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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団外伝  作者: みや凜
第二部 第9章 激戦の翌日
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おてて繋いで仲良しさん



【ね、エィム♡

 死司衣は? このまま仕事?】


【先に確かめたい事があるんだ】降下。


【ん♪】腕に絡まった。


【外ではベタベタしないでよ】


【真っ赤っか~♪】【煩い】【怒った?】


【本当に僕の弟なんて出来るの?】


【演技なら任せて♪

 女優できるなんて嬉しくって♪】


【男なんだけど?】


【そういう意味じゃないのっ】


【それにしても何時(いつ)何処(どこ)で人世のドラマなんか見てるんだよ?】


【仕事しながら~♪ 神眼で~♪】


【ったく……】呆れ溜め息。【此処で待ってて】


【ええ~っ】【待ってろ】【はぁ~い】むぅ。



 深夜の道をピクニックバスケットを抱えて歩く響と、並んで飛んでいるソラが話しているのが見えた。

ショウはバスケットの中で静かにしており、楽し気にその話を聞いていた。


エィムは姿を消して背後から近付き、ショウの内に神眼を向けた。


 トリノクス様もアーマル兄様も

 深く眠っているんだね。

 これは……暫く目覚めそうにないな。

 せっかく尾を見つけたのに……。


【神様?】


【あ……話せるんだ】人神なのに獣神秘話法。


【うんっ♪

 トリノクス様が教えてくれた~♪

 仲間の話し方なんだって♪

 ね、僕ってヒビキとソラの お邪魔虫?】


【それは……まだ ぎこちないから、もっと近付けてあげたら?

 そうすれば邪魔だなんて思われないよ】


【ん♪ でも ど~やって?】


【手を繋いで一緒に学校に通いたかった、とか話してたよ。叶えてあげたら?】


【神様ありがと♪

 おてて繋いで仲良しさん作戦だね♪

 始める~♪】【待っ――】上に逃げた。

〈ね♪ 探偵団は続けるよね?♪〉ぴょこ♪


 ショウがバスケットの蓋を頭で押し上げるのと同時に、エィムは結界の外に浮かんで神眼を向けた。


〈もっちろん♪〉


〈僕……お邪魔?〉


〈何言ってるのよぉ。

 みんなで探偵団でしょ♪〉


〈ソラは? イヤじゃない?〉


〈本気で結婚してくれるみたいだし、夫婦がペット連れてるのってフツーだよね〉

フイッと外方向いた。


〈ソラ、顔――〉〈真っ赤っか~♪〉


〈ショウ!!〉


〈なんで僕だけ?

『響!』って叫ぶの恥ずかしいんだ~♪〉


〈違っ! もうっ!!〉〈具現化~♪〉

〈またっ!?〉〈おてて繋いで帰ろ~ねっ♪〉

〈〈どーしてソレ知ってるのっ!?〉〉


〈ん?〉〈〈トボケないのっ!!〉〉


〈神様が教えてくれた~♪〉

【ショウ!?】【ん?】


〈〈いつ!?〉〉【僕の事は言わないで!】


【も~言っちゃった~♪】〈さっき~♪〉


〈〈え?〉〉見上げた。


【ったく……】【えへっ♪】エィム溜め息。

〈僕達の家を結婚式場にしてくれたからね〉


〈怒っ、、た?〉


〈いや……予約だけは忘れないで〉


 ま、これはこれで面白いかもね。


エィムは微笑みを浮かべて姿を消すと周りを確かめ、ショウが他の死司神に狙われていない事に安堵して、そのまま瞬移して廃教会に戻った。



――着替えは一瞬。死司杖を手に首を傾げる。


「何か忘れているような……」「エィム!」


 あ……忘れてた。「ヒドいじゃないの!」


「死司衣を持って行こうと思っただけだよ」


「ホントに~?」疑いの(まなこ)でジ~ッ。


「僕が忘れるなんて有り得ないだろ」


「そうね♪

 かけがえのない妻ですものねっ♪」


「そういう意味じゃ――まぁいい。

 それより、そのドレスは置いて。

 仕事するよ」


「人用にできる?♪」


「当然。でもチャムがしないとね。

 教えるから上に行こう」


「うん♡」手繋ぎ術移♪



――東の街上空。


【こっち?】【なんとなく来ちゃった♪】


【ま、いいか。

 まずは偽装の術を教える。

 と言っても尾に入っている筈だから、見つけて発動するだけ。

 神力が足りていれば、それだけだから】


【足りてなかったら?】


【不発になるだけ。修行して高めて。

 他の術も同様だし、知識も そうやって引き出すんだ。

 チャムは どうにも手伝わないといけないらしいから手伝うけど、本当は自力で その方法を見つけるべきなんだよ。

 尾の扱いは個々で若干違うからね。


 で、試験の申請はチャムの分もしてる。

 朝からだからね、今夜中に引き出し方は完璧に覚えて】


【ええっ!?】


【一緒に潜入するんだよね?

 それなら頑張って】


【頑張るわよっ!!

 偽装よね? 偽装……偽装……あった♪

 こんな長いの!?】


【最初は唱えて。

 慣れれば短く出来る。

 ただし唱えて発動するのの5倍以上の神力が必要になるからね。

 ……僕の欠片を利用して】


【うん♡】またエィム真っ赤っか~♪



―・―*―・―



 マディアはザブダクルに回復光を当て、ベッドに横たわったザブダクルは静かに それを受けていた。


「マディア、執務も残っておるのだろう?」


 不意に言葉を向けられたマディアは、また『エーデ』ではない事に少し違和感を覚えたが顔にも思考にも表さず、穏やかな微笑みを保った。


「はい。ですが常の事ですので明日でも構いません」


「儂を優先してくれるのか?」


「はい」



「その……エーデラークの姿は術か?」


「はい。偽装の術です」


「この姿にも成っておったな」


「はい。術ですので何にでも」


「獣神だけの術か?」


「そうではありませんが獣神は得意です」


「そうか……」


 禁忌について頼むなら今かな?

 でも続けては嫌な顔されるかな?


「マディア」


「はい」


「ひとつ……頼んでもよいか?」


「はい」


「今朝の話、ルサンティーナは生きていると本当に思っておるのか?」


「はい。

 証拠も何も無い、ただのカンですけど」


「そうか……少し考えたい。

 ……ルサンティーナの姿を……見せてはくれまいか?」

掛布から手が出ていた。


躊躇いつつもマディアが その手を取ると、やわらかく微笑むルサンティーナの姿が流れて来た。


 あれ? 今、一瞬――


(よぎ)ったものは慌てて思考から追い出した。


「では――」

立ち上がり、見えたままの姿に変える。

「――これでよろしいですか?

 ザブダクル様」

声も変えてみた。


「ルサンティーナ……声までも……」

驚き見開いた瞳から幾筋も続けて涙が流れた。



―・―*―・―



【エィムそっくり? できちゃった?♪】


【そうだね。今の僕の姿にね。

 ちなみに――】偽装を解いた。


【え……】兄ちゃま? カッコイイ♡


【――こっちが僕の本当の姿だよ。

 僕はチャムに合わせて、常に偽装を保っているんだ。

 チャムはオフォクス父様の偽装で、いつもの姿に固定されてるんだ。

 戻したらチビッ子だよね】


【今 私、偽装に偽装を重ねてるの?】


【そうだよ。

 難しくないって分かった?】


【うん♪ カンタンねっ♪】


【でも保つのは容易じゃない。

 他の術を唱えたら偽装が解けてバレるとか最悪だからね】


【そっか。ずっとなのよね……】


【ま、その点は完璧でないと意味が無いから、オフォクス父様に固定し直してもらうけどね】


【それじゃ何の為に練習したの?】


【尾の扱いに慣れる為。

 それと、ドレスを人用にする為】


【あ♪】


【具現化に偽装を重ねるんだ。

 ただし、人という物質を知らないと無理。

 だから――】結界の外の地に瞬移した。



【――今度は人に偽装する練習だよ】


【うんっ♪】



―・―*―・―



 ザブダクルが、ルサンティーナ姿のマディアへと伸ばしていた手は無意識だったのか、跳ねるようにピクンと止めると掛布の中に戻した。


「すまない……ありがとう。

 考えたい……執務に戻ってくれ」

もそっと背を向けた。


「失礼致します」執務室へ。




「ルサンティーナ……」


窓の外で輝く青い星を見詰める。


「オーロザウラに何をされたのだ……?」


帰ってくる筈の無い答えを待っていると、また涙が流れてしまった。



―◦―



 さっき一瞬だけ赤い瞳のルサンティーナ様

 見えたよね? 怒ってたよね?

 そういうコトもあったのかな?


 だとしたら……でも黒ローブの赤い瞳とは

 違ってたから、それとこれとは別?


閉ざした心の内で悩むマディアだった。







獣神狩りを終わらせた事でルサンティーナには許してもらえたと思っているザブダクルですが、マディアにも その姿が流れてしまったようです。

そうとは知らないザブダクルは会いたさを募らせています。



エィムとチャムの方は順調に仲良しさんになれたようですね。



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