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今、生きているあなたへ  作者: ひびき
雷鳴の如く
91/92

第86話 初顔合わせの日

/639年11月5日/

AM10:00


 タイト達はこの3日間で雪山へ入るのに必要となりそうな物資を大体買い揃えた。防寒具に食料に回復系の薬、また泊まりがけになる為、寝る時用の毛布、寝巻き等々、、、。

 

 今日は今回の任務で同行する他の部隊との初顔合わせの日。タイトは緊張しているのか、少し表情が固くなっている。


タ「あ〜...いい人達だといいな〜、」

シ「そうだね〜、そこばっかりは運だからね〜」

パ「舐めたやつが来たら暴力で解決や」

コ「最悪の任務になりそう」


 協会にたどり着いたタイト達は、一度深呼吸してから扉を開けて協会へ入った。


 中はいつもと変わらず人で溢れかえっており、パッと見では誰が一緒に任務を受ける人なのか分からない。


リ「うむ!わからんな!」

レ「人、多すぎ」

タ「とりあえず集合する卓は決められてたから、そこに向かって歩こう。」


 タイトは事前に決められた集合場所へ行くようみんなを誘導する。蛇行しながら1つの卓を通り過ぎようとした時、その卓にいた1人の男が、座ったままタイト達を見ることなく語り始めた。


男1「魔王討伐を目標とする、果てなき夢を持つ少年少女らよ、」


 謎の語りかけにタイト達は思わず足を止めた。声の方へと目をやると、1つの卓を囲むように鍛えたとは言えないような体型の3人の男。卓に両肘を着き、顔の目の前で指を組んだ状態で一切動かずにいた。


リ「なんだこいつ」

パ「よく見たらおんなじようなやつが2人もいる。この机暑苦しい上に空気がやかましい」

男1「その切れ味、美しさ、やはり『戦場に咲く薔薇』のようだ」

パ「・・・あ?」

レ「何...?この人、」

男2「そう言う君は、『薄氷の踊り子』」

レ「本当に意味が分からない」

タ「いきなり怖すぎる。雰囲気といい、」


 こちらの質問には一切答えずに、タイト達の方を一度も見ることなくしゃべり続けるそれに、タイト達はドン引きの様子。


男1「おぉ...!君は『神に愛されし変態』では/タ「指の関節増やすぞ」

コ「タイトはきっと、そういう運命なんだよ。」

タ「なんで、俺はどこにいっても『変態』が付きまとうんだよ」

リ「逆にガチの変態になるのはどう?」

タ「その提案をなんでそんな真面目な顔で言い切れるの?しばくよ?」

シ「リューソーはいいけど、他人にはダメだからね。落ち着いて」

リ「俺にもダメだよ?」

男2「はっ!君は、、、!」

コ「・・・わ、私?」


 今から自分の異名発表されることに、少しばかり嬉しそうな期待の表情を浮かべるコクウ。


男2「『紙一重のバカ』」

コ「・・・」


 コクウの方をしっかりと確認して、異名を言い放った男。コクウはそれが自分の異名であるということに拒否反応を起こして、脳の処理が固まってしまった。


リ「天才にはなれなかったか、」

コ「〇す」

リ「俺の方見るのやめてね」


 さらに、


男1「残りは『アホ』と『マヌケ』だな」

シ「途中で飽きてるじゃん」

リ「言葉の引き出しが足らなかったんだな。最初から考えるなよボケカスナス煮込むぞ」


男3「僕は」


 そこで、今まで黙秘を貫いていた最後の一人が、タイト達の方を見て口を開いた。


男3「僕は潔癖症でね、

バカ、アホ、マヌケが許せない。見ると死にたくなる」チーン...


 と言いながら、卓に倒れ伏せて死んだふりを始めた。


コ「本気で1発平手打ちしてきてもいい?」

シ「1発だけだよ〜?」

リ「おらの分も頼む」


 片手間みたいな感覚で変な2つ名を付けられたタイト達。コクウが1人一撃ずつかましてきたところでその後はすぐに合流地点へと向かった。


 約束の場所には、今回同行するであろう人物達が既に集まっていた。


タ「今回一緒に『鉱石採取』をする方々ですか?」

男1「あぁ、それじゃ君たちが今回の仲間か。思ったより多いな、、」

タ「もしかして遅刻?」

男1「いや、時間には間に合っている。とりあえず座ってくれ」


 やや素っ気ない態度で話す紅紫色の髪をした男。顔つきから真面目そうというか細そうな感じ。愛想は良くない。


男A「お!もしかして、今話題の勇者ジャーン!」

女A「えー!まじ激アツなんですけどー!」

男1「とりあえず、全員揃った事だし自己紹介から始めるとしようか」

タ「そうだな」


 タイト達も席に座り、自己紹介が始まった。


男1「じゃあまずは、俺から。」

男1「俺はアカツメ。20歳。部隊名『木陰』の隊長。使う武器は剣。神技は発動中に周囲50mに何者かが侵入した時に感知できる能力。よろしく。」


 淡々と自己紹介を行うアカツメ。紅紫色の髪を後ろに流した髪型。身長はさほど高くは無いが、所々から見える地肌から鍛えているのだろうということが伺える。

 次にアカツメの右隣に座っていた男が口を開いた。


男2「アカツメと同じ部隊所属、ラタンナだ。20歳。武器は大剣。神技は相手の標的を俺に向けさせる能力だ。ただ、格上すぎる相手には通用しない。

よろしくな!」


 不要な情報は言わないが、アカツメよりも感情の乗った口調。装備の上からでもわかるほどの隆々とした体つきが武器に説得感を与えてくる。短く切られた黄色の短髪。身長は2mはあるだろう。


女1「次は私ね、!」


 また更に隣の女性が笑いかけながら話し始めた。


女1「横の筋肉だるまと同じく「木陰」所属。ツバキだよ、!年齢は聞くな!武器は魔法を主に使うけど、近づいてきたやつには得意の柔術で投げ飛ばします。

神技は、今回の任務では1番役に立つんじゃないかな?<道標>って言って、自分の通ってきた道がわかる能力だよ。よろしくね、!」

タ(すごいな、自負が)


 ほか2人とは比べて朗らかに、でも冷静沈着に自己紹介をする。アイドル気質の高嶺の花みたいな?下ろした赤い髪は背中に達するまで伸びている。身長は女性の平均的な高さで体型も冒険者らしい細身の体。


男A「じゃあじゃあ!次は俺たちだな!」


 アカツメの左隣に座っていた男が話し始めた。


男A「俺ん名前はルナピス!年は23。部隊名『軌跡』の隊長だ!武器は剣で、神技は相手の動きを数秒間、止められる能力だ!対象は1体?1人?限定だが、相手が動けない間に俺は動くことができる!よろしくな!」


 気分よく自己紹介をするルナピス。濃いめの紫色の髪の前髪を七三で左右に流している。逸般人よりも鍛えてはいるが、そこまで鍛えている様子はない。神技が神技だからかもしれない。


女A「ルピナスと同じ部隊所属のホーツキでーす。魔法を主に使いまーす!神技はー、細長い系のものを伸ばしたり縮めたりできる能力だよ。よろしくねー」

レ(その神技で魔法、なんだ、)


 肩程まで伸びた白い髪をクリンクリンと巻いてるところが特徴的な女性。天真爛漫というべきか常に楽しそうな雰囲気。身体能力には自信が無いのか、魔法を主としているらしい。


女B「私の名前はデルフィ二ー。所属は右に同じくー。私も魔法を使うよぉ。神技は、機会とかなんか色々分解できる能力なんだってぇ。あんまし使えなぁーい!よろしくぅ」


 腰の辺りまで、一切の絡まりなく艶やかに伸びた青い髪。天然と言うべきか、おっとりとした話し方で、髪の一部を指先でくるくる巻いて弄りながら話していた。目線もほとんどがどっか向いてて、タイト達の方を見ていない腹立つ。


タ「後は俺たちだね」

ル「よっ!待ってました!」

ラ「なんでそんな盛り上がってんだ?」

ル「そりゃ、こいつらが魔王討伐を目指してる勇者だからよ!」

ア「勇者...」

タ(なんかそうまで持ち上げられると恥ずいな。)


 アカツメも勇者に対してそこまで悪い印象では無さそう。タイトが1つ咳払いをしてから口を開いた。


タ「俺はタイト。17歳。このろくー、7人の隊長です。えー、主に近距離、魔法も使えます。神技はありません。よろしくお願いします」

ア「無能か...」


 聞こえるか聞こえないかの大きさで呟いたアカツメ。アカツメは這うような疑いの視線をタイトに向ける。


タ(どうせなら堂々と聞こえる声で言って欲しい!)


 タイトはしっかり聞こえてた。多少悲しむタイトだったが、隣にいたので聞こえていたのか、


ル「でもでも、こいつ足から魔法使えんだぜ!4日前の『下克上』との決闘見てないの?!凄かったんだぜ!てか勝ってたぜ!」

ラ「その日は任務だったから見てないな。

ほぉ、1位に勝利したのか、!」

ア「人が2人多いからな。」

ル「いやあそこのフード被ったやつは参加してないから1人だけだぞ!」

ロ「どーも居候です」

ル「てか、こいつはあのイブリンに一対一で勝ってんだぜ!」

ア「・・・それなら、」


 アカツメはみなまで言わずに途中で言うのをやめた。先程の視線はもうない。


レ「レイ。同じく近距離と魔法両方使える。神技は透視。よろしく」

ツ「吹雪の時とか、先が見えるのはいいね」


 同じ女性ということもあり、ツバキには好評の様子。


パ「パルスだ。主に剣を使うぜ!神技は<瞬間移動>。距離は周囲30mくらい。魔法はほんのちょっとしか使えない!よろしくな!」

デ「よろぉー、」


リ「リューソーだ!18歳!剣しか使えない!魔法は一切使うつもりは無いぞ!神技は分からんけど体力が同のだと思うから、体力には自信あるぜ!よろしく頼むぜ!」

ラ「おう!よろしくな!」

ア「・・・」


 アカツメが何か言いたそうな顔しているが、ラタンナがそれを遮るように声を上げてくれた。


シ「シキ、17歳。主に魔法を扱います。神技は爆発系統で、規模はこちらで調節可能です。よろしくお願いします」

コ「コクウです。ピチピチの16歳!主に弓矢を使います。私たちは2人とも近距離の心得もあります。神技はー、色んなものを動かすことができるよー。よろしくねー!」


 続けて紹介を済ませるコクウ。アカツメには喋らせないという、意志を感じる。


・・・


 2つの部隊の視線がローネに向いたまま、沈黙の時間が流れた。


ロ「・・・私待ちか?」

ル「そうだが!?」

ロ「あー、、居候のローネだ。剣も魔法も行けるぞー。神技は反射神経がめっちゃいいみたいなやつ。よろ」


 気怠げに応えるローネ。これでこの場にいる全員の紹介が終わった。


受付「失礼します。」

タ(ッ!)


 いつの間にか隣に立っていた受付に過剰なほどに驚くタイト。


受付「各々紹介を終えたところで、今回の任務の概要、注意点を改めてお伝えします。」


 そう言うと、受付の方は淡々と説明を始めた。


受付「今回、『鉱石採取』に言ってもらう場所は、ここより南東に位置する山となります。山の麓までは馬車で送迎可能です。対象の鉱物は頂上付近でしか取れず、標高もかなり高いため戻ってくるには数日かかるかと思われます。」

受付「死災『絶零』の影響により激しく気温が下がる可能性があります。場合によっては夏でも山頂付近では雪が積もっている時があります。」


受付「2ヶ月程前に絶零の領域が少し抑えられましたが、再び領域を拡張する可能性がありますのでご注意ください」

受付「今はまだ11月ですが、標高もあって朝晩は非常に冷え込むことが予想されます。また、絶零の影響によっては丸1日停滞せざるを得ない場合も御座います。食料、防寒対策を十分に準備してください。」


受付「もしも、不足の事態が重なり、全滅の危機に瀕した際には、こちらの発信機を押してください。」

受付「救難信号をこちらで受け取り、発信機目掛けて救助隊を送り込みます。ただ、救助隊を出動させた場合、報酬の一部を差し引かせていただきますのでご了承ください。」


タ(気をつけないとなー)


受付「ここにいる皆さんは、おそらくお互いのことを深くは知らないと思います。しかし、目標を同じにする仲間ですので、窮地の際にはお互いに助け合うことを深く、お願い申し上げます。」


 受付人は深く頭を下げた。ただの受付人がそこまでするのかと思うほどに。


受付「長くなりましたが、説明、注意点は以上です。それでは、ご武運を」


 説明を終えると受付人は目の前から過ぎ去って行った。


ア「出発はいつにする?」

ル「明後日でいいと思うぞ」

ア「準備は十分か?」

ル「こっちは今にでも行けるぜ」

タ「今日と明日があるなら完璧に準備できる」

ア「わかった。明後日、南門に10時30分集合で。」

ル「わかったー」

タ「了解」


 それだけ言うと、アカツメ達はそれ以上は何も言わず、さっさと立ち上がって協会から出ていってしまった。ただ、最後にツバキだけが振り返って手を振ってくれた。


ル「それじゃ、俺達ももう行くわ。

期待してんぜ、勇者さんよ。」


 ルピナス達も立ち上がって協会を後にした。


タ「思ったより早く終わったね」

シ「そう?こんなもんじゃない?普通は顔合わせすらないんだから」

コ「私たちも最初は任務開始直前だったじゃん」

タ「言われてみれば確かに」


パ「てか、ツメアカ?だっけ?めっちゃ態度悪かったなー」コ「アカツメね、」

シ「うーん、あれは態度が悪いと言うより、命を預けるに足るか精査してたんだと思う。」


シ「仮にも数日間を一蓮托生で行動することになるんだし、疑ってかかるのは仕方ないよ」

レ「ずっとみてたけど、悪い感じはしなかった」

リ「他の街行っても、結構ああいうやつ居るぞ」

パ「そういうもんなんか」


 タイト達も席を立ち上がり、協会を出ようと扉へ向かっていたところ、目の前に6人の男女が立ち塞がってきた。


タ(ハッ!危険を察知!)


 急に出てきたもんでタイトは緊急停止する。それに後ろのレイがタイトに激突。レイにコクウ、コクウにシキリューソーパルス。ローネはギリ立ち止まった。


タ「わだ、!」

タ(このまま走って脇を抜けて!)


 後ろの体重を受けて前のめりになったのを利用して、そのまま駆け出したタイト。

 そんなタイトの目の前に真冬の川よりも冷たい金属の塊が上から振り下ろされ、首元に刀の峰を当てられた。


タ「ッ!」

シ「タイト!」


カチャッ、

 レイは既に体勢を低くし、刀を左半身で隠すように構えている。


タ「レイ!落ち着いて!峰、だから!」


レ「・・・あなたが再び振り下ろすよりも、私があなたの首を掻っ切る方が速い」

?「掻っ切ることができたらな、」


「なんだ?喧嘩か?」

「あいつ、2位の」

「なにやってんだぁ?」


 ここで、周囲の人間がタイト達のいざこざに気がついてざわめき始めた。


リ「おい!お前!こんなところで何しようとしてんだよ!」

?「何も?強いて言うなら、この者がどさくさに紛れて、脇から逃げようとしたのを止めたくらいだが?」

タ(ばれてらぁ)

パ「うちの隊長がそんなこすい真似、する訳ないだろ!」

タ(痛い!首元に当てられてる刀よりも!)


 どうやら相手にはお見通しらしい。


受付「あなたたち!何をしているんですか!?」


 協会の職員にも気づかれた。そりゃそうだ。出入口付近でにらめっこしてるのだから。


 受付の方から武装した男の職員が複数人出てくるのが見えた。


コ「いい加減、その刀を下ろしたら?」

シ「何も言わずに突然、どういうつもり?」

?「そうだな、まだ用件を伝えてなかったな」


 男は刀をゆっくりと下ろし、タイトを解放した。刀を下ろしたことで、受付人も足を止めて、タイト達の動向を監視するようにその場から動かずにいた。

 男は一度呼吸してから答えた。


?「勇者ども、俺たちと戦いやがれ」

シ「・・・何のために?」

?「証明のため」

コ「話が見えない。相手にするだけ無駄。」


 煮え切らない返答を繰り返す相手に嫌気がさしたコクウが、先陣切って横を通り抜けようと歩き出した。


?「おい、」


 男がその声を発すると同時に、コクウの後頭部の跳ねていた髪がはらりと切り落とされた。


コ「・・・」

?「勘違いすんなよ?お前たちは既に、俺の理創郷の範囲内だぞ?」


 理創郷。どんな能力か分からないタイト達には何が起こるのか、想像もつかず対処法も分からない。故に動けない。


 そして、周囲の人間も時が止まったように、一切動かなくなっていた。

 歩いていたものは歩みを止め、口元に食べ物を運んでいたものは空中で静止、野次を飛ばしていたものも今では一言も話すことも、身振り手振りをすることをやめていた。


リ「お前、いいかげ/シ「図に乗るのも大概にしろよ?こちらが下手に出ていればいい気になりやがって」


 シキが、相手に魔力を込めた手の平を向けていた。シキの言葉には初めて聞く程の怒気と余裕のなさが滲んでいた。


?「あまり動かない方がいいぞ?主導権はこちらにある」

シ「理創郷を解け」

?「こちらの勝負を受けるならな」

レ「あなた、さっきからなんなの?」

パ「曖昧な返事ばっかしやがって。察してちゃんかよ気持ちわりぃ」

?「受けないなら、この女の腕を切り落とす」

タ「待って、話を


スパッ、


 タイトが相手を宥めようと話しかけ、相手の意識がタイトに向いた。その瞬間、男の上部とコクウの目の前に刀が振られた。


シ「ッ、」


コトっ、

 音のした方をタイトが確認すると、コクウの足元に半分になった氷魔法の残骸が落ちていた。おそらく、反撃しようとしたところを察知されたのだろう。


 だが、シキとレイはコクウが攻撃されたと判断した。シキは魔力のこもった手で相手の懐へと走り出そうとし、レイは刀に再び力を込めていた。


ロ「タイト!」

タ「はいっ!」


 戦闘が勃発しそうな空気を破るように、ローネが大声でタイトの名を読んだ。タイトはそれに条件反射で返事をした。



ロ「勝負を受けろ」

タ「・・・」


 あまりタイト達の方針には口を出さないローネが、タイトに命令をした。ローネのえも言えぬ態度にタイトは深くは聞かずに、頷いた。


タ「わかった。勝負を受けよう」

?「それでいい」


 男はそう言うと理創郷を解除し、仲間を連れて仮想空間の方へと入って行った。


?「逃げようとは考えるなよ?」

パ「逃げるかよ!」


 相手の素性も分からぬままに勝負を引き受けてしまったタイト達。


タ「何が目的なんだ?」

シ「分からない。でも、そんなことはどうでもいい」


 シキの目が据わっている。普段の冷静さを欠いているようだ。


コ「めんどくさいけど、やるしかないね」

レ「髪、大丈夫?」

コ「...うん!ほんのちょびっとだから!ありがとね!」


リ「こういうのは乗り気になれねーなー」

パ「お前でもそういうのはあんだな」

リ「失礼なヤツめ」


レ「タイト、行こう?」

タ「うん、今行く。」


タ(相手の刀の振る速度。神技だろうが、能力の概要はなんだ?ただ速く振るうだけか?)

タ(てか、負けたらめんどくさいが10乗は付きそうな嫌な予感がする〜。まじで嫌だぁ、勝てんのかぁ〜?)


 タイトが相手の神技について考察し、あれやこれや考えていると、


ロ「タイト、」

タ「……!」


ロ「大丈夫だ」


 ローネが後ろから慰めてきた。タイトはローネを振り向いて返事をしようとしたが、タイトが返事をする前に、とある一言を付け加えた。


ロ「勝たなくて、大丈夫だ」


 勝たなくて大丈夫。負ければ明らかに何か不利益を被るであろう、この空気の中で。


 勝たなくていい。


タ「それってどういう/ロ「ほら、みんな待ってんぞ」


 タイトが聞き返す間もなく、ローネが準備をするよう急かしてきてきた。これ以上は聞くなということだろう。

 それを察したタイトは悶々とながらも仮想空間へと駆け足で向かった。


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