第54話 てきとーに生きるくらいがちょうど良い
すみません、今後引越しの諸々で週1投稿になるかもです!
5月前くらいからまた頑張って週2投稿に戻しますでご了承ください!
それでは、本編へ行ってらっしゃい!
/639年8月12日/
太陽が真上に登る時間、13時
タイト達は村の北の方で今から次の街目掛けて出発するところであった。
タ「それじゃあ、行こうか、!」
コ「しゅっぱーつ!」
リ「あーぱつあぱつ」
レ「……」
今日も溢れ出る元気を余すことなく、周囲に撒き散らしながら出発するタイト達。
パ「今回は次の街まで、どんくらいかかんだ?」
シ「そうだね〜、
馬車もあるから大体3~5日あれば着くと思うよ」
ロ「近くて助かる」
いつもと変わらず和気あいあいと話しながら歩き続けるタイト達。そんな、笑いながら普段通りに話すタイトを、レイは後ろから心配そうに見つめていた。
それに気づいたリューソーはレイに近寄って、小声で話しかけた。
リ「どうしたんだ?そんなにタイトを見つめて、」
レ「〜〜!!」
リューソーの言葉にレインは慌てて振り返り、顔を赤く染めながら恥ずかしそうに言う。
レ「み、見つめてなんか...!//」
リ(否定しきれてないんだなぁ〜)
レ「た、ただ、昨日はどうなったのかなと、気になっただけ」
レ「タイト、なんだか少し迷ってるようにみえるから」
レイは胸に手を当て、まだ頬の赤みが抜けてはいない表情で、愛おしさを無理に隠すような不安そうな目でタイトを見つめた。
リ「そうかぁ?俺にはいつも通りに見えるけどな〜?」
楽しそうに笑うタイトと不安そうなレイを見比べて、リューソーは一瞬、ニヤッ、と何か悪いことを思いついたかのように笑ってレイに話し出した。
リ「まぁ結論から言うと、昨日は失敗に終わったみたいだぜ」
レ「あぁ...やっぱりそうなんだ...」
リ「で、負けた後に依頼主からえげつない事言われたみたいで、昨日帰ってきた時のタイトはすげぇ落ち込んでた」
レ「え?」
リ「[俺なんて生きる価値ない][死んでないだけの生きた死体][俺みたいな無能、何ができるんだ]
とか言ってたな」
リ「最後には、泣きそうなのを我慢しながら、[誰でもいいから、こんな俺を抱きしめて慰めて欲しい]って言ってたぞ」
レ「タイトが、そんなに思い悩んでたなんて...」
『死』という言葉を聞いて、レイは荒波を立てる湖のように激しい動揺を見せる。
レ「私、どうしたらいいの?どうやってタイトを慰めたらいいのかなんてわからない」
リューソーから出てくる、想像もつかないような事実に本気で思い悩むレイ。
リ(掛かったな!)
ここでリューソーが、ここだ!と言わんばかりの表情を浮かべながら、
リ「さっきも言ったが、リューソーは今母性を求めている。だから、レインはタイトに向かって両手を広げながら、[私がタイトの全てを受け止めてあげるから、おいで?私の腕の中で泣いてもいいんだよ?](裏声)て、言えばタイトは立ち直るはずだ!」
レ「そ、そんな事、わた、私には、、、!」
リ「大丈夫だ!俺が他の奴らの気を引いとくから、その隙にタイトに言うんだ!
言葉にして言うだけで、タイトは救われるから!自信もってけ!」
レイに反論の隙さえ与えずに刷り込みをするリューソー。リューソーはこの状況を楽しんでいた。
後でどうなるかなんて想像も容易いはずが、雀の涙が地面に着いたことで飛び散る水しぶき程度しかない、人が尊ぶべきとされる人という種の感性を、己が欲望を前に吹っ飛んでいた。
リ「それじゃあ、今から俺がみんなの気を引くから、頑張れよ!」
レ「ちょ、ちっょと待って、!心の準備が、!」
リ「おーい、お前らー!」
レイの言葉に聞く耳を持とうとすることなく、リューソーは前の集団に追いついて話しかけに行った。
パ「おん?」
コ「どしたの?」
タ「なになにー?」
リ「...タイト、お前らの中にてめぇは入ってねぇ」
タ「・・・へ?」
リューソー、タイトをレイの方へ引き剥がすための言葉を思いつかず、誰がどう聞いてもハブられてるようにしか思えない言葉をぶつけてしまう。草ぁ!
タ「俺が...俺が、何をしたって言うんだ」
シ「可哀想!」
ロ「少しは言葉を選べ」
当然、リューソーは全員からの非難の的となり、周囲を囲うように詰められる。
この隙を見て、落ち込むタイトにぎこちない足取りで近寄るレイ。1つ息を吸って吐くレイ。レイの接近に気づいたタイトはゆっくりと振り向く。
そして、胸の位置に手を添えて意を決したように、タイトの方を真っ直ぐに見て口を開くレイ。
レ「昨日は、!大変だった、みたいだね」
タ「あー、はは...盛大に失敗しちゃったからね、
どっちかに聞いたの?」
昨晩のことを思い出し、苦笑いしながら答えるタイト。
レ「うん...リューソーから聞いた。それでタイトが酷いことを言われて、すごく、すごく思い悩んで落ち込んでるって、」
タ「うん・・・うん?」
レ「それでね、タイトが今辛いのは良く分かる...
でもね、!」
レイの声が今までに聞いたことないくらいに大きく、響く。
レ「でもね、死にたいなんて、言わないで。
辛いくて苦しい時は私が抱きしめて、全部受け止めてあげるから」
そう言って、左手は胸に添えたままタイトを包み込もうと右手を広げて見せるレイ。
その表情は、傍から見れば羞恥心から来る赤面だと思うだろう。
だがタイトは、レイの身近にいた、レイの大親友を失ったことを知っているタイトにはその表情の意味が伝わった。タイトの目には映った瞳の雫。『死』という言葉の重みを。
だからこそ、タイトはこう答えた。
タ「リューソーから変な風に聞いてるでしょそれ?」
あっけからんと答えるタイト。
レ「・・・え、?」
満を持して溢れ出る間抜けな声。
リ「ほんとに言った!笑」
コ「いい勇気だったよレイン。リューソーは〇してもいいよ」
パ「よく頑張ったな!リューソーは〇してもいいぞ」
シ「リューソーがら同じ人類なのか怪しくなってきた、、、」
ロ「生物界の最底辺」
仲間の方を一瞥した後、再びタイトに視線を戻すレイ。
タ「まぁ、酷いことを言われたのは事実だけど、『死にたい』なんて思ったことはないよ?なんなら昨日は普通にドンちゃん騒ぎしてふざけ倒してたよ?」
レ「・・・」
レ「私さ、リューソーとは短い付き合いだったけど、君のおかげで、この旅が楽しくなったなとは思ってたよ。」
レ「だからさ」
そっと、少し高い位置に置かれた石の板の上に右足を乗せて体重をゆっ〜くりかけ続けるレイ。レイの右手にはいつでも首を切り落とせるように刀が。
板の下には正座したリューソーの足と、さらに下には土魔法で作られた三角の板。板の頂点が足と交差するように置かれ、リューソーの体は動かぬよう縄でぐるぐる巻きにされている。
((いわゆる『石抱き』という拷問です))
レ「最後になにか言い残したことはある?」
ゴゴゴゴゴゴゴッ、
という音が聞こえてきそうな程に凄んだ表情でリューソーを睨みつけるレイ。
リ「ぎゃぁぁぁあ!ごめんなさい!!
ほんの出来心だったんです!!!」
レ「謝罪が遺言でいいの?」
タ「レイ、俺は大丈夫。せっかくのこの命、自ら手放すような事、絶対にしないから」
リューソーに拷問をしかけるレイをそっと諭すように言うタイト。
レ「タイト...私も、タイトを絶対に死なせたりしないから」
タ「はは、頼もしい限りですな」
リ「おいぃぃぃ!!いい感じの雰囲気を出しながら、さりげなく乗るなタイト!!!足が!!」
タ「・・・安いもんだ、リューソーの足くらい」
リ「ほんとにごめんって!!もうやらないから!!」
ようやく拘束を解かれたリューソーはコクウに足を治療して貰っていた。
コ「1秒につき、銀貨5枚ね」
リ「それ、コクウ様のさじ加減でだいぶ変わりませんか?」
パ「はっはっは、ざまぁwwww」
シ「反省してね」
ロ「どーせ明日には忘れてるよきっと」
((この鳥頭め!))
リ「俺への罵倒が止まらんな」
レ「タイト、ほんとに大丈夫?」
タ「まぁー、失敗したとはいえ、結局は他人だしね。無能力者の俺にしては良く頑張ったと思ってるよ?」
タ「てか、最後とかめっちゃえぐいこと言われたし、むしろ成功しなくて良かったというか、不幸になる人が減ったというか...いかん、思い出しただけで不快になってきた。」
タ「てなわけで、別に俺は大丈夫!ということでこの話は終わり!」
レ「それなら、良かった」
レイも納得し、次の街目掛けて再び歩き出すタイト達。その後も、話しながら進んでいるとシキが何かを思い出して、不意に声を上げた。
シ「そういや、次の街近くの森で、最近行方不明者が出てるって、さっきまでいた村で聞いたよ」
コ「言ってたね〜。森に入った冒険者が帰ってこないらしいよ?」
パ「物騒な世の中ですなぁ」
タ「さっき村でも教会が襲われてたりしてたし、要警戒で進むとしよう」
リ「教会が?!」
タイトの言葉にやや食い気味になりながら、強い興味を示すリューソー。
タ「う、うん・・・どうかしたの?」
リ「いや、教会って魔族に襲われた時とかの避難場所になるだろ?それがないってことは、、、」
シ「今、あの村が襲われたら大変な事態になるかもね、」
コ「でも、教会の復旧にはそこまで時間はかからないと思うよ!」
リ「そうか...それならいいんだ。」
リューソーはコクウの言葉で納得はしたが、どこかまだ考えている様子。
パ「どした?リューソーの癖に悩みやがって」
リ「[俺のくせに]ってなんだよ、!」
リ「気にすんな、なんでもねぇ」
パ「さいですか」
リューソーも話すつもりは無い様子。
その後は特に何事もなく、進み続けて日が暮れた頃に寝泊まりの準備。水浴びと夕飯を済ませる頃には21時をすぎており、昨日が遅かったこともあって、タイト達はすぐに就寝することとなった。
辺りが寝静まってから30分が過ぎた頃、リューソーが起き上がって同部屋の2人を起こさぬように静かに寝床から外へと出て行った。
外へと出たリューソーは遠くに行くわけでもなく、魔法で作られた寝床のすぐ側の草原に仰向けで寝転び、星を眺めた。
シ「どうしたのリューソー?」
リ「お前ら、」
タ「やあ」
タイトとシキも寝床から出てきて、リューソーの側へと歩み寄る。
リ「いやぁー、なんだか寝付けなくてなー」
タ「昨日はかなり遅い時間に寝て、昼前に起きたからねー、俺もあんまり眠くないんだよねー」
シ「わかる。てか、意外だね。リューソーが星を眺めるなんて」
リ「んー、まあなー、
故郷にいた仲いいヤツが星見んのが好きでな、そいつに色々教えて貰ったんだ」
2人もリューソーの横に並んで仰向けに寝転び星を眺め始めた。タ「隣、失礼」リ「おう」シ「ありがとう」
リ「そしたらこういう、何でもない日とか、眠れない夜とかには星を眺めるくらいには好きになってたわ」
タ「いいじゃん、!星眺めるの、俺も結構好きだよ」
シ「星座とか星の名前とか色々あったよねー?」
リ「確か、あれがデネブ、アルタイル、ベガ」
((君が指さす夏の大三角))
シ「おい」
聞いたことのある言葉に思わずつっこむシキ。
リ(あいつも今頃、星を見てたりしてんのかなー?)
なんて事を口には出さず、この暗い夜空の中で光り続ける星々に問うリューソー。
シ「安心しなよ」
タ「その人も見てるよ、きっと」
リ「お前ら...」
リューソーの希望のような問いに対して、安心させるように答える2人をリューソーは一瞬、笑顔を見せて一言。
リ「さも当然のように心を読むなぁ、!」




