
【お稲荷様に眠らされちゃったのぉ。
黒瑯兄のドラグーナ様、目覚めたの?】
【い~や。シブトイよなぁ】運ぶ。
【そっか~】
「ほらよ。具はわざわざ神眼で見なくても分かるようにテッペンにチョコッと乗せてっからな♪」
「ありがと~♪ いっただっきま~す♪」
「とりま10コだが、また食うんだろ?」
【もっちろ~ん♪】
「で、ナンで眠らされたんだ?
悪戯でもしたのか?」
【しないよぉ。
えっとね、死神様が来てたの。
だから力丸のオヤツ置いて帰ろぉとしたら、お稲荷様がコッチ来いって~。
でね、ドラグーナ様 起こすからって、俺 眠らされちゃったのぉ】
「死神?」リグーリかな?
【ん~~とぉ、龍神様な死神様?】
「はぁあ?」
【そんな気がしたの~♪】
「ごちそ~さまっ♪」
「後で確かめるか。
そんじゃ次 作っとくからな」
「ありがと~♪」掃除しなきゃねっ♪
外用の道具を持って戸を開け――「あ♪」
ソラ来てくれた~♪
「開店イチバンいらっしゃ~い♪
今日は何でしょ?♪」
「あ、えっと、お兄さんから お借りしてた自転車を返しに来たんですけど」
「どの兄貴だろ? ま、いっか♪
わざわざありがとございま~す♪」
ってコトにして~、藤慈兄どこだろ。
やっぱり裏庭だ~♪
【藤慈兄♪ お店来て♪】
でも~、オトナなソラだねぇ。
ど~やって呼んだらいいのかな?
とりあえず『お兄さん』?
それとも~『お客さん』?
ん~と、やっぱり『ソラ兄』かなっ♪
―・―*―・―
オニキスは、店に客が来たので彩桜の朝食その2は後でいいだろうとキツネの社に瞬移した。
「何してるんですか?」
オフォクスの周りには小さな座布団みたいな台座に乗った水晶玉が幾つも置いてあり、掌にも乗っていた。
「神魂達と話しておるだけだ。
用ならば遠慮せず話せばよい」
「ありがとうございます。
此処に誰か龍な死神が来てたんですか?」
「エィムが来ていた。
チャムと結婚したのでな」
「結婚!? エィムって末代だろっ!?
んでチャムって誰だっ――ですか!?」
「儂の末娘だ」「えええっ!?」「煩い」
「……すみません。
オレも結婚したいんですけどぉ」
「連れて来れば絆ならば結んでやろう」
「相手が見つからないんですよぉ。
毎日毎日あの兄弟と嫁達がイチャイチャしてるの見せつけられてイヤになってるんですからねっ」
「オニキスが ぼやいている間にも何処かの娘達は相手を見つけておるのでは?」
「でしょ~けどぉ、オレと気が合いそうな女の子、どっかに居ませんか?」
「ふむ」持っていた水晶玉を置いた。
「強化よりも、睦まじい暮らしを優先したいのだな?」
「強化? 楽しく仲良く暮らしたいです」
「ならば……」
ぐるりと見て視線を止めた少し遠くの水晶玉を浮かせ、オニキスの目の前へと飛ばした。
「話してみよ」
「え? コレ……誰ですか?」
「話していれば分かる事だ」
「それじゃ、お借りします」
首を傾げつつ輝竜家に戻った。
―・―*―・―
ええっと~、
ソラ兄どぉして俺を睨んでるのぉ?
「本のお兄さんか、自転車のお兄さんが店主さん?」
ちょっと考えなきゃ!
探してるフリして考えよ~。
「違~うよ~♪ ねぇねぇ寝てるのぉ?」
俺、何かしちゃった?
兄貴達アッチ行っちゃったし~。
どぉしよ~~~あ♪ プレゼントしよ♪
ソラ兄には~~~
【改良した具現環を入れている】
【ありがと紅火兄♪】あった~♪
「返事してよぉ。ねぇったらぁ――あ♪
見~つけた♪」ぴょんぴょん♪
「輪っか?」
「うんっ♪ お客さん、手首にねっ♪
ユーレイお兄さん、この霊体、掴める?」
まだ『ソラ兄』はダメだよねっ。
「こう?」「掴めたけど、それで?」
「お兄さんも手首にねっ♪
でねっ♪ 剣 出してみて♪」
「え? あ、うん」じっと手を見る。
あっ! 剣って言っちゃった!
知ってるってバレちゃった?
「あ……出た……」
「でしょ♪ ソレね、具現環♪
これから必要でしょ♪」バレてな~い♪
「確かに……」「そうね♪」
「でも……」「あ……おいくら、、です?」
「プレゼント~♪」
「「え?」」
「ご結婚おめでと~♪ でしょ?♪」
「「どーしてっ!?」」
「なんとなく~♪ 幸せ色だから~♪」
「彩桜~、朝メシ2回目は要らねぇのか?」
「食~べる~♪」
【オニキス師匠! 黒瑯兄してっ!
兄貴達みんな紹介したいのっ!】
「てっ、店主さんっ、プレゼントって――」
腕輪を指しながら。
「ん? 店主はアイツだ。
ほら、チョイ赤っぽい髪が見えてるだろ」
【こんな感じでいいのか?】【うんっ♪】
「ま、こーゆー店だからな、儲けなんか考えてねぇよ。
喜んで使ってくれたらいいんだ。な?♪」
「そ~ゆ~コト♪」【紅火兄 笑ってる~♪】
【笑うな紅火!】【黒瑯の真似……】フフッ。
【だから笑うなっ!】
【そのままで黒瑯なのに真似……】フフフ♪
【ウッセーッ!!】
―・―*―・―
死司神殿では昇格試験が始まった。
エィムとチャムは相棒という事で、かなり離れた席になっていた。
【エィムぅ】
【試験の答えは全て尾に入ってるよ】
【なんか引っかかって出てこないの~】
【は? 僕の欠片経由にしてみて】
【あ♪ 釣れたわ♪
でも……出てきたけど引っぱりにくい~】
【まだ何かに縛られてるのかな?
後で見てあげるから試験に集中して】
【うん♡ 私の答えも後で見てねっ♪】
【あのね……】溜め息。
―・―*―・―
彩桜がソラ 響と話していると狐儀が現れ、届けてくれたオフォクスからの手紙を見てソラはサイオンジに会いに行った。
「さっきの白い狐さん、お稲荷様のお使い?」
「うんっ♪ あのコ、狐儀ってゆ~の♪」
「やっぱりね~♪」「ただいま♪ あ――」
「ソラ、どうしたの?」
【オニキス師匠ぉ~、ソラ兄が睨むぅ~。
頑張って やっと友達なったのにぃ~】
【嫉妬じゃねぇのか?
御札チャンを彩桜に盗られると思ってるんだろ~よ】
【俺、そんなコトしないよぉ。
どぉしたらいいのぉ~】
【紗チャン大好きだもんなっ♪
で、ソラって何に興味あるんだ?】
【響お姉ちゃん? あと、おばあちゃん?】
【金錦兄の古文書に興味を示していた】
【そぉなの? この本も読みたいかなぁ?】
座敷からしか見えない本棚のヤツ~。
【見せてみろよ、なぁ紅火】【呼べばいい】
【うんっ♪】
「ね、ソラ兄♪ コッチ来て♪」「え?」
思いっきりな笑顔の彩桜が座敷から手招きしていると、小首を傾げたソラが警戒しつつ飛んで来た。
「コレ読む? 古~い本♪」「わあっ♪」
「霊体 持ってって♪」「いいのっ!?♪」
「もっちろ~ん♪ 友達でしょ♪」
「ありがと!♪ 彩桜クン!♪」
【オニキス師匠♪ 紅火兄♪ ありがと♪】
【頑張れよ♪】【次はショウだな】
【うんっ♪】
―・―*―・―
リリムはプラムを心配して保魂域中を捜したが、見つからないのでラナクスの執務室に行った。
「失礼いたします。
プラムは出かけているのでしょうか?」
「休みを取って出掛けている。
昨日も来てくれていたのだな?」
「エィムが結婚したと知って急いで来たのですが……部屋に閉じ籠ったまま
『大丈夫だからミュムに会いに行ったら?』って顔も見せてくれなくて……」
「夜中に中庭で泣いていた」
「やっぱり……」
「だが、もう大丈夫だ」
「え?」
「ま、明日また会ってやってくれ」
「はい……?」 コンコンコン。
「どうぞ」
「最高司補様、この――あ! 昨日の!」
手で口を押さえた。
「昨日の?」 リリムは首を傾げている。
「可愛いな~と……はい」
「後を付けたのだな?
プラムの事を広めたのも、なのか?」
「勝手に広まったんです!
後ろ見たら大勢が続いてて……その……どっちも可愛いし……」
「私と兄が保護している大切な娘達だ。
手出しは許さぬぞ」
「はい……申し訳ございません」
「加えて言うと、姉妹共に結婚が決まっている。
その書類を置いて、皆に伝えておけ」
「は、はいっ!」バサッ、バタバタバタッ!
「あの……結婚って……方便ですよね?」
「明日、会えば分かる」フッ。
やっと彩桜はソラと友達になれました。
この勢いでショウとも会おうと考えています。
オニキスはエィムとルロザムールが保魂域から連れて来た魂の中から嫁候補を渡されました。
いったいどんな女神様なんでしょうね♪