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翔³(ショウソラカケル)ユーレイ探偵団外伝  作者: みや凜
第一部 第6章 ラピスラズリ
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ドラグーナとオフォクスの子



【父様……】


〖うん……ラピスラズリを生む時に遡るけどね。

 もうそろそろと両四獣神皆が言うから、滝に残す子をと思って、滝の4神皆で込めたんだよ〗


【シアンスタの時は僕達も込めたんだよ~♪

 強い子にしたかったから~♪】


〖そうなんだよ。

 だからラピスラズリも8神でと思っていたんだけど、ちょうどガイアルフ様と俺の父(フィアラグーナ)様がいらして命の欠片を分けてくださったんだ。

 だから滝の4神だけにしたんだよ。

 その時に、ガイアルフ様がオフォクスに全ての獣神を込めよと仰ってね。

 オフォクスのだけは俺に次ぐ大きさになったんだよ〗


【オフォクスのが大きくなり過ぎて、ドラグーナが追加したんでしょ?】


〖それも知っていたんですか?〗【うん♪】


〖俺は狐で龍なのを喜んだんだけどね、オフォクスは申し訳ないからって狐を封じたんだよ〗


【封じなかったら命落とさなくて済んだんじゃないの?】


〖そうかもですが……オフォクスを責める事になりますから話さないでくださいね〗


【そ~だよね~、ゴメンね】


〖いえ、誰しも思っているでしょうから。

 オフォクス自身が最も己を責めているからと口に出せないだけで。


 狐は呪に対して最強だから、再誕の時もオフォクスの欠片を大きくしないといけなかったんだ。

 俺も追加していたら、ちょうど同じになってしまったんだよ。

 オフォクスは俺に、もっと込めろって言ったけどね、でも もうそこで限界でね、それ以上は増やせなかったんだ〗


【ラピスリ? 黙ってるけど聞いてる?】


【はい。今、私が生きていられる事に感謝するばかりで……】


【オフォクス嫌ってないよね?】


【はい。人世に降り、人として生まれて動く事すら儘ならない頃から何度も何度もお助け頂きましたので】


【イッチバン大切な親友との娘だもんね~♪

 月に戻ったら『父様』って抱きしめてあげてねっ♪

 いいよねっドラグーナ♪】


〖もちろん。

 オフォクスに口止めされていなかったらラピスラズリにもラピスリにも話したんだけどね、話したら絶交する、月に籠るとか言われたら話せなくなってしまったんだ〗


【そ~ゆ~トコ♪ オフォクスとラピスリってホントそっくりだよね~♪】


〖うん。

 俺よりもオフォクスに似ているのかもね。

 でも、俺の娘だからね〗


【オフォクスも『儂の娘』って思ってるんじゃない?】


〖きっとそうだね。

 だから今回もラピスリに継いだんだろうね〗


【そっか~♪

 じゃあ狐も解いてもらお~ねっ♪】


〖それがいいと思うよ〗


【あの狐くん、ラピスリに仲間を感じてたのかな~?】


〖【え?】〗


【ず~っと前、僕が滝に遊びに行った時♪

 ラピスリが小っちゃくて~、お嫁ちゃん達まだ生まれてなかったのかなぁ?

 居なかったと思うんだよね~。

 みんな小っちゃくて可愛いから、遊ぼ~♪ って行ったら、狐くんがラピスリの前で両手広げて威嚇したんだよね~。

 と~っても大好きが溢れてたけど~、彼ど~してるかなぁ?】


【あ~、フェネギなら元気ですよ。

 今でもラピスリ大好きなままで】


【え……】【そっか~♪】


【知らないのはラピスリだけだよ。

 アイツ、生涯片想いを貫くつもりだからな】


【気づいてなかったんだ~。

 恋愛に疎いコって、よ~く『慈愛』の称号もらっちゃうんだよね~。

 伸びがぜ~んぶソッチに向いちゃうから~】


【ラピスリ大丈夫かぁ?】

ディルムが肩をつつく。


額を押さえて俯いているラピスリをマディアが覗き込んだ。


【姉様?

 僕は……このままでいいと思うよ。

 恋愛って思うようにいかないコト多いと思うから。

 だから想いが通じたら奇跡だと思っちゃうし、天に昇っちゃうくらい嬉しいんだし。

 ウンディもフェネギも、ちゃんと解ってる。

 姉様の想いを大切にしたいと思ってるんだから、今のままでいいんだよ。

 姉様が幸せでいるコトが一番いいんだよ】


【ありがとう、マディア。ディルムも。

 私は……変えようがない。

 この想いは……己が想いであるのに己では どうにも出来ぬのだ】


【ソレが恋愛だよ、姉様】

【うんうん♪ 僕も思い知っちゃった~♪】


 ずっと静かに聞いていたエーデリリィがラピスリを後ろから抱きしめた。


【軽々しくは言えないけれど、最も信頼できる弟でよいのではないかしら。

 夫の次に頼ってあげてね。

 思い詰めてはダメよ。

 相手までも苦しめてしまうのだから】


【はい。ありがとうございます、姉様】



【ディルムとハーリィは?

 結婚してないよね?】

ふと気付いたマディアが絆を探している。


【【うっ……】】

『振るなマディア』と視線で訴える。


【あ♪ そっか~♪ 兄弟なんだ~♪

 マリュースとバステートの子♪】


【俺は父様だけだし。

 ……挨拶だけはしましたけど】


【『器になれる程に強くなったのね』って嬉しそ~に言ってるの聞こえたよ~♪

 バステートの欠片も入ってるんじゃない?】


〖うん。入っているよ〗【えええっ!?】


兄様(ディルム)、知らなかったのか?】

【知らなかったよ!

 ナンでハーリィだけ知ってるんだよ!?】

【自然と知った……かな?】

【ナンだよソレッ! 教えろよなっ!】

【兄ならば知っている筈と思って当然だろ】

【ううぅ~~】【にゃん♪】


皆が吹き出し、険悪が破砕された。


【イーリスタ様ぁ、せめて『ガゥ』とか~】


【兄弟ゲンカしちゃダメにゃん♪

 あ♪ お嫁ちゃん達とも『にゃん』とか『ぴょん』付けて話そ~♪】


【その……奥様とは……?】ハーリィ首を傾げる。


【あ、そっか。言ってなかったな。

 ミルキィとチェリーだよ】


【お、お似合い、ですね】【でしょ♪】



―・―*―・―



 少し遡り、ラピスリ達が人世に向かった直後の月では――


〖オフォクス――〗


【ん? 如何したドラグーナ】


封珠を見詰めていたオフォクスが振り返ると、薄紅光を纏った瑠璃鱗のドラグーナが微笑んでいた。


〖ラピスリを娘だと言っていいんだよ?〗


【また其の話か……】


〖狐も解いてあげてよ。呪と戦うんだから。

 それを話したくて青生と彩桜を残してもらったんだよ。

 眠ってる二人を残したら話せないだろ?〗


【確かに……狐の力は必要であろうな】


〖うん。だから解いてあげてね〗


【解った。

 話は其れだけではないのであろう?】


〖うん。彼と話したくてね〗


【今ならばザブダクルは引き籠っておる。

 ダグラナタンはザブダクルに封じられたが解いてやろう】

強烈な破邪を当てた。

【ザブダクルは最奥に逃げおったな。

 今ならば話せるであろう】


〖ありがとう。

 中継も頼める?〗


【ふむ】

左手を封珠に乗せ、右手はドラグーナと繋いだ。


《ダグラナタン、聞こえる?》


《はい。四獣神ドラグーナ様ですか?》


《この色なのに よく分かったね》


《何も見えていないのです。

 お声で――あ、見えて参りました。

 その色……》


《今、近くに居るのは2/7だけだからね。

 7人揃わないと普段の色にはなれないんだ》


《申し訳ございません……私が分割したばかりに……》


《それはいいんだけどね、この色で何か思い出したんじゃないかな?》


《はい……あの時の龍神様もドラグーナ様だったのですか?》


《俺の息子だよ》


《ご子息様は……?》


《その時に触れた呪で命を落としたよ》


《何も知らず……知ろうともせず……申し訳ございません。

 無知で無謀な私を助けたばかりに……》


《息子の為に涙を流してくれたから、もう責めないよ。

 息子も助けた事を後悔していないと言っていたしね。

 それに再誕させたから、今は娘として生きているよ。

 だからもう泣かないで》


《ですが……あの時の事を根に持っていた私は、後に他のお子様に酷い事を……》


《そうだったね。

 やはり大元は息子と出会った事に在ったんだね。

 滝近くで君が虐めた子の中に再誕した子も居たんだよ。

 偶然だろうけど因果なものだよね》


《重ね重ね……申し訳ございません。

 私は……自惚(うぬぼ)れきっていたのです。

 無知で愚かな……大馬鹿者なのです》


《過ぎた事だよ。

 でも……何があったのか知りたいんだ。

 記憶を見せてくれるかな?》


《はい。ご存分に》


《きっかけとなる部分を思い浮かべてもらえるかな?》


《きっかけ……ですか……》


《どうして街道を外れていたの?

 迷った?》


《いえ……故意に……外に出たのです。

 上級貴族の家に生まれ、何不自由なく育ち、学校では無敵でしたので、自惚れていて……。

 出てはならないと強く言われていた外に出ても自分だけは平気だと示したくて……》


《そう……》目を閉じた。


《そんな理由でご子息様を――》


《あ、探っていただけだよ。

 もう責めないと言ったよね?

 息子と会う直前からでいいよ》


《獣神様は……人神とは違うのですね……》


《確かに考え方とかは真逆だろうけどね、

 根底は同じじゃないかな? 神なんだから。

 それに、逆だからこそ補い合えるよね?

 逆は逆なりに必要だよね》


《逆が……必要……》







人世に向かっている一団にはドラグーナの3/7(金錦 紅火 藤慈内)が話しており、

月では残りの2/7(青生 彩桜内)がダグラナタンと話しています。


白久と黒瑯の内のドラグーナは眠っています。

術などを行う為に必要な場合は、目覚めている5/7が神力のみを引き出しているんです。



ドラグーナにとっては子は全て等しいのですが、四獣神を継ぐ子は四獣神皆で込めようとだけは決めていたんです。

誰の子が継ぐかなんて事で喧嘩なんてしたくありませんので。


1魂は1魂。総じれば神力は同じ。

皆で話し合いながら子を作るのもまた楽し。

そんな感じなドラグーナだったんです。



ラピスリが龍であり狐であるのをドラグーナが喜んでいた理由は、親友との子であることの他に もうひとつあるのですが、この場では話が逸れるので言いませんでした。


その理由に絡むお話は次章になります。

この章は、あと1話ありますので軽く触れますけど。



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