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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団外伝  作者: みや凜
第二部 第5章 風呂場の件の裏側で
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キメラ魂に悪戦苦闘



【ウィスタリア、モグラの道は混成(キメラ)魂の保管場所から其処への一本道とし、他は全て滅した。

 其処の穴を塞いだ様だが、サイ達は?】


庭に出たユーレイ達の動きを上空から見ていると、オフォクスが尋ねてきた。


【どうやら霊道と繋ぎ、出口を結界の外に出そうとしているようです】


【ふむ。サイめ、考えおったな。

 ならば待つとしよう】どうやら楽しそうだ。


【死司の皆様にも待機して頂いております。

 整い次第お伝え致します】


【ふむ……また彩桜が来ておるのだな】


【はい。……何か御座いますか?】


【いや。好きにさせてやればよい。

 彩桜が居ればモグラは行動を起こさぬであろうからな】


【それは……?】


【儂もモグラには意識が残っておると信じておる。

 友として受け入れてもらえた恩義から、彩桜とオニキスには手出しせぬであろうよ。可愛がっておったソラにもな】



―・―*―・―



 その頃、先に結界から出された魑魅魍魎(キメラ)達が次々と浄化の門に運び込まれ、暴れ騒ぐキメラ魂達と押さえ込もうとする浄化神達とで、門は騒然としていた。


「死司! 置いて逃げるな!」

「眠らせたまま置いていけ!」


「己が足でくぐる決まりだろーがよ!」

「目覚めさせなければ動きませんよ?」


「逃げた奴を捕まえてくれ!」


「門兵は?」遠くから。


「見て分からんのか!?」

「手一杯なんだよっ!!」


『煩いぞ』


「何だとっ!?」「おいヤメろ」「はあ!?」


『エーデラーク、静かにさせよ』『はい』


「え?」「ええっ!?」「うわっ!」


 また来てた!!


「諸魂鎮静!」


 碧龍から放たれた光に包まれた(キメラ)達はピタリと動きを止めた後、ふわふわとした足取りで門をくぐった。


「浄化神の皆様、一時的なものですので、お早くお連れください」礼。


 光一発で鎮めたエーデラークの神力に驚き、霊達を呆然と見ていた浄化神達は、その声で我に返り、慌てて導き始めた。


「戻るぞ、エーデラーク」「はい」瞬移。


 驚きと緊張で固まっていた死司神達は、怖い最高司が去った事で、ようやくお咎めが無かったと胸を撫で下ろして人世へと降下を始めた。



―◦―



 最高司の部屋に戻るとすぐにマディアは人姿になり、執務机へと向かった。


「エーデラーク、先程の力は支配か?」


「いえ。強いて申せば催眠です」


「そうか……」


 支配の力を持っているんだから

 違いは明白だよね?


――と、首を傾げつつも詮索無用と言われるのは目に見えているので、マディアは一礼して座り、中途で置いた書類を確かめ始めた。


「何も聞かぬのだな……」


「詮索無用、ですよね?」


「……ふむ」


 寂しそう? 聞いてほしかったのかな?

 支配の力を嫌ってるのに使うし~、

 気持ちに素直じゃないから

 矛盾が生じるんだよね?


「エーデラーク」


「はい」ちょっとビックリ~。


「先程の霊は? 怨霊か?」


「怨霊未満ですが……混ぜられて不安定になってしまったキメラ魂です」


「魂を混ぜておるのか?」


「はい。人や獣、獣神を混ぜた魂でした。

 モグラを感じましたが、ご指示なさったのではないのですか?」


「いや……ふむ。そうか」


 何か言いたげ?

 もう少し話し相手するべき?


迷っていたが、ザブダクルが本に視線を戻したので、マディアも執務を再開した。



 パタン――


 え?


――わざとらしい程の音を立てて本を閉じたザブダクルが立ち上がった。

「人世に行く」


「はい」龍に。「どうぞ」


「ふむ」


人世へと瞬移を交えて飛び始めたが、今度は何だろうと首を捻るマディアだった。



―・―*―・―



【ヒュ~~ぴたパ~~ン♪ すっご~い♪】

【確かに凄い力ですね……】【うむ……】


 街の結界から出した魔道の口を塞いでいた御札で成した蓋に向かって(ヨシ)が放った御札が蓋を弾き、霧散させた。

少し前にオフォクスには間も無くだと連絡していたので、蓋が消えたとたん魑魅魍魎達が溢れ出した。


【姿は響殿ですが、ヨシ殿なのではありませんか?】

【そうね……少し違うようね】


『一魂たりとも逃すでない!

 全て導くのだ!』


【ルロザムール様も張り切っているわね~♪】


怨霊ではないとは言え、吠え暴れる獣混霊を人神が捕らえるのは至難の技で、死司神達は必死で戦っていた。


【ウィスタリア師匠、手伝わないの?】


【そうですね……では、少しだけ】


【俺達は?】


【まずは術で静かにさせますので】

少し降下。

【諸魂鎮静!】


光が降り注ぎ、霊達は静かに丸まった。


【ありがとうございます】


声へと神眼を向けると目礼するルロザムールの背後に碧龍(マディア)が見えた。


【私を監視しているのでしょう】


【疑われているのですか?】


【分かりませんが……】



―・―*―・―



 上空のザブダクルとマディアは――


「キメラ魂は多いのだな……」


「溜め込んでいたのでしょう。

 その場所が見つかってしまったのでは?」


「堕神達にか?」


「放出しているのは祓い屋達ですが……堕神と言えば堕神ですね。

 堕神の欠片持ち達ですので」


「そうか。

 怨霊も こうしておるのだな?」


「そのようです。

 祓い屋が怨霊を弱めて結界から出し、死司神が導くのが常のようです」


「獣神が獣神を浄化域送りにしておるのか?」


「そうなりますね。

 怨霊化してしまうと、浄魂するより他に(すべ)がありませんので。

 ですからモグラにキメラ魂を作らせ、怨霊化させようとしているのでしょう?」


「……怒っておるのか?」


「伝わるのでしたね。

 僕も獣神ですので」


「そうか……当然か……」



「ルロザムール様のお働きに関しては?」

その視察が目的だと言われて来た。


「ふむ……十分だ。

 月から引き戻して正解であったな。

 ん? あれは龍か?

 姿を消しておるようだが……」


「祓い屋の協力者でしょう。

 人世には龍や狐の神社が多く在ります。

 人にとって慣れ親しんだ神なのでしょう。


 獣神は神世で見つかれば捕らえられてしまいます。

 ですので人世で暮らしている獣神が居ても不思議ではないと思います。

 祓い屋には見えるでしょうから仲間となっているのかもしれませんね」


「そう、か……」


 あれ? 羨ましい?

 自覚してないみたいだけど……?


「戻るぞ。急がぬ故、瞬移せずともよい」


「はい」上昇。


昇り始めた死司神達を従える形で飛ぶ事になってしまった。


 ええっと、連れて昇りたいのかな?

 ホントは仲間に入れてもらいたい?

 僕としては瞬移したいんだけどなぁ。



―・―*―・―



【ソラ……オトナになっちゃった……】


彩桜の視線の先には、隠れて話しているカケルとソラが居た。


【しかしソラはソラだ。話せば友に戻れる】


【でも……】


下の様子を見つつ、手助けをしていたウィスタリアが彩桜の方を向いた。

【ソラの内のガイアルフ様は大神様ですので、窮屈だと感じて、器を大きくしたのだと思いますよ?

 それだけですので気にしてはなりませんよ】


【うん……】

【あれを見て!】


ナスタチウムの声に一斉に向いた。

【えっ?】

【響お姉ちゃんからヨシさん出してる!?】


【それもだけど!】


【【バステト様!?】】


【行かないと!】【ですねっ!】


姿を消したまま瞬移し、黒猫女神バステトの両脇を抱えるように支えたウィスタリアとナスタチウムは即、結界天頂へと瞬移した。







お風呂場の魔道の件の裏側では、死司神達と浄化神達が魑魅魍魎(キメラ)達に悪戦苦闘していたんですね~。



響から出て来た黒猫女神バステト様はバステート様のお師匠様で、エジプト神話のモデルになったバステト様の孫で、その神名(かみな)を称号として継いだ大神様です。


本編では、何か黒い猫らしいものが出たとソラと飛翔が言っていましたよね。



彩桜はまだソラとショウに会いに行けていません。

次章では行けるのでしょうか?

というところで、この章は終わりです。

m(_ _)m



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