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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団外伝  作者: みや凜
第一部 第8章 ザブダクルとマディア
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モグラ再び敵に



 マディアとザブダクルは現世(うつしよ)の門を抜けた。


「待て」


「はい」ふわりと浮く。


「死司の証を全て出せ」


「はい」


 よく死司神が三日月鎌にしている死司杖やら黒装束やらを背に出すと、ザブダクルは神眼を向けるなと前置きしてゴソゴソ。何やら小さく唱えてもいた。


「もうよい。仕舞って降りよ」


「はい」回収。降下再開。


「何も聞かぬのだな」


「従うのみですので」


「ふむ。

 死司の証を全て偽物に替えた。

 故に儂と共にでなければマディアは神力射の餌食となる」


「解りました」


神力射エリアを抜けた。


「あの……考えも伝わりますので、先に……」


「何だ? 申してみよ」


「ルサンティーナ――」「何故その名を!?」


「寝言でしたでしょうか?

 叫んでおられました。

 ふと浮かんだ時に叱られると存じましたので、話しておくべきと考えました」


「そうか。詮索無用だ」


「はい。その……とても美しい響きですね」


「そう……思ってくれるのか……」


「はい」



 そこからは無言で街の結界近くまで降りた。


「モグラは見つけられたか?」


「はい。此方です」稲荷山に向かう。



―・―*―・―



「瑠璃! 今は行ってはならないよ。

 心が万全でない時は戦ってはならない。

 俺が行くから、瑠璃は此処をお願いね」


仮眠室に飛び込んで来た青生が、戦いに行こうとしていた瑠璃の腕を掴んだ。


「しかし――」


「ドラグーナ様と行ってくるよ。

 短時間勝負。その後は眠ってしまうから

 動物達をお願いね?」

有無を言わせないと抱き締めた。


「解った。しかし――」


「うん。無理はしたくてもできないよ。

 街の護りは紅火に頼んだからね。

 もうすぐ患者が来る。だから――」

身体を離して微笑む。

「――俺達の城をお願いね♪」瞬移した。



―・―*―・―



 マディアの行く手に瑠璃鱗の龍神が現れた。


「また姉か……マディア、場所を示せ。

 儂だけで行く」


「はい」爪の先から光矢を放った。


「其奴は任せた。

 儂の邪魔はさせるな」


「はい」

ザブダクルは稲荷山へ。

マディアは瑠璃龍の眼前へ。



 瑠璃龍はマディアを抱き締めるとその魂を取り込んだ。


【父様っ♪】


〖今回は俺が話し相手だよ〗


【はい♪ では、この記憶を。

 ザブダクルの過去です。

 昨夜 眠って見た夢です】

光球を渡した。


〖ありがとう。

 でも無理をしてはならないよ。

 相手は強い神なんだからね〗


【はい♪】



―・―*―・―



「お前がモグラか……」


 察知していたモグラはザブダクルが現れる前に身構えており、目に赤い光を宿していた。


「支配を使おうが儂は掛からぬよ。

 神力が遥かに上だからな」

瞬移して迫り、胸ぐらを掴み上げる。


「何度も言わせるな。効かぬ」


モグラは締め上げられていたが、手に剣を具現化していた。

禍々しい神の背に突き立てようと――


「小賢しいわ!!」


神の瞳が赤く輝き、モグラの剣は消えた。


「儂は……この力が憎い。

 ルサンティーナを苦しめた力なのだからな。

 人が持つなんぞ余計に腹立たしいわ!!


 モグラよ。お前は この忌々しい力を存分に使い、人世を滅ぼせ。

 堕神共を全て浄化域に送るのだ。

 お前が喰らうも良しだ。

 手始めに、近付いておる龍と狐を浄化域に送ってやれ」


「はい。主様」



―・―*―・―



【ザブダクルには父様もラピスリ姉様も同じに見えているようです♪】


〖だとすればエーデリリィとユーチャリスは全く区別できないだろうね〗


【そっか~♪ ちょっと失敗かな?♪

 それにボッチだとツラいけど一緒だから心強いよね♪ ソレも失敗♪】


〖元気になったのはいいけど、油断しないでね?〗


【うん♪ 気をつけます!

 父様ありがと♪

 ザブダクルが山の上に浮かんだから身体に戻るねっ♪

 手合わせ、お願いします♪】


〖うん。くれぐれも――あ、来るね〗


マディアは笑顔で頷くと身体に戻った。


 ドラグーナを突き飛ばし、雷光を放ち、氷槍の雨嵐を避けたところにザブダクルが戻り、マディアの背から禍の大球を放った。

「戻れマディア!」「はい!」瞬移!



 禍を浄滅し、瞬移したマディアを追おうとしたが、ドラグーナは動けなかった。


 時間切れ、かな……?


カクンと落ち始め、青生に戻り――


〖我ながら無茶にも程があるね〗


――ぽすっと深紅龍の掌に落ちた。


〖戻ろう紅火〗【はい】



―・―*―・―



【何しやがる!? モグラ!!】


【一旦 退きましょう!

 あの目は操られております!】


【ゲ……】


【社ごと封じます!】

フェネギはオニキスを掴んで退却した。



―◦―



 山の社の上空に出た狐儀(フェネギ)は素早く唱えると奥ノ山ごと結界で覆った。


【チョイ待て! 犬達は!?】


【避難指示は出しましたよ?】


【けどよぉ】


【獣神は出られますよ】


【ソレ先に言えよなぁ】


【それにしても困りましたね……。

 このような時にモグラが敵となるなんて】


【だよなぁ。あ、今回マディアは?】


【来ておりましたよ。

 街の上でドラグーナ様と戦っておりました】


【父様と!?】


【瑠璃鱗……つまり青生様です。

 ラピスリ様の代わりに出られたのでしょう】


【早くラピスリが立ち直ってくんねぇと、どーにもなんねぇよなぁ】


【そうですね……】


【で、ラピスリと言えば梅華(メイファ)様とは?

 どーなんだよ?♪】つんつん♪


【どう、とは?】


【上手くいきそうなのか?♪】


【何がなのです?】


【シラバックレるなよなぁ。

 またまたズッドーン♡ なんだろ?♪】

指ハート♡を突き出す。


【オニキス……】じと~っと睨む。


パララッと御札が狐儀を囲み、オニキスに狙いを定める。


【お、おいっ、んなコトに神力 使ってる場合かよっ!?】


【魂浄雷神破邪!!】


【うわわわわーーーーっ!!】

雷光の尾を引く御札に追われて逃げた。



【狐儀様……】


【あ……はい?】振り返って……ぽ♡


【あの……結界の強化でしたら、私でもお手伝い叶うかと……。

 差し出がましく……申し訳ございません】


【いえ、お謝りにならずとも。

 どうか宜しくお願い致します】


【はい】にこっ♪



―・―*―・―



「青生兄!!」家の居間に現れた。


「彩桜……青生は疲れただけだ。

 学校は?」

青生に術で治癒を当てていた紅火が睨んだ。


「忘れ物って戻ったのっ!

 青生兄のドラグーナ様っ、戦ってたでしょ!

 伝わったんだからねっ!」


「無事だ。学校に戻れ」


「あ、ハンコお願い」外出届け♪


「ふむ」保護者欄にポン。

「で、何を忘れた?」


「お弁当~♪」たたたた――――たたたっ♪

「コレ♪ 昼休みに食べに戻ろっかな~って思ってたの~♪」


「忘れるな。食は命だ」


「ん♪」


「それと……必要ならば呼ぶ。

 学業に専念せよ」


「は~い♪」瞬移♪


【未だ力は不十分だ。

 非常時に備え、多用するな】


【は~い♪】







もしも『モグラを滅しに行く』だったらマディアは辛く思い悩んだことでしょうが、『捕らえに行く』だったので、なんとかできると思っているようです。


モグラが支配を受けてしまったら……?


解けばいいだけだよね?

バステート様も居るんだから大丈夫♪


と、マディアは考えていそうですが……。


もうすぐ本編の夏が来ます。



狐儀の方は春が来そうですけどね♪



彩桜の方はカラ元気で頑張っていますが……。

食いしん坊な彩桜がお弁当を忘れるなんて、黒瑯が聞いたら「天変地異を起こす気か?」と言いそうです。


ショウ達は目覚めない。

ユーレイ利幸は行方不明。

稲荷(キツネ)も戻っていない。

瑠璃は泣いてばかり……。


彩桜も泣きたいし、かなり落ち込んでいて、とても悩んでいます。



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