第78話 或る夏の日の
先に言っておきますが、過去回想の際の会話は、基本的に[]←このカギ括弧を使って表現していきたいと思います。
今回は過去について語るシーンのためこればっかり使いますが、普段の時でも使用した場合は、過去に言ってたことを思い出してる的な感じでよろしくお願いします!
それでは、行ってらっしゃい!
/639年10月29日/
日が落ちる時間が早くなるにつれて、寂しさが増していく
PM17:30
シ「こいつは内部が熱を受けると萎む体質だから、傷つけた箇所を火で炙って弱らせて!」
リ「傷つけた!誰かあとは頼んだ!」
レ「貸1ね」
リ「こりゃ参った」
パ「なら自分で出すことだな」
リ「んー…。それはむり!」
パルスの助言というか、嫌味をキッパリと真正面から断るリューソー。
タイト達は明日には街に到着出来るところまで進み、野宿をしようと立ち止まったところで、突然変異だぜぇ、みたいな超特大のナメクジみたいな魔獣に襲われてしまった。
幸い、1体だけだったのと、ナメクジらしく動きがクソほど遅かったので特に苦戦もせずに、最後にシキが<エクスプロージョン>で吹き飛ばして、日常へと戻った。
PM19:00
食事が済んだ後、パルスはリューソーに向けて、真剣な表情で話しかけた。
パ「お前さぁ、ほんとになんで使わないの?魔法」
リ「まぁ、それが唯一の自尊心ですから」
パルスの問いに、リューソーはあっさりと答えた。さらに続けてパルスは、確かめるかのように質問を重ねた。
パ「自尊心、ねぇ…。
・・・なんか理由でもあんのか?そうまでして、使わない理由。」
リ「・・・」
リューソーは息を吸って吐いたあとに、1度空を見上げた。5秒にも満たない時間だったが、とてつもなく長い間、リューソーが空を見ていたような気がした。
ゆっくりと視線を下ろし、みんなの表情を見たリューソー。
いつもバカばっかやってるくせに、何時になく真剣な表情のパルス。
何考えてるかわからないようで、実はわかりやすいレイ。
包み込むような、朗らかな雰囲気で優しく笑うシキ。
ずっと待ってたと言わんばかりに楽しそうな表情のコクウ。
興味無さそうだが、聞き耳だけはたてているローネ。
またしても、何も理解が追いついて無さそうにキョロキョロと周りを見渡すタイト。
リ「そうだな、お前らになら…言ってもいいかもな」
そんな仲間を見てリューソーは、少しだけ笑いながらまっすぐにみんなを見た。
リ「まだ村にいた頃、俺んちの隣の家に同い年の女の子が居たんだ」
そう言って、リューソーは笑顔を崩すことなく、自身の身の上話を始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
*リューソー視点*
/628年9月2日/
AM9:30
リ(7歳)[行ってきまーす!!]
リ父[昼飯ん時は一旦帰って〜〜
いつも通りに、親父の言葉を最後まで聞くことなく、家を飛び出した俺は真っ先に待ち合わせの場所に向かって走って行った。
全身に浴びる程の蝉の鳴く声が響いてくるのを余所に、その子は既に待ち合わせ場所にいた。その子は俺に気がつくと、笑顔で手を振って、
?[リュー!おはよー!今日もいい天気だねー!]
リ[おはよー!メアリー!]
メ(8歳)[魔法使う?]
リ[いいの!?]
メ[いいよー]
リ[じゃあ、俺もメアリーに風を送ってあげよう!]
メ[魔法も使わずに?]
リ[ふっふっふ、俺にはこれがある!]
収納魔法から取り出すは、何の変哲もないただのうちわ。それをメアリーに向けて仰ぐと、
メ[・・・。
全然涼しくないね!]
リ[あちゃー]
両手から氷と風の混合魔法を出して涼しい風を出している女の子の名前は、メアリー・ブルースター。
俺と同じ種族とは思えないくらい、綺麗な赤に、サラッサラの髪。胸の辺りまで伸びていて、夕焼けみたいな橙色の瞳に、なぜかいつも和服を着ていた。
そのことを聞くといつも、
メ[キャラ付け!]
リ[そっかー、キャラ付けかー]
て答えてた。
リ「妙に似合ってるのが、不思議でたまらなかったぜ、、これもあの子の魔法なのかな?」
パ「戻ってくんな、早く過去回想を進めろ」
リ「しょ、しょんなぁ」
俺の村、他にも歳近いやつはいたけど、学校でも会うし、ちょっと遠いからいつも2人で遊んでたんだ。
家が近いことと、歳が近いこともあって家族ぐるみで仲が良かった。
メアリーはとにかく魔法の扱いが超上手くて、8歳にして大人顔負けの実力があったんよなー。
まぁ、なんかその代わりにというかなんというか。運動能力が壊滅的に悪かった。
走れば、すげに転んで20m走っただけで肩で息してたし、物を振ればふにゃふにゃで逆に振られてたし、物を投げれば地面に突き刺してたぜ。
・・・俺?俺はあれだ。小さい頃に読んだ絵本で
リ[剣かっけぇー!]
てなって、その時からずっと剣しか触ったことない。魔法が主流の村だけど、子どもの可愛い夢程度にしか考えられてなくて、周りの大人からもそういう時期だと思われてたんだと思う。
だから、魔法が得意なメアリーと剣の俺で、よく対決したりしてた。
メ[あははー!がんばってー!]
リ[うぉぉぉぉぉお!!]
四方八方から魔法を笑いながら放ってくるメアリーと、それを命懸けで防ぐ避ける弾く俺。
多分、傍から見るといじめの現場にしか見えなかったと思う。
メアリーの神技は<巻き戻し>って言って、触れたものの時間を最大30秒巻き戻す能力だった。ちなみに巻き戻した秒数分、能力が使えなくなる仕様。
直前の力の大きさ、向きは、戻したあとに継続して再生することもできるし、完全に消失することもできるらしい。
それのせいあって、ほんとに強かった。予め触れていた氷を着弾直前に1秒だけ戻して、ド〇べース級の変化球みたいなのやってた。
正直、楽しかった。何も考えずにただ、2人でやりたいように遊んで、戦って。一緒にご飯食べたり、寝たりしてた。
あと、メアリーは星が好きで、夜の野原に寝そべって、暗闇に浮かぶ星を眺めたりしてた。
メ[星って寿命があって、寿命が尽きるその瞬間に爆発するんだって]
リ[そうなんだ。なんか、悲しい最後だな。爆発オチなんて]
メ[そう?私は、命尽きるその時まで、『自分はここにいるんだ』って輝き続けるなんて、かっこいいと思うなー]
リ[そう言われると、、、そうかも?]
メ[それに、星の光がここに届くまで、何年も何十年も、下手したらそれ以上かかってる星もあるらしいよ]
リ[すげぇ遠くにあるってのは、聞いたことある]
メ[もしかしたら将来、この夜空一面が星の光で覆い尽くされる時が来るのかも?その時には今見えてる星は既に無くなっているのかもしれないし、星座とかも減ってるのかも、]
リ[こいぬ座を思いついた奴がいるんだ。人類の未来は明るいぞ]
メ[フフッ、確かに、!それは言えてる!]
メ[でも、なんだかそういうの考えるのって楽しいよね!あーあ、八十八の星座を一度に見ることができたらなぁ〜]
メアリーは本当に星が好きな女の子だった。それに影響されて、俺も眠れない夜には星を見るのが習慣になってた。
毎日毎日、メアリーと一緒に過ごしていた。気づけばいつも隣にメアリーが居たし、俺もメアリーの隣に居た。
この時とかはまだ、村の大人も優しくて、剣を少しかじった大人とかに剣を遊び程度に教えて貰ったりしてた。
まぁでも、みんな最終的には魔法を使い始めてて、俺もそのうちは使うんだろうなとは思ってた。
・・・あの時までは。
俺の村は何故か、頻繁に魔獣が襲ってくる村だった。他の街とか村では年に1回あるかないかなのに、本当に異常な程に魔獣が村に出没してた。
魔獣自体、犬型とか鳥型とかで被害的にはそんな大したやつではないんだけど、たまにえげつないくらいの魔獣が襲ってくることもあった。
だから俺の村では、村の中で最も魔法の扱いに長けた人を、種族の王として、『守護者』に選定していた。
そして、『守護者』は、魔獣が襲ってきた時にたった一人で魔獣の退治に出向き、村を守っていた。
リ「正直、当時の俺は、絵本の中の勇者のような、英雄のような、体を張ってみんなを守る『守護者』に憧れてた。なんなら、いつかはなりたいと思っていたんだよな〜」
/630年8月/
その年の夏。魔獣の襲撃で『守護者』が死んだ。相打ちだった。
守護者が、村の英雄が、人が、死んだというのに、村のみんなは悲しいと言うよりも、『守護者』が居なくなったことをしきりに気にして、不安がっていた。
すぐに『守護者』選定のための戦いが行われた。
選定のためには、人の推薦を受けた者同士が、一対一で戦って、勝ち進んでいく形式。
推薦されるのは大抵が魔法の扱いに長けた者で、俺みたいな魔法をそもそも使わないような人や才能がない人は戦う舞台にすら上がれない。
なので基本、大人の誰かが選ばれてその中から勝ち抜いた1人が次の『守護者』となるのがしきたりだった。
その結果、選ばれることになったのは、当時9歳の、メアリーだった。
[おめでとう!]
[さすがだなー]
[これから村が襲われた時は頼んだよ!]
村の人々はメアリーにお祝いの言葉と、激励の言葉を投げかけていた。
俺はメアリーに近づいて声をかけた。
リ(8歳)[ほんとにメアリーは凄いな。9歳にして『守護者』になるなんて。まさに天才だな]
メ(9歳)[何それ〜!そんなに褒めないでよ〜]
べしべしと背中を叩きながら、めちゃくちゃ嬉しそうなメアリー。
当時の俺は、メアリーが羨ましかった。本気で凄いと、かっこいいと思った。俺と同い年で、『守護者』になるなんて。俺ももっと頑張ろうと思った。
民衆の影に、絶望したような、悲しそうな表情のメアリーのお父さんが、今にも泣き出しそうなメアリーのお母さんの顔が見えた。
それが何故なのか分からなかった。
その戦いが、茶番だとは知らずに。
/631年/
メアリーが『守護者』になってから、メアリーは目を見張る程の速度で強くなっていった。罠魔法なんかも覚えて、俺では全く勝負にならないほどに強くなってた。
その事を言うと、メアリーはいつも
メ(10歳)[実戦経験が違いますから!]
と、ドヤ顔で答えてきた。昔から変わらずの自信家で、襲撃の時の戦闘も自分の成長を喜ぶようにいつも語ってきていたメアリー。
リ(10歳)[いいなぁ…]
リ[そだ!俺も今度一緒に戦ってもいい?そしたらさ!俺もそういう経験かなんかで、なんやかんやで強くなれる気がする!]
メ[ ]
メ[ダメだよ〜!リューが来たら絶対に相手に突っ込むし、あいつら本気でこっちに攻撃してきて危ないんだから〜]
この時、メアリーが一瞬、希う様な表情で何かを伝えようとしたように思えた。
リ[そっか〜、ダメか〜。
てか、それってメアリーは怖くねーの?本気で攻撃してくるんだろ?]
メ[・・・怖く、ないよ。私は『守護者』、だから。]
メ[私が、みんなを、リューを守るから]
メアリーが『守護者』になってから1年くらいしたある日、いつもの場所にいるとメアリーがいきなり、髪を短髪にしてやってきた。両手には白い手袋をはめて、目には涙を拭ったあとが残っていた。
何かあったと一目でわかる、そんな状況で、いつも通りの笑顔で、嬉しそうな表情で、楽しそうな声で言ってきたんだ。
メ[リュー!おはよー!今日もいい天気だね!]
堪らず俺はどうしたのか聞いてみると、これまた笑って答えるんだ。
メ[そういう気分だっただけー!どう?似合う?それともやっぱり長い方が好み?前にも言ってたもんねー!]
リ[そ、そんなこと、ない。いいと思う。]
メ[でしょー!私もこの髪型気に入ってるんだー!やっぱり戦うには短い方が何かと〜
嘘だ。
メアリーは昔から、自分の髪を大事にしていて、手入れを欠かすことはなかった。気分なんてありえない。
一度、見慣れた髪にして来た時、俺が何気なく褒めただけで、その日1日中、飛ぶように喜んでいた。それくらい髪を大切にしているんだ。
つらつらと何かが溢れてこないよう、上から蓋をするかのように言葉を垂れ流すメアリー。
他のことを聞いても、
メ[この手袋?最近お料理始めてね、それで怪我しちゃってあんまり見せたくないだけー]
メ[玉ねぎが沁みちゃってねぇ〜。ほんとに痛いんだよー?]
嘘だ。嘘だ。
その程度の傷なんて、メアリーにかかれば片手間程もかからずに治せるはずだ。前にも言ってた、玉ねぎを水で覆ってしまえば沁みることは無いって。
言ってたんだ。
何度聴いても結局、確信的なところは答えて貰えなかった。
ただ、襲撃でこうなったということだけは間違いない。その事だけは言われなくても理解していた。
リ[何かあったらいつでも頼ってくれよ?友達だろ?]
メ[…うん。ありがとう!
でも、大丈夫!今は…まだ…]
/632年/
この頃になると、メアリーは襲撃以外の日を家で過ごすことが多くなっていた。
いつも一人で戦っているのだ。きっと疲れるのだろう。
俺は強くなるために、依然として剣で特訓をしていた。早く強くなりたかった。いつかメアリーの隣に立って戦えるようになるために。
剣で特訓をしていると何度か大人に、[リューソー君はまだ、魔法は使わないの?]と聞かれることがあったが、その度に、
[今はまだ使わない!剣と魔法、どっちも使えるようになりたいから、魔法はもう少ししてから!]
と答えていた。
メアリーがあまり出てこなくなってから、同い年の男の友達とかと一緒に連むようになって、メアリーの時みたいに戦ったり遊んだりしてた。
余談だが、メアリーのせいか知らんが、同い年の男子の魔法程度では、全然相手にならなくて、遠距離から戦闘を始めても俺が勝つことが多かった。
スパイル(11歳)[この近接厨が、!こっちは3人がかりだぞ!空気読めよ!花持たせるくらいの思いやりはないのか?!]
リ(10歳)[へへっ、雑魚共がなんか言ってらー]
ス[〇す!絶対に魔法で〇す!]
メ[みんなおはよー!今日もやってますな〜!]
それでも、メアリーはこうして男どもで遊んでいるところに、稀に顔を出すことががあった。
ス[メ、メアリー!お、お、おはよう!]
メ[うん、おはよー]
リ[おはよー、今日は大丈夫なのか?]
メ[うん、大丈夫!今日もいい天気だね!]
あれから、メアリーは髪を伸ばさず、肩にかかればまた短髪にする、を繰り返していた。
メ[スパイルー、リューはねー、馬鹿みたいに突っ込んでくるから罠魔法が効果的だよー
仕掛けとけば勝手に掛かって自滅するから見てて面白いんだー!]
ス[ほ、ほんとか!?]
リ[おい、余計なこと教えんな。あと馬鹿って言ったな〜]
メ[冗談冗談。・・・1割くらい]
リ[おい!]
メ[あっははー!]
メ[あ、それとスパイル。もし種族覚醒したらこれが1番強いよ]
《夜明け》
種族覚醒を発動したメアリーがゆっくりと右手を伸ばし、瞬時に5つの魔法を作り出した。
ス[!!こ、これは!?]
メ[これはね〜、自分の魔力をあえて、外に出しておいて、必要な時に瞬時にその場所に作り出せるようになる的なやつだよー]
メ[最初は保つのが結構難しいけど、慣れたら寝てる時でもこの状態を維持できるようになれるよー]
リ[メアリーのこれは中遠近、全距離対応だからな。ほんとに恐ろしい女だぜ]
メ[さらに!私は今、これを村を覆い尽くすほどに広げているので、村の外2キロまでは私の独擅場だよ!]
ス[覚醒したら!や、やってみる!]
リ(こいつ、わかりやす)
そんな感じで、俺は毎日剣を振って日々を送っていたんだ。この頃の俺は、剣のみの打ち合いなら、村の大人に勝てる程の実力があった。
で、誰も教えられる人が居なくなったと感じていて、そろそろ魔法も使おうかなとか考えてたんだ。
/632年8月13日/
AM5:00
ドン、!
なにかの爆発音が聞こえた俺は、早朝にも関わらず目が覚めた。方角的に村のすぐ近くの森の中であることに気づいた俺は、メアリーを驚かせてやろう的な考えで外に飛び出した。
その日は真夏ということもあり、早朝でも少し歩けば汗をかいてしまう程の暑さだった。
送られてくる風は体に染み付くような熱を運び、日光は体を焦げ尽くすかのような光の棘。
全方位から聞こえてくる蝉時雨の中を歩くこと数分。その合唱の中から1人の泣き声が聞こえてきた。
?[・・・んぐっ、…お願い…だれか、、、◼️◼️◼️◼️]
最後の方は蝉の声と重なり、聞き取れなかったが、誰かが泣いていることに気づいた俺は、声のする方へと足を進めた。
誰の泣き声なんてとっくにわかってた。初めて聞くはずなのに、直感で答えを弾き出していた。
そして、俺は見つけてしまった。森の中でへたり込んで、両手を大事そうに胸に押し付け、うずくまるように涙を零しながら泣くぼろぼろの少女を。
7色の色素が手の輪郭を保ちながら織り交ぜられる半透明な手を胸に抱える、和服に身を包んだ少女。
メ[もう…やだよぉ、ひぐっ…戦いたく、、ないよぉ]
メアリーだった。涙を零しながら弱音を吐くメアリーを初めて見た俺は、気付かぬうちに足早に歩き出していた。
こちらに気が付き、涙で両目を腫らした、ボロボロで苦しそうな表情のメアリーと目が合った。
リ[何があったんだ!?なんだよこの手!!
痛いのか!?どうしてこんなことに!]
メ[なっ…!んで、]
リ[いいから!は、早く回復魔法をかけろ!]
メ父[メアリー!!]
どこからか、メアリーのお父さんが駆け寄ってきて、すぐさまメアリーを抱き抱えた。
俺は疑問の全てをメアリーのお父さんにぶつけるように吐いた。
リ[なぁ、メアリーのお父さん。メアリーのこの手、どうしたんだよ?なんで、こんな色してんだよ?戦いの度にメアリーはこんなに苦しんで、泣いていたのかよ?なぁ、こんな状況になっても、なんでメアリーに『守護者』を続けさせてんだよ!]
メ父[リューソー君…君はどうしてここに、]
リ[俺なんかどうでもいい!メアリーは?!メアリーは大丈夫なのかよ!?]
メ父[ここでは人が来るかもしれない…
リューソー君、うちへおいで。知りたいこと、教えてあげるから]
それから、メアリーのお父さんはメアリーを背中に乗せて、家まで帰った。襲撃のせいか、村の中でも誰も外に出ておらず、誰かに見られることは無かった。
家に着いてメアリーを部屋に運んだ後、メアリーの看病にメアリーのお母さんがついたので、メアリーのお父さんに聞きたいことを全部聞いた。
メアリーが魔透病を患っているということ。多量の魔力を一度に使うと進行が早まること。自分の魔力を予め村全土に放出しているのは、戦闘の際に、突発的な魔力の使用を少しでも減らすための苦肉の策であるということ。
発症したのは、1年ほど前。髪を短髪にしてきた時。襲撃を対応している時に突然罹ったということ。
メアリーが戦いに苦しみながら赴いていたのは、最初の頃からだったということ。
リ[それなら、なんでまだメアリーが戦ってるんだよ。村長に言って、もう戦えないから『守護者』を続けれないって、誰かに変わってくれって言ったら/メ父[言ったさ!]
初めて聞く友達のお父さんの怒号。
メ父[何度も伝えたさ、もう戦えないって。このままでは死んでしまうって。でも、何も変わらなかった]
メ父[それどころか、あのクソジジイ、!]
[過保護はいけんよ。彼女はこの村で最も強いのだから、他に適任は居ない、そうだろ?]
メ父[なんて抜かしやがった!
はっきり言おう!この村は腐ってる!他の誰かに頼み込んでも、誰もが自分達で戦う事を考えていない!]
メ父[僕たちは魔法の才能が無さすぎた。一緒に戦ったこともあったが、逆に負担をかけてしまう結果となった。
あの時程、メアリーの才能を、自身の才能の無さを恨んだ日は無い]
メ父[僕たちの子供とは思えない程の才能の差に、取り違え子なんじゃないのかと、愚かな考えすらしてしまう程だ]
心底苦しそうに話すメアリーのお父さんに、この村の現状に、俺はただ聞くだけしかできなかった。何か言おうとも思ったが、とても言えなかった。目の前で友達の親が壊れている様を見せられて、何かを言える訳がなかった。
そして、どうすればメアリーが『守護者』をやめさせられるのか、こんな腐った村を変えられるのかを考えた。
リ[行ってくる、]
メ父[・・・どこに、]
リ[村長のとこに]
メ父[聞いてなかったのか?意味がなかったと言ったはずだ]
リ[家族だから…きっと、俺から言えば、変わるかもしれない]
そう言って俺は走って村長の家へと向かった。村長に会うや否や、俺はメアリーの現状と願い事を思いのままに子どもながらの言葉で伝えた。
俺の言葉を黙って最後まで村長は聞いてくれた。
村長[リューソー君、君の友達を思う気持ちはわかったよ]
リ[・・・!それじゃあ!]
村長[却下だ]
リ[・・・は?]
村長は薄ら笑みを浮かべながら話し始めた。
村長[メアリーちゃんが死にそう?今までも『守護者』は死ぬまで戦い続けてきた。何故か?]
村長[答えは単純。村で最も強いからだ。種族の王であるからだ。
強き者は弱き者を助ける。自然の摂理だろう?]
リ[メアリーはまだ、俺と同じ子どもなんだぞ!]
村長[それがどうした?あの時、この村で最も強いと証明して見せたのは、あの少女だ。健気で真っ直ぐで単純で御しやすくて、本当に助かるよぉ〜]
リ[あぁ?]
それまで座っていたが、村長らしからぬ言葉に俺は立ち上がった。必死に怖がらせようと睨みつけ、収納魔法から剣も取り出した。
村長[おぉ〜、怖い怖い(笑)]
リ[別に一番強い奴じゃなくたって、何人かでこの村を守ればいいだろうが!なんで1人なんだよ!?]
村長[・・・誰が、戦いたがるというのだ?誰が喜んで死地へと自ら進んで赴くというのだ?そんな奴、いるわけが無いだろう?
ならば最も強い奴1人を向かわせるのは当然だろう?
だから、役職を与えた。『守護者』という役職を、大義名分であるという言わせしめる役職を。]
リ「こん時、わかったんだよ。『守護者』ってのは、村の『犠牲者』のことなんだって。」
リ[なら、代わりに俺が成る。俺があいつの分まで戦う]
村長[君が?、面白い冗談だねぇ〜]
リ[・・・]
村長[何故、選定の戦いに魔法の扱えるものに限定していると思う?]
黙れ。もうお前は黙れ。それ以上口を開くな。
村長[我々の種族が魔法に適しているからだ。当たり前だろう?魔法を扱える者の中から選ぶのは]
村長[そういえば君は、未だに、魔法を使っていないのだったな…
我々からしてみれば、君のような魔法も扱えぬ村民は『守護者』になれる資格も持たぬ、お荷物同然なのだよ。あの少女の両親も同様にねぇ、]
村長[分かったら、早くお家に帰って襲撃に怯えて泣いてな。この青二才のガキ風情が]
臭い。臭すぎる。言うこと考えてること全てが腐り果てている。
最後まで下卑た笑いを辞めなかった村長。いや、ただの、動いて喋るだけのごみ。人の心を持ち合わせるわけもない。
きっと、こいつは金属たわしでいくら綺麗に汚れを削ぎ落そうとしても、芯まで汚れ切っている。綺麗にするにはこいつ自体を消すしかない。
もう、こんなモノに期待するのすら無駄だと思った。怒る気力すら失せた。俺はそのままそれに背を向けて、
リ[絶対、剣だけで俺は、この村の誰よりも強くなる。そんで、俺がもし、この村で1番強くなった時]
リ[俺が、お前を殺す]
それだけ言って俺はその場を去った。
それから俺は村の人達に現状を伝え、手伝ってくれるよう頼んだ。村で強いと噂の人には、代わりに戦ってくれないかと頼み込んだ。
魔法が得意ではない人には、一緒に強くなろうと提案した。子どもから大人まで、多分全員に言って回ったと思う。
でも、いい返事をしてくれるものはいなかった。遠回しに断ってきたり、即答で考える事すらせずに拒絶したりしてきた。冷たい視線、睨むようにこちらを見る者もいた。何が気に食わないのか知らないが、怒鳴り散らしてくる奴もいた。
怖かった。顔に黒い影のかかった表情の見えない、ただ2つの目だけが俺の方を覗いていた。誰もが俺の声を無視した。それでも、声を上げずには居られなかった。
俺はメアリーの元へと走った。悔しかった。情けなかった。友達だと言うのに、何も変えることができなかった。友達だと言うのに、ここまで酷くなるまで気が付かなかった。
メアリーの強さも、思いも、踏みにじられた気持ちだった。
メアリーの家に着くと、俺は2人の静止を振り切ってメアリーの部屋の前に立った。
リ[メアリー、!]
中から物音1つ聞こえてこない。今はまだ寝ているかもしれない。けど、今すぐに伝えたかった。
リ[ごめん!今まで気が付かなくて、助けてやれなくてごめん!
俺、俺が強くなるから!メアリーが戦わなくて良くなるくらい強くなるから!今すぐには無理だけど待っててくれ!
俺、剣だけで強くなるからさ!魔法だけじゃないんだって、俺が証明するんだ!]
リ[…だから、!もう、無理はしないでくれ!辛い時は「助けて」って、言ってくれ!俺が!メアリーを守るから!]
すると、中から足音が聞こえてきた。足音は扉の目の前で止まり、少しの静寂の後、メアリーが口を開いた。
メ[リュー、ありがとう、!私なら大丈夫だから、リューは私なんかに構わないで自由に生きて。私が、守る…から]
リ[ ]
何か言おうとしてやめた。まだ『助けて』って言わないのは、俺が弱すぎるからだ。強く、ならないと。
リ[待っててくれ。絶対、絶対に!強くなるから!]
トン、
扉の向こうで、扉に体重をかけるような音と、しきりに鼻をすする音が聞こえた。
それ以上は何も言わなかった。最後に、メアリーのお父さんとお母さんに勝手に家に入ったことを謝って俺は家に帰った。
リ父[おかえり〜。どした?そんな、モン〇ンで乙った瞬間に仲間が倒して素材取れなかった、みたいな顔して]
リ[ゲームにしては落ち込みすぎだろ]
リ[・・・なぁ、父さん、ちょっといい?]
リ父[どうした?]
ただ、優しくこちらを見る父さん。俺は村の人達に言ったことと、同じようなことを伝えた。きっと、今までで1番めちゃくちゃな文章だったと思う。
正直、怖かった。父さんにまで否定されたら、どうすればいいか分からなかった。
リ父[リューソー]
リ[ッ、!]
俺の身体が跳ねるのがわかった。顔を見ることができなかった。もし、黒かったらどうしようかと思うと、目を合わせれなかった。
リ父[お前は、偉いな、]
リ[…え?]
リ父[村長に直談判までしたんだろ?間違ってるって。父さんにだって、できなかった。村の連中なんてそんなことすら思わないのに、お前はできた。
メアリーちゃんを思って、変えようと行動できたお前は十分に強い]
心が洗われていくような感覚に陥った。今日一日で付着した泥が落ちていく。心が段々と満たされていく。
リ父[リューソー、お前は間違ってない。だから思うままに進め。俺はそれを止めない。お前なら強くなれる。誰よりも。]
気づけば泣いていた。お父さんはお父さんだった。お父さんがお父さんで良かったと本気で思えた。
次の日から、剣で強くなることを目標に特訓を始めた。お父さんは仕事もあるので、特訓の主な部分は1人ですることになった。
襲撃の戦いについてだが、お父さん曰く、昔ある出来事があり、代償魔法で今後一切の魔法を使わないことを代償に指定したらしい。だから、お父さん自身は戦うことができないという。
まぁ、そこは仕方ない。できる限り強くなることの支援はしてくれるし、否定してくれなかっただけで、それ以上は望まない。
特訓を開始して数分。木剣で素振りを行っていると、1人の同じくらいの背丈の人物が木の影から姿を見せた。そいつは、周りを見回しながら警戒するように、コソコソとこちらに近づいてくる。
ス[な、なぁ、!昨日言ってたあれ、本当か?]
スパイルだった。コソコソとしているのは、スパイルの親がこの村の医者で、最近は特に勉強の為に、外に出ることを好ましく思っていない為だろう。
昨日は3人でいたところに俺が突撃し、口々にバカにされ冷やかされて笑いものにされた。そんなスパイルが真偽を確かめるためにやってきた。あまりいい気はしていない。
リ[あぁ、本当だよ。分かったら、もう行ってくれ。俺は早く強くならないといけない]
正直、期待はしていなかったので、俺はぶっきらぼうに答えた。
スパイルはそれでもその場に留まった。時折、何かを言いそうに口を開いたり閉じたりして、そのまま10分程過ぎ去った。
リ[なんだよ?お前も無駄って言うのか?何を言われても俺は/ス[お、俺も!]
ス[俺も一緒に強く、なりたい!もう、募集は締め切ってしまったか?!]
大きな声で宣言するスパイルに、俺は呆気に取られた。意外すぎた。そんなこと、言うやつだとは微塵子程も思っていなかったからだ。
リ[お前、昨日バカにしてきた癖にか?]
ス[俺は、!言って、なかったぞぉ?]
リ[あれ?そっだったっけ?]
ブンブンと、勢いよく頭を縦に振るスパイル。
この日、同い年の仲間が、同士ができた。
前回本気出すとか言ってたけど、普通に文字量半端なくて一旦ここで切らせていただきます。相場は文字数いくつなんじゃろな?
あと、普通に最近忙しくてつらたにえん。次回も今回の続きを出すお




