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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団外伝  作者: みや凜
第一部 第7章 古の人神と龍狐神
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キツネの娘



 無事に人世の地に着いたラピスリ達は、青生を動物病院に、彩桜を家に、バステートとモグラをキツネの社に送り届けた後、明けに少しだけ傾いた真夜中の交差点で意識のない青年ユーレイを囲んでいた。


【ラピスリ見える?】


【はい。最外のトリノクス様の結界には私達の楔が小さな亀裂を作っておりますが、内のアーマル兄様の結界にまでは達しておりません】


【トリノクスって欠片になっちゃってるんだよね?

 ここに集まってるのって どのくらいなの?】


【6、7割程かと。

 この青年が大きな欠片を持っておりましたので、合わさったものと思います】


【トリノクスも強いよね~♪

 あとちょっと集まったらいいのにね~】


【そうですね。その方向でもよろしいかと。

 あと少しあればトリノクス様はお目覚めになられ、青年を目覚めさせられるでしょう】


【人世にいる仲間で集められる?

 マディアとエーデちゃんは職域で捜してくれるかなっ♪】


【【はい♪】】


【ラピスリ聞いてる? どこ見てるの?】


ラピスリは背後に顔を向け、遠くを見ていた。


【アレって……怨霊だよね?】【そうね】

マディアとエーデリリィも見詰める。


【トリノクス様を感じます】狐になった。


【ナイスタイミング~♪】


【此方でお待ちください】瞬移した。



―・―*―・―



〈モグラ程じゃあねぇが此奴も強ぇからよぉ、気ィつけるだぁよ!〉

怨霊と戦う祓い屋ユーレイが避けつつ叫んだ。


〈はい! サイオンジ様!〉〈お師匠様っ!〉


〈ナンジョウ来たかよぉ〉


〈破邪の剣、コイツにも試していいですか?〉


〈い~や。こ~んな強ぇ奴にゃあ、ま~だまだ危険過ぎるだぁよ〉


〈おおっと! ったくヤバいヤツだなっ〉

避けついでに少し離れた。

〈戌井が消えちまったからなぁ……。

 響チャンも寝てるんだろ~なぁ……どーやって止める?

 俺がオトリになるとか? あっ!!〉


瑠璃光を(まと)い、白銀に煌めく狐が(よぎ)った。


〈キツネ殿じゃあねぇなぁ。

 動きが止まったなぁよ。追い出すぞぃ!〉


〈〈はい!〉〉



―・―*―・―



 交差点に戻ったラピスリは青年ユーレイにトリノクスの欠片を込めた。


【トリノクス~♪ 早く目覚めてね~♪】なでなで♪


【呪は完全に消えておりますし、今日のところは――】【神世に行こっ♪】


【マディアとエーデリリィ姉様は何方に?】


【さっきの怨霊 捕まえるって~♪】


【死司神は収穫無しでは戻れぬ、という事ですか?】


【そ~そ~♪ 手ブラじゃ昇れないって♪】

【イーリスタ様♪ ラピスリ姉様♪

 現世の門で待ってますね♪】声だけ。


【では時間差で昇りましょう】


【だねっ♪ ん? 迷子ユーレイ?】

イーリスタが指差した方を見ると、小学校低学年くらいの男の子ユーレイが ぼんやりした表情でゆらゆら歩いていた。


【ああ、あの子……】


【知ってるの?】


【オフォクス様のご友人が保護している堕神の欠片持ちの子供です。

 未だ目覚めておらず不安定ですので住処に連れて行きます。

 イーリスタ様は此方でお待ちください】


【ん~。じゃあトリノクスに神力注ご~♪】


【お願い致します】

また狐になって男の子に近付き、背に乗せて飛ぶように駆けて行った。



―◦―



 この公園の筈だが――


〈あ! さっきの狐!〉


 男の子を渡す相手は居ないものかと歩いていると、男の声がした。

振り返ると祓い屋ユーレイの師弟が飛んで来た。


〈見つけてくれたかぁ。

 ありがとなぁよ〉男の子をおぶった。


〈なぁアンタ、さっきの狐だろ?

 怨霊の動き止めてくれたよな♪〉


〈キツネ殿の奥方様かぁよ?〉

〈って! 女お稲荷様!?〉


〈父が遠くに行っておりますので代わりに参りました。

 山に戻る途中、その子を見つけました。

 それだけですので、失礼致します〉


〈キツネ殿に娘さんが居たとはなぁ。

 会えて良かったなぁよ。

 助けてくれて ありがとなぁ〉


〈いえ……では〉消えた。



〈父と娘かぁ……よ~う似とるなぁよ♪〉


〈確かに……〉


〈ま~た仲間に、とか思っとったかぁ?〉


〈はい。トーゼンでしょ?

 あんな強いんですから。

 トウゴウジの暎チャンを手伝ってた美女獣医サンも期間限定でしたでしょ?

 戌井も消えちまったし、今度こそって思ったんですけどねぇ……〉


〈このボウズが目覚めてくれりゃあ強~い仲間になってくれる。

 オイラは そう信じてるんだぁ。

 さぁて、オイラも休むかなぁよ。

 ナンジョウは港町に帰れ~よぉ〉

手をヒラヒラさせて木に向かって行った。


〈あ……はい!〉


〈来てくれて ありがとよぉ〉



―・―*―・―



 再生神姿のラピスリとイーリスタは今度こそ呼び止められもせず、すんなりと現世の門に着いた。


【マディア♪ エーデちゃん♪】

ルロザムール姿になったイーリスタが ぴょんぴょんと寄って行った。


【怨霊は?】【もう浄化域だよ♪】

ラピスリはダンディなディルムに姿を変える。


それを見てマディアはナターダグラルに、エーデリリィはエーデラークになった。

【浄化域には もう残ってないよ。

 再生域にも移ってない。

 保魂域に行こっ♪】


【浄化域と再生域に行っていたのか?】


【僕の神眼、けっこう凄いんだよ♪

 結界だらけで見えないトコも多いけど、あの呪なら覚えたから感じで見つけられるよ♪】



―◦―



 保魂最高司に挨拶し、解呪が必要だと話すと思い当たる事でもあったのか、慌てた様子で直ぐに案内を付けてくれた。


【案内がラナクスで良かったよ♪】


【プラムに行かせても良かったのだが、マディアと話したくてな】


【何かあったの?】


【日常的に細かい欠片を集めているのだが、とても古い人神を見つけてな、古の四獣神様に見せてもらいたい。

 頼めるか?】


【とても古いって?】


【話せぬ故どのくらい古いのかは不明だ】


【うん。持ってってみるよ♪】


【有難う。

 呪は浄化から受け取った際にロークスから微かに感じると聞いていた。

 ロークスにも私にも見えぬのだがな。

 故に疑わしいとして別に保管している。

 此処だ】

示して扉を開けた。


【それでなんだ~。

 僕達が言い当てちゃったから保魂最高司様 慌てちゃったんだね~。

 ちゃんと浄化せずにフリだけにしてもらったから残っちゃったんだね?】

一緒に入った。


【然もありなん、だな。

 だが無自覚堕神を浄化すれば滅するのと同じだ。

 故にマディアは間違っておらぬ】


 奥へと進むラナクスと

ナターダグラル(マディア)に続いてエーデラーク(エーデリリィ)ルロザムール(イーリスタ)ディルム(ラピスリ)が入った。

ディルム(ラピスリ)は閉めた扉に掌を当て、少しの間目を閉じた後、皆を追った。


その死司神に視線を向けたラナクスが何かを探るように目を細めた。

【マディア、最後尾の方だが……】


【ラピスリ姉様だよ♪】


【だとは思ったのだが……】

浮かんでいる魂を引き寄せ集め始めた。


お父(オフォクス)様を感じる?】


小さく頷いた。【何故?】


【僕の父様とオフォクス様、半々だったんだって♪

 狐部分、オフォクス様が解放したんだって♪】


【姉様だったのか……】


【ロークスにも言ってあげてね♪】


【ふむ。挨拶せねばな】


【解呪の後でね♪】にこにこナターダグラル。



【ラピスリ~♪ 確かめて♪】ぴょん♪


 手に浄化光を纏わせたラピスリが魂ひとつひとつに触れていき、全て確かめ終えると頷き、魔法円を描いた。


【間に合ったようですが急ぎましょう。

 状況が少しずつ異なりますので、おひと方ずつとなります。

 私が中央で魂を支えますので四方をお願い致します】

半狐姿となり全身に浄化光を纏った。


【この部屋、さっきラピスリ姉様が結界したよね?】


【人神では神眼すらも届かぬ。

 扉は開かず、瞬移も出来ぬ】

既に目を閉じて集中しているので唱えているかのように呟いた。


【じゃあ獣神として全力だねっ♪

 強い解呪は真四獣神様から聞いてるから僕に まっかせてねっ♪】

兎イーリスタが南方位でぴょんぴょんした後、鳳凰になって大きく羽ばたいた。


【えっと、残りは? 誰が何処?】


【マディア青いから東♪

 エーデちゃんは白いから西でしょ♪

 狐クンはオフォクスと同じ北ねっ♪】







ロークスとラナクスはオフォクスの子でアーマルの代です。

つまりラピスリともマディアとも同代です。


浄化域にロークス、保魂域にラナクスが潜入していて、エィムの代のリリムとプラムの指導神をしています。

彼らのお話も、いずれまた。です。m(_ _)m




夢遊している男の子ユーレイは、、、もうお分かりでしょうけど。


こういう状態での登場ばかりですが、ちゃんと起きている時は勉強したり修行したりサイオンジと話したりしているんですよ。



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