第81話 青天の霹靂
/639年10月31日/
PM16:30
前の街を旅立って6日間。2名爆発で吹き飛ばされたことを除き、無事に次なる街〈ネバギバ〉にたどり着いたタイト達。
タ「今回は本当に何も無く着いたねー」
コ「うんうん!良かった良かった!」
リ「おぉー!やっぱここは冒険者多いなぁー!」
シ「さすが、決闘が盛んな街だね」
レ「そうなの?」
シ「うん!ここはね、冒険者同士の決闘での勝敗によって、点数が増減する制度を導入していてね、2ヶ月に1回集計を取って、1位の部隊には豪華商品が貰えるんだって、!」
コ「その豪華商品には、魔道具があったりなかったりするらしい!」
パ「1位をタコ殴りにして、逆転1位…!
豪華商品は私らのモンだ!!!」
シ「意気込んでるところ申し訳ないが、制度的に不可能でございます」
パ「なぁんだ、」
感情の起伏の激しいやつだ。でも、まだ戦うことを諦めた訳ではなさそう。瞳の奥に闘争心が宿ってやがる。いや、隠そうとはしているが、シキやコクウですら、静かに燃えるようなやる気に満ちているように見える。
タイトはそんなの関係ねぇと言った、いつも通り通常運転のご様子。
タ「とりあえず、宿取って任務を受けよう」
レ「3日、寝泊まりできると思うけど、心許ない」
コ「そうだね、やるなら後ろめたさを無くした3日後だね!」
リ「待ってろよ、上位勢!」
シ「その座から引きずり下ろしてやる」
パ「おめぇらの席、ねぇから!」
タ「・・・この街において、決闘禁止にする?」
ロ「その方が良さげだぞ。」
レ「なにかしでかす前に、」
タイト達の話をろくに聞かずに、冒険者協会の方しか見ていない4人。内緒話にも気づかないでいた。
さて、まずはタイトの言う通り宿探しを始めた一行。探す途中、タイト達は街の冒険者から冷ややかな目で見られていることに気づいた。
何やらコソコソ話している様子なので、聞き耳を立ててみると、
「うわっ、来やがったぜ、勇者(笑)」
「なんだあいつら、全員弱っちそうだな、ほんとに魔王倒す気あんのか?笑」
タ(うわっ、久しぶりに言われた気がする。まだ居たんだ。そんなこと言うヤツら。)
シ(やっぱり、この街にも居るよねー)
コ(前の街でも言われてたけど、タイトは気づいていないっぽいんだよねー)
レ(〇そうかな?)
リ(落ち着け!)パ(早まるな!)ロ(一旦深呼吸だ)
レ「当然のように、頭の中に入ってこないで」
1度気になってしまったら、もう気にしないことなんてできない。タイト達はその周りの声を耳に入れながら、街を探索する。
タ「この街、武器とか防具とかの店が多いね」
コ「決闘が盛んな街だからね〜」
シ「冒険者が集まる関係上、そういう店も多くなってるんだよね」
リ「後でてきとーに入って見ようぜ!特に欲しいもんとかは無いけど!」
パ「それいいな!私靴欲しいかも!」
ロ「まだまだ使えそーだぞ?」
パ「よく見ろ、ここめっちゃ汚い!さすがにもー履けないだろ」
そう言って、リューソーとローネが覗き見るも、パルスが靴を指さした先には、数センチの泥のようなシミしか見当たらなかった。
リ「どこだ?」
パ「ほら、この泥のシミ。めっちゃ汚ねーだろ」
ロ「・・・洗えよ。これくらい」
パ「え、?洗う?ローネが?」
ありえないと言った表情でローネを見つめるパルス。ローネが語気に怒りを含ませた声で言い返す。
ロ「洗うのはてめぇだよ、たこすけ
この程度で履けないとかほざくな」
パ「靴とか洗ったことない」
リ「今までどうしてたんだよ」
パ「???買えば良くない?」
キョトンとした顔で、まるで当然かのように言うパルス。
リ「この金食い虫が!!!」
ロ「てめぇに捨てられた、これまでの道具が可哀想だ!」
リ「金が持ったいねーだろが!」
ロ「お前なんか使い捨てで十分だ!」
パ「なんだとコノヤロー!」
リ「靴の底が穴あくまで履きやがれ!」
ロ「それはさすがに使いすぎだ。旅に支障がでる」
リ「おう、急にそっち側に立つなよ」
タ「ちょっとうるさい!周りから見られてるでしょーが!」
ついに堪忍袋の緒が切れたタイトが声で3人を制圧した。
レ「うるさすぎ」
コ「周りを見てよ。めっちゃ見られてる、」
シ「モノは大切にしようね」
歩くこと数分。全員が泊まれそうな宿を発見し、お金を支払ったタイト達は残りの時間をどうするか話し合っていた。
タ「どうする?もう夕方だし明日の任務の目星だけ付けとく?」
コ「それならもう受注した方がいいよ。ここの街、冒険者の数の割には任務ちょー少ないから」
レ「だから決闘が栄えたんだね」
シ「ご飯にするにしても、まだ早いね」
リ「じゃあ、そこら辺ぶらぶら見て回ろうぜ」
タ「そうだね、そうしようか」
そこら辺を見て回ることに決めたタイト達。特にこれといった欲しいものは無い為、ほぼ観光のようなものになっていた。
パ「色んな武器あったな〜」
リ「たまにほんとに武器か怪しいヤツあったけどな」
シ「ハリセンはもはや宴会用だよね、」
タ「この街でなにか有名なご飯とかあるかな?」
レ「チーズの焼ける匂いがする、」
コ「犬か」
タ「チーズか…いいね!今日の晩ごはぁぁ、、!
しばらく見て回り、そろそろ夜ご飯にしようかと話していたところ、突然タイトの手を後ろから掴まれた。リ「今、めっちゃ変な声出てたな、笑」パ「はあぁ!だってよ笑」ロ「声が大きすぎて聞こえるぞ笑」
?「あの!もしかして、!『ノール』さん、ですか?」
タイト達が振り返ると、タイトの手を引いて離さない黄色髪の少女がいた。年齢はタイト達と同じくらいに思える。
走って追いかけてきたのか、ストンと肩に触れる程真っ直ぐに下ろした髪を上下に揺らし、体全体で呼吸をしている。
深い紅色の瞳をキラキラと輝かせながら、タイトを見つめる少女。
タ「あ…えと、、」
レ「し、知り合い?」
タ「全然初めまして」
タ「俺の名前はタイト・ゼラニウム。その、『ノール』ていう人ではないかな、?」
?「・・・ほんとだ。よく見たら、『ノール』さんがこんな弱っちそうな訳ないか。なよなよしてそうだし、びっくりしただけで死にそう」
タ「少しは言葉を選び給えこのやろう」
何だこの、薮をつついてきた癖に顔を出したら勝手にガッカリしてきて、失礼な言葉を連発してくるガキは。
?「イブリン!ちょっとー勝手に走ってかないでよ!私たち捕まえらんないんだから!追いつくのも大変なんだよ!?」
イ「あははー、すまんすまん。てっきり、命の恩人かと思って追いかけたけど、ただ格好とか全体の色合いが似てただけだったわ。こんなに細くないしね、」
タ「こいつ、失礼なこと言わないと死ぬ呪いでもかかってんのか?」
ほんとに失礼しちゃう!あ、後ろから仲間らしき人達が4人駆け足で近づいてきた。
?「すみません、うちの馬鹿な隊長がご迷惑おかけしました」
イ「おい?一言余計だぞ?」
?「大丈夫だよ」
?「間違っちゃいねぇからなぁ」
イ「私隊長ぞ?」
?「ならば、それらしい振る舞いを見せて欲しいな」
タイト達そっちのけでギャーギャー騒ぎ出した、謎の集団。格好を見る限り、おそらく冒険者だろう。あほそう、
コ「・・・帰っていい?」
?「あぁ!ごめんごめん忘れてた」
シ「絡まれたのに忘れられたとは」
?「私たちは冒険者やってて、部隊の名前は『下克上』!この街だったら一度は見たことあるし、聞いたこともあるでしょ?!」
タ「この街自体初めましてです。」
レ「右に同じく」
シ「ほぼ滞在せずに、」コ「左に同じく!」
リ「気づいたら素通りしてた」
パ「わすれた」
イ「なんだ、新参者か
ならば教えてあげるが世の情け!」
フ「僕たちはこの街を拠点に冒険者、まぁ決闘を主にやっている。部隊階級は3等星。僕の名前はフレーバー・ガーベラ。この隊の副隊長、これの介助係です。個人階級は4等星。どうぞお見知り置きを」
礼儀の正しそうな青年が初対面の挨拶をし始めた。薄い黄緑色の瞳の下まで伸びた薄い橙色の髪。視力が悪いのか、眼鏡をかけており、服装からして知的に見える。性格も大人しい感じ。
ス「私はスターリー・ユリ。個人階級3等星。よろしく」
イブリンに最初に駆けつけてきた女の子。藍色の髪を低い位置で結び、三つ編みで下ろした髪を腰の辺りまで伸びている。真面目でしっかりしてそうな印象を受ける。
ホ「私はホロー・アルストロメリア、!個人階級は、えーっと、5ー!よろしくね、!」
こちらも眼鏡をかけた少女。身長はタイトよりも10cm程低い。肩の少し上まで伸びた、ゆるふわな髪には黒の中に所々緑が混じっている。柔らかい口調に心地よい元気さが特徴的な優しそうな少女。瞳の色は赤と橙色を混ぜたような夕日のような色。
ギ「俺はギガ・ノコンギクだ!階級は4だな!よろしく頼む!」
めちゃくちゃ恰幅のいい大柄な男。体格どおりのデケェ声。逆に被った帽子から少し見える髪の色は黒。薄い紫色の瞳。
イ「最後に私だな!私はイブリン・ヤマモモ!階級は3だ!この隊の隊長だ!よろしくなー!」
タイトと同じくらいの身長の元気な少女。非常に好戦的な目をしていらっしゃる。
タ「えと、じゃあ、次はこちら側の紹介」
割愛♡
イ「隊長が一番階級低いんだな?」
タ「人の強さは数字だけじゃないんです。偉い人にはそれがわからんのです」
ス「そっちの子は?仲間じゃないの?」
シ「まぁ、なんか戦わないけど、旅に着いてくる奴」
ロ「やつ、?」
イ「まぁ、此処で会ったが百年目」
リ「なんか恨まれることしたっけ?」
フ「アホだから真面目に聞かなくていいよ。」
イ「せっかくこの街に来たんだ。勇者一行の実力とやら、戦って確認してみたい!」
タ(嫌な予感が!)
イ「というわけで明日、一緒に決闘でもしねぇか?」
タ(あ、まずい、)
決闘、という言葉を聞いた途端に、目を輝かせだす4人がいる。
パ「まぁ?私たちがしたい訳じゃ?無いけど?」
リ「いやぁー、向こうがどうしてもしたいって言うのなら仕方ないよな〜?」
シ「楽しみだな〜」
コ「ぐちゃぐちゃにしてあげる!」
必要最低限の決闘でこの街とおさらばするタイトの予定は崩れ去った!
タ「はァァァ〜…」
ロ「まぁいいじゃねぇか。強くなるには人と戦うのが一番手っ取り早いぞ?」
レ「数字なんて所詮飾り」
タ「いやまぁ別にいいけどさ」
明日の午前中に冒険者協会に集合、そのまま決闘という約束を取り付けてその日は解散!
タイトはその後、夜ご飯を食べに行き、宿に帰宅。明日も気合い入れなくてはならないため、タイトは渾身の紙飛行機を投げ飛ばして、その日は早めに就寝したそうな。
/639年11月1日/
約束通り、タイト達は冒険者協会へとたどり着いた。中に入ると、まだ朝早いと言うのに、多くの人が中に居た。話し声に聞き耳を立てると、どうやら目的はタイト達の決闘らしい。
中にはいつも通りの心無い声も混じってはいるが、それを無に返すような驚きの情報が飛び込んできた。
「新参者と今期現在1位を独走している、『下克上』だろ?そんなん勝敗まで秒読みだろ」
「お前はどっちに賭ける?」
「そりゃもちろん『下克上』」
「俺逆張りアイスタワーするわ」
「お前1文無し確定だな」
タ(おわた。1位とか無理無理無理無理)
コ「相手今期1位だってよ」
シ「ふーん、燃えてきたねぇ。」
リ「やったるぞぉぉぉ!」
パ「ふぉー!」
タ「なんでぇ?!」
逆に燃え上がる戦闘要員4人。
レ「タイト、大丈夫?」
タ「もう、腹括って行きますよぉ!」
タイトの心配をする5人目。
ロ「タイトー。きんちょーするだろうが、がんばれー」
タ「それなりに頑張りますよぉー」
ロ「タイト」
タ「ん?」
ロ「そんなに悲嘆するな。冷静に相手を分析しろ。さすればお前には手数がある。秘密兵器もな。
それらを駆使すれば、勝てる」
真面目な雰囲気で、まるで知っているかのような口調。見透かされているような感覚に陥る。
ロ「たぶん」
一気に不安なってきた。やる気を徐々に出していたタイトのやる気が少し削がれた!
イ「おー、お前らやる気だなー!いいねぇいいねぇ!最高だぜぇー!」
パ「おいおいー!1位さんよぉー、黙って約束を取り付けるとか、なかなかの性格してんねぇ」
フ「聞かれてませんしね、」
リ「お前いい性格してんな、最高だぜ!」
さぁ、『下克上』とも合流を果たし、渋々仮想空間へと突入
がんばれタイト!負けるなタイト!お前ならやれるぞタイト!
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*視点 戦闘時*
戦場:お馴染み森の中
天候:晴れ
時間帯:昼間
仮想空間へとやってきたタイト達。入った後、打ち合わせをする間もなく、戦闘開始の合図が鳴り響いた。
コ「あら、今回めっちゃ早いね」
タ「ちょっと打ち合わせを/リ「行くぜ〜!!!」
パ「1位の玉座から引きずり下ろしてやる!」
タイトの言葉に聞く耳を持つことなく、開始とほぼ同時に走り出した2人。
タ「あっ、ちょっと!」
シ「行っちゃった…」
レ「今日の晩ご飯抜きにしよう。
そして余った分は私のに、」
コ「ただ食べたいだけでしょ、!」
シ「僕たちは今回、後ろのちょっとした高台から援護しようかな?」
タ「わかった!」
コ「レイン、敵が固まった時にこれを何個か飛ばすから、電気魔法流してみて!」
コクウはそう言って、先が鋭い金属の棒を見せてきた。
レ「わ、わかった」
シ「じゃ、近距離は任せたよ。ちなみに僕たちの位置を探知されてるから、気をつけてね」
コ「2人もう接敵してるから、早めにね〜!」
レ「」
シキとコクウの2人も定位置に着こうと、タイト達とは別々になって歩き出した。タイトとレインはリューソーとパルスが走って行った方へと小走りで追いかけ始めた。
全速力で敵の方へと走り続けるリューソー。
リ(もうそろそろ接敵してもおかしくねぇはずなのに…誰もいねぇな。タイト達も来てねぇし。パルスはちょい後ろに居るな、)
罠魔法を設置している気配も、敵の害意もなく、不気味な程に静かな森の中。
リ(って…油断してると痛い目を見んだよな〜)
そう思うリューソーに案の定と言うべきか、突然、何も無かったはずの目の前から魔法が一瞬にして浮き出てきて、リューソーの方へと放たれた。
リ「ッ!」
リューソーはそれを特段取り乱すことなく、左の腰から右手1本で逆袈裟のように切り上げた。
パ「おい!馬鹿野郎!!」
ザシュッ!
リューソーのすぐ左から鳴る、何かを切り開く音。そして、左の肘から先の感覚が無くなったことに気づくリューソー。
赤い何かを撒き散らしながら、落ちていくのが自分の左腕だと認識するのに少しの時間を要したリューソー。そして理解した瞬間、眠っていた痛覚が呼び覚まされたように脳に伝えてきた。
リ「があぁ!」
突然切り落とされた左腕。音的に、何かによって切り落とされたことを辛うじて理解したリューソーは振り向いて左腕付近の空を斬り始めた。
だが、手応えは無い。
ザンッ!
そうこうしているうちに、今度は右側から右足の太ももの側面に何かを突き刺さる。
パ「一旦引くぞ!」
<瞬間移動>でリューソーの横へと飛び、その場が見える位置に一時撤退する2人。
ダアァンッ!
パルスが移動した後、ほんの2秒後、巨体の男が大斧を上空から振り下ろしてした。まるで爆弾のような地響きに思わず耳を塞ぐ2人。
今の攻撃で地面に大きなヒビが入った。
ス「あ〜、逃げられたね〜
まとめて倒せたら、だいぶ大きかったのにね」
ギ「まぁ、そう上手くはいかんよな」
ホ「いやぁ、透明だったのに的確に攻撃してくるからヒヤッとしちゃった」
どこからか歩いてやってきたスターリーと、何も無い空間から突如浮き出てきたホロー。ホローの右手には血の付着した短刀が握られていた。
パ(こりゃきちぃかもな、)
フ「隊長たるもの、常に戦況を俯瞰して見て、判断しなくてはいけないんだ」
イ「いいって〜、私、それしなくても今まで勝ててたんだし〜。だから戦いにいかせてよー!」
フ「ダメだ。今まではそうでも、これからはそうとも限らない。いつも言ってるけど、君には協調性が/
イ「良いんだって〜、それよりもみんなどんな感じ?」
フ「・・・はァァ〜、」
フレーバーの言葉をフル無視で、自分の知りたい情報だけしか聞く耳を持たないイブリン。
フレーバーはそんなイブリンに大きなため息をつきながら、諦めたように答える。
フ「ホローが敵2人と接敵。あの突っ込み方からして、あの特に元気だった2人だろうね」
イ「あぁ〜、あの赤と黄色の2人ね」
フ「周囲にスターリーとギガも居る」
イ「他の奴らは?」
フ「他は少し作戦会議した後に、2人は奥の方へと移動中。2人はこちらへと小走りで向かってる」
イ「ふーん…」
その返答を聞き、やや不満気なイブリン。そして、ゆっくりと呼吸を整えて、一言。
イ「こんな状況で作戦会議?2人は接敵をし始めているというのに?そして2人は後方支援?」
フ「・・・おいちょっと待て、さっきの僕の話聞いてたか?」
バチバチッ!
突如、イブリンの全身に電気が勢いよく走る。
フ「あぁぁぁ…
・・・行くつもりだな、お前」
イ「戦いは、遊びじゃねぇんだぜ」
フ「・・・もういいや。勝手にしてくれ…」
ついぞ説得を諦めてしまったフレーバー。
フ「その代わり、勝たないと示しがつかないことを忘れるなよ?」
イ「わかってんよ!」
イ「ごっこ遊びも芝居も要らねぇ!
正面からのガチンコ勝負こそが!戦いだ!」
バリィッ!!
負ける気の一切を感じさせない、強くはっきりとした物言いで息巻いた後、イブリンはフレーバーを置いて、光となって走り去って行った。
先に行ってしまった2人となるべく早めに合流しようと走るタイトとレイン。
レ「タイト、私はどう動けばいい?」
タ「そーだね〜…」
タイトはほんの少しだけ考えて、レインに答えた。
タ「レイは、レイの好きなように動いていいよ!」
レ「・・・え?、」
タ「レイは俺があーだこーだ言うよりも、レイの好きなように動いてくれた方が良さそうだからね!」
レ「いいの…?」
タ「もちろん!俺もなるべく援護するから、自由にやって!」
自由に縛られずに戦ってもいいと言われているのに、どこか不安そうな態度を示すレイン。
やがて、その思いは募りに募り、走る足を止めてしまうレイン。レインが立ち止まったことに気づいてタイトも立ち止まってレインの方を振り返る。
タ「どうしたの?レイ、」
レ「・・・どうして?」
レインがぽつりと、喉につっかえた何かを吐き出すように言い出した。
レ「どうして…そんなに私を信頼してくれるの?」
悲しそうな、苦しそうな表情でタイトに向かって聞くレイン。何か思い悩んでいるのかもしれない。真意は定かではない。
それに対して、タイトはあっさりと答えた。
タ「そりゃレイだからだよ」
レ「・・・?」
タ「なんでだろうね?レイなら何とかしてくれるってなんとなーく思うんだよね!
小さい頃の記憶があるからかな?レイもエレナも凄く強かったのがね!なんかね!」
理屈ではなく、感情論でタイトははっきりとレインに告げる。
タ「それに、他の誰よりも長い時間をレイと過ごしてるからね。他の誰よりも、レイのことを知っている自信がある」
タ「だからレイも、俺のことを信じて欲しいな」
タイトはこの返答が正解であるかはわかっていない。ただ、確かにあったレインの不安や苦悶の表情は無くなったように思える。
レ「タイト、」
タ「あぁ、来てるね、!誰かが、すごい速さで!」
2人がそれに気づいて構えた刹那、1つの光が2人の目の前へとやってきた。ゆっくりと時間が流れる。それは、やや斜め上から2人を見下す。
木々の間を高速でジグザグに抜ける光の残像は、天から下る雷そのものであった。
バリバリバリッ!
それを視界に捉えてから、音が遅れて聞こえる。
そして、その雷の主が怒気を纏った声で口を開いた。
イ「ぬりぃぜ、
温すぎて…気が触れそうだ!」
突如として降りかかるその様は、まさに『青天の霹靂』




