ゾンビにおふだをハイタッチ
ツラいだけの人生に終止符をうった。
なんと俺は、輝かしいアクワガタ賞をとったのだ。
銀座でお寿司をごちそうしてもらえるかなぁ~
パーティに着ていく服をどうしようか。 俺はウキウキした。
しかし現実は違った。
メロンパンを3個もらっただけ。
パーティ?不景気なのでそういうのカットですよ。と冷たく返された。
賞を取って以来、小説家になろうの仲間はよそよそしくなった。
以前のような気安さがなくなり少し寂しかった。
出版社からは連日 次の作品をお願いしますと催促をされ続けた。
次の作品などなかった。俺はラッキーにも初めて書いた1本
が当たっただけ、どう足掻いても無理だ。
なんとも言えない孤独と息苦しさを覚え憂鬱になった。
俺は決心した。すべてを捨てて逃げようと。
荷物をまとめ そろそろと外に出た。
誰もいない、うまく逃げられそうだと思った瞬間、
ふいに腕を捕まれた。青白い顔をした編集者がいた。
困りますよ~勝手に逃げられては~
強く捕まれた腕を振り切って走った。
ヤツは諦めることなく追いかけてきた。
その様子は映画で観たゾンビそのものだった。
ぎゃああああーーーコイツに噛まれたらゾンビになって
しまう。恐怖でふらつく足にすがりついてきた。おもいっきり
蹴っては、よろよろ走った。イヤな予感がした。なんと、増えている!
うわぁぁーーーゾンビの集団だ、来るな、こっちに来るんじゃない!
気を失いかけた時 俺はベッドから転がり落ちた。
背中がズキズキした。
痛みを感じるってことは・・・どうやら夢だったようだ。
あぁ 助かった。心底 ほっとした。
小説家になろうで 勝手気ままに書くのが性に合っている。
今更だけど本当の幸せに気がついた。不覚にも涙が頬を伝った。
そのとき・・・
うっ 、急に腕を引っ張られた。 逃げ回られちゃ 困りますよ~
ゾンビ編集者が目の前にいた。
夢じゃなかったのか!
目の前が急に明るくなった。
お疲れさまでっす。無事に撮影終わりました。
ゾンビエキストラのみなさん これにて解散でーす。
オレはゾンビBを見事に演じきった。
その嬉しさで思わずゾンビCにお疲れーと挨拶をした。
ゾンビCはオレの手首をつかみ、こう言った。
次の作品まだですか?
血の気がスーッと引いていくのがわかった。
オレは呪われている、おふだ おふだが必要だっ。