第53話 失敗した時こそ、ドシッと構えとけ!!
/639年8月11日/
23時から凡そ30分が過ぎた頃
タ(あー、そろそろ帰るか)
勝負がついてから、約15分程その場に仰向けになっていたタイトは、ようやく気持ちの整理がついたためおもむろに立ち上がった。
タ「・・・」
タイトは様々な思考がぐるぐると頭の中を巡っている中、大きく息を吸って吐いた。
タ(よし!今夜はこの不満をめちゃくちゃにぶちまけてやる!)
1周まわって清々しくなったタイトは、深呼吸の後に顔を上げた時にはいつもの笑顔を取り戻していた。
〜宿にて〜
トントントン、キィィィ、
部屋の前に立ったタイトが、控えめに宿の戸を叩いた後、数秒後にゆっくりと扉が開いた。
タ「ただいま戻りやした」
リ「おかえりんご」
シ「どうだった?勝った?」
タ「もちろん、バチくそに負けてきた!」
本日の勝敗を笑顔で答えるタイト。親指も出しちゃってるぜ!
リ「バチくそに負けてきたか〜!」
シ「よーし今から男子限定で『タイトお疲れ様会兼、慰めようの会』を開催するぞー!」
シキが椅子から立ち上がり、準備は整った。
リ「盛り上がってきたなー」
タ「それじゃあ行くぞー!」
シ「行けー!」
お金よし!時間よし!気分よし!こうして、夜の男子会が幕を上げた!
〜居酒屋にて〜
シ「タイト何飲む?」
タ「何にしよっかなー?」
リ「今日くらいお酒行っちゃっても罰は当たらんだろ」
リューソーの甘い言葉にタイトは少し悩んだ後、
タ「...お酒、行っちゃおうかな?
なんかおすすめとかある?」
リ「おぉ!それならこれとかおすすめだぞぉ!」
((※未成年者にお酒を飲ませることは禁止されています。お酒は成人してから飲むようにしましょう。))
シ「きっと、みんな隠れて飲んでるよ」
リ「バレなきゃ犯罪じゃあねぇんだぜ」
タイトはお酒を飲むことにしたらしい。
リ「じゃあ、タイト1人で飲ませるのもあれだから、俺も一緒に飲もーっと、
シキ殿、俺らの介抱お願いいたします!」
タ「お願いします!」
シ「任せなさーい!」
夜はこれからだぜ!
3人「「かんぱーい!」」
カカンっ!
お馴染みの、グラス同士がぶつかり合う快音を辺りに広げ、飲み物に1口目をありつけた。
タ「すごいっ!薬品の味って感じがする!そんなに美味しくないね!」
リ「そこは慣れ、だ!」
シ「タイト、夜は食べたの?」
タ「戦うからほんの少ししか食べてない」
リ「じゃあ、色々頼みますか!」
3人は食べ物を挟みつつ、2つ程グラスを空にしたところで、タイトの不平不満の言葉が熱を帯びていく。
タ「いやさぁ!?本人の目の前で口から転び出ちゃったのは悪いとは思ってるよ!
でもさぁ!おかしいじゃん!依頼されたことと本人の対応が明らかに違いすぎるじゃん!
それで契約不履行であーだこーだ言われても嫌だしさ、どーすれば良かったんだよ!」
シ「ほんとにね〜、話聞く限り正解が分からないんだよね、」
リ「もう、ほっといて行かせとけば良かったんじゃね?で、そいつが行っちゃった後にめちゃくちゃに馬鹿なふりして、
『あっれれー!?あなたがこうなるよう誘導してましたけど、これで良かったんですか?!もちろん依頼料は取りますけど!?』て言ってやればよかったんだよ」
((反故となった結果の責任を相手に押し付ける、リューソーの必殺技である))
シ「ははっ、最高、!
1番の正解はそれなのかもしれない」
タ「『俺が9悪い、俺が9悪い。お前91な?』
でも行けそう」
シ「ぶはっ、!」
リ「『すみません...すみません...全部全部、お前のせいだけど...すみません、』
もいける」
シ「どっちも絶対やっちゃダメだからね、!笑」
止まらない2人に、笑いながら2人に一応の釘を刺すシキ。
タ「いやー、ほんとにあの女めちゃくちゃ嫌な奴だったなー。言動がおかしいし、話し方もものの頼み方も上から目線でさー」
リ「地べたに這い蹲るくらい低い姿勢で来いってな」
シ「リューソーは見下されるくらいがちょうどいい」
リ「…え?」
シキの突然の罵倒に反応できていないリューソー。まだまだだね!
タ「この前のあのー、えーっと、、誰だっけ?あの決闘中に紅茶飲んでた奴」
リ「あー、あのいつも笑顔でクソふざけたウザイ奴ね」
シ「多分ルーザだね」
タ「そうそれ!
あいつはさ、もう真っ直ぐに『こいつウザすぎわろた。2度会いたくない。親の教育どうなってんだ?
人としての知力が足りてないのかな?脳みそ死んじゃってる?』みたいな嫌な奴だったけど、」
リ「だいぶなこと言ってんな」
タ「今回のやつは『お前は間違ってない。間違ってないけど、言い方ってもんを知らないのか?正論で殴ってきやがって!
こいつそこら辺の雑草ですら友達になってくれないだろ!夜中に独りでに踊ってる所を知り合いに見つかってしまえ!』的なジョジョに嫌な奴だったわ」
シ「踊ってない夜を知らないのはタイトだった定期」
((山田ァ!))
タイト、ここで3杯目のお酒を注文。追加で食べ物も幾つか頼んだところで、今日一納得いかなかったことを話し始めるタイト。
タ「男も男でさ、戦う前に話してたんだけど、なんとなーくお互い文句言われない程度に戦って終わりましょーね、あははー、
てな感じだったのに、いざ始まったら初手から空飛んで、意味わからんくらい光線ぶっぱなされなんだけど?人の心とかないんかほんとに」
リ「クックック、」
何を閃いたのか、あらゆる画策で主人公の邪魔だてをする悪役のような笑い方をするリューソー。
そして、アホ丸出しおカッパ侍のような仮説を披露し始めた。
リ「依頼とかは本当は嘘で、全てはタイトを貶める為の2人の罠だったのだ!!」
シ「なんのためになるんだよ、笑」
リ「2人は人を貶めることに快楽を感じる異常者だったのだよ」
タ「化け物すぎる笑
...いや、化け物か」
自分の言ったことに一瞬冷静になり、失礼な結論に落ち着かせたタイト。
タ「いやー、今回の件は逆にいい経験になったわ」
リ「こういう意味わからんやつも、世の中にはいるって事でね」
タ「そうそう。なんかそう考えると気の持ちようが違うね。むしろ可哀想に思えてきた。」
シ「この世界には人が沢山いるからね、変わったヤツくらいいるさ。」
その後も3人は飲み続け、気づけば時計の針は2時を回ろうとしていたが、3人はそんなことには気づかずにいた。
シ「てか、タイトってさっきから結構飲んでるけど全然酔ってる感じしないね」
タ「あぁ、言われてみれば確かに。多分これリューソーが度数低いやつ選んでくれてるからだと思う」
リ「・・・」
タイトの言葉に、一点を凝視するように虚空を見つめる変顔を披露し始めるリューソー。
タ「え、なんの沈黙?」
リ「・・・実は、さっきから全然酔わないタイトを見て3杯目の辺りから原液を割らずに持ってきてもらってる」
シ「いわゆるロックと言うやつか」
タ「なるほど道理で1杯目よりも苦いなとは感じてたわけか」
リ「ちな、俺はちゃんと割って飲んでる」
タ「ぶどうの果汁に溺れて〇ね」
リ「なんの詠唱?!」
タ「あ、リューソーのそれで思い出した!」
今まで完全休みの体勢の遅い動作で口にものを運んでいたタイトが、死ぬ直前の道端に転がった蝉のように突然シキの方を振り向いた。
タ「神技でさ、魔法陣を魔力か技力かで作るやつはさ、詠唱が必要的なことを俺の先生?的な人から教わったんだけど」
タ「シキもそうだし、今日のやつも詠唱はせずに神技をの名称を口に出すだけで発動してたけど、それはどうなの?」
シ「それはものによるかな〜?僕とか多分今日の相手の人は、1度詠唱して発動した神技以下の威力のやつは詠唱が神技の名称だけで良くなるんだよね」
タ「と言うと?」
シ「1回詠唱した規模以下の威力の神技は、ほぼ無詠唱で何度も打ち放題也」
タ「なるほど。光線はその特性と相性が良いな」
シ「ものによると思う。どの規模でも詠唱が絶対必要な人とかもいるからね」
リ「酔っ払いには難しい話だァ〜」
飲み始めて3時間強が過ぎ、リューソーは完全に酔ってしまっており、タイトはお酒にはかなり強かったようだった。
タ「あ〜、なんとなーく元気になったわ。ごめんね2人ともこんな時間に付き合わせて」
シ「気にしないで、僕も楽しかったから」
リ「きつつきってなんか...へへっ、面白い名前してるよな」
タ「明日にはこの村出たいんだけど...午後1時に出るようにするか」
シ「そうしよっか。朝の9時くらいになったら、僕が女性陣の方にも伝えに行っとくよ」
タ「よろしくお願いしまぁーす!」
リ「でっかい氷を運ぶのだ」
こうして、暑い夜の男子会は幕を閉じたのだった。




