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今、生きているあなたへ  作者: ひびき
雷鳴の如く
92/92

第87話 転んでも、ただでは転んでやらない

すみません。投稿遅くなりました。

あと、今後についてですが、年明けから仕事と資格の関係で投稿頻度が絶望的になりそうです。

なるべく投稿できるようにしようとは思いますが、4月頃までは厳しいと思います。


4月からはまた週2で投稿していきたいと思います。

度重なるお願いとなりますが、ご了承ください。

/639年11月5日/

〜控え室〜


コ「仮想空間へ行く前に一旦集合、」


 各々部屋の中へ入る前にコクウが全員を呼び止めた。


コ「すぐ側にいたやつ脅して相手の顔と性別と名前聞き出したから共有するね」

タ「サラッと何してんだこの子」

リ「なんか少しズルい気がするなそれ。俺たちだけ情報あるの、」


コ「なーに言ってんの、アイツらこの前イブリンたちと戦った時、協会の中にいたから私たちの顔と名前、神技と戦い方までバレてるよ」

パ「まじかよ、あっちズルじゃん」

コ「そーなの。だから名前と特徴くらいは知っとかないと、不利すぎて話にならない。てかこれでもかなり不利だけどね」


 少し不機嫌そうなコクウ。1つ呼吸を置いてコクウが話し始めた。


コ「まず、最初に喧嘩ふっかけてきたあの黒髪カス野郎、」

タ&レ(黒髪カス野郎、、、)


コ「名前、コバルト。あの隊、<凱旋>の隊長らしい。近距離刀」


タ(俺と色々と似てるなー。ネタギレか?)

((泣))


コ「他、薄紫の女はスズ、遠距離の魔法」

コ「深紅色の男はマンガン。剣と魔法両方使う」

コ「青髪の女はセレン。糸を使うらしい」


リ「糸?」

パ「縦の糸は私ー、横の糸も私ー」

レ「誰も暖めてくれなそう」


コ「次ぃ!緑髪の男、オガネ、剣と魔法両方使い」

コ「黄色の男はハイドロ。虎の獣族で主に剣を、獣化で牙と爪も使ってくるらしいから気をつけてね!

よし行くぞ!」

リ「かますぞぉ!」

シ「蹴散らしてやる」

パ「フシューフシュー、、コロス...ゼンインコロス」

レ「やられたら、やり返す」

タ(いつからだろう...こんな野蛮な隊に変わってしまったのは、)



タ「あー、気合い入れてるとこすまないが、ローネからの助言ー」


タ「『勝たなくていい』だってよ」


 タイトの言葉に気合いを入れまくってる全員が一旦静止する。


パ「・・・なんで?」

タ「さぁ?そこは聞き出せなかった」

シ「うーん、、、真意は分からないけど、とりあえず勝つつもりでは行くよ?」

タ「それはいいと思う。

なんだろう...無理して勝たなくてもいい、的な言い方だった。」

リ「本気出さなくていいってこと?」

タ「そんな感じ。まぁ、とりあえず向こうも待ってるだろうし、早く仮想空間に入ろうか」

レ「早く入らないと面倒くさそう」


 情報共有を終えたところで、タイト達は各々小部屋へと入って、仮想空間へと飛び込んで行った。


〜仮想空間〜

         *視点 戦闘時*

場所:森の中

天候:晴れ

時間帯:夜


天の声「それでは、戦闘開始」


リ「今回は夜か、」


タ「そういやあいつ、理創郷がなんだとか言ってたよな」

パ「入ったらめんどそうだし、遠くから撃ち殺す?」

シ「多分、着弾する前に切り落とされるな」

コ「とりあえず、そいつの領域に知らずに入るのを防ぐために、私が先頭で歩くね」

リ「え?それ、なんの対処になってんの?」

コ「まぁまぁまぁ、終わったら説明するから信じてちょ」


 コクウの言葉を信じて、コクウを先頭に暗い森の中を進む一行。コクウは先頭で右手を前に差し出して歩いている。


シ「あいつら、しっかり気配消してるな」

タ「暗くてよく見えないね」

レ「一応正面にはいる。1人だけ前に居て、他全員は後方に固まってる。距離はあと10mもないくらい」

リ「喧嘩ふっかけてきた割にはビビりなんだな」

コ「ね。まぁ、あんな公衆の面前で武器を出してる時点で、たかが知れt/ギィンッ!


 コクウが言葉を言い終えようとしたその時、コクウの右腕が硬いものと金属をぶつけたような甲高い音とともに後ろへと弾かれた。腕はくっついたままだが、勢いが強かったのか少し痛めた様子のコクウ。

 コクウと相手の間にあったいくつかの木が、音を立てて倒れていく。


コ「距離は5mと少し位ね、」

コバルト「ほう?」

レ「ッ!全員、後ろに!」


 レインの言葉に呼応して、パルスが両隣にいたリューソーとタイト、そして次に近いシキを後方へと<瞬間移動>させた。先に気づいたレインは逃げれると踏んで最後にコクウへと手を伸ばしたパルス。


キィィィィィン、


 ゆっくりと抜刀をするかのような甲高い音が鳴ったと思いきや、タイト達の目の前にあった森の木々が一瞬にして円形状に切り倒された。

 大きな土煙が立ち込め、夜ということもあり完全に前方の視界が闇に包まれた。


パ「くそ!コクウには届かなかった!」

リ「おい、コクウが逃げ切れてないぞ!」

タ「もしかして巻き込まれた!?」

シ「・・・」

レ「なんで、あれを、」


 レインが煙の中をみて狼狽えている様子が伺える。タイトが風魔法で煙を吹き飛ばして見えた景色。

 半径約15mの綺麗な円形に切り開かれた森の木々。その中心に刀を鞘に納刀した状態で目を瞑り、右足を前に出して重心を低く、抜刀の体勢で待ち構えるコバルト。と、その前方5m程度で、傷砂埃1つ着かずに佇んでいるコクウ。


コバルト「面白い」

コ「やってることえげつないねー。散々近づけさせて、範囲を誤認させてから本命の広範囲の乱撃。

性格ねじ曲がってんね」


ガィン!

 再び鳴り響く甲高い音。タイトにはコバルトが動いていないように見える程の素早い斬撃。


コ「首元狙ってくるとか、殺意マシマシじゃん」

コバルト「チッ、面倒なやつだ...とっとと死んでくれたらいいのに」


 憎まれ口をお互いに叩き合う2人。


タ(これ程の神技がありながら、こいつらは2位なのか、、、)


シ「くっ、魔法が範囲内に入った瞬間に切り刻まれる。

厄介だな...」


リ「おい、なんでコクウはあれ無事なんだ!?」

レ「リューソー!」


 コクウの謎の力に、呆気にとられているリューソーの横から近づいてくるハイドロの攻撃の手。

 リューソーが気づいた時には相手の射程範囲を優に入り込んでおり、逃げも防御も間に合わない。


リ(まずっ、!間に合わ)


 一撃を食らう覚悟で剣を握りしめたリューソーだったが、敵の攻撃が当たる直前に横から飛んできた巨大な氷の塊に当たった相手は吹き飛んで行った。


シ「リューソー、大丈夫?」

リ「お、おう!すまん!よそ見し/パァン、


 発砲音が聞こたと同時に、リューソーの右胸に何かが風穴を開けた。


リ「がはっ、、」


 口から血反吐を吐きながら、片膝を着くリューソー。肺に穴が空いたのか、空気に溺れるかのような勢いで肩で息をする。


タ「リューソー!」

パ「どこからだ!?」

シ「3人とも、周囲を警戒して!僕はリューソーを治す!」


 シキがリューソーの元へと駆け寄り、回復魔法をかけて傷を癒し始めた。


タ「今の、コクウのいる方角から飛んできたよな?」

パ「狙撃手がいんのか、」

レ「2人とも気をつけて、なにか来るよ」


 レインの声と共に、暗がりの木々の間から鋭く、速く伸びてくるか細いなにか。


レ(なに、これ?)


 レインは自分たちの方へと伸びてくるそれを、刀で切り捨てる。切り捨てたあとはまるでこと切れたかのように、ふわりと舞うように地面へと落ちる細長いなにか。


タ「うわっ、なんだこれ!?なんか、引っ張られて!」


 レインが横で騒ぐタイトを見ると、伸びてきたそれが右腕にグルグルに巻きついている。レインは仕方なくそれを断ち切ってリューソーを助けた。


タ「た、助かって、うお!」


 レインはタイトの腕に巻きついているそれを確かめるためにタイトの腕を掴んで引き寄せた。


レ「黒い、糸?」

タ「イト?」


 こんな暗がりでは、目を凝らしても補足することが困難な程にか細く、黒いただの糸。


パ「この暗闇で黒い糸?」

タ「コクウが言ってたね、糸で戦うってやつ」

レ「あいつら、暗闇で戦い慣れてる」

タ「森に火をつけて明るくする?」

シ「仮想空間だからね、それがいい。ここらに溜まりそうな煙は僕が吹き飛ばすから、みんなは戦闘に集中して」

パ「リューソーはもう大丈夫か?」

リ「あぁ、大丈夫だ。迷惑かけた分、こっから挽回するぜ!」


 周囲に火魔法を撒き散らして明るさを確保したタイト達。森の中、一度着けばそうそうは消えることのない炎の領域。


タ(魔法の気配!)


 タイト目掛けて円錐形の土魔法が飛んできた。タイトはそれを察知し、刀で弾き飛ばそうと左下から振り上げた。が、石魔法はタイトの刀に触れる寸前でいきなり予備動作なしに右下へと方向転換した。

 さらに方向転換を繰り返したそれは、タイトの顔へと照準を当てて進み始めた。刀が空振りに終わったタイトに防御する術もなく、もろに食らってしまう。


タ「イ゛ッ、!」

レ「タイト、!」

パ「大丈夫か?!」


 呻き声をあげてよろめくタイト。右目のすぐ上から血が垂れており、幸いなことに右目は無事のよう。しかし、痛みからタイトは右目を開けられないでいた。


タ「だ、大丈夫だ、!」


 タイトはすぐさま回復魔法で痛みを消し、右目がようやくかけることのできる程度まで回復させた。ところで、タイトが持っていた刀がカタカタと音を立てて揺れ始めた。


タ(!?)


 そして、次第に揺れは大きくなり、ついにはタイトごと引っ張られてしまった。


タ「う、うわぁぁぁ!」

ハ「ガアァァァァ!」


 引っ張られた先で待ち構えるは、獣化した四足歩行のハイドロ。野性的な大きな雄叫びを上げ、鋭い爪と牙、隆々とした筋肉、姿形が獣と化しているハイドロ。


レ(助けに、!


 タイトの方へと加勢に行こうと思ったレインだったが、視界の奥から近づいてくる敵の姿が見えたレインは、その場で立ち止まらざるを得なかった。



タ(止まらな、!刀、一旦離すか!)


 タイトは引っ張られる刀を手放して、近寄ってくるハイドロを迎え撃つ体勢に入った。

 手から離れた刀はハイドロの方へと引っ張られたかと思えば、途中で力なく地面におちた。


タ(刀が引っ張られたのは、こいつの神技っぽいな。てか、服も若干引っ張られてる感じ...磁石か?)


 タイトは両足を踏ん張り、引っ張られた勢いを止めつつ、相手の進路先で下からトゲが突き刺さるように地面に魔力を流した。


ハ「ッ!」


 ハイドロは突然地面から生えてきた棘を瞬間的に斜め方向へ飛んで回避した。


タ(うそん!避けんの!?)


 ハイドロは、勢いをそのままにタイトとの距離を詰める。タイトは両手を収納魔法に突っ込み、2つ掴んだが、


タ(...これはいいや。勝たなくていいらしいし、)


 タイトは右手の杖のみを取り出して、相手に向けて、火、氷、土の魔法を連続的に放った。

 相手は無数の魔法の中を、ジグザグに移動して止まることなく全て回避しながら近づいてきた。


タ(くっそ!エレナみたいなことしやがって!

獣みたいなとこもそっくりだ!!!)



 タイトがそんな、くだらないことを考えている間に相手はタイトに飛びかかってきた。


タ(無敵とかあんま好きじゃないけど、しゃーない!)


 タイトは全身に魔力を流し込み、電気魔法を発動。


ハ「チッ!」


 電気魔法を察知したハイドロは咄嗟に攻撃の手を止めて、後ろへと大きく飛びながらタイトに土魔法を放った。

 タイトは持っていた杖を逆手にして先端を握り、飛んできた土魔法を上から杖の柄の部分で叩き落とした。


 続けてハイドロの遥か後方から、5つの土魔法がタイト目掛けて飛んできた。


タ「きた、!プロ注並の変化球!」

タ(こういうのは変化前に叩き落とせばいいって!野球漫画で見た!)


 タイトは対抗するように、即座に土魔廊を生成し、相手の魔法にぶつけるように放った。が、タイトの魔法がぶつかる直前で相手の魔法の全てが軌道を変えて、タイトに襲いかかった。


タ(ここからでも入れる保険が!?)

パ「あるから電気魔法解いてくれや」


 音もなく隣に立っていたパルスに驚いた様子のタイト。パルスに言われた通りに電気魔法を解いてパルスの<瞬間移動>で回避した2人。


タ「いつからいたの?」

パ「今来たばっか。あっちの相手しようかと思ったけど、あっち面倒くさそうで逃げてきた。」

タ「面倒くさそう?」

パ「そう。なんか自分の攻撃の通り道?に当たり判定を残すとか、10本以上のクソ硬ぇ糸を自在に操るやつとか。」

タ「あーね」


パ「てかお前刀どした?」

タ「取られた」

パ「なんかお前、いっつも取られてんな。名前書いとけよ」

タ「面目ない。」


タ「あいつ、鉄?とかそういうのを引きつける、磁石的な能力だから、剣気をつけて」

パ「・・・私終わったくさい?」

タ「あたし終わってるくさいかも、」


 魔法も使えないパルスは、真剣にタイトを見つめたまま固まってしまった。


パ「よし!引っ張られ始めたら、こいつを投げつけるか!その後は拳で語りに行くぜ!」

タ「まぁ結局は筋肉だからな。筋肉だけがこの世に残る」


 作戦会議しつつ、出方を伺っている相手とにらめっこしていると、両者の目の前を何かが高速で通過して行った。と、思いきや更に高速で戻って行った。


3人「「・・・???」」


 視線が右へ左へと釘付けになったタイト達。


タ「ちょっと待て今のコクウじゃなかった?」

パ「すんごい速度で一般通過して行ったな」


タ「・・・。

一旦目の前の戦いに集中しよっか」

パ「そやな」


 相手もこちらの敵意を感じ取ったのか、ありったけの殺意の眼光を向けてくる。


パ「お、?お、おぉ??」


 パルスが気の抜けた声を出すのが聞こえてタイトが振り向くと、カタカタと剣が音を立てて震えているのが見えた。


パ「逆に!逆に好機だな!行くぜ!」

タ「え?お、おう!」


 パルスの合図で走り出した2人。パルスは走り出したと同時に<瞬間移動>を連続して2回発動した。

 ハイドロは野生の本能か何かで気づいたのか、背後に<瞬間移動>したそれを右手の爪で後ろに振り向きながら薙ぎ払った。


カン、


 質量の籠っていないような軽い音が鳴った。ハイドロが腕を薙ぎ払った先にはたしかにパルスの剣があった。ただ、そこにパルスは居なかった。

 パルスは相手の神技で引っ張られる剣のみを後ろに飛ばしていた。

 そして本人は今、敵の真横で拳を構えている。


パ「バカがよォ!」

ハ(初手から仕掛けてきた!)


 パルスは後ろに腕を回して無防備状態となっているハイドロの土手っ腹目掛けて、全てを込めて右手の拳を振り抜いた。


<インパクト>

 強烈な破裂音と共に、獣化したハイドロの巨体が冗談のような速度で木々をなぎ倒しながらぶっ飛ばされて行った。


パ「おぉー!これが噂に聞く<インパクト>かぁ〜

なんか気分いいなぁー!」


カカカン!


タ「なになに!?<インパクト>出た!?」

パ「お、!タイトー!魔法は何とかしてくれると思ってたぜ〜」


 タイトがパルス目掛けて飛んできていた魔法を氷魔法で作った剣で、方向転換する前に横から颯爽と叩き落とした。

 タイトは魔法なんかよりもパルスの<インパクト>の方が気になっているようで、いつもよりも語気がどことなく楽しそうな様子。


パ「出たァ〜!やっぱし、初手が1番油断してると思ってたからな〜」

パ「初めてできたわ!なんか、今ならなんでもできそうな気がする!」

タ「すげぇ!」

パ「止まりたくねぇから行くぜタイト!敵の居場所を教えろぉい!」


 イケイケどんどんのパルスにタイトが魔力探知で相手の居場所を探る。


タ「今パルスがぶっ飛ばした方向、約30mに2人!固まっておりやす!」

パ「いやっほーい!行ってくるぅ〜!」

タ「お供いたします」


 調子ノリスケになっている2人は自身の刀と剣を拾い、敵の居場所目掛けて走り出した。


 相手の2人を視認した時、既に相手の体勢が整っており、ハイドロはこちらにガンを飛ばし、もう一人の男マンガンは杖を向けていた。


タ「どっち相手する?」

パ「<瞬間移動>で神技をほぼ殺せるマンガン」

タ「りょー」


 パルスは<瞬間移動>でゆっくりと距離を取ろうと後退していたマンガンの背後に回って剣を振るった。

 ただ、マンガンも来るとわかっていたのか、即座に杖を<交換魔法>で剣へと切り替えて応戦。


 ハイドロはパルスに気づいてはいたものの、そのままタイトに向かって走り出した。




コ(ほんとにあいつの理創郷が厄介すぎる)


 コクウは今、コバルトの理創郷の中で止むことを知らない滝のような斬撃を全て受け止めながら攻撃を試みていた。


 コクウは<ベクトル操作>で力、方向を0にした空気の壁を全身に纏い、外部からの影響を全て遮断している。さらに、自身の体から約10cmの空気を自動で適用しているため、可動域が制限されることはない。

 言わば、重さを感じず、立ちしゃがみ、走り飛び跳ねを余計に体力を使わずに済み、また毒性の気体等も通すことのないまさに、理想の鎧そのものである。


 ただし、ベクトルを0にしたとしても、外部から加わる力は一瞬だけ受け付けてしまい、その衝撃はコクウ自身にまで及ぶ。


コ(どこから来るか分かればなー。何とか当たる前に止められるんだけど、見えないんだよな〜)


 周囲の土が、煙が、空気が記憶するまもなく、切り刻まれていく中をコクウは走り続ける。


 コバルトに近づけば近づくほど、加わる力の大きさは大きくなるようで、逆風のような斬撃を超えたとしても、0距離の斬撃には抵抗もできずに吹き飛ばされてしまう。


コ(ある程度までは近づけるけど、攻撃が当たんねぇー)


 魔法や空気の塊をぶつけようにも、完成する前に探知され切り刻まれる。理創郷の外から放ったとしても、範囲内に入れば全て塵と化す。


 ガッ、

 魔力と技力由来の弾丸のようなものがコクウの頭に向かって飛んでくるも、前の方にかざしていた右腕の手前で力を失う。


コ(しかも、コバルトの後ろで狙撃手が狙ってんだよなー。

当たんないけど)

コ(う〜ん...埒が明かないな〜)


 拳の届く距離まで近づいたところで、また吹っ飛ばされて仕切り直し。


コ(今回結構強かったなー)


 想定よりも攻撃が強く、理創郷の範囲外まで飛ばされるコクウ。


コ(いっそ本気出して消すか?)


コ(・・・勝たなくていいとか言ってたし、いいかぁ〜)


 コクウは飛び行く自身の力のベクトルを0にした。


ギッ!


 コクウが止まった場所はちょうどタイトとハイドロが戦っていたところのようで、2人の間に割って入って、しかも2人の中間で止まって、しかもハイドロの攻撃も止めているコクウ。


コ「ちょっ、なに?今忙しいからどっか行ってね」


 そう言うとコクウはハイドロに軽く触れて、そのまま神技でハイドロを遠くまで飛ばしてしまった。


タ「あ、どっか行っちゃった...」

コ「あ...タイトもしかして戦ってた?」

タ「そのもしかしてでございます」

コ「ごめーん!目障りだったからぶっ飛ばしちゃった!そこまで遠くまで飛ばしてないから割とすぐ帰ってくると思うよ!」


タ(コクウ、恐ろしい子...!)


 先程眉ひとつ動かすことなく真顔で人を吹き飛ばしていたコクウが、今では一転して笑顔で話している様子を見て、若干恐怖を覚えるタイト。


タ「どう?あいつ倒せそ?」

コ「近づけるには近づけるんだけど、攻撃できないんだよねー」

タ「・・・あいつの攻撃って、斬撃を飛ばす感じ?

それとも、あいつの刀がどうにかしてコクウまで届いてる感じ?」

コ「あー、どうだろ。・・・なんで?」

タ「いや、あいつらはこの街で2位なわけじゃん?

で、あいつの神技ほぼ無敵なのにイブリン達が1位なのはなんでかなー。とか考えてて」

タ「刀を届かせてるという神技だったから、イブリンが電気を纏うだけで勝てたのかなと、思っただけ」

タ「まぁ、あいつら防御系の神技2人居たから何とかなってる可能性もある」


コ(ローネの話の手前、本気出すつもりはなかったけど、タイトが試したそーにウキウキしてるかわいい)


 コクウはタイトの考えを聞いた後、速攻で話に乗ってきた。


コ「試してみる価値はありそうだね」

タ「でしょ?」

コ「私がまたあん中に入って近づくから、いい感じの距離になった時に電気魔法でなんかしてよ」

タ「帯電させた金属製の球投げとくね」

コ「そうだね、生身だったら普通に勢いで切られそうだもんね」


 コクウは改めて空気の鎧を纏い、タイトは帯電した金属に気づかれぬように、大量の魔法を生成して本命を偽装するよう試みる。

 と、そこでタイトの魔力探知にハイドロが引っかかったことにタイトが気づく。


タ「あっ、あいつもう帰ってきた」はえー

コ「何m?」

タ「だいたい50m」

コ「わかった!私すぐ行くから!もう魔法撃ってていいよ!!」

タ「えっ、もう?」

コ「うん!」


 タイトは戸惑いつつも、左手に電気魔法で金属製の球を所持し、右手で刀を構え、周囲にできる限りの魔法を生成すると同時に放ち始めた。


コ「だって、」


 タイトの諸々の準備が完了したことを確認してコクウは最後に一言。


コ「私の方が速いから」


 コクウは<ベクトル操作>を駆使して自身を加速させ、タイトの魔法を次々に追い抜いながらコバルトへ周囲に衝撃波を撒き散らしながら近づいた。


タ「はッッッッッや!」

タ(こっちが追いつかないとは!)


 タイトは急いで帯電させた金属を氷魔法に閉じ込めて他の魔法と共に放った。


 油断、即ち、死。

 それを体現されるような夥しい程の殺意と、脳みそが凍てつくように冷めるほどの緊張感の走るコバルトの理創郷をコクウはタイトの魔法とともに侵した。


 コクウはなんの抵抗もなく快速で走っていた体に重さを覚える。続けてタイトの魔法どもが理創郷に触れるがその瞬間に溶けてゆく。


コ(7秒後、タイトの魔法が止む。

敵が帰ってきたか。タイトは例のやつは放っただろう。なら、)

コ(勝負は最大で7秒。少なくて次の一瞬。)


コ(その瞬間まで、限界まで近づく!)


 コクウは斬撃をなるべく分散させるように、魔法を構成する魔力を辺りに散らせる。

 抵抗が誤差程度に軽くなったのを感じてコクウは更に速度をあげる。


 超速度で行われる攻防のさなかで刻一刻と時は進み続ける。コバルトが騙し騙しの魔法を全て切り伏せ、再びコクウとタイトの魔法のみに切り替える。その間にコクウはコバルトとの距離を5m程度まで歩を進めた。

 そして、ついぞその時は訪れた。


コバルト「あぐっ、!」


 タイトの読みが当たったのだろう。コバルトの動きが()()()()()()()()()()止まった。

 その姿を見て、コクウが猟奇的に笑む。罠にかかった獲物を見るかのような目で。


 コクウは速度をそのままにコバルトの懐へと踏み込み、まずは速攻で空気の壁を纏った拳を振り抜く。

 感電したコバルトは動くことはできずにコクウの一撃を腹へもろに受けた。

 また、コクウは抵抗できないと見るや否や、空気の壁を突き抜けてコバルトに直接殴り込んで強引に触れる。そして、<ベクトル操作>で過剰に吹き飛ばぬように調整しながらコバルトをぶっ飛ばした。


 振り抜いた拳の力の向きは、体を軸を中心に回るように右から左へと移る。


コ(ここまで振り切ったら無理に正面に向くより、さらに回転を乗せて速さに回す!)


 コクウはもう一段速度を上げて、滑るように相手に近づきながら体を回転させて正面を向く。その間に収納魔法から剣と短剣を、舞い上がった土を、周囲に存在する空気を、左腕で振りかざしながら<ベクトル操作>で亜音速に近い速度で放つ。


 コバルトは吹き飛ばされた勢いそのままに後方の木に背中からぶつかる。木が壊れるほどの威力速度はないが、身体への被害が最大限になるようにコクウに調整された力。


コバルト(いてぇ...やっぱあいつ性格悪ぃな)


 コバルトはよろめきながらもすぐに体勢を立て直すが、飛んでくる攻撃の数々を見て刀を鞘に収める手を止めて防御に入った。


 亜音速に近いそれらをコバルトは2つほど空気の弾丸を体に受けたがそれ以外の全てを受け流した。

 そして、最後の1つを切り伏せる時に、そのまま鞘へと納刀できる角度で切り伏せたことでコバルトが再び神技使用の体勢に入ろうとしていた。


コ(間に合わせる、!)


 コクウはコバルトが神技を使用する前に射程範囲内にコバルトを捉えた。そして、今度は左の拳を振り抜こうとしたその時、


パァンッ!


 コクウの視界に吹き出したような赤い液体が目の前に吹き出した。と同時に世界から立体感を失ったのをコクウは感じ取った。


コ(あっ...目を、)


 どんな攻撃も気体性の毒すらも通さぬ理想の鎧。

ただし、コクウ本人の事情により、1部は該当しない。


 コクウに襲いかかる吐き気を催す程の激痛。しかし、コクウはそれでも戦うことを止めようとは考えずにすぐ攻撃を再開しようと、拳を握り直す。


 だが、痛みにより一瞬、空気の鎧が綻んだ。その隙をコバルトは見逃さなかった。


コバルト「<居合>」


 コクウは鎧が瓦解しそうになっていることにすぐに気づき、再構築した。ただ、コバルトの方が速かった。

 いくつか防いだものの、コクウは胸に致命的な一撃を貰った。右肩から左の脇腹にかけて深く刻まれた溝がコクウに死を宣告した。


コ(せめて、、、女は持ってく!)


 先のやり取りでスズの居場所を探知したコクウは、右腕をスズの方へ伸ばして<ベクトル操作>を発動。


コバルト「させない」


 コバルトは抵抗させまいと、コクウが伸ばした右腕をこれでもかと言うほどに切り刻み、肩から先を血の塊へと変貌させた。


 コクウの目はまだ、スズを見ていた。


コ(馬鹿め!腕をかざすのは、その方が操作の想像がしやすいだけの補助的な役割に過ぎない!)

コ(たとえ四肢が切り落とされようとも、命あり、思考が続く限り!私の神技は止まらない!)


 コバルトは未だ諦める気配のないコクウに気づき、さらに神技を加速させる。


コバルト「スズ!逃げろ!」

コ「おぞ、い゛!!!」


コ(空気に潰されて、死ね!)


プチ、

 気の抜けるような破裂音が聞こえた。コクウが絶命したことを確認した後、コバルトがスズの方を振り向いたが、ほんの寸前まで居たはずのスズは既にそこには居なかった。

 代わりに、人1人分と思われる血の池だけが、その場に残っていた。


コバルト「ばけ、、もの」


 コバルトはまだ止まぬ喧騒を聞き、他の仲間の元へとその場を後にした。


コバルト「かなり時間を食ったが、あとは消化試合だ」


 コバルトがレイン、シキ、リューソーが戦っている場所へと辿り着いた。


コバルト(セレンとオガネ、数的不利で劣勢か。)


 コバルトは気配を消して接近し、仲間が範囲内には入らぬように場所を調整してから神技を発動した。


シ「ッ!2人とも!来た!」

リ「くっそ!まじか!」

レ(脱出は無理。なら、迎え撃つまで)


 シキが神技発動直前に気づいて2人に声を掛けるも、少し遅かった。リューソーは間一髪、理創郷を走って抜け出したがレインは間に合わず、正面から迎え撃つ構えに入った。


 レインはコバルトの斬撃を紙一重で受け流す。何度も、何度も何度も、いつ止むかもわからない斬撃をレインは耐え続ける。


レ(神技で視える、けど...)


 だが、神技で技を繰り出しているコバルトと違い、自力で刀を振るうレインには体力が奪われ続ける。呼吸すらままならない程の攻撃の量に周囲の警戒が疎かになるのも無理はない。警戒したとて対処は不可能だろう。


 レインの背中を2本の糸が貫通した。

 セレン(糸使い)はリューソーと戦っていたが、セレンはなんと、リューソーの攻撃を捌きながら余りある糸をレインへと伸ばしていた。


 レインの腕が止まったと同時にレインの体が八つ裂きにされた。


シ「邪魔をするなよ、!」


 シキは音もなくセレンの背後に回り、心臓に先端の尖った氷魔法を突き刺してセレンを仕留めた。


シ「リューソー!一旦逃げるよ!」

リ「あ、あぁ!」


 次の神技使用の為にコバルトが近づいてくる前に2人は散り散りに逃げ出した。

 が、そんなリューソーのゆく道を見えない何かが阻んだ。リューソーは胸を強く強打して、足を止めてしまった。


リ(当たり判定!いつの間にここに魔法を!)


 リューソーが再び走り出そうとするも、コバルトはすぐ側まで近づいていた。


リ「クソがよぉ!」

コバルト「<居合>」


 リューソーは持ち前の根性でコバルトの攻撃を数度防いだ。数度だけ。



 シキは残った1人を追いかけた。放った魔法の軌道に当たり判定を残す為、大きく避けなければ逃げ道を失うため、わざと最短ではなく回り込みながら距離を詰める。

 魔法を放ってもオガネは剣を横に倒して、剣の軌道として残る当たり判定で魔法を防ぐ。


 だから、シキはオガネの目の前で火魔法と水魔法がぶつかるように仕組み、水蒸気爆発を引き起こした。

 発生した水蒸気で視界を塞いだところで、シキはオガネの足元に魔力と技力を流し込み、神技を発動。


シ「<エクスプロージョン>!」


 オガネが逃げさせぬほどの大きさの魔法陣を作り出して引き起こした神技によって、オガネは爆殺。


 ただ、神技発動のために立ち止まったシキはコバルトの射程範囲内に立ち入っていた。


 シキは首を一撃で切り落とされた。


コバルト「あと、2人。」


 コバルトは機械的な動きで次の戦場へと走り出した。


 タイトとパルスの方へと辿り着いたコバルト。そこではタイトとパルスがマンガンに攻撃を仕掛けていた。


コバルト(ハイドロはやられたのか?だが、さほど時間は経っていないだろう。)


 コバルトは慣れた様子で2人の方へと近づいて、いつも通りに神技を発動した。

 その時、たまたまタイトがなんの前触れもなくコバルトの方を振り向いた。


タ「パルス!なんかきた!」

パ「うわ!あとは任した!」


 パルスはそう言うと、タイトを押し出すように触れて<瞬間移動>を発動してタイト範囲外へと逃がした。


タ(任されてもどうしようもないぜ)


 タイトは目の前でパルスが切り刻まれるのを薄目で見ながら、コバルトの神技が解除される瞬間に魔法を放つ準備をする。


コバルト「ハイドロは?」

マ「多分やられた」

コバルト「そうか。まぁいい」


 タイトは神技を解除した瞬間に魔法を放つも、その悉くを切り伏せられた。


タ(うん!遠距離魔法は無理!

あとは次の神技発動まで待機時間があることに賭ける!)


 タイトは刀を右手に距離を詰め始めた。腕に魔力を流し、刀に電気魔法を付与して。


コバルト「浅い」


 コバルトはそう言うと、近づいてきたタイトに向けて、待機時間など存在しない神技を発動。電気の及ばぬ右腕の肘の当たりを切り落とした。


タ「うがぁ!」


 タイトは悲痛な叫び声をあげながらも、必死に抵抗を試みた。魔法を限界まで作り出そうとした。が、完成する前に魔力の塊を切り刻まれ、魔法として構築できない。

 地面に魔力を流し、土の中から変形させた土の砲弾を放つも、それすらも切り捨てられた。


 続けて左腕に魔力を込めようとするも、その前に腕を落とされた。一手一手、追い詰めるように、見せつけるように、わざとゆっくり切り刻んでくるコバルト。


タ(俺こいつになんかした??)


 タイトがそんなことを思うほどに執拗で粘着質な攻撃。


コバルト「無様だな」


 突如、今まで不貞腐れたような表情だったコバルトが鼻で笑うように言い放った。


タ「・・・見せしめか?お前らの勝ちだから、やるならとっととやってくれや」

コバルト「ふっ、そりゃそうだとも」


 コバルトはどこか満足そうに言うと、タイトに最後の攻撃を繰り出した。


タ(試合には負ける。だが...お前との勝負には、引き分けだ!)


 タイトは首を切られた。タイトは機械音を立てながら徐々に消えていく。タイト達全滅により、放送が流れ始めた。


天の声「<魔王倒し隊>全めt/


 コバルトの視界が急にズレた。世界の上下が反転する。コバルトの首が飛んだ。


 タイトは最初に切り落とされた右腕に、魔力の供給が切れた際に発動する設定を取り付けて、切り落とされたあとも魔力を送り続けた。

 さらに、最後の挑発の言葉の時、足から地面へ魔力を流して切り落とされた右腕の付近へ魔力を貯めていた。右腕と同様の設定を取り付けて。


 地面を隆起させる土魔法により、右腕を横方向への回転。そして右腕には風魔法を込めていたことにより、薙ぎ払いのように放たれる風の刃。


 タイト死亡により、魔力の供給を失ったそれらは、コバルトが完全に勝ったと油断した瞬間に作動。

 コバルト、決着の合図の前に死亡。


天の声「・・・<魔王倒し隊>全滅、マンガンのみ生存により、勝者・・・<凱旋>」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

          *タイト視点*

〜もしかして、現実?!〜


タ「みんな急げ急げ!早く協会から逃げるぞ!」

リ「やっぱお前さいこーだわ!」

パ「実質私がえむぶいぴー」

リ「お前は誰だよ」

コ「あいつ最後の絶望の表情で1週間はご飯食べれそう!」

レ「フフッ、

タイト、絶対怒ってるよ」

タ「ですよねー」

シ「気持ちがいいくらい、スカッとしたよ!」


 仮想空間から帰ってきた俺は絶対に、間違いなく、逆にそれ以外がありえないくらいに怒っているであろうコバルト達から逃げる準備を急いで整えていた。


 そして蹴り破る勢いで仮想空間の扉を開けて協会へと戻る。

 協会の中はまた、ザワザワザワザワと喧しいくらいはやし立てていた。


 それらの一切を無視してローネを大声で呼び出す。


タ「ローネ!早く逃げるよ!」

ロ「こっちは準備万端」

コ「さすが!」


 ローネとも早々に合流し、出口へと急ぐ。


ロ「いやぁ〜!わかってはいたが、やっぱりお前面白いわ!」

タ「褒め言葉として受け取っておくよ!」


 出口までもうあと5m!


イ「いい戦いが見れたぜ」


 急ぐ足の中、出口付近の席に座るイブリンの姿を視界の端で捉えた。


バタッ!


(来たーーーー!)


 殺気を意識せずともビンビンに感知する程にキレ散らかしてる様子。見なくてもわかる。


(てか、神技使おうとしてね?)


ガンッ!

 おそらく、コバルトの斬撃と思しき攻撃が、突如俺らの周りに現れた半透明ななにかに遮られた。


ギ「よぉ!大丈夫かお前ら!」

リ「ギガ!」

コ「ちょー助かった!」

フ「間一髪間に合って良かった」


 <下克上>だ!雰囲気的にこっちの肩を持ってくれそう。仲間がいるなら話が変わってくる。

 俺は意気揚々とコバルトの方を振り向いた。


 いやぁー。まじで超切れてるね。顔を真っ赤にして怒りで体が震えてる。目が血走りすぎて、千葉に網走って感じ。俺しか見てないし。


(こぇぇぇぇぇ!)


コバルト「おいてめぇ!負け犬のくせに!馬鹿にしやがって!」

コバルト「いい気になるなよ雑魚が!お前なんかが1回まぐれで勝っただけで調子づきやがって!」


(何に怒ってんだこいつ)


コバルト「認めねぇぞ!お前らが<下克上>に勝ったのは!人数有利と、お前らの情報が何も無かったからだ!」


 まくし立てるように怒りを吐き捨ててくるコバルト。


(えー、、、こいつ、俺たちがイブリン達に勝ったのが気に入らなかっただけかよ。えー、きっしょ。えー、承認欲求お化けじゃん〇ねー)


イ「コバルトー、どーしたよ?一旦落ち着けー」

ス「子供みたいなこと言ってるの、自覚してる?」

フ「そもそも、タイト達に勝負をふっかけたのは、うちのバカアホゴミマヌケ鼻うどん隊長だから」

イ「よーし、お前の名前は今日からフレネミーだ。

名前もフから始まるしちょうどいい。」


 この街1位が仲間で居てくれるのは非常に心強い。余裕の度合いが違う!こいつらの中では、この間でもふざけれる程の出来事らしい。


イ「あのなー、相手の能力を知らない方が普通なの、忘れちゃダメだぜー?」

ギ「俺たちはこの街に慣れすぎてしまった」

イ「通常は、任務で知らねぇ奴と戦わなくちゃいけないのが私たちの仕事だ」


イ「その点でいくとお前らは今回、お前らの情報がほぼなかったこいつらにギリギリの勝負をしている」

ス「ほぼ負け。」


イ「新参者イビリとか。そんなダサいことすんな。この街で2位なんだろ?それなら2位らしく、ドシッと構えとけよ」


 イブリンたちの説得により、コバルトは冷静さを取り戻しているような気がする。段々と怒りだっていた表情がただの悔しそうな表情に変わっていった。


タ「ごめん、ほんとに助かった」

イ「いーのいーの!実質私が巻き込んだみたいなとこあるし?」

フ「本当にすまない。」

シ「ううん、謝らないで。みんなは悪くないよ。」

ギ「そう言ってもらえると助かる」


 律儀な奴らだ。一部を除いて。


イ「あ、あと!私たち今日でこの街出ていくから。

よろしく!」


 イブリンのその宣言に協会中が、先程俺たちが出てきたことよりもはるかに騒ぎ始める。


イ「ほんじゃーな。この街出ていくまで大変かもしれんが、あとは頑張ってくれ!」

タ「庇ってくれただけでも御の字だよ」

イ「そうか?なら良かった!」


イ「お前ら、ボサっとしてたら私たちが先に魔王倒すからな!余裕ぶっこくなよ?」

タ「言ってろよ」

イ「てなわけで、じゃーなーお前らー!」


 そう言うと、イブリンは元気よく協会を後にした。それに続くようにフレーバー達も出ていく。


ロ「ほら、さっさと出ていくぞ。タイト」

タ「おう」


 最後にコバルトの方を振り向いて見てみると、めちゃくちゃにこっちを睨んでた。あれ、俺達のこと絶対許してない。


(あんまり協会には来ないようにしよ)


タ「はあぁぁぁ、」


 外に出ることで、ようやく緊張の糸が解けて、詰まっていた空気が抜けていく。


ロ「いやぁ〜、大変だったなー!」

タ「ほんとだよ」

コ「雪山任務の準備は、ちょっと休憩してからにしよう」

リ「さんせー」


 やはりみんなも気疲れがあるのだろう。俺たちは一旦宿に戻って、13時頃から再び活動を再開した。

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